あなたの事業において、ソーシャルメディア(SNS)を活用することができているでしょうか。ただ単に流入経路の確保などの為にだけアカウントを作っているというケースもあるかもしれませんが、様々な企業、サービスがソーシャルメディア向けの販売促進を検討している中、それだけでは勿体無いといえるかもしれません。

本稿では企業にとって価値があるソーシャルメディアの活用例について紹介をしていきます。自社のソーシャルメディアの活用状況と重ねて、改めて活用方法を検討してみてはいかがでしょう。

まったくソーシャルメディアの運用をしたことが無い場合であっても、これを機に検討してみると良いでしょう。ソーシャルメディアの運用はいつ初めても遅いということはありません。その時々のトレンドの波に乗ってやろうという気持ちで挑んでみることをおススメします。後発組だからこそ、最短コースで成果を達成できる可能性もあります。

サービスの認知(告知系、ブランディング系)

SNS上で自社商品を紹介したり、ユーザーの声を紹介したりすると、商品の認知度を高めることができます。SNS上には今やさまざまなコンテンツを公開することができます。動画、音楽、画像、テキストなどのドキュメント、ゲームやアプリも公開することができます。SNSはモバイル端末での利用が主ですが、複数の画像や動画を添えての告知の方が認知してもらいやすく、シェア拡散が期待できます。

インバウンド(訪日ユーザー向け)メディアとして

ソーシャルメディアはそのアプリなどをインストールしている場合、多国籍なユーザーに対して投稿を露出させることができます。対応したい言語に絞ったアカウント運用を行うことで多国籍なユーザーに対しての情報発信を可能にします。

写真を中心としたSNSの場合だと、言語の壁をいとも簡単に超えることが可能です。

人材募集

ソーシャルメディアを使って人材を募集することは多くの企業で行われていることです。アルバイトを大量採用する場合でも優秀な人材にスポットを当てる場合にでも、SNSの発信の仕方によって焦点を変えることができます。もし、一つの投稿が注目されなかった場合は、SNS内広告を使って継続的に告知するのもありです。

ですが、SNSの性質上、何のひねりもない人材募集ですとユーザーの視野に入らない可能性が高いので、楽しさや面白さ、特別感が企画として必要でしょう。回を重ねるごとに企画に磨きがかかるような性質のものであれば、企業の文化的資産を向上させる意味でもSNS向けの人材募集企画を始めてみるのもおもしろいかもしれません。

商品開発

SNSを利用してフォロワー、ファンとコミュニケーションを取る中で商品開発を企画してみるのはいかがでしょうか。ユーザーを巻き込んだ商品開発は、リスクが全くないとはいえませんが、多数のユーザーを巻き込むことに成功したら、プロモーションを兼ねた開発を進行させることができます。自社内のみの開発よりもユーザーの視点に立った開発が期待できますので、思わぬヒット商品につながることもあります。リスクや手間を考慮する必要はありますが、利用を検討する価値のある手法だと思います。

商品販売

Instagramで商品が販売できるようになったり、最近注目されている活用方法です。直接販売機能がないソーシャルメディアであっても、販売ページに誘導する投稿は行うことができます。知人が購入したという情報をSNS上で目にしたことから自身も購入に至るということもあります。商品との相性もありますが、SNSに感想をアップしてくれたら送料無料キャンペーンといった感じで販促を実施するなども有効である場合もあります。

定期的に商品販売に繋がる投稿をしておけば、SNS上に自社商品のキーワードをばらまくことになるので、後にその商品についてリサーチをする時に活用することができます。

リターゲティング広告によるザイオンス効果

ザイオンス効果とは、同じ物や人、広告に何度も触れると親近感が沸いてくるという心理学用語です。SNSは広告を利用することで、ザイオンス効果を高める最適なメディアとも言えます。写真や動画とともにテキストメッセージを添えた投稿をリターゲティングさせることで、自社サイトに訪れた人を追跡する形で何度も同じ広告を表示させることが可能だからです。人は何度もイメージ広告を見ることで、おなじみの広告となり、人気商品であるという印象も与えます。

