– まず、若田部さんの経歴を教えてください。
出身は栃木県佐野市です。筑波大学大学院でデザインを専攻しました。修了後、東京で建築事務所などに就職しましたが、2009年に土浦市役所に入庁し、現在は市職員として勤務しています。私は県外出身者ということもあり「よそ者」を自認しています。しかし、市職員として、地域の事を知り、好きになりたいという想いがありました。入庁当初は前職の経験から市の建物の修繕や設計の仕事をしていたこともあり、市内の現場を回る日々でした。その中で気になるお店や場所があれば、休日に行って写真を撮りイラスト化することで我が街「土浦」への理解を深めていました。
– 土浦をもっと知りたいというところから始まったんですね。
そうなんです。自治体の魅力を発信するにはまず職員が地域の事を深く知っている必要があります。自治体は商品(=自治体)の魅力をアピールし、その利益でより魅力的な商品を開発していくサービス業だと思っています。居住者や来訪者から税金を納めていただき、その税収を元に街の魅力を高め、さらに税収をアップさせる、そのサイクルを作り出し続けることが行政の役割だと考えています。
– 土浦から霞ヶ浦全体に範囲を広げた理由は何ですか?
2017年に滋賀県の琵琶湖畔で行われた全国の自治体の研修にて、方向転換を余儀なくされました。「全国で2番目に大きい霞ケ浦のほとりの街・茨城県は土浦市から参りました~」と自己紹介したところ、「茨城?霞ヶ浦?」「どこそれ?」という空気になり、琵琶湖は知っていても霞ヶ浦の事を知っている方はほとんどいませんでした。富士山が日本一の山であることは誰でも知っていると思いますが、2番目に高い山は知らないですよね?やはり、1番であることはマーケティング的にもとても重要なのです。何とか土浦を全国1位に繋げられないかを模索し、「広義の霞ヶ浦」は周長で全国1位(※1)であることを発見しました!霞ヶ浦周辺であれば隣接する自治体も多く、経済圏も大きいのではと考えました。そこで土浦のみではなく「オール霞ヶ浦」でPRすることにしました。
(※1)霞ヶ浦(西浦)、北浦、外浪逆浦等を合わせた範囲。周長252km(ちなみに琵琶湖は235.2km)