WordPressで構築されたサイトの読み込み速度を高速化する簡単な方法として、キャッシュを削除できるプラグイン「Cache Enabler」があります。

キャッシュプラグインの中でも設定項目が少なく、初心者にも手軽に利用できるのが特徴です。ただし、初心者からすると、何をどう設定するべきか悩んでしまうこともあるでしょう。

本記事では、Cache Enablerの設定方法や使い方を解説します。ブラウザキャッシュ系WordPressプラグインのまとめ記事は見たい方はこちらをご覧ください。

Autoptimizeと組み合わせて、より高速化する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

Cache Enablerの特徴

Cache Enabler

Cache Enablerは、WordPressで構築されたサイトの読み込み速度を高速化できる無料のプラグインです。

キャッシュ系プラグインの中でも設定項目がシンプルなので、はじめての方でも短時間で使い始められるでしょう。本記事で紹介している設定を真似するだけで、手軽にサイトの表示速度を改善できるようになります。

Cache Enablerで読み込み速度が改善する理由としては、キャッシュと呼ばれる機能を理解する必要があるでしょう。

キャッシュとは、頻繁に利用するデータを一時的に仮の保管場所へ保存しておき、ユーザーが訪れた際にスムーズにサイトを表示できるようにする仕組みです。

例えば、明日の仕事の下準備をしたり、料理の仕込みだけしたりするのと似ています。

事前によく閲覧されるデータを準備しておくことで、迅速にサイトを表示できるようになるのです。

Cache Enablerのインストール方法

管理画面のプラグイン追加ページから「Cache Enabler」を検索してインストールするか、下のボタンからもダウンロード可能です。プラグインファイルを wp-content/pluginsディレクトリにアップした後、管理画面から有効化してください。

Cache Enablerのインストール方法

Cache Enabler

プラグインの詳しいインストール方法は、下記記事でも解説しています。

Cache Enablerをインストールしたら「有効化」をクリックして導入を完了させておいてください。

Cache Enablerでおすすめの設定方法

Cache Enablerの設定方法を、キャッシュ系プラグインがはじめての方向けに解説します。

Cache Enablerを有効化したら、WordPressの管理画面より「設定」→「Cache Enabler」の順で進んでください。

「設定」→「Cache Enabler」の順で進む

Cache Enablerの設定画面が表示されます。

設定する項目は下画像の赤枠で囲んだ「Cache Behavior」部分のみです。

Cache Behavior

下画像の通りに設定するだけで、サイトの表示速度を改善できます。

Cache Enablerの設定画面

以下で細かく見ていきましょう。

  • EXPIRATION
  • CLEARING
  • VERSIONS
  • MINIFICATION

EXPIRATION

EXPIRATIONの設定項目

EXPIRATIONでは、キャッシュが自動で削除されるまでの時間を設定できます。

サイトを毎日のように更新している方は、24時間に設定するのがおすすめです。その他の方は48時間や72時間など、長めに設定しておくと良いでしょう。

時間によってキャッシュを自動的に削除したくない方は、チェックを外せばOKです。

CLEARING

CLEARINGの設定項目

CLEARINGでは、時間ではなく特定の条件でキャッシュが削除されるように設定できます。

上から3つの項目にチェックを入れておきましょう。

それぞれの意味は以下の通りです。上から順に解説します。

Clear the site cache if any post type has been published, updated, or trashed (instead of the post cache).
投稿が公開、更新、削除された時にキャッシュをクリアする。
Clear the site cache if a comment has been posted, updated, spammed, or trashed (instead of the comment cache).
コメントがあった時やスパム処理された時、または削除された時にキャッシュをクリアする。
Clear the site cache if a term has been added, updated, or deleted (instead of the term cache).
カテゴリーやタグなどの用語が追加、更新、削除された時にキャッシュをクリアする。
Clear the site cache if a user has been added, updated, or deleted (instead of the user cache).
ユーザーが追加、更新、削除された時にキャッシュをクリアする。
Clear the site cache if a plugin has been activated or deactivated.
プラグインが有効化、または無効化された時にキャッシュをクリアする。

基本的には、上から3つにチェックを入れておくことをおすすめします。

VERSIONS

VERSIONSの設定項目

VERSIONSでは、キャッシュを作成するシーンを設定します。

中段と下段の項目にチェックしておきましょう。

各項目の意味を上から順に解説します。

Create a cached version for WebP support. Convert your images to WebP with Optimus.
WebPサポート用のキャッシュされたバージョンを作成します。Optimusを使用して画像を WebP に変換します。
Create a cached version for mobile devices.
モバイルデバイス用のキャッシュされたバージョンを作成します。
Create a cached version pre-compressed with Gzip.
Gzipで事前圧縮されたキャッシュされたバージョンを作成します。

MINIFICATION

MINIFICATIONの設定項目

MINIFICATIONにチェックを入れると、HTMLを縮小できます。

選択項目は以下の2種類があります。

  • excluding
    CSSとJavaScriptを含めずに縮小する
  • including
    CSSとJavaScriptを含めて縮小する

Cache Enablerを、その他のキャッシュ系プラグインと併用する場合は、チェックを入れないでOKです。

Cache Enablerを単体で利用する方は「excluding」と「including」で、それぞれサイトの表示速度を計測して、迅速に表示される設定を保持すると良いでしょう。

