ブランディングと聞くと、どこか商業的でお寺とは相容れないものに感じてしまう方も多いのではないでしょうか。特に住職や副住職をはじめとした寺院関係者のなかには、そう感じる方も少なくありません。

実際、お寺の現場では「広めようとすると違和感が生まれる」「何もしないのも不安」といった、言葉にしにくい迷いが起こりがちです。

本記事では、元僧侶としてお寺の現場や情報発信にかかわってきた経験をもとに、お寺のブランディングで違和感が生まれやすい理由を整理したうえでお伝えします。また、無理に広めなくても静かに伝わっていく状態をどう整えるかをまとめました。

「今のお寺が、どう見えているのか」「何が伝わり、何が伝わっていないのか」を見つめ直すための判断材料として、読み進めていただければ幸いです。

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お寺のブランディングで違和感が生まれやすい理由

ブランディングに取り組もうとした際、多くのお寺で最初につまずきやすいのが「なぜかしっくりこない」という感覚です。

この感覚は、個々のお寺の問題というよりも、ブランディングそのものと、お寺の成り立ちや役割との間にあるズレから生まれています。

ここからは、実際の現場でよく見られる視点をもとに、なぜお寺のブランディングは違和感を伴いやすいのか、その背景を整理していきます。

商業的なブランディングを意識するとお寺と噛み合わない

良く見聞きする商業的なブランディングは、本来「選ばれる理由を明確にし、価値をわかりやすく伝える」ことを目的としています。

しかし、この前提をそのままお寺に当てはめてしまうと、どこか噛み合わなさが生まれやすくなります。お寺は、何かを購入するための場所ではなく、人生の節目や迷い、不安に直面した時に、静かに立ち返る場所です。

「他と差別化する」「魅力を訴求する」といった発想が前に出すぎると、お寺本来の役割である「寄り添う場所」という性質と、少しずつズレが生じてしまいます。

その結果、伝えたいはずのお寺らしさが薄れ、「何を目指しているのかわからない」「少し商売っ気を感じる」といった違和感につながってしまうのです。

お寺らしさを損ねてしまう不安が生まれやすい

ブランディングに取り組もうとした際、「これをやってしまって、本当にお寺らしさは保たれるのだろうか」という不安が生まれるものです。

お寺は、長い時間をかけて地域や檀家との関係性を築き、静かな信頼で成り立ちます。一方で、発信や表現を意識した瞬間に「派手になりすぎないか」「今までの空気感が変わってしまわないか」と、慎重にならざるを得ないのです。

特に、「ブランディング=見せ方を整えること」と捉えてしまうと、ロゴや言葉選び、表現のトーンなど、目に見える部分ばかりに意識が向きやすくなります。

「どう見せるか」だけを先に考え、「なぜそう在るのか」「何を大切にしてきたのか」という軸を確認しないまま進めてしまうことが、不安や違和感につながりやすいのです。そしてこのズレは、参拝者や地域の方から見た時の「伝わり方」にも影響していきます。

参拝者や地域の方が本当に知りたいことを把握しきれていない

お寺のブランディングで違和感が生まれる背景には、「何を伝えるべきか」と「相手が知りたいこと」との間に、静かなズレが生じているケースも少なくありません。

寺院側としては、行事の意義や教えの正しさ、宗派としての背景などを丁寧に伝えたいと考えることが多いでしょう。一方で、参拝者や地域の方がまず知りたいのは、必ずしも専門的な内容や理念の整理とは限りません。

  • どのような雰囲気のお寺なのか
  • 初めてでも立ち寄って良い場所なのか
  • 話を聞いてもらえるのか

上記のような安心感に直結する情報を、多くの参拝者や地域の方は知りたいと思っていることが大半です。

この視点が抜け落ちたまま発信を進めてしまうと、「きちんと伝えているつもりなのに、なぜか伝わらない」という状態に陥りやすくなります。伝えている内容が間違っているわけではなく、届ける順番や前提が噛み合っていないだけなのです。

