「お寺の雰囲気を、もう少し伝えられたらいいのに」
そう感じつつも、派手な発信や“映え”を意識したSNS運用には、どこか抵抗を覚えている住職・寺院関係者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、元僧侶として実際にお寺の情報発信にかかわってきた経験をもとに、Instagram運用が向いているお寺や無理なく続けるための視点などをお伝えします。
「集客のために何かを演出したい」のではなく、
「参拝前に、安心してもらえる場所をつくりたい」
そう考えているお寺にとって、Instagramがどのような役割を持ち得るのか。本記事が、その判断材料の1つになれば幸いです。
目次
Instagramはお寺の写真を多く投稿したい時におすすめ
Instagramは、お寺の雰囲気や魅力を写真で伝えたい時に向いているSNSです。ホームページのように文章をじっくり読んでもらう媒体とは異なり、写真や動画が一覧で表示されるため、視覚的に情報が伝わりやすい特徴があります。
実際にInstagramを活用した私の体感としても、境内の様子や季節の風景を投稿するだけで「こんな雰囲気のお寺なんですね」と関心を持ってもらえる場面がありました。
また、行事の一場面を写真で発信することで「敷居が高そう」と感じられがちなお寺の印象を和らげ、親しみやすいお寺として受け取ってもらいやすくなります。
「写真を通してお寺の魅力を静かに届けたい」
「参拝前に雰囲気を知ってもらいたい」と考えるお寺にとって、Instagramは取り入れやすいSNSと言えるでしょう。
Instagram運用を取り入れるべき・向いていないお寺の特性
お寺によって、写真を撮る機会の多さや立地、参拝者との関わり方、日々の業務内容は大きく異なります。Instagramは視覚的な情報が中心のSNSであるため、向いているお寺と無理に使わなくても良いお寺があるのが実情です。
ここからは、実際の運用経験を踏まえながら、Instagram運用を取り入れやすいお寺の特徴と、慎重に検討した方が良いお寺の特徴を整理します。ご自身のお寺の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
Instagram運用を取り入れたいお寺
Instagram運用を取り入れやすいのは、境内の風景や行事の様子など、写真に残せる場面が比較的多いお寺です。観光地に近いお寺や、季節ごとに表情が変わる境内を持つお寺では、写真を通して雰囲気を伝えやすく、Instagramの特性と相性が良いと感じます。
また、行事や特別公開、花の見頃など「今の様子」を伝えたい機会が定期的にあるお寺にも向いています。長い説明文を用意しなくても、写真と短い言葉だけで状況が伝わるため、発信の負担が大きくなりにくい点も特徴です。
実際に私がかかわったお寺でも、境内の写真や何気ない日常風景を投稿することで「行ってみたいと思いました」と反応をいただくことがありました。写真を撮る習慣があり、無理のない頻度で投稿できる体制があるお寺は、Instagram運用は前向きに検討しやすいでしょう。
Instagram運用が向いていないお寺
写真を撮る機会がほとんどないお寺や日常の様子を投稿することに抵抗があるお寺では、無理に取り入れる必要はありません。また、行事や境内の変化が少なく、年間を通して発信できる内容が限られている場合も、運用が負担になりやすい傾向があります。
さらに、写真撮影や投稿作業を担当が決まっておらず、日々の業務で手一杯な体制の場合も、Instagram運用は後回しにして問題ありません。
その場合は、まずホームページで必要な情報を整えたり、紙媒体での案内を充実させたりするのが、お寺にとって負担が少ないこともあります。お寺のホームページ制作については、SNSを使わない場合の考え方も含めて、別の記事で詳しく整理しています。
「お寺のホームページを作りたいが、制作会社に依頼すべきか、自分たちで運用すべきか迷っている」 そのようなお悩みを持つ住職や寺院関係者の方は、決して少なくありません。 私自身、10年以上僧侶としてお寺で修行・勤務してきて、ホームページをきっかけに参拝者や相談が増えたお寺も、逆にうまく活用できず...
