AIの進展によって、翻訳サービスも精度が増しています。

翻訳サービスとしては無数にたくさんあります。ただ、今求められる翻訳は単に直訳するのではなく、スムーズな言語、意訳も重要になってきています。そのため、実際に使える翻訳サービスは限られているというのも実情。

ですので、当記事で紹介する翻訳サービスは3つだけです。この3つを押さえていれば、横断的に使っていくことでウェブサイトの多言語化も容易になるというものです。

主な無料翻訳サービスそれぞれの特徴は?

「無料翻訳サービス」には多くの種類がありますが、ここで紹介したいのは使いやすさや収録言語数の点で申し分のない性能と言える「DeepL」「Google翻訳」「Weblio翻訳」の3つです。

微妙なニュアンスまで翻訳できる「DeepL」

DeepL
現状、もっともスムーズで意訳が得意な翻訳サービスが「DeepL」でしょう。

DeepLはドイツ生まれの翻訳サービスで2017年にローンチされました。翻訳サービスとしては後発に生まれたサービスですが、精度の高さから怒涛のごとく世界中で広がりました。無料版でも5000字以内までは対応していますが、常時使用するなら有料版に移行してもいいくらい質の高いサービスです。

DeepL

無料翻訳サービスの定番「Google翻訳」


まず「Google翻訳」はGoogleの提供する世界最大級の無料翻訳サービスで、利用したことのあるという人も多いのではないでしょうか。無料でありながら、世界104カ国語に対応するメジャーツールで、言語数、翻訳能力、そして使いやすさ、翻訳のスピードともにトップクラスです。海外旅行先や外国人との簡単な会話で利用されることも多いですが、最大5000字まで入力できるので、WEBページや記事の翻訳などでも利用できます。その最大の特徴はなんといっても「使いやすさ」です。UIが他の翻訳サービスと比べてもわかりやすく、テキストを打ち込むと同時に翻訳が同時進行で進む「リアルタイム翻訳機能」、音声認識の精度の高さなど、とにかく使い勝手は抜群。その反面、若干文章構成力に難があることがあり、自然な文章を作るにはテキスト入力の段階で少しコツが必要な面があります

Google翻訳

アジア圏に特化して語彙が豊富な「Weblio翻訳」


そして3つ目は「Weblio翻訳」です。これはオンライン総合辞書として知られるWeblioが提供する翻訳サービス。この翻訳サービスはアジア圏に特化していて、扱う言語は日本語、英語、中国語、韓国語のみです。ただ、辞書サービスが提供するだけあって、その語彙の豊富さは他の追随を許しません。翻訳結果でわからない言語が出ることもありますが、その場合にはWeblio辞書で即検索できるなど、フレーズ、言い回し、語彙の豊富さが最大の特徴といえます。テキストの入力は4000字まで可能ですから、このサービスでもWEBページの翻訳などで問題はありません。

Weblio翻訳

無料翻訳サービスはどのように使うべき?簡単なコツを紹介

無料翻訳サービスの利用では、文章入力の際に少しコツが必要になります。数年前と比較しても翻訳精度はかなり向上してきているとはいえ、長い文章や言い回しの複雑な文章だと、文意は伝わっても不自然な文章に翻訳されてしまうことがあるからです。コツの1つは文章をシンプルにすること。日本語独特の言い回しである難解な敬語や婉曲的な表現などを避けて、シンプルな文章を入力した方が無難です。日本語の特徴としてどうしても長い文章が多くなることが多いので、できるだけ文を短く、語句を分けて翻訳する方が訳文の精度が上がります

そして、主語と目的語をハッキリさせた日本文を入力することも重要です。英語や中国語などでは日本語のように、主語や目的語が省かれた文章構成というものが基本的にありません。「誰」が「何」をどうする、といった文章構成になっているか、文章入力時にはできるだけチェックするようにしましょう。それから、動詞や形容詞などは、変わった表記ではなくオーソドックスな表記で、漢字があればひらがなではなく漢字表記で入力した方がうまくいくことが多いです。

主語と目的語をしっかり意識すること、形容詞や動詞はひらがなではなく漢字で表記すること、などに気をつけると、自然な訳文が作りやすいです。ちなみに「うれしい」を「ウレシイ」などと入力すると、「Ureshii」という英訳文が出たり、「私がうれしい」という表現が翻訳されなかったりという結果になりました。したがって、通常漢字で表記されるところは漢字で、カタカナや特殊な表記などがあれば通常の表現に変える、ということが、ツールを利用する上ではかなり重要です。