お寺をブランディングするうえでの考え方

ここまで見てきた違和感の多くは、「ブランディングをどう見せるか」「どう広めるか」から考え始めてしまうことで生まれています。

しかし、お寺のブランディングで本当に大切なのは、表現や手法を決める前に「何がすでに在り、何を大切にしてきたのか」を整理することです。

ここからは、お寺をブランディングするうえで、まず立ち返っておきたい考え方を整理します。無理に何かを足すのではなく、今あるものをどう整え、どう伝わる状態にしていくのか。その視点から見ていきましょう。

認知拡大より「どういうお寺なのか」が誤解なく伝わっているか

お寺のブランディングを考える際、一度立ち止まって確認しておきたいのが「今、このお寺はどういう存在として伝わっているのか」という視点です。

認知が広がったとしても、「観光向けのお寺なのか」「地域に開かれた場所なのか」といった印象が曖昧なままだと、誤解や戸惑いが生まれやすくなります。

お寺のブランディングでは認知拡大よりも、「どういうお寺なのか」が誤解なく伝わっているかを整えることが先決です。静かな雰囲気なのか、相談しやすい場なのか、行事を大切にしているのかなどが伝わってはじめて、必要とする方に安心して届く状態が生まれます。

認知拡大は目的ではなく、その先に自然についてくる結果にすぎません。まずは、お寺の立ち位置が外から見て伝わる状態になっているかを見直すことが、ブランディングの出発点になります。

発信の内容や媒体がバラバラになっていないか

お寺のブランディングで違和感が生まれやすい背景には、発信している内容や媒体ごとの役割が整理されていない状態があります。

  • ホームページに書くお寺の歴史は堅い文章になっている
  • SNSでは急に砕けた言葉や流行を意識した投稿が続いている
  • 行事の案内は出しているがお寺としての考え方がどこにもまとまっていない

このように、発信自体は行われていても、それぞれが別の方向を向いていると、受け取る側は「結局、どのようなお寺なのか」が掴みにくい状態になっています。

ホームページでは公式な情報やお寺としての考え方が落ち着いて確認でき、SNSでは日々の様子や空気感が自然に伝わっていれば、発信のトーンが多少違っても違和感にはなりません。

ブランディングを考える際は、新しい表現を足す前に、今ある発信が同じ方向を向いているか、媒体ごとの役割が整理されているかを一度見直してみることが重要です。

すでにある教えや考えを言語化できているか

お寺のブランディングがうまく進まない理由として、意外に多いのが「新しい何かを作ろうとしてしまうこと」です。ブランディングという言葉に触れると、「キャッチコピー」や「競合分析」などの視点が大切になりそうと思いがちです。

お寺のブランディングにおいて大切なのは、新しい言葉を生み出すことではありません。すでに大切にしてきた考えを、外から見ても分かる形に整えることにあります。

教えや考えが言語化されていれば、ホームページの文章や行事案内、SNSの投稿に至るまで、自然に一貫した方向性やトーンが生まれます。すでにある教えや考えを、静かに言葉として置いていくことが、無理のないブランディングの土台になるのです。

静かに伝わるお寺のブランディングの整え方

お寺のブランディングは、「どう広めるか」を考える前に、「どう整えておくか」を見直すことが欠かせません。無理に発信量を増やしたり、目立つ表現を加えたりしなくても、必要な方には自然に伝わっていく状態は作れます。

ここからは、広告や拡散を前提にせず、お寺らしさを損なわないまま、静かに伝わっていくためのブランディングの整え方を整理していきます。

広告や拡散を前提にしない

お寺のブランディングを考える際、「まず広めなければ意味がない」「知ってもらわなければ始まらない」と感じても、広告出稿や拡散を前提にした施策は必須ではありません。

本来、お寺のブランディングが目指すべきなのは、短期間で広く知られることではなく、必要とする方に誤解なく伝わっている状態です。人生の節目や迷い、不安を感じた時に「そういえば、あのお寺があった」と思い出してもらえるかどうかは、広告の量では決まりません。