お寺用のInstagramで投稿したい内容
お寺のInstagram運用では、境内の風景や行事の様子など、お寺のなかにすでにあるものが、そのまま投稿内容になります。
ここからは、実際の運用経験をもとに、お寺のInstagramで投稿しやすく、参拝前の安心感や関心につながりやすい内容を具体的に紹介します。
行事やイベントの写真
お寺のInstagram運用において、行事やイベントの写真は取り入れやすく、見る方に安心感を持ってもらいやすい投稿内容です。法要や特別公開、写経会、地域行事など、すでに行っている取り組みを写真で伝えるだけでも十分意味があります。
投稿する際に、特別な構図や加工を意識する必要はありません。行事当日の様子や準備風景、参拝されている方の後ろ姿など、その場の雰囲気が伝わる1枚があれば問題ありません。写真に短い説明を添えるだけで「どのような行事なのか」「どのような空気感なのか」が自然に伝わります。
実際に私がかかわったお寺でも、行事の写真を投稿することで「こういう行事があるのですね」「落ち着いた雰囲気で安心しました」といった反応をいただくことがありました。行事やイベントの写真は、お寺が今も大切に活動を続けていることを、静かに伝えられる投稿内容と言えるでしょう。
桜や紅葉の開花状況や雪景色
桜や紅葉の開花状況、雪景色などの季節の風景は、お寺のInstagram運用で反応を集めやすい投稿内容です。行事のように事前準備が必要なく、境内の様子をそのまま写真に収めるだけで投稿できるため、無理なく続けやすい点も特徴と言えます。
特に、桜や紅葉は「今行くと見られるのか」「少し早いのか」と判断したい方が多い情報です。満開でなくても「咲き始めました」「色づき始めています」といった一言を添えるだけで、参拝のきっかけになります。雪景色も同様に、普段とは違う静かな雰囲気を伝えられる題材です。
実際に私がかかわったお寺でも、季節の写真を投稿することで「この時期に行ってみたい」といった声をいただくことがありました。季節の移ろいをそのまま共有することが、お寺の時間や空気感を伝える大切な役割を果たしてくれます。
境内のおすすめフォトスポット
お寺のInstagram運用では、特別に整えた撮影場所でなくても、境内のなかで自然に「写したくなる場所」が生まれます。参道の風景や本堂へ続く階段、木漏れ日の差す一角など、日常の延長にある景色こそが、お寺の雰囲気をやさしく伝えてくれます。
無理に構図を意識したり、誰かに見せるための写真を撮ったりする必要はありません。普段目にしている境内の一場面を、そのまま切り取るだけで「落ち着きそう」「静かな時間が流れていそう」と感じてもらえることがあります。
境内のフォトスポットは、案内するものではなく、自然に伝わるものとして共有していくのがInstagramらしい使い方と言えます。
お寺用のInstagramでフォロワーが増えるお寺の特徴
お寺のInstagram運用では、フォロワー数を増やすこと自体を目的にする必要はありません。しかし、結果としてフォロワーが少しずつ増えていくお寺には、いくつか共通した傾向があるのも事実です。
ここからは、実際の運用経験をもとに、無理をせず続けるなかで、自然にフォロワーが増えやすいお寺の特徴を整理します。「増やそう」と意識しなくても積み重なっていく、その理由を読み取ってみてください。
検索されやすいハッシュタグを意識している
Instagram運用で結果が出やすいお寺は、投稿内容に合ったハッシュタグを自然に使えているかどうかです。行事の写真であれば寺院名だけでなく「写経会」「特別公開」「◯◯寺」など、内容が想像できる言葉を添えるだけでも、検索や一覧表示から投稿を見つけてもらいやすくなります。
また、桜や紅葉の写真であれば「桜」「紅葉」「寺院巡り」など、参拝を検討している方が使いそうな言葉を意識するだけで十分です。
私がかかわったお寺でも、ハッシュタグを少し整えただけで「検索一覧から見つけました」という反応が増えました。特別な数を付ける必要はなく、投稿内容と無理なくつながる言葉を選ぶことが大切です。
Instagramのハッシュタグは、広く拡散するためのものというよりも、必要としている方との出会いを助ける目印のような役割を果たします。
写真の「映え」を意識できている
お寺のInstagram運用で大切なのは、いわゆる「派手な映え」を狙うことではありません。色味を強くしたり、人を集めたりしなくても、お寺にはもともと写真として心地よい要素が備わっています。
朝や夕方のやわらかい光、境内に生まれる影、余白の多い構図、静かな佇まいなどは、それだけで落ち着いた美しさを感じさせます。こうした要素を意識して写真を撮ることで、無理なく“お寺らしい映え”が生まれます。
実際に私がかかわったお寺でも、加工をほとんどせず、光や空気感を大切にした写真のほうが「落ち着きます」といった反応をいただくことがありました。派手さよりも、安心感や静けさが伝わる写真のほうが、お寺の魅力として受け取られやすいのです。
お寺の時間の流れや空気感を大切にした写真を積み重ねていくことが、自然なフォロワー増加にも、少しずつつながっていくでしょう。
プロフィールページ一覧の見た目を意識できている
