インスタグラムは特に飲食店と相性の良い、画像投稿型のSNSです。アクティブユーザーは10代から20代の女性が多く、その多くは積極的にインスタグラムを活用するヘビーユーザーとなっています。そのため、若年層をターゲットにした飲食店の顧客層とインスタグラム利用層はマッチしやすく、また、積極的にインスタグラムを活用するユーザー層同士で情報が拡散されることも少なくありません。店の雰囲気や料理の出来栄えなどが画像によって広がりやすいことも、飲食店にとって追い風となる理由です。そこで、今回はこれからインスタグラムを活用しようという方のために、基本的な注意点や活用のコツなどを説明していきます。飲食店のインスタグラム運用を中心に取り上げていますが、他の業態にも活かせる内容ばかりです。是非参考にしていただけたら嬉しく思います。
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インスタグラムを利用するときに注意すること
インスタグラムのアカウントを作ったら素敵な写真をたくさんアップして盛り上げていこうと思うものの…映えた写真を撮影するにはコツが要ります。素敵な写真には共通しているポイントがありますのでそのあたりも取り入れてみましょう。
自然光の逆光ポジションで被写体の立体感を出す
まず注意しておきたいのは「写真の撮り方」です。写真は一般的にライトを当てて明るく撮った方がきれいに被写体を撮ることができるのですが、料理の写真を撮る場合は明るさだけでなく、いかに被写体を立体的に撮るかがカギとなります。料理は立体的に映る方がメリハリのきいた美味しさが伝わりやすい写真に仕上がるので、順光撮影よりもむしろ逆光を利用した撮影の方がおすすめです。逆光を利用して撮影すると、料理の細部にほどよく影ができて、色彩的にもメリハリの利いた美しい写真になりやすいというメリットがあります。そこで、逆光を利用するうえで簡単な方法は、自然光を使った撮影です。とくに窓際などの自然光が差し込む場所で撮影すると、全体的に明るいトーンになって清潔感のある写真を撮ることができるでしょう。
コンセプトの統一感と程よい清潔感を意識する
光の使い方と同様に注意しておきたい点が、清潔感です。乱雑な場所で撮影しない、ということはもちろん、料理以外のものが写真に写り込んでしまうことも、清潔感のないごちゃごちゃした印象になってしまうので注意したいところです。伝えたいことをひとつに絞って、まずは1つずつの投稿を整えることを意識するとよいでしょう。また、全体的に店のコンセプトが伝わるような統一感を持たせる、ということも重要です。おいしそうなスイーツを掲載したかと思えば、他の投稿では居酒屋のようにお酒やおつまみを載せているというようでは、一体何のコンセプトのお店かわかりづらくなります。投稿する写真は明るさ、雰囲気、構図なども含めて、統一感のあるコンセプトで掲載していきましょう。
ハッシュタグで見られる投稿にする
そしてもう1つ大切なのは、「ハッシュタグ」の使い方です。インスタグラムは「#パンケーキ」「#渋谷スイーツ」といったように、キーワードの前に半角の「#」マークを付けた「ハッシュタグ」によって利用者が検索するシステムになっています。そのため、掲載した写真には必ずこのハッシュタグを投稿しておかないと、お客様が検索から自社のインスタグラムにたどりつけません。やり方自体は簡単で、アップした写真に「#○○」と、○○部分にキーワ―ドを入力するだけです。このハッシュタグは1つの投稿につき30個まで付けることができます。ハッシュタグの数は多ければ多いほどフォロワーのコメント率やいいね!率が上がるというデータもあるほど、効果が期待できます。なるべくお客様が検索しそうなキーワードをどんどん付けていきましょう。その際にはメニューに関連するキーワードだけでなく、「地域名+メニュー内容」「地域名+業態名」というように、地域の入ったキーワードも必ず入れておくことがコツです。キーワードが分からない場合は、お客様が投稿した写真についているハッシュタグなどを参考にしてみるといいでしょう。
宣伝色が強くなり過ぎないように工夫しよう
