サイトやブログのSEO(検索エンジン最適化)は、キーワード選定がすべての出発点です。キーワードを決めずに、思いつきでコンテンツを書き続けても、SEOによる集客はうまくいきません。
そこでこの記事では、サイトやブログのキーワード選定の方法をご紹介します。本文で解説している関連キーワードの抽出方法や、キーワードの整理・分類テクニックを実践すれば、サイトやブログで対策するキーワードリストが完成します。
目次
キーワード選定、正しく実践できていますか?
このようなキーワードリストをもとにコンテンツを書いていけば、以下のような、よくある間違いを犯すこともありません。
- 思いつきでキーワードをいくつか出してみる
- ツールで検索ボリュームを調べる
- 検索ボリュームが多いキーワードをなんとなく選ぶ
少し手間はかかりますが、SEOの効果を最大化するために、キーワード選定作業を最初に済ませておきましょう。コンテンツ作成が圧倒的に楽になりますよ。
なぜキーワード選定が必要なのか?
冒頭でもお伝えしたように、キーワード選定をおろそかにしてコンテンツを書き続けても、SEOによる集客はなかなかうまくいきません。そもそもの大前提として、SEOに強いコンテンツを作るには、キーワードで検索するユーザーの求める情報を書くことが鉄則です。
ちなみに、キーワードで検索するユーザーの求める情報のことを、検索意図といいます。
検索意図とは?
検索意図とは、あるキーワードで検索するユーザーが抱えている欲求(ニーズ)のことです。Googleは、検索ユーザーの悩みや疑問、欲求に対して的確に応えられるコンテンツを評価して上位表示させます。そのため、検索意図を満たすコンテンツ作成は、SEOにおいて非常に重要です。
検索意図を満たすコンテンツを作るには、まずキーワードで検索するユーザーの気持ちや背景を推測しないといけません。
つまり、キーワードが決まっていないことには、検索意図を推測することはできないのです。当然、Googleに評価されるコンテンツを作るのも難しくなります。
このような背景があるので、コンテンツ作成前のキーワード選定が欠かせないのです。
さらに、キーワード選定をしないと、サイトやブログの全体像が見えないままコンテンツ作成にとりかかることになります。日々、思いつきでネタを考えてコンテンツを作っていくと、扱う情報がバラバラになり、サイトやブログ全体がボヤッとしてしまいます。
“雑多な読み物ではなく、テーマに沿った情報が網羅的・体系的に掲載されている”
これがSEOに強いサイト、ブログの特徴です。キーワード選定なしでは、情報を網羅的・体系的に掲載するのは難しいといえます。
ここまでが、キーワード選定が必要な理由の解説です。
軸キーワードを決めて関連キーワードを抽出する
ここからは、キーワード選定の具体的方法を解説していきます。キーワードの抽出作業は、以下の2ステップです。
- 軸キーワードの選定
- ツールを使って軸キーワードの関連キーワードを抽出
それぞれ順番に説明します。
ステップ1. 軸キーワードの選定
軸キーワードとは、ビジネスの軸となるキーワードのことです。たとえば弊社なら、「WordPress テーマ」 が軸キーワードに該当します。
この段階では、まだツールを使う必要はありません。自社のビジネスに関係しそうなキーワードの候補を、いくつか書き出してみましょう。
軸キーワードは通常、検索ボリュームの多いビッグあるいはミドルキーワードです。SEOで上位表示できれば大きな利益が見込めます。ただし競争が激しく、SEOの難易度は高いです。軸キーワードでコンテンツを一本作成しただけで上位表示できる可能性は、ほとんどゼロに近いです(新規サイトの場合はとくに)。
そこで、軸キーワードの関連キーワードを探す必要があります。
このように、軸キーワードの関連キーワードでコンテンツをたくさん作成することで、サイトやブログ全体の網羅性が高まります。結果として、軸キーワードでの上位表示に貢献するのです。
ステップ2. ツールを使って関連キーワードを抽出
ということで、ここからはツールを活用した関連キーワードの抽出方法を解説します。たくさんのツールが世の中にはありますが、以下の2つのツールを使うことを推奨します。
- Googleキーワードプランナー
- サジェストキーワードツール
それぞれ、使い方を解説します。
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Googleが提供しているキーワードツールです。本来はアドワーズ広告向けのツールですが、SEOの関連キーワードを探す目的でも使えます。
キーワードプランナーにログインしたら、「新しいキーワードを見つける」 というメニューをクリックします、ここに軸キーワードを入力してください。
そうすると、関連キーワードの一覧が表示されます。そのままだと「luxeritas」 のようなキーワードが混じっているので、「WordPress テーマ」 という単語を含む関連キーワードだけを抽出します。「フィルタを追加」 というメニューをクリックしてください。
「キーワードのテキスト」 という項目をクリックして、「WordPress テーマ」 でフィルタをかけます。そうすると、「WordPress テーマ」 という単語を含んだ関連キーワードだけが表示されます。ここで表示されたキーワードは、「キーワード候補をダウンロード」 からダウンロードしておきましょう。
※Googleキーワードプランナーの基本的な使い方は、以下の記事でも解説しています。こちらも併せてチェックしてみてください。
正しいキーワード選定は、SEOにおいて非常に重要です。 検索需要がないキーワードを対策しても集客にはつながらないので、実際に検索されているキーワードを調べる必要があります。 そこで役に立つのが、Googleキーワードプランナーです。この記事では、Googleキーワードプランナーの使い方をわか...
