WordPressはバージョン5.6以降から、自動更新がデフォルトになりました。
セキュリティ面から見ると嬉しい機能ではある一方で、自動更新するリスクもあるため、事前に仕組みを理解しておくことをおすすめします。
安全にアップデートするには、どのような手順を踏むべきか?
本記事では、WordPressの自動更新に関する基礎知識と、安全にアップデートする方法を解説します。
目次
WordPressのアップデートに関する基礎知識
はじめにWordPressのアップデートに関する基礎知識を理解しておきましょう。
WordPressのアップデートは2段階
一般的にソフトウェアのバージョン表記は3段階のアップデート形式が採用されています。
名称 | 表記例 | 説明 |
メジャーアップデート | 3.12.4 | 大部分のデザインや機能を変更したとき(変更内容「大」) |
マイナーアップデート | 3.12.4 | 一部機能の改善や追加機能を実装したとき(変更内容「中」) |
パッチアップデート | 3.12.4 | 軽微のバグ修正・誤字・注釈を変更したとき(変更内容「小」) |
アプリやソフトウェアでよく目にするバージョン。「働き方2.0」や「Web3.0」などの表現にも使われていますよね。 バージョンはエンジニアだけのものではなく、書き方を覚えれば、一般的なファイルや資料の管理等にも役立ちます。というわけで今回は、誰もが使えるバージョンの書き方ついてご紹介いたします...
しかし、WordPressはv1.0.2(アートブレイキー)の例外を除き、2段階のバージョン表記になっています。
- メジャーアップデート
- マイナーアップデート
>> WordPressバージョンの一覧
>> WordPress Versions « WordPress Codex
知る必要もない豆知識です。豆知識ついでに書いておくと、WordPressがメジャーアップデートされる際は、ジャズアーティストの名前がつけられます(v2.0.5だけ特別でWordPress開発メンバーのお子さんの名前だそう)。
メジャーアップデート
メジャーアップデートは以下のような特徴があります。
- 新機能が追加される
- プログラムの大幅な改修
- セキュリティ向上
WordPressのバージョンでいうと「5.9→6.0」のように1桁目から2桁目の数字が繰り上がるタイミングです。
メジャーアップデートは、投稿画面の操作方法が変更されたり、新機能が使えるようになったりなどの変更が加わります。
更新が途絶えたテーマやプラグインを使用している場合、メジャーアップデートで使えなくなることもある点に注意してください。
マイナーアップデート
マイナーアップデートは「6.0.1→6.0.2」のように、3桁目の数字が繰り上がります。
- バグの修正
- セキュリティ強化
上記のような微修正を行うのがマイナーアップデートです。
メジャーアップデートとは違い、テーマやプラグインに悪影響が出るリスクはほとんどありません。
アップデート方法も2種類
WordPressには「自動更新」と「手動更新」の2種類があります。
自動更新
WordPressを自動更新に設定すると、最新バージョンがリリースされるたびに自動でアップデートがかかります。
デフォルトの状態では、メジャーとマイナーの両方で自動更新に設定されているはずです。
手動更新
手動更新に設定すると、メジャーアップデートのみ自分の好きなタイミングで更新できるようになります。
マイナーアップデートは自動更新のみ選択可能です。
仕様を変更するには、WordPressに追加のコードを記述するか、プラグインをインストールする必要があります。
プラグインやテーマも自動更新に対応
ちなみにですが、プラグインやテーマも自動更新に設定可能です。
プラグイン一覧ページから「自動更新を有効化」をクリックすると自動更新がONになります。
テーマの自動更新に設定する際は、テーマ一覧ページで有効化したいテーマをクリックして「自動更新を有効化」をクリックしましょう。
自動更新を停止したい場合は、同じ手順で「自動更新を無効化」をクリックすればOKです。
WordPressを自動更新するメリット・デメリット
自動更新のメリットとデメリットを見ておきましょう。
自動更新するメリット
自動更新に設定するメリットは、WordPressを常に最新の状態に保てることです。
世界中に利用者がいるWordPressは、悪質なスパムやウィルスの危険にさらされています。自動更新をONにしておくことで、常に万全のセキュリティ対策ができるメリットがあるのです。
プラグインやテーマも自動更新に設定しておけば、1つ1つ更新ボタンをクリックするストレスから解放されます。
端的に言えば「WordPressの管理が楽になる」と言えるでしょう。
自動更新するデメリット
一方で自動更新するデメリットも結構あります。