インスタグラムの活用によってお店のことを知ってもらいたい、という気持ちはわかりますが、あまりに宣伝色が強すぎる投稿はユーザーに敬遠されてしまいがちです。宣伝チラシや料理の写真の投稿ばかりが続くと、利用者に「宣伝ばかりでつまらない」と見切られてしまうことも少なくありません。そこで、投稿内容には料理の写真や宣伝告知ばかりでなく、お店のプロフィールやストーリーなど、お店の業務やスタッフの思いが伝わるような写真、動画を定期的に投稿してみると効果的です。共感からお店に興味を持ってもらうような方向性を意識しましょう。お店周辺で行われているイベント、観光スポットなどの写真を投稿すると、ハッシュタグ的にもバリエーションがでるので、集客面でも大いに期待できます。
また、影響力のあるインスタグラマーに依頼して、お店の写真を投稿してもらうという方法もあります。これはギャラが発生する「広告」としての方法なので、多数のフォロワーを持つインスタグラマーにうまく宣伝してもらうと爆発的な集客につながることもあるでしょう。ただし、ユーザーは露骨な宣伝であることに感じると、お店にとってはマイナス反響につながる事も考えられます。いずれにせよ、宣伝色が強くなり過ぎないように工夫するというところが、逆にうまくお店を宣伝するためのポイントです。
お客様が思わずインスタにあげたくなるような店づくりを
お店側としては、店側からの発信だけでなく、来ていただいたお客様からの情報発信にも期待したいところです。お客様からの情報発信の方が「口コミ」として広がりやすく、お店のアピールにつながっていくこともよくあります。そこで、お客様が思わずインスタにアップしてしまいたくなるような「仕掛け」を、店側が用意するという工夫も必要です。
その工夫の大きなポイントとなるのが、「インスタ映え」をするメニューの開発です。見た目のめずらしさ、色彩のカラフルさ、量が多い、食材が変わっているなど、写真映りが面白いことや希少価値のあることなどがメニューに盛り込まれていると、お客様はインスタに上げることが多くなるでしょう。メニューだけでなく内装や盛り付けなどで、お店の個性がアピールできるものがあると拡散されやすいです。
また、撮影しやすい環境を整えることも重要なポイント。わざわざ撮影スペースを設ける必要はありませんが、自然光が十分入るような内装、レイアウトにしておくと、自然と美しい写真が撮影できるのでインスタユーザーに喜ばれることになるでしょう。
飲食店がインスタで集客するための4つのコツ
インスタグラムで集客を成功させるための方法を4つにまとめてみましたので紹介していきます。
統一感のあるアカウントづくり
まず1つ目は「統一感のあるアカウントづくり」です。お店の雰囲気が一発でわかるような個性に統一した写真を投稿し続けることで、その個性や特徴にひかれたユーザーが根強くファンになってくれることがあります。写真にあげる被写体や写真のライティング、加工方法などに一貫したコンセプトを持たせることで、投稿頻度が少なくてもフォロワーが増え続けるという事例も少なくありません。オシャレな雰囲気なのか、和気あいあいとした雰囲気なのか、面白さを打ち出したいのかといった「お店のコンセプトづくり」の1つとして、インスタのアカウントにもお店の個性が出るようにしておきましょう。
プロフィール欄をハブにもっと情報に触れてもらう
2つ目は「プロフィール欄を充実させること」です。飲食店のインスタを見ていると、プロフィール欄にお店の名前くらいしか書かれていないものも多く見受けられます。しかし、一度訪れたユーザーに対し、どんな店で、どこにあって、連絡先やWEBサイトはどこなのか、といったことがすぐにわかるようにしておかないと集客につながりません。インスタ集客に成功している飲食店アカウントの多くはこのプロフィール欄に店舗情報がしっかり掲載されていて、ここから来店に誘導するように設計されています。インスタの機能である「ビジネスプロフィール」を利用すると、プロフィール欄に「電話する」「メール」「道順」というボタンを設置することができるので、こういった機能によってインスタからの集客につなげていきましょう(ビジネスプロフィール機能は無料ですが、Facebookのアカウントが必要です)。
ユーザーを巻き込んだアカウント運用を企画してみましょう
3つ目は「参加型キャンペーン」の実施です。インスタはユーザーの参加をうながしやすいSNSなので、こういったキャンペーンによって口コミ効果や話題性を上げる、といった集客効果を得やすいです。やり方の基本は、たとえば「#店名」で画像投稿してくれたユーザーに、抽選でプレゼントを設けた期間限定のサービス対象にする、といったイベントを実施するといったものです。ユーザーの積極的参加は来店などのアクションにつながりやすいため、インスタでの集客方法では効果的なものの1つです。大きく盛り上がることでトレンドに入ることも期待できますので積極的に仕掛けてもよいでしょう。
