マイクロソフトから、「Internet Explorer」を使っている場合、最新のブラウザー「Microsoft Edge」を使用するように案内がでています。「Internet Explorer」の独自開発が終わるということで、今後は「Microsoft Edge」が「Chromium」ベースのWebブラウザーとして開発が引き継がれていくようです。

Windows 10 においては、Microsoft Edge と Internet Explorer というふたつのブラウザーが搭載されていますが、弊社としましては、Internet Explorer との後方互換性が必要な業務 Web システムには Internet Explorer を利用いただき、Internet Explorer でなければならない場合以外は Microsoft Edgeをご利用いただくことを提案してきました。この考え方は今も基本的には変わりはありませんが、現在の Web アプリケーションが古いブラウザーである Internet Explorer 固有の機能に依存している状態であれば、そうした依存性を無くし、最新のブラウザーである Microsoft Edge で閲覧できるように見直していただくことを、今からご検討いただくようお伝えをしていくことが、私たちサポート チームの使命と考えています。
Internet Explorer の今後について

その他参考:Windows IT ProブログThe Mozilla Blog

「Internet Explorer 8」~「Internet Explorer 10」のサポートは2016年に打ち切られています。また、Win10の標準ブラウザーとして「Microsoft EDGE」が搭載されている今、通常のユーザーであればすでに移行はすんでいるのかなと思っています。「Internet Explorer 11」か「Microsoft EDGE」を使っているよ。という状態ですね。

TCDも例外ではありませんが、「Internet Explorer 11」か「Microsoft EDGE」からの対応を目途としています。また世間の多くのウェブアプリケーション開発者であっても、いまやIEの表示互換性をあまり考慮していないように思います。時代は変わっていきます。IE全盛の時代もあったなぁと懐かしく思いますが、今回一つの終わりが見えてきたという状況になったということでしょう。

ここ数年、WEBブラウザーに関わる開発を行っている業界ではIEがしぶとく生き残っている様子をよくネタにしていたものですが、私たちがここから学べることもあるのではと思います。人は変化を恐れます。大きな変化が起こる時のユーザー心理、動向として非常に興味深い点だと思います。情報感度の高い人ばかりであったとしても移行が一気に進むというわけでもなさそうです。

どれほどスマートフォンが便利だとメディアや周囲の人間が言っていても、実際に乗り換えたら「ああ、こんな便利なものだったんだ」という感想を言うようなものであっても。ガラケーのシェアが一定数残り続けていたというのも同じような事例のひとつでしょう。たとえレガシーなものであっても、置き換えられない、それでなくてはならない理由はさまざまな要因で存在して。それが安定性の高いシェアを占めるというところでしょうか。

皆を驚かせるような革新的な機能実装も一つの重要なビジネスモデルですが、既存シェアを持った旧仕様に馴染んだユーザーの未来をフォローする製品開発も忘れてはいけませんね。

現行のサポート状況

Windows 7/IE11 は2020年1月15日まで
Windows 8.1/IE11 は2023年1月11日まで
Windows 10/IE11 は2025年10月15日まで

Windows Server 2008 R2/IE11 は2020年1月15日まで
Windows Server 2012/IE10 は2023年1月11日まで
Windows Server 2012 R2/IE11 は2023年1月11日まで
Windows Server 2016/IE11 は2027年1月12日まで

新しくベースとなる「Chromium」とは?

「Chromium」の概要は「Google Chrome」のベースとなっているオープンソースプロジェクトの名称のことで、レンダリングエンジンの「Blink」であったり、JavaScriptエンジン「V8」など、さまざまなプロジェクトがその中に含まれています。現行の「Chromium」ベースのブラウザは本家の「Google Chrome」、様々な追加機能を持っている「Opera」、「Vivaldi」、「Kinza」、「Blisk」など、が有名どころとして存在します。

今回のIE終了で起こる変化は「Microsoft Edge」ブラウザが「Chromium」ブラウザーに加わるということになります。

そして何が変わるのか

WEBの世界においては「IEで崩れています!」というフレーズがなくなるということです。「Chromium」をベースしたブラウザでは使えるのに「Microsoft Edge」では利用できないというソースコードがなくなることで、「Microsoft Edge」で閲覧した時に見た目が変わってしまうというウェブサイトが大幅に減ることに繋がります。最新のWeb標準技術が同じように使えるようになる。というのはサービスを開発する側にとっては大変大きな変化です。対応しなければならないWebブラウザーが減って制作コストが下がる。利用者にとってはWebサイトごとにブラウザーの切り替えることなく閲覧できたり、表示が崩れて残念な気持ちになることも減ることでしょう。この悩みが軽減されるという話題は素直に喜んでいいものだと思います。

これからのインターネット

我々TCDのようにWordPressテーマを販売している事業者は複数存在します。お互い自分たちの商品にプライドを持ってより良い製品開発に臨んでいるわけですが、競合他社がいることで無意識に近いところで一番いいものを作ってやろうという気持ちが働いているわけです。思想などもバラバラですので、一緒に何かを作っているわけではありませんが、そういう風にしてそれなりに影響し合っている部分もあるんだと思います。

Chrome(Blink)/Firefox(Gecko)/Safari(WebKit)/Edge(EdgeHTML)

「Blink」は「WebKit」から派生した親戚関係にあるものですので、実質「Blink」の対抗は「Gecko」のみという状況。Mozillaの表明からもメッセージを受け取れますが、「Firefox」がChromiumではなくGeckoを採用し続けるのは決してビジネスのためではなく、インターネットとオンライン生活の健全性を保つべくGoogleと競合するためである。としています。

Mozillaの声明にもあるような、競合がいなくなるとその業界が健全でなくなるのか?という点においてはいろいろな意見があるかと思います。大手一社の場合であってもうまく社内で多様性を産み出し、歪まない製品作りを続けられている例だってなくは無いはずです。Googleの中身は知りませんが、たとえ1社になったとしても十分それでよかった。という場合もありうるだろうなと思います。

ただ単に厄介だったIEさんが居なくなりますよ。ということでなく、ひとつの節目としてこの出来事の意味を今一度考えてみるのも良い機会かもしれません。インターネットのこれまでの繁栄にIEが果たした功績はどれほどのものであったでしょうか。

ともかく、まだまだIEをメインで使っているよーという方は、残された期間に無理のないスケジュールで新しいブラウザーへの対応を行うように準備をすすめるようにしましょう。