必要な情報が整理され、考え方や雰囲気が一貫して伝わっていれば、静かな形でも信頼は積み重なっていきます。広告や拡散に頼らずとも、時間をかけて自然に届いていく状態を整えることこそが、お寺にとって無理のないブランディングと言えます。

SNSでお寺の雰囲気を伝える

お寺のブランディングにおいて、SNSは「何かを説明する場」ではありません。役割としては、お寺の雰囲気や空気感をそっと伝えるための入口に位置づけるのが自然です。

お寺のSNSで大切なのは、正確さや網羅性よりも、「このお寺は、どのような空気の場所なのか」が伝わることです。一方で、SNSだけでお寺の考え方や姿勢をすべて伝えようとすると、発信の負担が大きくなりやすくなります。

投稿を見た方が「少し気になる」「安心できそうだな」と感じ、その先でもう少し知りたいと思った時に、受け止める場所が別に用意されていれば十分です。

なお、お寺にとって無理のないSNSの使い分けや、それぞれの役割については、別の記事で整理しています。情報発信の距離感に迷っている場合は、あわせて「お寺のSNS活用の考え方」も参考にしてみてください。

気になった人が次に見る場所であるホームページを整える

SNSを通じてお寺の雰囲気や空気感に触れ、「もう少し知りたい」と感じた方が、次に向かう場所がホームページです。つまり、お寺のホームページはブランディングにおいて、判断を委ねられる場所と言えます。

ホームページに情報がまとまっていなかったり内容が古かったりすると、SNSで生まれた安心感は途切れてしまいます。一方で、必要な情報が過不足なく整っていれば、「今すぐではなくても、いつか行ってみたい場所」として記憶に残っていくものです。

お寺のブランディングにおいてホームページは、「迷わず確認できる場所」「判断してもらうための受け皿」として機能していれば問題ありません。

なお、お寺のホームページが果たす役割や、情報発信の受け皿として整える際の考え方については、以下の記事でより詳しく整理しています。ブランディングの土台としてホームページを見直したい場合は、あわせて参考にしてみてください。

お寺らしいブランディングを整えるWordPressテーマ「ZEN」や「MIKADO」

お寺のブランディングにおいてホームページは、主張するための場所ではなく、「迷わず確認できる場所」「判断を委ねられる場所」であることが求められます。

TCDではホームページ設計で欠かせない神社仏閣向けに設計されたWordPressテーマが用意されています。なかでも「ZEN」や「MIKADO」は、どちらも和の思想や余白を大切にしながら、役割の異なるブランディングを支えるテーマです。

なかでも、言葉や装飾を最小限に抑え、余白や静けさを重視したいお寺にとっては、「ZEN」の設計思想が自然に馴染む選択肢の1つになります。

なお、「WordPressって何?」「テーマって何?」と感じられた方に向けて、別の記事で基本的な考え方を整理しています。必要に応じて、こちらも参考にしてみてください。

以下では、お寺や神社の思想や空気感を大切に設計されたWebサイトテーマの実例を紹介しています。気になる方は、それぞれのデザインや考え方を、実際のデモで確認してみてください。

神社仏閣のホームページに
最適なWordPressテーマ
WordPressテーマ「ZEN」
お寺のWebサイトに特化。
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まとめ

本記事では、お寺のブランディングについて違和感が生まれにくい形でどう整えておくかという視点から整理してきました。

お寺のブランディングは、何かを新しく打ち出すことではありません。すでに大切にしてきた考えや姿勢、空気感が外から見ても誤解なく伝わる状態を整えることが出発点になります。

SNSは雰囲気や空気感をそっと伝える入口としつつ、ホームページで必要な方が迷わず確認して判断できる受け皿として機能しているのが理想的です。無理に発信量を増やしたり目立つ表現を加えたりしなくても、必要な方には自然に想いが届きます。

今のお寺が、どのように見え、どのように受け取られているのか、立ち位置を静かに見つめ直すことが、違和感のないブランディングにつながっていくでしょう。

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