new Date()
を呼び出すと、Dateオブジェクトのインスタンスが作成され、それに付随するメソッドが使えるようになります。
しかし、Dateオブジェクトにはインスタンスを生成しなくても使える静的メソッドも用意されています。
今回は、Dateオブジェクトが持つ静的メソッドについて解説していきます。
静的メソッド
Dateオブジェクトには、以下の静的メソッドが提供されています。
Date.now()
:現在時刻を表す数値を、UTCからの経過ミリ秒で返すDate.parse()
:指定した文字列を解釈して、UTCからの経過ミリ秒を返すDate.UTC()
:指定した年月日や時刻を解釈して、UTCからの経過ミリ秒を返す
上記はすべてUTCからの経過ミリ秒を返します。
そのため、経過ミリ秒を取得するインスタンスメソッドnew Date(...).getTime()
と意味合い的には変わりません。
しかし、静的メソッドは、Dateオブジェクトをインスタンス化する必要がないため、実行スピードを速めたり、ガベージコレクション(不要になったメモリ領域を解放する機能)に負荷をかけにくくするメリットがあります。
そのため、単純に経過ミリ秒を取得したいだけであれば、これらの静的メソッドを使うことでパフォーマンスが上がる可能性があります。
Date.now()
Date.now()
は、現在時刻のUTCからの経過ミリ秒を返します。
let ms = Date.now();
console.log(ms); // 1654608126592
1654608126592
は、現在時刻に対するUTCからのミリ秒です。
例えば、ある処理の実行時間を計算するには、以下のようにすることができます。
// 処理の開始時間
let startTime = Date.now();
// 何かしらの処理
for (let i = 1; i < 100000; i++) {
let doSomething = i * i;
}
// 処理の終了時間
let endTime = Date.now();
// 終了ミリ秒 - 開始ミリ秒 = 実行時間のミリ秒
console.log(`実行時間:${endTime - startTime}ミリ秒`); // "実行時間:6ミリ秒"
Date.parse()
Date.parse()
は、日時を表す文字列を解釈してUTCからの経過ミリ秒を返します。
厳格なフォーマットは決まっていませんが、以下のような表記が推奨されています。
Date.parse(YYYY-MM-DDThh:mm:ss.sssZ);
- YYYY-MM-DD:年-月-日
- T:区切り文字として使用
- hh:mm:ss.sss:時:時:分:ミリ秒
- Z:タイムゾーンを示す文字で、UTCからの+-hh:mmやZを使用
例えば、以下の呼び出しはすべて同じ値を返します。
let ms_1 = Date.parse('2022-01-01');
let ms_2 = Date.parse('2022-01-01T00:00:00.000+00:00')
let ms_3 = Date.parse('2022-01-01T00:00:00.000Z');
console.log(ms_1); // 1640995200000
console.log(ms_2); // 1640995200000
console.log(ms_3); // 1640995200000
また、Date.parse('datestring')
とnew Date('datestring').getTime()
は、同じ結果を得られますが、このような単純な日時の取得であれば前者の方が簡潔です。
// Date.parse()
let static = Date.parse('2022-03-31T12:30:45');
console.log(static);
// new Date().getTime()
let instance = new Date('2022-03-31T12:30:45');
console.log(instance.getTime());
Date.UTC()
Date.UTC()
は、年や月、時や分などの指定した値に対して、UTCからの経過ミリ秒を返します。
引数に年は必須ですが、その他は省略可能です。
Date.UTC(year, month, date, hours, minutes, seconds, ms);
- year:4桁表記で必ず指定
- month:0(1月)〜11(12月)で指定
- date:1〜31で指定
- hours:0〜23で指定
- minutes/seconds:0〜59で指定
- ms:0〜999で指定
例えば、以下の呼び出しはすべて同じ値を返します。
let ms_1 = Date.UTC(2022);
let ms_2 = Date.UTC(2022, 0);
let ms_3 = Date.UTC(2022, 0, 1, 0, 0, 0, 0);
console.log(ms_1); // 1640995200000
console.log(ms_2); // 1640995200000
console.log(ms_3); // 1640995200000
1999年12月31日23時59分59秒のUTCからの経過ミリ秒を取得したい場合には、このように表現することができます。
// 12月の場合、第二引数は11となる
let ms = Date.UTC(1999, 11, 31, 23, 59, 59);
console.log(ms); // 946684799000
まとめ
今回は、Dateオブジェクトの静的メソッドについて解説しました。
インスタンスを作成する必要がなく、素早く経過ミリ秒を取得したい場合には、静的メソッドが便利です。ぜひ参考にしてみてください。
合わせて読みたいDateオブジェクトシリーズ
第1回:Dateオブジェクトの作成
第2回:Dateオブジェクトとインスタンスメソッド -日付・時刻の取得
第3回:Dateオブジェクトとインスタンスメソッド -文字列の取得
第4回:Dateオブジェクトとインスタンスメソッド -経過ミリ秒の取得
第5回:Dateオブジェクトと静的メソッド(当記事)
コメント