WordPressサイトを高速化したい方におすすめなのが、WordPress公式開発チームが提供する「Performance Lab(パフォーマンスラボ)」プラグインです。
本稿では、Performance Labの特徴や使い方、他の高速化プラグインとの違いについてわかりやすく解説します。
目次
Performance Labとは?
Performance Labは、WordPress公式のパフォーマンスチームが開発した無料プラグインです。
サイトの表示速度や全体的なパフォーマンスを向上させるための機能を、複数の「モジュール(分割された機能の単位)」として提供しており、以下のような特徴があります。
- WordPress公式チームによる開発
- モジュール単位で必要な機能だけを有効化できる
- 将来的にWordPress本体(コア)に統合される予定の新機能を先行体験できる
Performance Labは、将来的にWordPress本体へ統合される予定の機能を試せるテスト用プラグインです。一部のモジュールは「実験的(experimental)」として提供されており、本番環境での使用も可能ですが、不具合のリスクを伴います。トラブルに対応できる知識が必要となるため、中級者以上のユーザー向けです。
導入前には必ずバックアップを取り、必要に応じてテスト環境での確認を行いましょう。
なお、同名のエンターテイメント団体「TEAMパフォーマンスラボ」などとは無関係です。
Performance Labのモジュールとその機能
Performance Labは、高速化に関連する複数の機能をモジュール単位で提供しています。
Embed Optimizer(埋め込み最適化)
YouTube動画やX(旧Twitter)など、外部コンテンツの読み込みを最適化します。
- Lazy Load(遅延読み込み):表示直前まで読み込みを遅らせ、初期表示を高速化
- Preconnect:外部リソースへの接続時間を短縮
- CLS(Cumulative Layout Shift)防止:読み込み中のレイアウト崩れを抑制
ユーザー体験を損なわず、ページ速度を向上させる効果があります。

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Image Prioritizer(画像優先制御)
画像や動画の読み込み順序を最適化し、重要なコンテンツが優先的に表示されるようにします。
- fetchpriority属性:重要な画像を先に読み込むよう指示
- Preload:事前に画像を読み込んで待機時間を削減
- Lazy Load:優先度の低い画像は後回し
スマートフォンや通信環境が不安定な環境でも効果的です。
Modern Image Formats(次世代画像フォーマット)
アップロード画像を自動でWebPやAVIFなどの軽量形式に変換し、表示速度を向上させます。
- WebP:JPEGより小さなファイルサイズで画質を維持
- AVIF:さらに高圧縮・高画質(対応ブラウザは限定的)
通信量削減にもつながり、モバイルユーザーへの配慮にもなります。

Webで使われる一般的な画像フォーマット(拡張子)はJPEG、GIF、PNGの3つです。 ですが、いずれも80年・90年代から長く使われている画像フォーマットであり、昨今ではより軽量化されたフォーマットが使われることが増えました。その代表格がWebPとAVIFです。 WebPやAVIF形...
Image Placeholders(画像プレースホルダー)
画像の読み込み前に、その画像の支配的な色(ドミナントカラー)を表示し、空白やチラつきを防止します。
ドミナントカラーとは、「デザインや画像の中で最も大きな面積を占め、全体の印象を決める主な色」のことです。たとえば、青空の写真なら「青」がドミナントカラーになります。
視覚的な読み込み体験が向上し、ユーザーの離脱率を下げる効果があります。
Performant Translations(翻訳の高速化)
WordPressの翻訳ファイル(.mo)の読み込み処理を最適化し、管理画面やフロントエンドの表示速度を改善します。
翻訳が多用される日本語サイトや多言語サイトで特に効果的です。

外国人観光客だけでなく、日本で働き暮らしている外国人も増えています。しかし、日本人の多くは英語を話せず、日本語でコミュニケーションをとれる外国人の方も少数派でしょう。日本語は日本以外の国ではほとんど話されていない言語であり、外国人にとって馴染みのない文字ですので、話すことができても、読み書きする難易...
Speculative Loading(推測的プリロード)
ユーザーが次にクリックしそうなリンク先を、あらかじめ読み込んでおく機能です。
Speculation Rules API(Google Chrome開発):ユーザーの動きを予測し、ブラウザが次ページをプリフェッチまたはプリレンダリング
この機能により、リンクをクリックした直後にページが即座に表示されるようになります。

