「お寺の参拝者が減ってきたが、コンサル会社に頼るのは“お寺らしくない”気がする」
そんな悩みを抱える住職・僧侶の方に向けて、本記事では「お寺 × SNS」で参拝者数を増やす考え方と具体策をお伝えします。
10年以上お寺で修行・勤務し、4ヶ寺のSNS運用を行ってきた元僧侶の経験をもとに、なぜSNSが若年層への受け皿になるのか、どのSNSをどう使い分ければよいのかを解説します。
目次
結論お寺でのSNS活用は参拝者数を増やせる!
SNSを活用することは、お寺の参拝者数を増やすための集客方法としておすすめです。実際、私自身が僧侶として働いている頃、合計で4ヶ寺のSNSを運用し「どのお寺でも再現性のある集客方法」と感じました。
さらに、当時勤めていた観光寺院でアンケート調査を実施し、SNS集客の効果について測定した結果「SNSを見て来た」と回答した方が全体の50%を超える結果を出せたのです。
実際お寺で働いていた身だからこそわかるのですが、お寺の多くはホームページがあっても定期的な更新が追いついていません。たしかにWebサイトは名刺代わりになる媒体で、多くのお寺がひとまずホームページだけは用意しています。
一方でSNSはアカウントを開設しただけでは、SNS集客はほぼ見込めません。実際、所属寺院のSNSを定期的に更新してきた私のもとに「SNSを見て来ました」という声を多く集めることになりました。
SNSは、広告にお金をかけずとも十分に集客効果を実感できるため、日々投稿されることをおすすめします。
お寺運営でSNSをすると得られるメリット
お寺でSNSを活用すると、以下のようなメリットを感じられます。
法事や葬儀に関心が薄い若年層にもアプローチできる
SNSを活用すると「お寺=法事や葬儀をする場所」というイメージを持たれている方に対し、自分のお寺をアピールできます。お寺とのかかわりについて、檀家とのコミュニケーションが活発なお寺であれば法事や葬儀以外でも接点はあります。
しかし、仕事やプライベートの兼ね合いから、若年層の方が参拝されるのは多くの場合で法事や葬儀、お墓参りに留まるでしょう。
事実、公益財団法人全日本仏教会による調査結果でも20代女性の46.3%が「菩提寺があるのかどうか知らない」と答えました。

引用:公益財団法人全日本仏教会『仏教に関する実態把握調査(2022年度)報告書』
普段からSNSを利用している若年層は「どこのお寺に相談すれば良いかわからない」と考える傾向にあるため、SNSは効果的な受け皿になるのです。
お寺内のイベントを告知できる
SNSはお寺で開催するイベントを告知するのに、Webサイトよりも向いている媒体と言えます。Webサイトにイベント情報を掲載しても、見てくれるのは「ブックマークしている人」や「特定のキーワードで検索した人」です。
一方、SNSはアルゴリズム上関連した情報を見る方のタイムラインに情報が流れるため、注目を集める画像を用意するだけで集客効果が上がります。実際、私がお寺用のSNSを活用している頃も、文章のみの投稿よりも画像付きの投稿が良く伸びました。
自分のお寺で法事や葬儀以外に、誰でも参拝できるような「花見」や「特別公開」などを開催している場合、ぜひSNSで告知してみてください。SNSで投稿する際は、イベントごとで用意したチラシの画像を貼り付けつつ、開催日程やアクセス情報、お寺のWebサイトリンクを貼るのがおすすめです。
「お寺=行きにくい」というイメージを払拭しやすい
お寺でのSNS活用は「法事や葬儀以外の用事でお寺に行くのはハードルが高い」と感じる方に対し、そのハードルを低くする媒体になります。公益財団法人全日本仏教会による調査結果でも、法事や葬儀に関連したシーン以外での接点は少なく、むしろ「特に連絡や情報提供はない」と答えた方が大半でした。