- エラーが起こる可能性がある
- エラーの原因特定がしづらい
- バックアップを取得できない
最もリスキーなポイントとしては、自動更新によってサイトが表示されなくなる可能性があることです。
手動更新の場合、事前にバックアップを取れるので、不具合が起きても復元できます。一方で自動更新に設定すると、バックアップを取ることができません。
頻繁にサイトを確認していない場合、不具合に気付くまで時間がかかってしまうこともあるでしょう。
正直、アップデートでサイトが表示されなくなるケースは稀ですが、レイアウトが崩れたり、自作テーマの機能が使えなくなるリスクはあります。
大規模サイトを運営している方は、手動更新がおすすめです。
自動更新に設定する方は、定期的にバックアップを取って、万が一の自体に備えておきましょう。
WordPressの自動更新を確認する方法
自動更新を確認するには、WordPressの管理画面にある「更新」をクリックしてください。
▼マイナーアップデートのみ自動更新に設定されている状態
「WordPressのすべての新しいバージョンに対する自動更新を有効にします。」
▼すべてのアップデートが自動更新に設定されている状態
「メンテナンスリリースとセキュリティリリースのみ自動更新に切り替えます。」
上記のメッセージの違いで、自動更新かどうか判断できます。
バージョン5.6以降に新規でWordPressをインストールした方は、デフォルトで自動更新にされているはずです。
自動更新と手動更新を切り替える方法
自動更新と手動更新を切り替えるには、更新画面に表示されているメッセージをクリックすればOKです。
▼自動更新をONにする時は以下のメッセージをクリックする
「WordPressのすべての新しいバージョンに対する自動更新を有効にします。」
▼手動更新に切り替える時は以下のメッセージをクリックする
「メンテナンスリリースとセキュリティリリースのみ自動更新に切り替えます。」
設定方法はとても簡単なので、迷うことはないでしょう。
メジャーアップデートが手動更新に設定されていると、下画像のように手動更新に関するメッセージが表示されます。
正直、メジャーアップデートの更新自体はそこまで手間ではありません。
サイトを安全に保ちたいという方は、手動更新でアップデートすると良いでしょう。
WordPressの自動更新を停止する方法
前述した方法では、マイナーアップデートの自動更新を停止することができません。
「心配だからすべての自動更新を停止したい!」という場合は、プラグインの利用をおすすめします。
プラグインを使わず「wp-config.php」にコードを記述する方法もあるのですが、知識のない人は安全かつ手軽に実行できるプラグインを活用しましょう。
すべての自動更新を停止するプラグイン「Easy Updates Manager」
Easy Updates Managerは、1クリックですべての自動更新を停止できる便利なプラグインです。
WordPressの管理画面から「プラグイン」→「新規追加」の順で進みます。
次に「Easy Updates Manager」と入力して「今すぐインストール」をクリックしてください。
インストールが完了したら「有効化」をクリックしておきましょう。
プラグインのインストールが完了すると、管理画面に「更新設定」という項目が追加されるので、こちらをクリックしてください。
Easy Updates Managerの設定画面が表示されます。
「一般」にある「すべての更新を無効化」をクリックすれば、設定完了です。
ちなみにメジャーアップデート、マイナーアップデート、プラグイン、テーマなどの設定を個別に行うこともできます。
Easy Updates Managerを有効化するだけで、更新設定を一元管理できるのは便利ですね。
目的に応じて個別に設定しておくと良いでしょう。
WordPressを安全にアップデートする手順
WordPressをアップデートする際は、以下の手順で進めることをおすすめします。
バックアップの作成
WordPressをアップデートする時は、必ず事前にバックアップを取りましょう。
万が一、サイトにトラブルが起きた際に、バックアップがないと復元できなくなってしまいます。
プラグインを活用すれば、知識がない人でも簡単に実行可能です。
以下の記事ではバックアップの代表的なプラグインを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
WordPressサイトの運営において、バックアップは欠かせない作業のひとつです。不具合やエラーが起きた際、事前にとっておいたバックアップデータから復元できれば安心ですよね。 そこで当記事では、WordPressサイトのバックアップをとれるプラグインを4個ご紹介いたします。それぞれの特徴をまと...