IT・WEB業界で働いている方は、「API」という言葉を目にしたり、耳にしたりすることは多いでしょう。実は一般の方々も、知らず知らずのうちに活用しています。 しかし、一般の方はもちろん、エンジニアの方でさえも初心者の方に向けて上手く説明できるかといわれれば、そうとは限りません。というわけで、当...
Enhanced Responsive Images(レスポンシブ画像の最適化)※実験的
画面サイズに応じて、適切なサイズの画像を自動出力するよう、WordPressの画像処理機能を強化します。スマホ表示時の表示速度とデータ削減に効果的です。
※実験的な機能のため、使用前にバックアップを取ってください。
Web Worker Offloading(Web Workerによる処理分離)※実験的
JavaScriptの一部処理をメインスレッドから「Web Worker」へ移し、表示や操作の反応速度を改善します。
Core Web Vitals指標の一つ「INP(Interaction to Next Paint)」の改善が期待されます。
※実験的な機能のため、使用前にバックアップを取ってください。
Performance Labの使い方
プラグインのインストール
プラグインをインストールするには、WordPress管理画面にログインし、以下の手順で行います。
- 「プラグイン」 > 「プラグインを追加」をクリック
- 「Performance Lab」で検索
- 「今すぐインストール」>「有効化」
モジュールの有効化・無効化
左側のメニューから「設定」→「Performance」をクリック。設定ページから各機能のON/OFFを切り替えられます。
必要なモジュールを有効化後、プラグイン > インストール済みプラグインの順にクリックすると、インストールを確認できます。
プラグインの「自動更新を有効化」、「無効化」、「削除」をしたい場合は、こちらのページから操作します。
各モジュールに詳細な設定項目はなく、有効化するだけで利用できます。
実際にPerformance Labを使用した感想
筆者が運営するWordPressサイトで、Performance Labを使用して検証してみました。(使用環境:エックスサーバー+TCDテーマ「QUADRA」)
以下のモジュールは、エックスサーバーのWebサイト最適化機能「XPageSpeed」と重複する可能性があるため無効化しました。
- Image Prioritizer
- Modern Image Formats
また、実験的な2モジュールも安全のため無効化しています。今回は、Googleのウェブページ分析・評価ツール「PageSpeed Insights」でモジュールを検証しました。
PageSpeed Insightsの結果:モバイル・デスクトップともにパフォーマンススコアが「+2」向上。
▼ Before ▼
▼ After ▼
すでにサーバー、テーマ、他のプラグインで高速化設定をしている場合、大幅な変化は感じにくいかもしれません。
ただし、ダッシュボードの動作が軽くなる実感があり、特に「Performant Translations」の効果だと考えられます。
また、軽量画像の利用やCLS(ページの視覚的安定性)対策により、ユーザー体験の向上も期待できます。
Performance Labと他社プラグインの違いは?
Performance Labは、All-in-One型の高速化プラグインとは異なり、実験的なモジュールを含むのが特徴です。たとえば、以下のような違いがあります。
項目 | Performance Lab | 他の代表的プラグイン |
---|---|---|
開発元 | WordPress公式 | 外部企業 |
機能の構成 | モジュール型(個別ON/OFF) | 一体型 |
対象ユーザー | 中・上級者向け | 初心者〜上級者向け |
キャッシュ系プラグイン(例:LiteSpeed Cache)と併用する場合は、Lazy LoadやPreloadなどが競合する可能性があります。重複設定には注意が必要です。

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Performance Labのよくある質問(FAQ)
Q1. 初心者でも使えますか?
操作自体は簡単ですが、機能ごとの影響や他プラグインとの競合を理解して使う必要があるため、中級者以上向けです。
Q2. 本番環境で使っても大丈夫ですか?
可能ですが、実験的な機能が含まれているため、安定性には注意が必要です。事前のバックアップやテスト環境での確認を推奨します。
Q3. 他のキャッシュ系プラグインと併用できますか?
基本的には可能ですが、機能が重複すると競合する可能性があります。設定を慎重に確認しながら併用しましょう。
まとめ
Performance Labは、WordPressの表示速度やパフォーマンスを改善するために設計された、公式の無料プラグインです。
- 必要な機能だけを選んで使えるモジュール構成
- 今後WordPress本体に統合される予定の新機能を先取りできる
- 特に中・上級者のニーズに合致した設計
WordPressサイトの性能改善に関心のある方は、ぜひ一度試してみてください。
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