引用:公益財団法人全日本仏教会『仏教に関する実態把握調査(2022年度)報告書』
上記の表にあるように、法事や葬儀の接点が多くても24.6%で、接点がないと答えた方が半数以上の54.3%という結果が出ているのです。10年以上お寺で修行・勤務してきた私の考えとしては、この接点のなさが行きにくさを感じさせる要因になっていると考えています。
法事や葬儀の案内は、ハガキや切手代などがかかりますが、SNSは無料で情報提供できる媒体です。法事や葬儀の案内は紙媒体、イベントや日頃の発信はSNSのような使い分けが大切です。
日常的な投稿をしても違和感がない
お寺の情報発信は「法衣を身にまとった立場として厳粛な振る舞いしかできない」と感じる方は、SNS活用がおすすめです。周期的に発行する寺報には、その厳粛さあふれる表現を文章化しているでしょう。
また、月に1度や3ヶ月に1回のように周期が決まっている寺報も「今届けたい日常」を発信できないのがデメリットです。そこでSNSを活用することで「今」を届ける媒体が無料で使えるのです。
SNSはビジネス利用者よりも、趣味として利用している方が多いように感じます。「〇〇寺でも初雪が〜〜」のような投稿でも違和感がないため、情報発信のハードルが低くなります。
仏教の教えを広める場が増える
法話(説法)に力を入れているお寺では特に、SNSを「仏教を広める場」として活用することもおすすめです。また、定期的に檀家の方へ仏教の教えをお寺の門前にある掲示板に貼り付けるお寺では、その掲示板に貼り付けた状態でSNSに発信するのも1つの手です。
拡散力のあるXでは、お寺の掲示板に書かれた言葉を見て「心に響いた」と投稿する方もいます。この拡散力は、仏教を広める場が増えるだけでなく、掲示板に書かれた寺院名も載る可能性が高いため、自分のお寺を第三者に広めてもらう効果を得られます。
「法話(説法)をする場が法事や葬儀しかない」と悩んでいる方は、SNSを法話(説法)の場として活用してみましょう。後述するFacebookページは、長文投稿に向いているSNSなので、ぜひ活用してみてください。
お寺の参拝者数を増やすために使いたいSNSの種類
お寺の参拝者数を増やすために、使っておきたいSNSは基本的にすべてですが、求める活用方法によって異なります。お寺で働いている頃に主要のSNSはすべて活用してきた私目線で、以下の違いがあると感じました。
- X:拡散力を重視したいお寺向け
- Instagram:写真を投稿する機会が多いお寺向け
- Facebookページ:長文で投稿したいお寺向け
- TikTok:1分以内の動画を投稿したいお寺向け
- YouTube:長尺またはライブ配信したいお寺向け
X:拡散力を重視したいお寺向け
Xは他のSNSと比べ、拡散力のあるSNSなため1人でも多くの方、つまり不特定多数の方に情報を発信したいお寺に向いています。例えば参拝者数を増やしたいイベントや特別公開のように、期間限定で開催される催し物にXがおすすめです。
逆に「拝観休止のお知らせ」のような業務連絡だけでXを利用すると、参拝者数を減らしてしまう可能性があります。投稿を見た方からすると「いつ行くと歓迎されるのか」がわかりにくく、若年層のお参りは一向に増えません。
Xでは、イベントや特別公開などの投稿を「固定ポスト」としてプロフィール直下に配置できるため、今までかかわったことのない方に情報を発信しやすいSNSです。
「Xのプロフィールに載せきれなかった内容があるけれど文字数制限がきてしまった……」 「プロフィールに書いただけでは集客力が見込めなかった……」などの悩みは「固定ポスト」に設定すると解決できる見込みがあります。 本記事では、Xの固定ポストがSNSマーケティングにおいて、設定をおすすめする理由や...
