WordPressのパスワードポリシーを管理するプラグイン「Password Policy Manager」に、管理者権限が乗っ取られる重大な脆弱性(CVE-2025-31019)が発見されました。

権限を奪われると、機密情報の漏えいやサイトを改ざんされる可能性があります。

この記事では、WordPressプラグイン「Password Policy Manager」の脆弱性を詳しく解説します。想定される被害を把握したい方、具体的な対策方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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Password Policy Managerとは

Password Policy Managerは、WordPressサイトにパスワードの複雑性や有効期限などのポリシーを設定し、管理するためのプラグインです。

企業や組織のセキュリティ基準を満たすために、ユーザーが脆弱なパスワードを設定するのを防ぎ、定期的なパスワード変更を促す機能を提供しています。これにより、ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)や辞書攻撃などのパスワード関連の攻撃リスクを低減し、サイト全体のセキュリティレベルの向上を期待できます。

有効インストール数は5,000+と、パスワード系のプラグインとしては人気です。

Password Policy Managerに発見された脆弱性

2025年7月、WordPressプラグイン「Password Policy Manager」のバージョン2.0.4以下のバージョンに、管理者権限を乗っ取りされる可能性がある重大な脆弱性(CVE-2025-31019)が発見されました。

参照元:Wordfence

Wordfenceによると、脆弱性の基本値は8.8と「重大」評価です。悪用されると、登録済みのユーザーが管理者権限を持つアカウントのパスワードを不正に変更できる可能性があります。

主な起因は、以下のとおりです。

  1. ログイン処理の認証バイパス
  2. パスワードリセット機能の悪用
  3. 内部ユーザーによる権限昇格攻撃

特に深刻なのは、購読者(Subscriber)レベルの最低限の権限を持つユーザーでも攻撃ができる点です。このため、従来の外部からの攻撃対策だけでは防げない可能性があります。

現在は修正パッチ(バージョン2.0.5以降)が提供されているので、速やかに更新を行ないましょう。

Password Policy Managerに発見された脆弱性の原因

Password Policy Managerに発見された脆弱性の原因は、大きく分けると4つあります

  1. セッションデータの不適切な処理
  2. 購読者レベルでも攻撃を実行できる
  3. パスワードリセットの悪用
  4. ユーザーIDの検証が不十分

それぞれ詳しく見ていきましょう。

セッションデータの不適切な処理

Password Policy Managerの脆弱性につながっている原因のひとつは、セッションデータの不適切な処理です。

関数「moppm_pass2login_redirect」に、ユーザーIDの検証が不十分だったと指摘されています。

この関数では、nonce(一回限りのトークン)の検証は行われていたものの、指定されたユーザーIDが正当かチェックするプロセスが欠如していました。これにより、攻撃者は管理者のユーザーIDを指定するだけで、認証をバイパスして管理者としてログインできてしまいます。

購読者レベルでも攻撃を実行できる

Password Policy Managerの脆弱性が深刻さを増す原因は、購読者(Subscriber)レベルの権限を持つユーザーでも、管理者アカウントを乗っ取る攻撃を実行できてしまう点です。

通常、Webサイトの管理者権限の変更やパスワードのリセットといった操作は、管理者自身やそれに準ずる高い権限を持つユーザーのみに限定されます。

しかし、このプラグインでは権限チェックが不十分だったため、悪意のある購読者が管理者アカウントのパスワードを変更し、権限を奪取できる状態でした。

パスワードリセットの悪用

Password Policy Managerの脆弱性は、パスワードリセット機能の悪用が可能な点も影響しています。

このプラグインはパスワードポリシーに準拠していないユーザーに対して、強制的にパスワードリセット画面を表示する機能を持っています。攻撃者はこの画面で生成されるnonce(一回限りのトークン)を不正に取得し、任意のユーザーIDと組み合わせると、他人のアカウントを乗っ取りできる状態にありました。

この仕組みにより、正規の機能がセキュリティホールとして利用され、管理者権限の奪取に繋がる可能性があったわけです。

ユーザーIDの検証が不十分

Password Policy Managerの脆弱性の根本にある原因は、ユーザーIDの検証が不十分だったことです。

プラグイン内の特定の関数において、ユーザーが送信するIDが、現在ログインしているユーザー自身のものかどうかの確認が適切に行われていませんでした。

これにより、攻撃者は自身のユーザーIDではなく、ターゲットとする管理者アカウントのユーザーIDを指定して、パスワード変更やログイン処理を実行できる状態だったわけです。

Password Policy Managerの脆弱性で想定される被害

Password Policy Managerの脆弱性で想定される被害は、以下のとおりです。

  1. 機密情報の漏洩
  2. サイトの改ざん
  3. ユーザーアカウントの乗っ取り
  4. 報復攻撃

それぞれ詳しく解説します。

機密情報の漏洩

Password Policy Managerの脆弱性によって管理者権限が乗っ取られると、WordPressサイトが保有する機密情報が外部に漏洩する危険性が高まります。

攻撃者は管理者としてログインできるため、以下のデータベースに保存されているあらゆるデータへのアクセスが可能です。

  1. ユーザーの個人情報
  2. メールアドレス
  3. 連絡先
  4. 顧客情報

これらの情報が漏洩すると、顧客への信頼失墜は避けられず、法的な責任問題に発展する可能性があります。企業にとっては、社会的信用を失うだけでなく、経済的損失にも繋がりかねないでしょう。

