– まず、飯塚さんの生い立ちや経歴について教えてください。
浅草で生まれ育ちました。今は料理研究家の仕事をメインとして活動していますが、グラフィックデザインも行っています。
幼少期から料理番組やレシピ本が好きで母と一緒に楽しんでいました。学生時代もお菓子の勉強をしていましたが、お菓子作りの楽しさからもっと掘り下げたくなり、フードコーディネートの学校に行きました。卒業後、青山のデザイン会社に就職し、働きながらお菓子教室を開いたりしていました。思いのほかデザイン事務所の仕事が楽しくて、3年間のめり込んでデザインの仕事をやらせていただきました。
– 料理とグラフィックデザイン。どちらの経験も今に繋がっているんですね。
料理研究家ってどうやってなればいいのか分からないと思いますが、私の場合は、お菓子教室をやりながら、出版社にレシピや企画を売り込みに行ってました。1冊出版すると他の出版社からも声がかかり、企業から商品開発を依頼されたり、テレビの料理番組に出演したりと、活動の幅が広がっていきました。
また、グラフィックデザインの経験も今に活きています。例えば、レシピ本のデザインや写真のレタッチも自分で行うことができます。レシピ開発だけではなく、それを魅せるためのデザインもできることが私の強みだと思っています。
– 飯塚さんがレシピで大切にされていることは何ですか?
「ハレとケ(非日常と日常)」の中で、暮らしの中で行う料理は「ケ」にあたります。日々の暮らしを豊かにする、お家で作りやすいレシピを心がけています。普段の生活に取り入れやすいようにレシピにも工夫が必要ですが、手を抜くとか時短ということではなく、料理の工程も含めてきちんと作って美味しく食べることを大切にしています。
季節感も大事にしているので、旬の食材を活かしたレシピもよく作ります。例えば、秋であれば栗。ブランデーで煮るだけでもとっても美味しいのですが、これをどうやってお菓子に入れようかと考えます。パウンドケーキにシロップを染み込ませたものではなく、メレンゲをベースにしてみようという感じでレシピを開発しています。「栗のブランデーケーキ」のようにホームページにもおすすめ記事として季節のレシピを掲載しています。
お菓子は料理とは違い、科学実験のような要素もあります。よくお砂糖を減らしたいというご要望をいただきますが、お砂糖を減らすとカチカチになり膨らまなくなります。そこで、どこまで減らせるか、何か代用できるものは無いかと試行錯誤しながら、一つずつ試していきます。創意工夫しながらモノづくりをするという点では、レシピもグラフィックデザインも同じです。