日本語を英語以外の言語に翻訳する時に
精度を上げるテクニック

英語以外の言語に翻訳したい場合は、直接日本語からその外国語に翻訳するよりは、英語からの翻訳の方が精度が高いといわれています。日本語と構成や文法が似ている言語は韓国語など、非常に限られた言語です。そのため、ドイツ語、フランス語、イタリア語などはもともと言語ルーツの近い英語からの翻訳の方が精度が高くなるのです。さらに、翻訳サービス自体も英語を中心にプログラムされているので、英語を起点にした翻訳の方が精度は高い傾向があります。たとえば、フランス語の文章に翻訳したい場合は、日本語入力から直接フランス語の翻訳を出すより、一度日本語から英語の翻訳を出したうえで、その英語訳からフランス語訳を出す方が、格段に精度の高い文章となるでしょう。

それから、英語訳であってもさらに精度の高い翻訳文を作りたいときには、再翻訳を繰り返す、という方法もおすすめです。一度翻訳してみた英語を、今度は日本語訳に再翻訳してみます。すると、できた日本文に少々不自然な部分や文意の変なところが見受けられるかもしれません。そこで、先ほどの注意点などを参考に、もう一度日本文を修正し、修正した文章を再び英語に翻訳するのです。こうすれば、英語に自信がなくても、かなり精度の高い英訳文にたどりつくことができるでしょう。

翻訳をプロに依頼するべきケース、
そのメリット・デメリット

これまで、無料翻訳ツールを使った翻訳方法について紹介してきました。ただ、翻訳ツールでもかなり精度の高い翻訳ができるようになっているとはいえ、翻訳する文章量が多い場合はかなりの負担になることも事実です。英語や中国語について自信がなければ、どれくらいの精度の文章に翻訳できたのかを見定めることも難しくなります。そこで、そういった手間をなくしつつ、より精度の高い翻訳文を作りたいのであれば、翻訳専門会社に依頼する、というのも選択肢の1つとなるでしょう。

翻訳専門会社には、多くの翻訳プロがいて、そうしたプロの中には人文系に強い人、農業系に強い人、といったように、さまざまな得意分野を持つ人が複数存在します。そうした複数のプロに翻訳会社は翻訳を手配するので、専門用語や長めの文章であっても、精度の高い翻訳文に仕上げてくれるのです。しかも、訳文を依頼しておけば、翻訳に必要な文書の制作や翻訳者の手配、DTPなどの編集、最終チェックと、すべての工程を一任できるのも大きなメリット。英語圏以外の言語で本格的なWEBサイトを自力で構築することは難しいですから、そのようなケースでも専門の翻訳会社は大きな味方となります

半面、こうした翻訳会社を使うことのデメリットはというと、料金がかかること、そして作業完了までの期間がある程度かかる、ということでしょう。料金については翻訳会社は定まった料金体系を明示しているところは少ないです。その理由は翻訳の専門性や難易度、データフォーマットや処理の種類などによって、料金体系が変わってくるためです。分量が多ければ料金は上がりますし、マニュアル文のように定型文の多い翻訳だと安くなります。したがって、料金に関しては翻訳会社に相談して判断するほかないでしょう。

期間については、これも依頼する訳文の分量やそれぞれの会社によって変わってきます。ただ、一般的に1人の翻訳者が翻訳できる量は1日で1500ワードくらい、とされているので、だいたい日本語で3000字ほどの文章なら1日で翻訳原案ができる計算となります。もちろん、その前に打合せや校正チェックなど、多くの工程が含まれますので、即日で翻訳が上がるということはなかなか難しいです。たとえば、WEBサイトを丸ごと翻訳したい、といった大型の案件の場合には、作業量やチェック工程なども含めて、2週間から1カ月ほどの期間はかかる、ということを想定しておいた方がいいでしょう。

上手に翻訳サービスを利用しよう

以上のように、簡単にWEBサイトやブログ記事などの翻訳文を作る方法について、無料翻訳サービスを使った方法などを中心に紹介してきました。やってみないうちは難しく感じるかもしれませんが、実際に取りかかってみると、英語や中国語などができなくても何とかうまくできたりするものです。中小規模の会社や店舗などでは多言語化サイトを構築しているところはまだまだ少ないので、海外からの需要を見込んでいる事業者にとってはチャンスでもあります。

短めの文章や、海外のお客様に伝えたい部分に限定して翻訳文を作るぐらいならば、無料翻訳ツールでも十分対応可能です。ほんの数年前と比較してもツールの翻訳精度は飛躍的に向上しています。ここで説明したような翻訳ツール利用のコツを踏まえつつ、自社のアピールにつながるような多言語対応の自社サイトを作って、たくさんのお客様にアピールしていきましょう。