「自分のプラグインに、有料版のリンクを載せてもいいのかな?」

WordPress公式ディレクトリで無料プラグインを出していると、一度は迷うところです。

結論から言うと、有料版の案内は禁止されていません。守るべきは「無料版が単体でちゃんと使えること」と「案内は控えめで事実ベースであること」の2点です。

公式ガイドラインと公式アナウンスを読んで、まとめました。「Commercial plugin」の表示、ルール、リンクの載せ方、日本語ページの翻訳、公開前の確認の順に説明します。


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「Commercial plugin」とは

「Commercial plugin」は、「無料で使えるが、有料のアップグレードやサポートもある」プラグインに付く表示です。ページ上の説明文は、英語で「This plugin is free but offers additional paid commercial upgrades or support.」です。

設定するには、作者が plugins@wordpress.org にメールで依頼します(公式アナウンス)。設定されると、ページに「サポート」のリンクが表示されます。

公式ディレクトリのルール

有料版の案内(アップセル)はOKです。作者自身のサイトやSNSへのリンクも、ガイドライン11で歓迎されています。

NGなのは、支払うまで使えない機能(ロックされた機能)を無料版に入れることと、管理画面を宣伝で埋めることです。
次の表は、有料版を持つプラグインに関わる項目の整理です。出典:Detailed Plugin Guidelines

ガイドライン 内容 やること
5 トライアルウェアの禁止 支払いで解放される制限機能・ロック機能は入れない。試用期間や回数で止めるのも不可 有料機能は無料版に入れない。公式ディレクトリの外で配るアドオンに分ける(ガイドラインも推奨)
6 SaaSは可 外部サービスとの連携は有料でも可。ライセンスキーの検証だけのサービスや、購入窓口だけのプラグインは不可 無料版に、ライセンス認証だけのための通信を入れない
7 同意のない追跡の禁止 外部サーバーへの接続には、明確な同意(オプトイン)が必要 通信する内容を readme に書く
8 実行コードの送信禁止 WordPress.org以外のサーバーからの更新配信や、同じプラグインの有料版のインストールは不可 無料版から有料アドオンを、自動でダウンロード・導入しない
9 不誠実な表現の禁止 含まれている機能に料金が必要だと思わせる表現は不可 「Pro版で解除」のような言い方を避ける
11 管理画面の乗っ取り禁止 アップグレードの案内は控えめに。サイト全体の通知は閉じられるようにする 案内は、設定画面内など文脈のある場所に絞る
12 readme のスパム禁止 不要なアフィリエイトリンクは不可。使うなら開示し、直接のURLにする(リダイレクトや偽装は不可) 有料版の案内は、事実を淡々と書く

有料版・解説記事へのリンクの載せ方

readme.txt に書く

公式ページの説明文は、プラグインに入っている readme.txt というファイルの内容が表示されたものです。リンクは、その中の「Description(説明)」や「FAQ」に書きます。

== Description ==
有料版では、○○の機能も使えます。詳しくは [公式サイト](https://example.com/pro/) をご覧ください。

== Frequently Asked Questions ==

= 設定方法を知りたいです =
手順は [解説記事](https://example.com/guide/) で紹介しています。

書くときのポイントは、次の3つです。

  1. 解説記事は、無料版の使い方を説明するものにします。導入手順や設定方法が向いています。
  2. 有料版の案内は、「有料版では○○もできます」と事実だけを書きます。「今すぐ購入」のような煽る表現はNGです。
  3. 販売ページのような記事は、有料版の案内として扱われます。宣伝だけの記事にしないでください。

管理画面に置く

プラグインの管理画面に案内を置く場合も、ガイドライン11のとおり、控えめに置きます。置き場所は、次の2つが目安です。

  • 設定画面の説明文の中に、リンクを添える
  • 管理メニューに、専用の案内ページを1つ用意する

画面全体に出る通知や、閉じられないバナーは避けます。YOMERUでは、設定画面の説明文にリンクを添えたうえで、専用ページも用意しています。下の画像は、その専用ページです。

YOMERUの管理画面。「Pro版のご案内」ページに、有料版の販売ページへのリンクが置かれている

無料プラグイン「YOMERU」の管理メニューにある「Pro版のご案内」ページ

日本語ページで「英語のまま」になる理由

日本語の公式ページ(ja.wordpress.org)で、こんな表示に出会うことがあります。

  • 「このプラグインはまだ日本語に翻訳されていません」という案内
  • Commercial plugin の文言が英語のまま
日本語の公式ページ(YOMERU)。上部の「まだ日本語に翻訳されていません」の案内と、右側の「Commercial plugin」の枠が、赤枠で示されている

未翻訳の箇所

この2つは、翻訳する場所が別です。

表示 翻訳する場所 承認する人
「まだ日本語に翻訳されていません」の案内 translate.wordpress.org の Plugins > 該当プラグイン > Stable (latest release) > Japanese 日本語チーム全体の承認者(GTE)または、そのプラグイン専用の承認者(PTE)
Commercial plugin の文言 translate.wordpress.org の Meta > WordPress Plugin Directory > Japanese 日本語チーム全体の承認者(GTE)

前者は、プラグイン自身の文字列です。後者は、公式ディレクトリ側の共通の文言です。
後者は全プラグインのページで共通なので、自分のプラグインの翻訳をいくら進めても変わりません。

翻訳は、プラグインを公開したあとに始められます。

翻訳の提案は、WordPress.orgのアカウントでログインすれば、誰でもできます。ただし、反映には承認が必要です。承認待ちのまま止まっているときは、日本語チームのSlackなどで、確認を依頼できます。

承認する側は、日本語チームの翻訳スタイルガイドに沿っているかを見ます。半角・全角の使い分けやスペースの入れ方で、翻訳が差し戻されるケースもあります。

公開前のチェックリスト

有料版への導線を載せたプラグインを公開・更新するときの確認項目です。

項目 確認すること
無料版の機能 無料版で機能が完結していて、有料版のコードは入っていない(ガイドライン5)
有料版の導入 無料版から有料版やアドオンを、自動インストールしていない(ガイドライン8)
外部との通信 外部サーバーと通信するなら、内容を readme に書き、オプトインにしている(ガイドライン7)
管理画面の案内 案内は、設定画面や専用ページなど文脈のある場所に絞り、サイト全体の通知は閉じられる(ガイドライン11)
readme のリンク 事実ベースで書く。アフィリエイトリンクを使うなら、開示して直接のURLにする(ガイドライン12)
Stable tag とタグ readme.txt の Stable tag と同じバージョン番号のタグを、SVNの /tags/ に作成している
コミット 小さな修正のたびにコミットせず、公開できる状態にまとめてからコミットする(ガイドライン14)

まとめ

Commercial plugin の表示は、「無料版で使えて、必要な人には有料版もある」と伝える仕組みです。気をつけることは、次の3つです。

  1. 無料版は、それだけで機能が完結していること
  2. 有料版・解説記事へのリンクは、事実ベースで控えめに案内すること
  3. 公開前に、Stable tag とタグの整合を確認すること

無料版の価値を先に伝える。有料版は、必要な人向けの選択肢として案内する。この順番を守れば、ディレクトリのルールにも、ユーザーの期待にも沿った運営ができます。

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