– 初めて畳店に伺いましたが、店内に漂うい草の香りに、どこか懐かしさを感じました。
通りがかりの方から「いい香りですね」と声をかけられることもあります。かつては多くの家庭に和室があり、この香りに懐かしさを覚える方も少なくありません。実は、い草は産地によって香りや質感に違いがあるんですよ。店内には見本もありますので、ぜひ手に取って確かめてみてください。
– 弾力やなめらかさに、はっきりと違いがあるのがわかります。
国産のい草は主に熊本など九州産で、中国産との品質差は見た目では判断しにくいものの、実際には大きな違いがあります。国産は粘りがあり、ささくれにくく、耐久性にも優れています。私は「日本の気候で育った素材を、日本の暮らしに取り入れるのが最もしっくりくる」と考えています。やはり、風土に合ったものが生活に自然と馴染むのです。
– 上質な国産い草に、三島さんの技術が加わることで、最高の畳が完成するのですね。
父から受け継いだ職人の技を日々磨いてきました。柱や壁のわずかなゆがみにも対応し、隙間なく仕上げるのが私のこだわりです。見えない部分にも手を抜かず、価格に関係なく、納得のいく仕上がりでなければ気が済みません。それが、職人としての信条です。
– そうした職人の姿勢に、多くの方が信頼を寄せるのも納得です。
長年畳を使ってくださっているお客さまから、再びご依頼をいただくことも多くあります。その良さをご存じだからこそ、自然と品質の高いものを選ばれるのだと思います。「やっぱり畳はいいね」と感じていただけるよう、これからも一枚一枚に真摯に向き合っていきます。