お寺のInstagram運用では「初めて見た人が安心できるかどうか」が、思っている以上に大切になります。行事の写真、境内の風景、季節の移ろいといった投稿が並んでいるだけでも、一覧から「落ち着いた雰囲気のお寺」「静かな時間が流れていそう」といった印象が自然に伝わります。
私がかかわったお寺でも、投稿を一覧で見た時の印象を意識するようになってから「Instagramを見て、雰囲気が良さそうだと思いました」と言われることが増えました。投稿単体で評価されるというよりも、並んだ写真全体から伝わる世界観が、参拝前の安心感につながっているように感じます。
Instagramでは「この1枚を見せたい」という視点だけでなく「この並びを見た時、どう感じてもらえるか」という一覧の視点を持つことが大切です。
お寺用アカウントを運用する際の注意点
お寺のInstagram運用は、写真を投稿するだけで始められる一方で、続け方や距離感に悩む場面が出てくることもあります。大切なのは「お寺として無理のない形で続けられているかどうか」です。
ここからは、実際の運用経験を踏まえながら、お寺用アカウントを安心して続けるために意識しておきたいポイントを整理します。
フォロー返しをする基準を決めておく
お寺のInstagram運用では、フォロー返しを「必ずしなければならない」と考える必要はありません。フォローしてくれたすべてのアカウントに対応しようとすると、運用そのものが負担になってしまうこともあります。
実際に参拝のつながりがある方や、地域・寺院関係のアカウントに限定するなど、自分のお寺に合った距離感で問題ありません。フォロー返しをしないからといって、失礼にあたるわけでもありません。
私がかかわったお寺でも「いつも投稿を見ています」「雰囲気が伝わってきます」と声をかけていただくことは十分にありました。
お寺のInstagramアカウントは、交流を増やすことが目的ではなく、想いや雰囲気を静かに届ける場です。無理に関係を広げようとせず、心地よい距離感を保つことが、長く続けるためのコツです。
「映え」を意識しすぎる必要はない
お寺のInstagram運用では、写真が上手く撮れていないと感じたり、特別な加工をしなければならないと思ったりする必要はありません。むしろ、お寺の魅力は「作り込まないこと」によって自然に伝わる場面が多くあります。
朝や夕方のやわらかい光、境内に流れる静かな空気、人の少ない時間帯の佇まいなどは、それだけで十分に心地よい写真になります。スマートフォンで撮影した1枚でも、その場の雰囲気や時間の流れはきちんと伝わります。
Instagramでは「映え」を作るのではなく、今そこにある光と空気をそっと残す意識で十分です。無理に整えようとせず、お寺の日常をそのまま写すことが、長く続けられる運用につながっていくでしょう。
Instagram運用の成果が出るまでの目安
お寺のInstagram運用では、はっきりとした数字の変化よりも、少しずつ現れる反応の変化に目を向けることが大切です。同じ方が何度か投稿を見てくれていたり「雰囲気が伝わってきます」といった言葉をかけてもらえたりしたら、十分な変化の兆しと言えます。
また、参拝の際に「Instagramを見て来ました」と言われるようになれば、運用の成果が少しずつ形になり始めているサインです。
私の経験でも、Instagramを続けているうちに、すぐに大きな反応が出るわけではありませんでした。しかし、時間をかけて少しずつ関心や信頼が積み重なっていく感覚がありました。
Instagram運用の成果は、急いで得るものではありません。日々の風景や行事を無理のない形で積み重ねながら「続けていて大丈夫だ」と感じられる状態を目安にしていくと、お寺に合った運用になっていくでしょう。
まとめ
本記事では、お寺のInstagram運用について、向いているお寺の特徴や投稿内容の考え方、無理なく続けるためのポイントを整理してきました。本記事の内容をまとめると、以下のとおりです。
- Instagram運用を取り入れやすい・慎重に考えたいお寺の特性
- お寺の雰囲気や安心感が伝わりやすい投稿内容
- フォロワーを意識しすぎず結果として増えやすいお寺の特徴
- 無理をせず心地良い距離感で続けるための注意点
Instagramは、参拝者を増やすために何かを演出する場というよりも、お寺の空気感や時間の流れを写真を通じてそっと伝えるための場所です。境内の風景や季節の移ろい、日常の一場面など、すでにお寺のなかにあるものを共有するだけでも、少しずつ関心や安心感は積み重なっていきます。
無理に続ける必要はありませんが「参拝前に雰囲気を知ってもらえる場所がほしい」「写真でお寺らしさを伝えたい」と感じているのであれば、Instagramはその受け皿になり得ます。
お寺のペースを大切にしながら、続けられる形で情報発信を考えていくことが、結果として参拝者との良いご縁につながっていくでしょう。
なお、他のSNSとの相性を種類ごとに知りたい方は、以下の記事でまとめているのであわせてご覧ください。







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