プラグインを停止する
アップデートする際は、すべてのプラグインを停止して行いましょう。
プラグインによっては、アップデートに干渉して不具合を起こす原因になります。トラブルのもとは事前に対処しておくのがおすすめです。
アップデートの実施
プラグインを停止したら、WordPressのアップデートを実施しましょう。
アップデート自体は数十秒から数分で完了します。アップデートが完了するまでは、管理画面をいじらないようにしてください。
不具合等でダッシュボードに入れない場合は、手動でWordPressを更新しましょう。こちらで詳しい手順を解説しています。
プラグインの有効化
アップデートが正常に完了したら、プラグインを有効化していきます。
プラグインをたくさん使っている方は、事前にリストを作成しておき「どれを有効化するのか」がすぐに分かるようにしておきましょう。
不具合のチェック
最後にアップデート後のサイトに問題がないか確認していきます。
- レイアウト崩れはないか
- 非表示になっているコンテンツはないか
- プラグインが正常に動作しているか
上記のポイントをチェックして、問題がなければアップデート作業は完了です。
WordPressとサーバーのPHPバージョンを確認しておこう
WordPressは自動更新ができて便利なものの、稀にサーバー側のPHPバージョンが最新のWordPressに追いついていない問題が起きてしまいます。
サーバーとWordPressのPHPバージョンを最新状態に保つと、セキュリティや表示速度の改善が見込めるのです。
以下の手順に沿って、WordPressとサーバー側のPHPバージョンを確認しておきましょう。
WordPressのPHPバージョンを確認する
WordPressの管理画面から「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」の順でクリックしてください。
「サーバー」の項目内にある「PHPバージョン」に記載されているのが、現在のPHPバージョンです。
サーバーのPHPバージョンを確認する
サーバーのPHPバージョンの確認方法は、利用中のレンタルサーバーによって異なります。
エックスサーバーの場合、サーバーパネル内にある「PHP Ver.切替」をクリックしてください。
「PHPバージョン切替」内で、現在のバージョンが確認できます。
もしも古いPHPバージョンに設定されていた場合は、推奨バージョンに変更してWordPress側と統一しておきましょう。
古いバージョンを使っていると、プラグインが正常に動作しない原因にもなってしまいます。
適宜、最新のPHPバージョンを確認して更新するようにしてください。
長期で運営しているWordPressのサイトで、以下のような問題が発生していませんか? 表示速度が遅くなった気がする 迷惑メールがたくさん届くようになった プラグインが正常に動作しないことがある 上記の問題の原因は、古いバージョンのPHPを使っているからかもしれません。PHPのバージ...
WordPressのアップデートに関するよくある質問
最後にアップデートに関するよくある疑問を解消しておきましょう。
自動更新されない・失敗する時の対処法は?
稀に自動更新に設定しても、正常に処理されないことがあるようです。今まで正常に更新されていたにも関わらず、自動更新に失敗する場合は、手動更新を試してみてください。
更新できたものの、不具合やエラーなどの問題が起こることもあります。そんな時は一度、バージョンをダウングレードして、マイナーアップデートがリリースされるまで待ってみるとよいかもしれません。
使っていないプラグインやテーマがたくさんある方は、削除してトライしてみてください。
WordPressのアップデートでは、新たに機能が追加されたり、改善されたりします。ただ、何のアップデートにしても不具合が発生する場合もありますよね。 WordPressの場合は、FTPソフトを使ってダウングレードする方法が一般的ですが、操作には少し用心が必要です。操作を誤るとコンテンツを削除...
アップデートされるタイミングはいつ?
メジャーアップデートは、大体3〜4ヶ月に一度のペースでリリースされています。
マイナーアップデートは、不定期に行われます。
更新しないとどうなる?
WordPressのアップデートを放置すると、以下のような問題が起こります。
- セキュリティが弱くなる
- 検索エンジンに信頼性の低いサイトとして評価される
- プラグインやテーマなどで不具合が起こるWordPressを最新の状態に保つことは、セキュリティやSEOの面から見てもメリットがあります。
反対に古いバージョンにこだわるメリットはありません。
管理画面にログインできなくなった
自動更新を停止し忘れると、WordPressやプラグインが勝手に最新バージョンにアップデートされることがあります。
しかし、その結果、使用しているテーマやプラグインが新しいバージョンに対応できておらず、エラーが起きて管理画面にログインできなくなることがあります。
その場合は、FTPを利用してプラグインを停止したり、WordPressを手動でダウングレードする必要があります。作業する際は必ずバックアップをお願いします。
こちらでは、FTPを利用してプラグインを止める方法をご案内しています。
「カスタマイズを行った記憶がないのにWordPressサイトに不具合が出た」という声をよく聞きます。大量のプラグインを入れている場合、まとめて一気にしばらくたまっていた更新をしてしまうと…PHPのバージョンアップにプラグインが対応していなかったりなんだりで、画面がエラー画面に。という話もよく聞きます...
また、こちらでは、WordPressを手動でダウングレードする方法をご案内しています。
WordPress本体の更新(アップデート/ダウングレード)する方法について解説します。 アップデートに大幅な変更があると、テーマやプラグインに影響を与える可能性があります。アップデートの前には下記を参考に必ずバックアップをとってください。 WordPressのアップデートは...
まとめ
WordPressの自動更新は、便利な反面リスクがある点を覚えておいてください。
シンプルな設計のサイトであれば、定期的にバックアップを取ることで自動更新の恩恵を受けられるでしょう。大規模なサイトや自作テーマを使っている方は、手動更新で着実にアップデートするのがおすすめです。
アップデートする際は、バックアップを作成したうえでプラグインを停止して行いましょう。
プラグインを使って自動更新を制御することも可能です。
運営スタイルに合わせて、自動更新と手動更新を適宜使い分けていきましょう。
>> WordPress大全集
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