サイトの改ざん

WordPressの管理者権限を奪取した攻撃者は、Webサイトの内容を自由に改ざんできます。

想定される攻撃内容は、以下のとおりです。

  1. 既存のページや投稿の削除
  2. 既存のページや投稿の変更
  3. 新しい悪意のあるコンテンツの追加

たとえば、トップページが不正な広告やフィッシングサイトへの誘導リンクに書き換えられたり、誤った情報が拡散されたりする可能性があります。

悪意のあるコードやマルウェアが埋め込まれるケースもあり、サイト訪問者が感染する踏み台として利用されるリスクも生じるでしょう。

また、サイトの改ざんはブランドイメージの毀損や、検索エンジンから評価を下げられる可能性もあります。

ユーザーアカウントの乗っ取り

Password Policy Managerの脆弱性により、管理者だけでなく他の登録済みユーザーアカウントも乗っ取られる恐れがあります。

これは攻撃者が管理者権限を利用して、他のユーザーのパスワードを閲覧したり変更したりできるためです。

乗っ取られたユーザーアカウントはスパム送信の踏み台として悪用されたり、個人情報が不正に利用されたりする可能性があります。

また、乗っ取られたアカウントが他のサービスでも同じパスワードを利用していた場合、パスワードリスト型攻撃によって被害がさらに拡大するリスクがあるでしょう。

■ パスワードリスト型攻撃とは
攻撃者が不正入手したパスワードを利用し、サービスやシステムに不正アクセスを図るサイバー攻撃

報復攻撃

管理者権限を奪われたWordPressサイトは、外部からの報復攻撃の踏み台に利用される可能性があります。元スタッフやサービスに不満を抱いていた会員が、攻撃におよぶケースは珍しくありません。

攻撃者は乗っ取ったサイトのサーバーを介して、他のWebサイトやネットワークに対して分散サービス拒否(DDoS)攻撃を仕掛けたり、スパムメールを大量送信したりするなどの悪意ある活動を行うことがあります。

これにより、自身のWebサイトが意図せず加害者となってしまい、法的な責任を問われる事態に発展する恐れがあるでしょう。

また、不正アクセスを一度でも許してしまうと、その痕跡を消し去るためにログを改ざんされたり、バックドアを仕掛けられたりする場合もあります。

Password Policy Managerの脆弱性対策

Password Policy Managerの脆弱性対策は、以下のとおりです。

  1. 最新バージョンに更新する
  2. ユーザーアカウントやサイト内容に異常がないか確認
  3. パスワードを変更する

それぞれ詳しく解説します。

最新バージョンに更新する

Password Policy Managerの脆弱性に有効な対策は、最新バージョン(2.0.5以降)への更新です。

アップデートすれば、既知の脆弱性からサイトを守れます。

このプラグインに限らず、他のプラグインやテーマ、WordPress本体も最新の状態を保つ習慣をつけましょう。

ユーザーアカウントやサイト内容に異常がないか確認

プラグインの更新を行ったとしても、WordPressサイトに危険が潜んでいる可能性があります。

そこで、以下に異常がないか確認してください。

  1. 管理者アカウントのパスワードが身に覚えなく変更されていないか
  2. 不審なユーザーアカウントが新規に作成されていないか
  3. ユーザーの権限レベルに不審な変更がないか
  4. Webサイトの表示内容が勝手に書き換えられていないか
  5. 投稿記事やページに不審な内容が追加されていないか
  6. プラグインの設定が意図せず変更されていないか

アカウントのユーザー編集は、管理画面の「ユーザー」から行えます。

Webサイトの表示や投稿に不審な点がある場合は、該当する投稿ページにアクセスし、不審な記述を削除しましょう。

パスワードを変更する

Password Policy Managerの脆弱性対策は、性質上から管理者アカウントのパスワードを直ちに変更するのが理想です。

理由は脆弱性が悪用された場合、管理者のパスワードが攻撃者に知られている可能性があるためです。

WordPressでパスワードを変更する場合は、管理画面>「ユーザー」>「プロフィール」と進みます。

プロフィール画面のアカウント管理項目にある「新しいパスワードを設定」を選択。

入力欄に任意のパスワードを入力後、ページ最下段にある「プロフィールを更新」をクリックしてください。

パスワードを強固にするには、英数字記号を組み合わせた複雑なものにするのが理想です。他のサイトで使い回していない、固有のものを設定するようにしてください。

パスワード生成ツールなどを利用すると、簡単に強固なパスワード候補を生成できます。

パスワードが思いつかない場合にもおすすめです。

サイトが異常なまま改善できない場合はプロに相談するべき

Password Policy Managerの脆弱性によって被害を受け、WordPressサイトをお模様に復旧できない場合は、プロへの相談をおすすめします。

管理者権限の乗っ取りやサイトの改ざんといった深刻な被害からの復旧は、高度な専門知識と経験が必要です。素人が間違った対応をとると、事態が悪化したり、重要なデータを失ったりするリスクが高まります。

プロに依頼すれば、乗っ取り被害の改善や不正に作成されたアカウントの削除、サイトの脆弱性診断と対策など、さまざまなサポートを受けられます。情報漏洩や信用失墜などのリスクを軽減し、安全な運用を取り戻すなら、専門家に復旧を依頼するのが最善です。

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