「お寺にホームページは必要なのだろうか」
そう感じながらも、はっきりとした答えが出ないまま、時間だけが過ぎている寺院関係者の方も少なくありません。
これまで紹介や口コミ、地域との関係性で成り立ってきたお寺にとって、ホームページは必ずしも「なくてはならないもの」ではなかったはずです。一方で、「本当にお寺がやる意味はあるのか」「作ったあと、どう運用していけば良いのか」など、先が見えない不安が生まれやすいのも事実です。
本記事では、ホームページの必要性を一方的に押し付けるのではなく、参拝者や地域の方にとって、お寺のホームページがどのような役割を果たすのかを整理していきます。
「今のお寺にとって、本当に必要な整え方は何か」を考える判断材料として、読み進めてみてください。
お寺にホームページが必要か迷われやすい理由
お寺にホームページが必要かどうかを考えた際、多くの場合「必要そうな気もするが、決めきれない」という感覚に行き着きます。
このような判断に至るのは、見極める力が足りないからではなく、お寺という存在がこれまでホームページに頼らずとも成り立ってきた歴史や背景を持っているのが理由です。
ここからは、実際に多くのお寺で共通して見られる「なぜ必要性を判断しづらいのか」という理由を整理していきます。ご自身のお寺の状況と照らし合わせながら、どこに迷いの正体があるのかを確認してみてください。
紹介や口コミで成り立ってきた歴史がある
お寺はこれまでホームページを持たずとも、紹介や口コミ、地域の方との関係性が長年培われた歴史があるため、「本当に必要なのか」という疑問が生まれます。檀家制度をはじめ、地域行事や法要を通じたつながりのなかで、「あのお寺に相談すると良い」「あそこなら安心できる」といった評判が自然に共有されてきました。
結果として、改めて不特定多数の方に向けて情報を発信しなくても、必要な方には行き届いている感覚を持たれているお寺も多いでしょう。一方で、世代交代や地域とのかかわり方の変化により、これまで機能していた紹介や口コミが、必ずしも同じ形で届かなくなっているケースも増えています。
存在は知られていても、「どういうお寺なのか」「自分が行って良い場所なのか」が伝わりきらず、判断を保留されてしまう場面が生まれやすくなっているのです。
業者の営業や制作事例を見るほど違和感が強くなる
ホームページの必要性を考え始めたお寺にとって、次に直面しやすいのが、制作会社や業者からの営業、そして公開されている制作事例です。実際に目にする事例の多くは、集客数の増加や問い合わせ件数の改善などが挙げられています。
しかし、「凄そうではあるが、これは本当にお寺が目指す姿なのだろうか」という、拭いきれない違和感が生まれてくるのです。実際、元僧侶である私でも経験した話を挙げると、「集客できます」といった言葉を並べた営業メールや電話が多く届き、日々の法務を妨げていました。
結果として、今まさに欲しいと思っていない営業メールや電話を通じ、ホームページそのものではなく「提案される前提」に対して、違和感が強まっていった時期もありました。
作ったあとに何をすれば良いかがわからなくて不安になる
多くのお寺が感じやすいのが、「作ったあと、結局どう運用すれば良いのかわからない」という不安です。制作会社の提案を見聞きしていると、「更新が大切」「定期的な情報発信が必要」と言われることが多く、「作る=継続的な運用を背負う」イメージが先行してしまうのです。
お寺の現場では、日々の法務や行事、檀家・地域との関係づくりが最優先と言えるなかで、ホームページに焦点を当てると、以下のような疑問が生まれます。
- 何をどの頻度で更新すれば良いのか
- 専門知識がないと管理できないのではないか
- 放置するとかえって印象が悪くなるのではないか
このような疑問は次第に不安となり、結果として「それなら、まだ作らないほうが良いのでは」と判断が止まってしまうことになるのです。
参拝者・地域の方が求めるお寺のホームページの役割
お寺にホームページの必要性や役割を考える際、まずは参拝者や地域の方が、どのような情報を求めているのかを整理してみる必要があります。多くの方は、お寺のホームページに対して、特別な演出や最新の情報発信を期待しているわけではありません。
ここからは、参拝者や地域の方の立場に立ったとき、お寺のホームページがどのような役割を果たしていると安心につながるのかを整理していきます。ホームページを「運用するもの」としてではなく、「判断材料として整えるもの」と捉えるための視点として、読み進めてみてください。
自分がお参りして良いお寺なのか事前に把握できているか