Instagram:写真を投稿する機会が多いお寺向け
お寺のことを写真で伝える情報が多い場合、Instagramの活用がおすすめです。私が観光寺院で働いている頃、最も参拝者数を増やしたSNSがInstagramです。
観光寺院で定期開催されていた特別公開の情報だけでなく、桜や紅葉の状況を更新していました。桜や紅葉の写真を撮りたい方は、1番綺麗な状態で写真に収めたいものです。
そこでInstagramを活用すると「本日の開花状況」として写真を投稿でき、参拝者が自分でベストタイミングを判断できるのです。SNSで更新していないと「今日の桜はどのくらい咲いてますか?」と聞かれる電話対応も増えるため、できれば毎日更新しておきましょう。
このような丁寧な対応は、お参りを検討している方からも好印象を得られます。投稿する写真はプロの撮影や一眼レフカメラである必要もなく、スマホで撮影した写真で問題ありません。
Facebookページ:長文で投稿したいお寺向け
Facebookページは、法話(説法)を意識した長文の投稿をしたいお寺に向いているSNSです。Xは無料プランでは140文字が限界で、Instagramは基本的に写真しか見られません。
そこでFacebookページを長文投稿用のSNSとして使い分けると、文字数を気にせず投稿できます。Facebookページを見る世代も、他のSNSよりかは高めなため、ビジネスユーザーが多い印象です。
正直「Facebookページを見て来ました」と答えた方は少なかったのですが、Facebookを利用する檀家との接点は増えます。実際私がFacebookページを活用していた頃も「普段は仕事で法話(説法)を聞きに行けていないので投稿助かっています!」と答えてくださった方がいました。
なお、長文で投稿する際はブログに投稿するのもおすすめです。
TikTok:1分以内の動画を投稿したいお寺向け
若年層との接点を増やすための動画を投稿したい場合、TikTokに投稿するのがおすすめです。TikTokは電車通学する学生が電車内で利用するシーンが多い傾向のSNSです。
1本の動画を丸々集中して見る、というより冒頭の2,3秒だけ見て次の動画へと移る可能性も高いSNSでもあります。しかし「お寺のお坊さんがTikTokをしている」だけで注目を集められると推測できます。
学生の立場からすると「僧侶=年配」とイメージしている方は多いでしょう。そこで若手僧侶の身としてTikTokで「お寺に関するワンポイントアドバイス」「心がスッとする1分法話(説法)」のようなコンセプトで投稿すると、一気に注目を集められる可能性があります。
私がTikTokを利用していた頃は、イベントや特別公開に関する動画を作成し、定期的に更新していました。
YouTube:長尺またはライブ配信したいお寺向け
1分を超える長尺の動画やライブ配信をしたいケースでは、YouTubeの活用が向いています。法話(説法)を撮影し、1本の動画にしようと思った場合、どれだけ短く見積もっても10分前後はかかってしまうでしょう。
YouTubeであれば、他のSNSでは対応しにくい長尺の動画投稿が無料会員の状態でも利用できるのです。例えば朝のお勤めを撮影・編集して投稿したいお寺や、法話(説法)を収録して公開するなどのシーンでYouTubeが向いています。
また、朝や夕方のお勤めをライブ配信で発信しているお寺もあるため、全国の方に自分のお寺を映像で知ってもらえる機会が増えます。お寺の本堂に定点カメラを設置し、朝や夕方のお勤めをライブ配信するのも1つの活用方法です。
まとめ
本記事では、お寺の運営においてSNSの活用は参拝者数を増やせるのか、元僧侶の体験談をベースにお伝えしました。本記事の内容をまとめると以下のとおりです。
お寺でSNSを活用することは、たしかに業務外の作業には感じるでしょう。しかし、地道にでもSNSを活用することで「SNSを見て来ました」との声を集められます。
貴寺の情報を求める方は、確実にいると感じているため、ぜひSNSを活用してみてください。今後も元僧侶の経験を活かし、役立つ情報をお届けして参ります。








コメント