成果につながるマーケティングを行うため、読まれる記事を書くためにはターゲット設定が重要になります。ターゲットが絞り込まれていないと、発信するメッセージもぼやけたものになってしまい、ユーザーの胸には響かないでしょう。かといって、絞り込んだターゲットがずれたものであれば、ピント外れの情報を届けることになってしまいます。効果的にターゲットを絞り込むためには、ペルソナ(※1)を作るのがおすすめです。この記事では、ペルソナを設定するメリットや具体的な作り方について紹介します。
- ペルソナ(※1)
- 自社の商品やサービスを購入してくれる理想の顧客像のこと。実際にその人物が実在しているかのように、リアリティのある詳細な情報(年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方etc…)を設定していきます。
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ペルソナという言葉を耳にするまでは、「30代の既婚女性」というように属性でターゲットを設定するのが一般的でした。しかし、一口に30代の既婚女性といっても、そのライフスタイルはさまざまです。たとえば、専業主婦と勤めている人とでは生活のパターンは違ってきますし、子どものいる人といない人とでは購入する商品もまったく違ってくるでしょう。まして、趣味や嗜好といったら千差万別です。
このようにライフスタイルが多様化したこともあって、誰にどんな情報を届ければ効果的なのかが見えにくくなっているのです。そこで、理想の顧客像であるペルソナを作るのが重要になります。年齢や性別、住んでいる場所、家族構成などはもちろんのこと、仕事、通勤時間、年収、貯金、趣味、嗜好などについて、あたかも実在する人間であるかのように詳細に設定するのがペルソナです。ペルソナに名前をつけたり、ペルソナの写真を作ったりすると、よりリアルにターゲット像をイメージできるようになります。
ペルソナを作るメリット
ペルソナを作るメリットとして、まず顧客視点で物事が考えられるようになる点が挙げられます。「顧客視点で」「顧客の立場で」と口で言うのは簡単ですが、売る側の人間が顧客の立場になって物事を考えるのは難しいものです。しかし、ペルソナを作れば「ペルソナの○○さんだったら」と、具体的に考えたり、イメージしたりできるようになります。その結果として、どんなメッセージを発信すれば、よりターゲットの胸に響くのかが見えてくるのもペルソナを作るメリットです。
たとえば、30代の女性に向けて情報を発信しようとすると、どうしても抽象的な内容になりがちですが、ペルソナを想定すれば、どんな情報に興味を持ってもらえるのか、どんなアプローチをすれば反応してもらえるのかも明確になります。また、社内で統一されたイメージを共有できるのもペルソナを作るメリットです。30代の女性というようなあいまいなターゲット設定だと、人によって抱くイメージも違ってきます。一緒にプロジェクトを進めていても、知らず知らずのうちに大きな齟齬が生まれてしまうこともあるのです。ペルソナを作れば、共通の価値観を持って判断できるようになるので、効果的なマーケティングが可能になります。
1.ペルソナを特定するための項目を決める
ペルソナを作るにあたっては、ペルソナを特定するための項目を決めなければなりません。まず、年齢や性別、家族構成、学歴、職業、通勤時間、趣味など一般的に必要とされる項目をピックアップします。自社商品を購入している顧客の姿をイメージすると、どんな項目を設定すべきか明確になるでしょう。さらに、自社の商品・サービスに関連する項目については、詳細に決めることが大切です。
たとえば、食品に関連する企業であれば、好みの料理、自炊の回数、外食の頻度、朝食のスタイル、ランチの取り方などについて掘り下げていくのがポイントになります。また、どんな形で情報に接するのかについての項目も決めておくのが重要です。一日に何時間ネットを利用するのか、時間帯、使用デバイス、よく見るサイト、利用しているSNSなどの項目について詳細に設定します。そのうえで、情報に接した後の、情報収集方法、検討期間など購買行動に関連する項目を設定しておくと、効果的なアプローチを行うために役立ちます。