お寺のホームページを訪れる理由の1つに、「自分がこのお寺に行っても良いのか」を事前に確認したい、という気持ちがあります。
特に初めてお参りするお寺に対しては、「檀家でなくても参拝して良いのか」「ふらっと立ち寄っても失礼にならないのか」などの不安から、お参りを断念する方もいるでしょう。
こうした不安は、参拝者側が慎重だからというよりも、「判断するための情報が足りない」ことから生まれています。
- どのような方に向けたお寺なのか
- 初めての方でも参拝して良いのか
- 行事中心なのか相談で立ち寄って良いのか
上記のような要素が、さりげなくでもホームページに書かれていれば、参拝者は安心して「行ってみよう」と判断できます。つまり、参拝者にとってお寺のホームページは、「このお寺は自分がお参りしても良い場所なのだ」と、迷わず判断できることに役割があるのです。
迷わずたどり着けるかどうかが事前に確認できるか
初めて訪れるお寺に対して、多くの方が無意識に確認したいと感じているのが、「きちんと迷わずたどり着けるだろうか」という点です。例えば、アクセス情報をまとめる際は、以下のような視点から整理してみてください。
- 最寄駅はどこで、どの出口から出れば良いのか
- バスを使う場合、どの路線に乗れば良いのか
- 車で行けるのか、駐車場はあるのか
- 駐車場がない場合、近くに有料駐車場はあるのか
参拝者にとってアクセス情報は、単なる地図案内ではありません。「ここまで丁寧に書いてあるなら、初めてでも安心して行けそうだ」と感じてもらえる状態をつくることが、ホームページの大切な役割です。
「行き方がわからない」という問い合わせが減り、「誰でも受け入れてくれそうなお寺」「配慮の行き届いたお寺」といった印象も、自然に持ってもらいやすくなります。
ホームページがないことで起こりやすい誤解
お寺にホームページがないこと自体が、すぐに問題になるわけではないものの、お寺側の意図とは別で、参拝者や地域の方に誤解や不安が生まれてしまう場面もあるものです。
ここからは、ホームページがない、あるいは十分に整っていないことで、参拝者や地域の方にどのような誤解が生まれやすいのかを整理していきます。お寺の姿勢や考え方とは別の視点で起こりがちなズレとして、確認してみてください。
「いつでもお参りしても良い」が伝わらない
お寺にホームページがない、あるいは情報がほとんど載っていない場合、「自分は、いつ・どのような立場で訪れて良いのか」という点が判断しづらくなります。
特に初めてお参りするお寺に対しては、「檀家でなければ入ってはいけないのではないか」「行事のとき以外に訪れて良いのかわからない」など、判断に迷われがちです。
実は元僧侶である私自身、在家出身であったため、かつてはお寺に対して閉鎖的な印象を強く抱いていました。しかし、実際僧侶として従事してみると、お寺側と参拝者側とのギャップが生じていたことに気づいたのです。
ホームページに「初めての方もお参りいただけます」「日常的にお参りできるお寺です」といった一文があるだけでも、参拝者にとっては大きな安心材料になります。
公式の情報元が定まらなくて不安感を与える
お寺に公式のホームページがない場合、参拝者や地域の方は「どの情報を信じて良いのか」が判断しづらくなります。
検索結果や地図アプリ、SNS、口コミサイトなど、断片的な情報は見つかるものの、今も正しい情報なのか、お寺として正式な案内なのかはわかりません。結果として参拝者は、お参りの受付時間や正しい連絡先の判断に迷い、不安が積み重なっていくのです。
お寺側としては特に問題がないつもりでも、参拝者にとっては「情報が見当たらない」という状態そのものが、不安の1つになります。
「ここに書いてあることが、お寺としての正式な案内です」と示せる、公式の情報元が1つあること自体が、大きな安心につながります。お寺のホームページが果たす役割の1つは、受付時間や行事といった情報を、迷わず確認できる「拠り所」を用意することにあるのです。
お寺のホームページは業者に依頼しなくても整えられる
ここまで見てきたように、お寺のホームページに求められているのは、派手な演出や集客の仕組みではなく、「迷わず確認できる情報が整っていること」です。
しかし、そう考えると「制作会社に依頼しなければ成り立たないのではないか」「作ったあとまで自分たちで背負えるだろうか」という不安が生まれてしまうでしょう。
ここからは、「業者にすべてを任せる」以外にも、自分でホームページを整えていく選択肢があることについて整理していきます。負担を増やさず、お寺らしさを損なわないための考え方として、読み進めてみてください。