周辺スポットにいるインスタグラマーへ知らせよう
最後に「ロケーション機能の活用」です。インスタの投稿の際には位置情報を追加する機能があるので、お店の住所をしっかり登録しておきましょう。こうすることで、興味を持ってくれたユーザーにお店の細かな位置を伝えることができるようになります。そのうえで、ハッシュタグにお店の周辺情報やイベント、観光スポットなどのキーワードを入れつつ、そうした周辺地域の情報も積極的に発信してみましょう。これでお店の周辺地域に興味のある人たちにさりげなくお店の存在をアピールすることができます。
飲食店のインスタグラム活用事例
それでは実際にインスタ活用の上手な飲食店の事例を紹介していきましょう。
周辺スポット紹介と来店したい雰囲気づくり「徳島ラーメングラム」
まず1例目は徳島のラーメン店「徳島ラーメングラム」さんです。ここはインスタ開設当初は徳島の観光スポットや周辺のオシャレなカフェなどの、周辺地域の情報を積極的に投稿することでフォロワーを増やしていきました。周辺地域に興味のある人からの集客を狙ったというわけですね。そこから興味を持ってくれたユーザーに対して、ラーメンメニューを投稿するだけでなく、自社のラーメンの仕込み工程やスタッフの素顔なども見せることで、投稿内容にストーリー性を持たせることに成功しています。インスタの投稿にはスタッフの楽しそうな雰囲気や豊富なイベントの様子なども多数アップされていて、一度寄ってみたいな、とユーザーに思わせる雰囲気でいっぱいです。地方のラーメン店ながら2019年現在でフォロワーは6000人を超えていて、非常にオーソドックスな方法でインスタ活用に成功している店舗の1つといえるでしょう。
普段は見えないお店の裏側を発信「ブルーボトルコーヒー」
日本にはじめて出店する際はインスタグラムアカウントを作って店舗を準備している様子から発信をスタート。オープン間もなくたくさんの人が行列を作りました。ブルーボトルコーヒーのインスタグラムアカウントでは、商品の紹介はもちろん、オープン前の店舗内やスタッフ、研修中の様子などの写真も投稿されています。このように普段は見ることができないもの、触れられることが少ない「裏側」を定期的に見せることで、口にするものに対する安全が重視される世の中でユーザーに安心感、親しみを感じてもらうことに成功しています。
ハッシュタグの盛り上がりがスゴイ「%Arabica Kyoto(アラビカキョウト)」
厳選されたコーヒー豆の深い味わいと華麗なラテアート、そしてハイセンスなブランディングで人気を集める「%Arabica Kyoto(アラビカキョウト)」のインスタグラムアカウントでは、ユーザーが思わず撮影したくなる要素が店舗内外にあふれています。京都の東山、嵐山という観光名所にある両店舗ではインスタグラムにアップをする為に来店している?と見えるほど。お洒落なラテアートとスマートフォンを片手に抜群のロケーションでの撮影を楽しむユーザーの姿を見ることができます。
インスタから成功発信すれば海外からのお客様も!
飲食店にとってインスタグラムが追い風になるのは、近年爆発的に増加している海外からの観光客へのアピールにも強い点です。英語や中国語でサイトを作らなくても、インスタグラムならば画像だけでお店の存在を伝えられます。インスタグラムは国内ユーザーが2000万人いるのに対し、海外ユーザーの数はなんと1億人以上です。実際にインスタを見てお店を訪れる観光客もかなり多いので、まだアカウントを持っていないというお店は基本的なところを踏まえつつ、インスタグラムでの集客に挑戦してみてはいかがでしょうか。
飲食店の情報発信にはインスタグラムを中心としたSNSを活用することでトレンドに乗った集客を叶えることができます。しかし、SNSでの集客には安定感を求めることができません。お客様との関係性、情報発信の軸となるホームページを中心とした運用についても考えてみる必要があるでしょう。
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ユーザーに愛される楽しいお店作りの参考になれば幸いです。