しかも、SNS広告の良い点は、テレビCMと違って小予算でできることです。ザイオンス効果を狙ったSNSの活用は高度な活用方法と言えますが、その分導入する企業も一部に限られていて、未だ効果的な手法とも言えます。

リサーチ・競合分析

ソーシャルメディアにはユーザーの声を集めるさまざまな方法が用意されています。簡単に利用できるところだけでも、キーワードの分析やフォロワーの属性分析、Facebook、Twitterなどで行うことができるアンケートなどがあります。それらを活用することで昔は調査会社に依頼をすることでしか得られなかった「ユーザーの声」を集めることができます。

また、競合分析にも役立たせることが可能です。例えば、ツイッター、Instagramのフォロワー数、Facebookページのいいね数は絶対的な指標とは言えませんが人気の一つの指標でもあるし、少なくともSNSの活用度を見極める一つの材料にはなります。SNSが身近になった今、上手に活用することで、開発の資源にしましょう。

ユーザーサポート

ソーシャルメディアを利用することでメールや電話よりも手軽に、スピーディーにサポートを行うことができる場合(SNS担当など、スピーディーに対応を進める意識をもったスタッフは必要)があります。

フォロワーに向けた公開サポートという形になるので、そのサポートが良ければ他のフォロワーさんが好印象を持ってくれる可能性もあります。やり取りをオープンにすることで「透明性が高い」対応をすることができますし、スタッフの人間味を表現することができます。一定のサポート力とコミュニケーション能力が必要となりますが、ユーザーサポートを行っている場合は、積極的に活用してみたい方法です。

公式のサポート方法としてSNSを使用する

電話、メール、チャットサービスでのサポートと同じように、ソーシャルメディアを使ったサポートを自社サポートのラインナップに加えることができます。LINEなどアクティブユーザーの多いソーシャルメディアは一つの有効な連絡手段としても優位性があります。社内で対応可能な体制をつくることができる場合は積極的に導入を考えると良いでしょう。

自立した1つのメディアとしての活用

Webサイトを軸にした枝葉としてのソーシャルメディア運用ではなく、完全に1つのメディアとして活用してみましょう。

雑誌のようなイメージで運用するInstagramアカウントであったり、Tumblrを使って自社商品のブランドサイトを立ち上げたりする動きを行っている企業もあります。ソーシャルメディアの世界観を使ってより自社サービスのブランディングを表現出来そうであれば有効な表現手法に成り得るかと思います。

ただし、サービスの終了、規約の変更で痛手を負わないように、軸足はしっかり自社サイトに置いておく方がいいと思います。

購入しようとしている人へ後押し

SNSで「この商品いいな」「買うか迷っている」と自社サービスについて投稿している人を見つけて働きかけます。

単に「いいね」を押したりするだけでも効果はありますが、疑問を解消するリンクを案内したり、他ユーザーの口コミ、評判を返信したりすることで個別の後押しをすることが可能です。あまり多様をすると押しつけがましい印象を持たれてしまいますが、業務上の運用である場合、一定の自社サービス推しもカラーとして問題ないでしょう。そのあたりは各SNSのアカウントにおけるキャラクター設定に反しない形で運用することも大切です。

リピートユーザーの育成、顧客のファン化

ダイレクトメール、メールマガジンといった手法でしか過去に購入したお客様にアプローチをすることができませんでしたが、最近はソーシャルメディアを使った関係性の構築が可能です。商品販売の箇所で書いたような「商品の感想」を使ったキャンペーンを行ったり、商品に問題がある旨の投稿に関してはアフターフォローを展開したりすることで、関係性を繋ぐようにしましょう。

ライブ感のあるタイムリーなお知らせ

期間限定のお知らせや、タイミングを狙った告知などにSNSへの投稿は活用しやすいものです。クーポン系サービスを軸に展開している企業など、そのあたりの運用を非常に効果的に使っておられるので参考に取り入れられるか検討してみるのもいいでしょう。フォロワーが少ないうちは100フォロー記念、500フォロー記念などSNSアカウントの成長を期にキャンペーンをしてみることも良いでしょう。