サジェストキーワードツール
サジェストキーワードとは、キーワードで検索するときに、Googleが自動で提案してくれるキーワード群のことです。サジェストキーワードはツールで一括抽出できます。代表的なサジェストキーワードツールをいくつかピックアップしました。
いずれのツールも、抽出したサジェストキーワードの一覧をコピーして貼り付けできます。Google検索で一つひとつ、サジェストキーワードを探していく手間が省けますので、ぜひ活用してください。
抽出した関連キーワードはExcelやスプレッドシートにまとめておく
Googleキーワードプランナーやサジェストキーワードツールで抽出した関連キーワードは、ExcelやGoogleスプレッドシートにまとめておきます。
このような形でまとめましょう。ただ、このままではキーワードが無秩序に並んでいるだけです。次は、キーワードの整理・分類作業をおこなっていきます。
キーワードの整理・分類(カテゴリ分け)
ここでは、関連キーワードの整理・分類(カテゴリ分け)方法を解説します。具体的には、同じ検索意図のキーワードを一括りに整理・分類していきます。それによって、キーワードのカニバリを防げるからです。
キーワードのカニバリとは?
キーワードのカニバリ(カニバリゼーションの略語)とは、検索意図が同じキーワードで、複数のコンテンツを作ってしまっている状況を指す言葉です。カンタンにいえば、コンテンツが重複している状態です。コンテンツの評価が分散して、SEOのパフォーマンスが下がってしまいます。
ようするに、同じ検索意図をもつキーワードは、1つのコンテンツにまとめてしまいましょう、ということです。そのほうがSEO効果は上がりますし、コンテンツを作る労力も削減できます。
ほかにも、キーワードをグルーピングして1つにまとめることで、複数の関連キーワードで上位表示する可能性があります。つまり、検索流入の最大化が期待できるということです。
まとめると、
- キーワードのカニバリを防いでSEOのマイナスを回避する
- 複数の関連キーワードで上位表示が期待できる(検索流入最大化)
この2つの目的があるため、キーワードの整理・分類作業が欠かせないのです。
では、具体的な作業方法を解説していきます。
ステップ1. キーワードの検索意図を書き出す
ExcelやGoogleスプレッドシートにまとめたキーワードの一つひとつに対して、そのキーワードの検索意図を書き出していきます。
検索意図を書き出すときは、自分の想像に頼るのではなく、事実を調べましょう。Googleで実際に検索して、1ページ目にあるTOP10のページのタイトルをチェックします。そうすれば、キーワードの検索意図はある程度、推測できます。
ここではあまり厳密に考えなくても大丈夫です。「〜を知りたい」 「〜をしたい」 といった一文を書き出すだけでOKなので、深く考え込まずにどんどん書き出しましょう。
ステップ2. キーワードを並べ換える(グルーピング)
すべてのキーワードに対して検索意図を書き出したら、キーワードを並べ替えましょう。フィルタをかけて、検索意図の列を昇順もしくは降順で並べ替えます。
そうすると……
このように、同じ検索意図をもつキーワードのグルーピングが完了します。同じ検索意図のキーワードは、1つのコンテンツで同時に対策していきます。
ステップ3. キーワード4つのカテゴリに分ける
ここからさらに、キーワードを4つのカテゴリに分けていきましょう。キーワードには、検索ユーザーの目的ごとに、以下の4つの分類(Buy.Know,Do,Goクエリ)があります。
各キーワードを、検索ユーザーの目的ごとにカテゴリ分けすることで、どのようなコンテンツを作ればいいのかが明確になります。ExcelやGoogleスプレッドシートに追加していきましょう。
ちなみに、キーワードによっては複数の目的をもつこともあります。たとえば、「WordPress テーマ カスタマイズ」 というキーワードは、KnowとDoの両方に該当します。カスタマイズ方法を知りたい、カスタマイズを依頼したい、という2つの目的です。
この場合、両方をシートに記入してください。コンテンツを作る際も、両方を反映させるといいでしょう(カスタマイズ方法を詳細に解説して、最後にカスタマイズサービスへの動線を設置する等)。
ここまでのステップが完了すれば、記事冒頭でもお見せした以下のキーワードリストが完成します。
ここまでの作業で、キーワードリストの構築は完了です。キーワードリストが完成したら、あとは優先順位をつけてコンテンツを作成していきましょう。なお、Buy.Know,Do,Goクエリに関する解説は以下もご参照ください。
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優先的に対策するキーワードの選定方法
ここからは、キーワードの優先順位づけについて解説していきます。コンテンツ作成を優先すべきキーワードと、そうでないキーワードの線引きをする作業です。優先順位づけをおこなうときは、以下の3つを意識しましょう。
- 検索ボリュームだけを基準に選ばない【SEO難易度を考える】
- 自社で書けるか?書くべきか?