そもそも最初から作り込まなくて良い
お寺のホームページを考える際、「最初からきちんと作らなければならない」「中途半端なものは出さないほうが良い」と感じてしまう方も少なくありません。しかし実際には、最初から完成度の高いホームページを用意する必要はないのです。
私自身、観光寺院で勤めていた頃は、簡易的にホームページを整えて運営していましたが、主にアクセス情報を整理しただけで、参拝者の動きが変わった経験があります。
私が実施したことは特別な演出を加えたわけではなく、最寄駅からのアクセス情報について、改札口から順序立てて写真を撮影し、ホームページに載せただけです。
参拝者目線で情報を捉えることで、ホームページは無理なく始められる選択肢として整理しやすくなります。
自分でやりやすいように整えられる選択肢がある
お寺のホームページは、制作会社に外注して一式を任せる方法もあれば、自分たちで無理のない範囲で整えていく方法もあります。
制作会社に依頼する場合、設計やデザイン、文章まで一貫して任せられる安心感はありますが、費用や自由度、更新のやり取りが負担になるケースも少なくありません。
一方で、受付時間やアクセス情報、行事の案内など、参拝者が判断するために必要な情報を中心に整えていくだけでも、ホームページとしての役割は果たせるものです。
そして「自分たちでホームページを整える」という選択肢を、現実的なものにしてくれるのが「WordPress」です。WordPressは専門的な知識がなくても、文章や写真の更新がしやすく、長期的に見てお寺側で管理しやすい仕組みが整っています。
なお、WordPressの基本的な仕組みは、以下の記事でそれぞれ整理しています。必要に応じて参考にしてみてください。
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お寺らしさを活かせるサイトテンプレート(テーマ)がある
WordPressでホームページを作る際、サイト全体の見た目や構成の土台となる、いわば設計図のようなものを指す「テーマ」があります。このテーマの選び方によって、制作会社に依頼しなくても、テーマ次第でお寺らしさを活かしたホームページを整えることは十分に可能なのです。
TCDでは、神社仏閣や和の思想を前提に設計されたWordPressテーマが用意されています。なかでも「ZEN」や「MIKADO」は、派手な装飾や過度な訴求を抑え、余白や静けさを大切にした設計が特徴です。
お寺らしさを前提に設計されたテーマを選ぶことは、無理なくホームページを整えるための現実的な選択肢の1つになります。
「お寺の文化や伝統を美しく伝えるホームページを作りたい。」 「縦書きを取り入れた和風のウェブサイトをつくりたい。」 そんな方のために開発されたのが、WordPressテーマ「ZEN」。縦書きや余白を活かしたデザインが特徴です。日本語や日本文化を美しく表現できるテンプレートで、お寺や神社のサイ...
今月頭にリリースした「MIKADO」。前々作の「TOKI」、前作「NUMERO」のに続き、日本をコンセプトにしたテーマ第三弾です。日本の食文化、日本のポップカルチャーに続き、日本の伝統宗教である神道や仏教を意識して開発されたテーマです。デモサイトをご覧になられた方は、その荘厳さや、神々への畏敬の念を...
以下では、神社仏閣の思想や空気感を大切に設計されたWebサイトテーマの実例を紹介しています。デザインや考え方を実際のデモで確認しながら、ご自身のお寺に合うかどうかを判断してみてください。
最適なWordPressテーマ
まとめ
本記事では、「お寺にホームページは本当に必要なのか」という視点に対して、作る・作らないを二択で迫るのではなく、役割の観点から整理することを軸に考えてきました。
お寺のホームページは、集客や発信を注力するための媒体ではありません。参拝者や地域の方が「行って良いのか」「どうやって行けば良いのか」などの判断に迷わない状態を整えておくことにこそ役割があります。
また、ホームページは必ずしも制作会社に依頼しなければ成り立たないものではありません。必要な情報を中心に整え、自分たちで保ち続けられる形を選ぶことも、十分に現実的な選択肢です。
ホームページを持つかどうかではなく、今のお寺にとってどのような形が自然なのかを考えるきっかけとして、本記事がお役に立てば幸いです。







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