どうしても思いつかないという場合は、自社の中で一番ユーザー像に近い人物のプロフィールを元に、ペルソナを作り始めるとよいでしょう。次の項目の話に繋がりますが、プライベートな情報に関しても質問に回答してくれる人をベースにするとよりリアリティのあるペルソナを構築することができます。
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2.ペルソナを特定するための調査を行う
ペルソナを特定するために項目が決まったら、各項目について内容を決めていく必要があります。より最適なペルソナを作るためには、調査を行って情報を集めることが大切です。効果的な調査の方法としては、まず自社の顧客へのインタビューやアンケートが挙げられます。実際に自社商品を購入して使用しているユーザーなので、自社商品を選んでいる理由や使い方、購入を決めたきっかけなど、重要な情報を得ることが可能です。顧客から直接情報を得るのが難しい場合は、実際に顧客と接している社内スタッフから聞き取る方法もあります。顧客の反応を肌で感じている営業スタッフや販売スタッフからも貴重なデータを得ることができるでしょう。
アクセス解析のデータを分析するのも有効な方法です。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールを利用すれば、ユーザーの属性や検索されているキーワードなどもある程度把握することができます。アクセスの多い時間帯や曜日などを知ることで、ペルソナを作るのに役立てることができます。また、公開されている統計データを利用するのも、おすすめの方法です。特に年代別や性別などでまとめられているデータは、ペルソナを作るのに参考になるでしょう。
3.データを基にペルソナを作る
調査が終わってデータが集まったら、決めておいた項目にあわせてグルーピングしていきます。このグルーピング作業を進めていくと、ぼんやりとした状態ながらもペルソナ像が見えてくるでしょう。これを基に項目ごとに詳細な設定を行ってペルソナを作り上げます。自社の商品やサービスを購入している顧客からの情報がベースになっていますので、精度の高いペルソナができるでしょう。
ただし、ペルソナを作る際には注意すべき点もあります。ペルソナは自社にとって理想の顧客像ですが、薦めれば何でも購入してくれるような都合のよい顧客にしてはなりません。競合の存在なども意識しながら、シビアなペルソナを設定しましょう。また、ペルソナは1人とは限りません。商品が違えばペルソナは変わってきますし、BtoBなどの場合には担当者と決裁権者の2人のペルソナを設定したほうが効果的な場合もあります。
4.ペルソナに命を吹き込む
ペルソナを作っても、まだそれは机上の人物像でしかありません。どんなに詳細に項目を設定したとしても、それはデータでしかないのです。そのため、ペルソナが動き出すように命を吹き込むことが大切です。作ったペルソナが、どんな性格でどんな行動を取るのかをリアルにイメージしてみましょう。そのための方法としては、ペルソナがどう行動するのか、ストーリーを作るのが効果的です。
何時に起きてどんな1日を過ごすのか、どんな悩みや課題を抱えているのかなど、あたかも実在する人物のようにペルソナに命を吹き込むと、項目として設定しなかった部分もリアルに浮かんできます。どんな情報を提供すれば喜んでもらえるのか、どんなアプローチをすれば好意的に受け入れてもらえるのかも見えてくるでしょう。ウェブでの情報発信はもちろん、アプローチすべきタイミングや、その想定に向けて効果的なアプローチ法も明確になってくるので、具体的なマーケティングプランを実行することが可能になるのです。
1年に1度はペルソナを見直そう!
ペルソナは、一度作ったらそれで終わりというわけではありません。一人の人間像として私たちと同じように環境に応じた変化を取り入れることが必要です。市場環境の変化やユーザーの動向を踏まえて見直すことが大切です。最低でも1年に1度は、ペルソナが現実に沿ったものになっているのかをチェックするとよいでしょう。ペルソナの設定項目に読み違えがあると気付いた場合や、競合の動き、急激な市場の変化などにが発生した場合は、早急にペルソナを変更しなければならない場合もあります。常に最適なペルソナを設定して、ユーザーの胸に響く、サービスの開発、情報の発信に繋げていきましょう。適切なペルソナの設定はサービス開発の羅針盤的な存在として力を発揮してくれると思います。