- 競争率が低いロングテールキーワードから対策
それぞれ、解説していきます。
検索ボリュームだけを基準に選ばない【SEO難易度を考える】
まず、月間検索ボリュームの大きさだけを基準に、キーワードを選ぶべきではありません。いくらボリュームの大きいキーワードでも、競合サイトやブログが強すぎれば、上位表示は難しいからです。
一般的に、検索ボリュームの大きいビッグ(あるいはミドル)キーワードは、競争が激しいです。競争率が高い(SEO難易度が高い)キーワードは、たとえ検索ボリュームが大きくても、最初は避けたほうがいいでしょう。
rishirikonbu
キーワードのSEO難易度を調べられるツールです。
MozBar
『MozBar』 というChrome拡張機能も便利です。検索結果ページのPA(ページの権威性)とDA(ドメイン自体の権威性)が、一目でチェックできます。PAとDAが高いページばかりが並んでいる場合は、SEO難易度が非常に高いと判断できます。
使い方はシンプルで、『MozBar』 のChrome拡張機能を追加して、ブラウザバーの「M」 マークをクリックするだけです。
自社で書けるか?書くべきか?
そもそも、そのキーワードでコンテンツを書く意義はあるでしょうか?
たとえば、競合優位性。コンテンツが爆発的に増えたいま、競合と同じ内容を発信するだけでは、ユーザーに振り向いてもらえません。自社独自のノウハウや見解が盛り込まれたオリジナルコンテンツを作れるかどうかは、キーワードを選ぶ一つの判断基準です。
「このキーワードなら、ウチは絶対にいいコンテンツが作れる!」 と断言できるキーワードを選びましょう。
また、そのキーワードでコンテンツを書くことが、自社のビジネスやブランドにマイナスの影響を与えるなら、選ぶべきではありません。たとえば、「WordPressテーマ ○○○ 評判」 というキーワードで、他社のWordPressテーマのレビュー記事を弊社が書いたらどうなるでしょうか? おそらく、バッシングは避けられないはずです。
なぜなら、「あそこは、競合他社の商品をあーだこーだ批評しているモラルのない会社」 というイメージをもたれるからです。そうなると、ブランドイメージが一気に悪化してしまいます。
ほかにも、そもそも自社の利益に直結しないキーワードでコンテンツを作成しても、意味がありません。例を挙げると、弊社が「WordPress テーマ SEO」 というキーワードでコンテンツを作っても、おそらくビジネスのプラスにはならないと思います。弊社の強みとズレているキーワードだからです。
競争率が低いロングテールキーワードから対策する
サイトやブログの運用歴が浅く、知名度もない……被リンクもほぼゼロ……
あなたのサイトのオーソリティ(権威性)が低い間は、どれだけいいコンテンツを作っても、ビッグ・ミドルワードの攻略は困難です。もちろん理論的には、いいコンテンツを用意すれば上位表示は可能ですが、現実はそう甘くありません。
とくに、被リンクがほぼないサイトやブログを適切に評価することは、いまのGoogleの技術では不可能に近いです。立ち上げたばかりのサイトやブログは、競争率の高いビッグ・ミドルキーワードを攻めるのは得策ではありません。
そこでまずは、競争率が低いロングテールキーワードから対策しましょう。ロングテールキーワードとは、「WordPress テーマ シンプル おすすめ」 のような、3〜4語程度で構成されたキーワードのことです。検索ボリュームは小さいですが、ビッグ・ミドルキーワードに比べれば競争率は高くありません。
「検索ボリュームが少ないキーワードは価値がないのでは?」
そのように考えるサイト運営者は多いですが、検索ボリュームはそれほど当てになりません。実際、ボリュームの小さいロングテールキーワードを狙って作成したコンテンツが、多くの検索流入を稼ぐこともあります。
なぜでしょうか? それは、さまざまな関連キーワードでも検索にヒットするからです。
こちらは、「WordPressの管理バーを非表示にする方法」 をテーマにして書いた記事の流入キーワードです。「WordPress 管理バー 非表示」 というキーワード以外にも、複数のキーワードでランクインしています。
検索ボリュームの乏しさから敬遠されがちなロングテールキーワードですが、複数の細かなキーワードからの流入も期待できるので、実際の検索ボリューム以上の流入数を稼げることが多いです。対策する価値は十分にあります。
まとめ
キーワード選定は手間かもしれませんが、SEOに強いコンテンツを作るには欠かせない作業です。ここまで解説してきたステップをおおまかに整理したので、おさらいしましょう。
- ツールを活用して関連するキーワードを抽出
- キーワードの整理・分類(カテゴリ分け)
- 優先的に対策するキーワードの選定
この3ステップを実行して、キーワードリストを構築しましょう。そうすれば、SEOに強いコンテンツ作成の準備が整います。ぜひ実行してみてください。