2025年の1年間に、WordPressのまわりで見つかった脆弱性は11,334件。そのうち、WordPress本体のものは6件で、どれも危険度の低いものでした。残りは、プラグインが91%、テーマが9%です。
これは、WordPressのセキュリティを専門に調べているPatchstackが公開している数字です。「WordPressはセキュリティに弱い」とよく言われますが、数字を見ると、穴の多くは本体ではなく、その外側にあります。
10月に出たWordPress 7.1.3では、修正されたセキュリティの問題7件のうち3件を、AIの開発元のAnthropicが報告していました。
WordPressがセキュリティに弱いと言われる4つの理由
- ソースコードが公開されている(オープンソース)
- 使っているサイトが多く、狙われやすい
- 更新されないまま放置されているサイトが多い
- プラグインやテーマを自由に足せる
どれも事実です。
世界中にWordPressのサイトがあるぶん、古いWordPressやPHP、古いプラグインのまま動いているサイトも大量にあります。攻撃する側から見ると、同じ手口がそのまま通るサイトを、まとめて探せるということです。
ただし、1の「ソースが公開されている」は、弱さだけを意味しません。誰でもコードを読めるので、悪用される前に見つけて報告する人も大勢います。
数字で見ると、穴の多くは本体の外にある
Patchstackが2026年に公開した報告書の数字です。
| 項目 | 2025年の数字 |
| 見つかった脆弱性 | 11,334件(前の年より42%増) |
| どこで見つかったか | プラグイン91%、テーマ9% |
| WordPress本体 | 6件(どれも危険度は低い) |
| 公表の時点で修正版がなかったもの | 46% |
| 狙われやすい脆弱性が攻撃され始めるまで | 5時間(中央値) |
参考:State of WordPress Security in 2026(Patchstack)
本体の脆弱性は、1年で6件です。一方、プラグインとテーマからは1万件を超える脆弱性が見つかっています。しかも、その半分近くは、公表された時点で開発元の修正が間に合っていませんでした。
「WordPressが弱い」というより、「何を入れて、どう管理しているか」で安全さが大きく変わります。
WordPress本体が安全に保たれている仕組み
1. 50人以上のセキュリティチームが本体を見ている
WordPress.orgによると、本体のセキュリティは、中心の開発者やセキュリティの研究者など50人以上の専門家からなるチームが担当しています。脆弱性の報告は、公表する前にこのチームが受け取り、修正版を用意してから公開します。
報告するのは、チームの外の研究者も同じです。2026年10月に公開されたWordPress 7.1.3では、7件のセキュリティの修正のうち3件をAnthropicが報告しています。OpenAIと共同で調べたTrail of Bitsの名前もあり、AIの開発元も脆弱性を探す側に加わっています。
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2. 小さな更新は自動で入り、古いバージョンにも修正が届く
セキュリティの修正を含む小さな更新(7.1.2から7.1.3など)は、初めから自動で入る設定になっています。管理者が何もしなくても、修正が届く仕組みです。
公式にサポートされているのは最新版だけですが、セキュリティの修正は、4.7までの古いバージョンにもさかのぼって配られています。
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3. サーバー会社やセキュリティ会社と連携して公開する
WordPress.orgは、大きなサーバー会社やセキュリティ会社と連携して、修正版の公開のタイミングを合わせ、WAF(攻撃を遮断する仕組み)での防ぎ方も一緒に用意すると書いています。
同じような動きは、2026年10月のPHPの脆弱性でも見られました。修正版が出る前から、国内のレンタルサーバー各社が管理画面を止めるなどの対応を始め、翌日には対応完了を発表した会社もありました。
2026年10月21日、PHPの開発チームが、認証なしでサーバー上のプログラムを実行されるおそれがある脆弱性2件の修正版を公開しました。WordPressを動かしているPHPも確認が必要です。 レンタルサーバーを使っている場合は、まず契約サービスに修正が適用されたかを調べます。サーバー会社が番号を...
それでも被害が出るのはどこか
更新されていないプラグイン・テーマ
脆弱性の91%はプラグインで見つかっています。被害の入口になるのは、脆弱性が見つかったのに更新されていないプラグインやテーマです。狙われやすい脆弱性は、公表から数時間で攻撃が始まります。使っていないプラグインを残しておくと、それだけ入口が増えます。
正規の更新そのものに入り込む攻撃
2026年10月には、SEOプラグイン「Rank Math PRO」の配布ファイルに不正なコードが入り込み、約11時間、正規の更新として配られました。同じ月には、バックアッププラグイン「UpdraftPlus」の開発元が不正アクセスを受け、遠隔管理用の接続キーが盗まれています。
どちらもWordPress本体の弱さとは関係ありません。Rank Math PROは、更新したサイトに届きました。UpdraftPlusは、遠隔管理のUpdraftCentralにつないでいたサイトが対象でした。防ぎきれない攻撃に備えるには、問題が起きる前の状態に戻せるバックアップが頼りになります。
日本時間の10月16日5時2分から16時12分まで。この約11時間に配布されたSEOプラグイン「Rank Math PRO」のバージョン3.0.123に、不正なコードが入っていました。 開発元のRank Mathが公式のサポートページで発表しています。対象は有料版のRank Math PROだけで...
バックアッププラグイン「UpdraftPlus」の開発元TeamUpdraftが、10月17日から18日(現地時間)にかけて、自社サイトに不正アクセスを受けたと発表しました。見られたおそれがあるのは顧客のデータベースで、その中には遠隔管理の仕組み「UpdraftCentral」の接続キーも入っていま...
管理画面のログイン
管理者としてログインされると、WordPressでは何でもできてしまいます。使い回したパスワードや、短いパスワードのままの管理者アカウントは、本体がどれだけ安全でも入口になります。
WordPressは初期設定のままだと、ログインに使うユーザー名も外から調べられます。TCDの検証でも、REST APIからユーザー名がそのまま見えました。
サーバー側の対策だけに頼る
Patchstackの報告書では、サーバー会社が用意している一般的な防御で止められたのは、実際に悪用されたWordPress向けの脆弱性を使った攻撃のうち12%、より一般的な脆弱性も含めた2回目のテストでも26%だったとしています。サーバーのWAFは入れておきたい対策ですが、それだけで守れるわけではありません。
まとめ
WordPress本体の脆弱性は、1年で6件しか見つかっていません。弱いのはWordPressそのものではなく、更新されないプラグイン、使い回したパスワード、戻せないサイトです。
具体的な対策は、更新・ログイン・バックアップの順に、こちらの記事でまとめています。
2026年10月、WordPressのまわりで大きな出来事が3つ続きました。PHPの緊急の脆弱性、SEOプラグイン「Rank Math PRO」の配布ファイルへの不正なコードの混入、バックアッププラグイン「UpdraftPlus」の開発元への不正アクセスです。 PHPの件は、更新すれば防げました。...
WordPressそのものについては、こちらの記事で紹介しています。
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