あなたは、ご自身のWebサイトのコンテンツをきちんと評価できているでしょうか。Webサイトは、人を集めるのもアクションを起こしてもらうのもコンテンツの力によって起きます。簡単に言えば、コンテンツがよければ人は集まるし、商品の売上にも影響するということです。
その為、Webサイトにコンテンツのそれぞれに評価をし、どこをどう改善するかを即座に判断できるようになれば、コンテンツパワーを上げる施策も楽にできるようになります。本稿では、コンテンツをどのように評価し、それらを実用化するかというお話をしたいと思います。
目次
表面的な数値だけに惑わされない自分だけの評価基準を磨くこと
Webサイトのコンテンツはまず下記の表面的な数値によって判断することができます。
- アクセス数が多い
- SNSでのシェア数が伸びている
- コメントがついている
- よい評価が多くついている
- しっかりとコンバージョンして成果に繋がっている
既存コンテンツのテコ入れを考えた時に、挙げたような基準においてコンテンツを評価することがあります。しかしこのような評価軸では、結局のところ改善案に辿り着くことができないケースも多くあることを理解しておかねばなりません。
とても読み応えのある魅力的な文章で書かれたコンテンツであってもアクセスを集められていないことがあったり、逆にアクセスが集まっていても最後まで読まれていなかったリ、コンバージョン率が伸びないことがあります。
制作したコンテンツにはそれぞれの制作に着手した段階からの目的があって、一概に同じような評価をすることができないケースもあるでしょう。評価の多くは改善に用いる為に行うものであり、改善に繋げにくい評価だとすると、評価方法としてイマイチと考えるべきだと思います。
本稿ではコンテンツの良し悪しを評価する基準について4つの要素に絞って説明をしています。それぞれについて評価する手法、基準を明確に持つことができていると、リライトに取り掛かるべき記事も明確になるでしょう。自サイトのコンテンツ評価について、明確な基準をもつことができていない場合、本稿を参考に改善を検討してみてはどうでしょうか。
コンテンツの企画段階からしっかりと評価するときのことも頭に入れて、この記事はどの要素において高い評価となることを狙って作ったのかということも、最終的な評価において大切になってきます。
コンテンツを評価する要素
コンテンツを評価する要素は主に4つです。
図で示したように、集客力>閲覧性>誘導力>成果力の順に優先するべき要素になってきます。Webメディア制作に着手した段階ではまず集客力を高め、最後まで読まれる記事を増やし、それぞれを回遊してもらい、コンバージョンさせることを狙うといったイメージです。最初から有料広告に投資するという場合においては、成果力の強いコンテンツを作り、強制的なアクセスを流すという手段を取ることもあります。
集客力
集客力とはアクセス数を集める力で、より多くの人に見てもらえるようなテーマ選び、内容になっているのかが評価要素です。シェアされやすい記事でSNSからの流入を達成できているかという要素も集客力での評価になります。
集客力の考察
サイト全体のデザインや、誘導力(高コンバージョン)の高いページも大切な要素ですが、まずはアクセス数を集めることができていない場合、どうしようもありません。そもそもアクセス数を集めることができていないと、解析をした数値に対する信ぴょう性も下がってしまいます。オウンドメディアなどコンテンツの運用を始めたら、まず集客力をあげることを最初の目標にしていきましょう。
SNS、ソーシャルブックマーク、キュレーションサイト、大手メディアからの被リンクによるアクセスアップは一見派手でわかりやすいものですが、ヒットしたら儲けものという考え方を持つべきです。一時的なアクセスアップを狙うのではなく、地に足がついた運用を行って目標とする一定量のアクセス数を増やすことを考えていきましょう。
いわゆるサイトの底力を上げるようなアクセスアップは、日々のSEOと正しい分析から、ある程度狙っていくことができます。検索サイトなどのニーズを掴むことで、需要のあるキーワードでの長期的な露出、流入が期待できます。「時事ネタを書く」「不安をあおる」というようなアクセスアップではなく、どのような記事を書くことが、集客力を持っているのかということを把握することが大切です。しっかりとしたコンテンツを作った上で、コピーライティングなどのテクニックを加わえていくイメージを持つとよいでしょう。
集客力のチェックポイント
集客力に影響しそうなチェックポイントを挙げておきますので、自分のコンテンツにおいて確認をしてみてください。
<記事>
- 世の中の類似記事に対してのウリを持っているか
- 記事のメインテーマに関連するキーワードをタイトル、見出し、本文内に複数散りばめられているか
- 鮮度の高い旬な情報、読者が今欲しいと思える情報を取り扱っているか
- 新しい情報でない場合は普遍性、継続的なニーズを満たしていてかつ正しい情報であるか
- 読者視点で自分のコメントを言いたくなるような「議論」「共感」「気付き」の要素があるか
<全体>
- 同じテーマに対して多くの視点、多くの記事が用意されているか
- SNSへのシェアに関してそれぞれのサービスでの動作仕様上(OGPなど)問題ないか
- 公開時にSNSなどお知らせをする運用をしているか
- 古くなった記事は内容を確認して手入れをしているか
閲覧(通読)性、通読率
コンテンツがしっかりと読まれているか、コンテンツの文字数、画像、動画を使った飽きさせない構成、レイアウトになっているかなどを評価する要素です。閲覧性が高い記事はしっかりとスクロールして最下段まで読んでもらえているということになります。
閲覧性、通読率の考察