後に紹介するAutoptimizeと併用する場合は、必ずチェックを外しておいてください。

全ての設定が完了したら、最下部にある「Save Changes and Clear Site Cache」をクリックして保存すればOKです。

「Save Changes and Clear Site Cache」をクリックして保存する

Cache Enablerの使い方:手動でキャッシュを削除する方法

Cache Enablerを使って手動でキャッシュを削除するには、WordPressにログインした上で、上部に表示される「Clear Site Cache」または「Clear Page Cache」をクリックするだけで完了です。

  • Clear Site Cache:サイト自体のキャッシュを削除
  • Clear Page Cache:記事単体のキャッシュを削除

「Clear Site Cache」または「Clear Page Cache」をクリック

いずれもクリックすると、即キャッシュが削除される仕組みになっています。

万が一、コンテンツを更新した際に反映されないなどの問題が起きた際は、手動でキャッシュを削除してみると良いでしょう。

キャッシュをクリアすることで、サイトが正常に更新されます。

Cache EnablerとAutoptimizeで高速化する設定方法

Cache Enablerはキャッシュ系プラグインのAutoptimizeと相性が良く、併用することでより高速化できる可能性があります。

ここでは、Cache EnablerとAutoptimizeを組み合わせて使う際の設定方法を紹介します。

Cache Enablerの設定項目

Cache Enablerは、前述した通りに設定すればOKです。

Cache Enablerの設定画面

最重要は「MINIFICATION」にチェックを入れないこと。

これでAutoptimizeと干渉しないように設定できます。

Autoptimizeの設定項目

はじめに管理画面のプラグイン追加画面より「Autoptimize」をインストールして有効化しておきましょう。

Autoptimizeをインストール

Autoptimizeを有効化したら、管理画面の「設定」→「Autoptimize」の順にクリックしてください。

設定する項目は以下の通りです。

  • JavaScript オプション
  • CSS オプション
  • HTML オプション
  • その他オプション

JavaScript オプション

JavaScript オプションの設定項目

JavaScript オプションでは、以下の項目にチェックを入れてください。

  • JavaScript コードの最適化
  • 連結しないで遅延
  • インライン JS も遅延

JavaScriptオプションは、使っているテーマやサーバーによって表示速度が変わってきます。適宜チェックを外すなどして、最適な設定を模索してみてください。

CSS オプション

CSS オプションの設定項目

CSS オプションでは、以下の項目にチェックを入れてください。

  • CSS コードを最適化
  • CSS ファイルを連結
  • データ生成: 画像を URI 化

上記にチェックを入れることで、CSSを最適化して表示速度の改善が期待できます。

HTML オプション

HTML オプションの設定項目

HTML オプションでは「HTML コードを最適化」にチェックを入れればOKです。

その他オプション

その他オプションの設定項目

その他オプションでは、以下の項目にチェックを入れてください。

  • 連結されたスクリプト / CSS を静的ファイルとして保存
  • 除外された CSS ファイルと JS ファイルを最小化
  • 404 フォールバックの使用

全ての設定が完了したら「変更の保存とキャッシュの削除」をクリックしましょう。

これでCache Enablerを単体で使うよりも細かい設定と、読み込み速度の改善ができるようになりました。

Cache Enablerの注意点

最後にCache Enablerの注意点を見ておきましょう。

  • 事前にバックアップを取得しておく
  • 相性の悪いプラグインと併用しない
  • ECサイトでは使わない

事前にバックアップを取得しておく

Cache Enablerをインストールする際は、事前にバックアップを取っておきましょう。

WordPressの運用環境は人によって異なるため、Cache Enablerが原因でサイトが表示されなくなったり、レイアウトが崩れる可能性があるからです。

バックアップを取っておけば、問題が起きた際も焦らずにサイトを復元できます。

プラグインを活用すれば、手軽にバックアップが取得できるので、早めに実行しておきましょう。

相性の悪いプラグインと併用しない

Cache Enablerは、その他のプラグインと干渉して不具合が起こる可能性もあります。

特に、キャッシュ系プラグインを複数インストールすると、お互いが干渉してしまい読み込み速度が遅くなることもあるので気をつけてください。

不具合やエラーが生じた際は、プラグインを1つずつ無効化して問題のあるプラグインを特定しましょう。

ECサイトでは使わない

Cache Enablerは、ECサイトでは使わないことをおすすめします。

なぜなら、ECサイトには商品の在庫数や顧客情報など、頻繁に更新されるデータがたくさんあるからです。Cache Enablerを使うと、誤作動が起こる原因になります。

WordPressで快適に動作するECサイトを構築したい場合は、有料のテーマを活用するのがおすすめです。

TCDでは、ニーズに合ったECサイトを手軽に構築できるテーマを販売しています。表示速度にもこだわったテーマが揃っているので、ぜひデモをチェックしてみてください。

>>TCDのECサイト向けテーマ一覧はこちら

まとめ

Cache Enablerは、最小限の設定でサイトの読み込み速度が改善できるのが魅力です。

WordPressに不慣れな方でも、今回紹介したチェック項目を真似るだけで簡単にサイトの表示速度を改善できます。この手軽さは、数あるキャッシュ系プラグインの中でもダントツと言えるでしょう。

また、より細かく設定したい方は、Autoptimizeと組み合わせるのもおすすめです。

相性の良い2つのキャッシュ系プラグインを併用することで、より迅速にサイトを表示できるようになりますよ。