商品の発注ミスをTwitterでカバーできた例など見ることがあります。打算的なキャンペーンではなく、近所のあのお店が本当に困っている。という情報拡散はソーシャルメディアだからこそ成せる情報伝達だと思います。

他社アカウントとコラボレーション企画

SNSアカウントが相互フォローをしていたり、発言に自社との関連性があったりする場合は「一緒に何かできませんかね?」と声を掛けてみると面白い企画に発展したりすることがあります。

物事は突然動き出します。ソーシャルメディアの世界観、特有のスピード感があるからこそ実現できるコラボレーションはユーザーの興味、注目を集めることができます。企画を頓挫させない実行力を発揮する必要はありますが、試してみる価値はあります。

業務外の取り組みや、サービスポリシーの認知拡大

企業の場合、CSR活動など、会社の主業務とは違う取り組みをしている場合があります。そのような取り組みの露出はWebサイトのお知らせで公開するよりも、ソーシャルメディアを使ったお知らせの方が認知をしてもらえることがあります。スタッフ間の交流の機会などを露出することで、採用について好影響を出すこともあるでしょう。スポンサーとしてタイアップしているスポーツチームの応援など、SNSアカウントを使ってどんどん認知を拡げていきましょう。

イベント、キャンペーンの開催

SNSのフォロワー向けにそのソーシャルメディアの特徴を使ったイベントを開催することができます。Twitterで100億円をばらまくリツイートキャンペーンをしたり、Instagramを使ってフォトコンテストを展開したりがそれにあたりますが、各ソーシャルメディアの特徴を掴んだイベントを展開すると、フォロワーの拡大、認知の拡大を合わせてメリットとして受け取ることができます。

会員ログイン機能のチャネルとして活用

自社で会員サービスを展開している場合、そのログインチャネルとして各SNSの情報を使える場合があります。それぞれのソーシャルメディアにおいてデベロッパー向け情報を確認する必要がありますが、LINE、Facebook、Amazonのアカウント情報を使って、自社サービスにログインをしてもらったりできるようになります。新たにログイン情報を入力、アカウント情報を生成する必要がないので会員サービスを使ってもらいやすくなります。

企業の私見、主張の場として

例えば、過失の事故が起きてしまったり、謂れ無い事実が広まってしまった時に誤った情報を正すときの企業防衛のツールとしてもSNSは使えます。企業サイトのお知らせでの対応だけでなく、SNSで発信すれば拡散効果によって情報の一人歩きを一定程度抑えることができます。但し、炎上時のSNSの利用は諸刃の剣でもあるので、自己に強い信念がなければ出来ないことでもあります。

まとめ

最近は若年層ユーザーを中心に、何か調べものをする場合であってもソーシャルメディア内で完結する場合が多くあります。ソーシャルメディア内で気になるものをチェックしてその詳細をプロフィールや投稿のリンクからWebサイトにアクセスするイメージです。

最終的にWebサイトにたどり着く場合であっても、検索はソーシャルメディアの人気投稿の絞り込みであったり、「タグ、ハッシュタグ」を活用したものであったりするわけです。フォロワーからのシェアからサービスに辿り着いたりと、ユーザーとサービスの接点は今やインターネット検索を介さない形でも広まりを見せています。

ソーシャルメディアの活用はいわゆる炎上リスクとも隣り合わせです。本稿で紹介した活用事例を実践するにあたって、専任の担当者はしっかりと立てるようにしましょう。またその運用に関しては社内で綿密な打ち合わせを行い、トラブルシューティングが後手に回らないように配慮する必要があります。

炎上すること自体は問題ではなく、そのトラブルの対処方法に問題が出てくることがリスクとなることを頭に入れておきましょう。SNSの活用はしたいけれど、自社内に取り扱えるスタッフがいないという場合はソーシャルメディアの運用を専門に対応しているパートナー事業者と一緒に挑戦してみると良いでしょう。

ソーシャルメディアは今や片手間で運用するものではなくなりました、このような時代の流れに、どのように対応をしていくことができるのかが大切な考え方だといえます。