集客がある程度上手くいったとしても、読まれないコンテンツが多くある場合は単に来訪者が増えただけという状態になるので、成果への影響もありません。Webサイトには様々なユーザーが訪問します。目的がコンテンツと一致したコンバージョンしやすい属性である場合もありますが、そうでない場合も多くあるでしょう。まったく興味をもっていない閲覧者に関しては心変わりを起こさせることは難しいのですが、潜在的なニーズを持っている閲覧者に対しては、記事を読んでもらうことでニーズを持った閲覧者に変えることができるかもしれません。閲覧性を向上させるということは集客から成果に繋げるための重要な架け橋となることもあります。
閲覧性は主にページの滞在時間などでその評価を行います。読ませたい記事ページであれば問題ないのですが、サイトのトップページやカテゴリトップなどのアーカイブ(記事一覧)ページにおいては閲覧者を迷わせている指標になることもあります。ページそれぞれの目標をしっかりと認識をして閲覧性の評価を扱うようにしましょう。
閲覧性、通読率のチェックポイント
- そのページの内容を見通すことができる要約を最初にもってきているか
- そのページのまとめにあたる内容を最後に用意しているか
- 段落構成、画像などを適宜用いて、読みやすいコンテンツになっているか
- 意味のない画像を用いてないか
- 見出しや強調する箇所のデザインは適正で重要なポイントがわかりやすくなっているか
- 理解しやすいように表、グラフを用いているか
- 「読者が読みたい>筆者が書きたい」記事になっているか
- ファーストビューがスクロールしようと思える構成になっているか
誘導力
コンテンツ閲覧後、他のページへ誘導されているかを評価します。関連コンテンツへの誘導、文中のリンクの有無、そのクリック精度などが評価対象です。閲覧している方の信頼を勝ち取り、動線に迷いが少ない場合は高くなる傾向にある要素です。
誘導力の考察
誘導力はコンテンツを閲覧した後に、サイト内の他のコンテンツに回遊(遷移)しているかを中心に評価します。会員登録完了ページなどゴールを意味するページでは低くなりがちですが、閲覧者の離脱は運営者が基本的に望まないことだと思います。閲覧者が目的を達成した(欲しい情報を得た)離脱は問題ではありませんが、コンテンツの内容や構成がまずくて離脱している場合は修正する必要があります。魅力的な記事を複数用意することができているにも関わらず、読者の興味が湧いているタイミングで関連記事に誘導できていないという状態はもったいないことです。そのようなことにならないよう、関連記事の導線には配慮するべく、検討を重ねましょう。
誘導力のチェックポイント
- 関連記事へのリンクは読者の興味関心の波が高まったタイミングで配置されているか
- 記事リンクは適切な要約が添えられているか
- 記事リンクにはカードリンクでアイキャッチを配置するなど興味関心、内容を示唆するものになっているか
- グローバルナビゲーションが機能的(追尾型、メガメニュー)になっているか
- 関連記事、ランキング型記事一覧など複数視点で読者の興味を引いているか
- クリック率の高い記事傾向を把握して意図的に配置をしているか
- ランディングページ(着地ページ、検索からの初閲覧)でどんなサイトか伝えることができているか
- 誘導させたいコンテンツに関してはリンクをボタン化するなど、見せ方を演出できているか
- クリックできる画像にはリンクであることの明示、もしくはホバーアクションをつけているか
- メニューはシンプルなテキストリンクばかりでなく、適切なアイコンを用いるなどして遷移先の内容を伝えているか
- サイト内に一般的に意味が伝わりにくいアイコンフォント、画像を用いていないか
成果力
目標として設定しているコンバージョン達成率として評価されます。コンテンツとサイトのゴール内容が合っているか、コンバージョンさせたいコンテンツの誘導方法(設置場所、文言、表示方法)に問題がないかを評価する要素です。
成果力の考察
成果はそのサイトのゴールにコンバージョンしたかということを指します。成果を上げる為に集客を行っているわけです。主に成果とされる内容は「会員登録」「お問合せ」「商品購入」です。成果を達成した時に表示させるページはGoogleアナリティクスなどの解析サービスに適切な設定をすることで、コンバージョン率を測定することが可能です。
成果力のチェックポイント
<ページ>
・成果への理解を深めるコンテンツを設置(経由)しているか
<全体>
・成果につながるページリンク(購入ボタン、入力フォーム)が用意されているか
・サイト離脱後に再訪問してもらえる施策(リマーケティングタグ、PUSH通知、メルマガ、ブックマーク登録など)を用意しているか
4つの要素+それぞれをユーザー視点軸で調整する
あなたの高い評価をしたコンテンツであったとしても、それがユーザーにしっかりと価値を感じさせるものになっているとは限りません。コンテンツの最終評価はユーザーがするものであって、制作した側の評価は一つのコンテンツの指標にこそなれど、ゴールではないということです。ここにきて冒頭に書いた「SNSでのシェア数」「口コミ、コメントの内容、評価」「サイトへの再来訪数」という要素が活きてきます。
4つの要素に焦点を合わせたコンテンツの企画、運用を行う中で、しっかりとユーザーのリアクションの変化にも目を向けることを忘れてはいけません。ユーザーに価値を提供するというコンテンツ作りの最終目的を見失わないようにしながら、愛されるコンテンツをたくさんもったWebサイトに育てていきましょう。
既存記事のリライト、サイトのブラッシュアップを検討する際に参考にしていただければうれしく思います。
「コンテンツマーケティング」の次の記事はこちら↓です。併せてご覧ください。
メディアやブログは新しくページを投稿するばかりが集客に有効とは限りません。新しいページをつくることも有効ですが、既存のページを見直すことはコンテンツマーケティングではかなり重要な施策です。 本稿では既存のコンテンツの集客力を再評価することで、読まれるページ、役立つコンテンツにリライトする方法に...