情報には様々な分類方法が存在しますが、Webサイトを構築する上で「フロー情報」と「ストック情報」という見方でコンテンツを分けていく考え方は重要です。
本稿では「フロー情報」と「ストック情報」という分類について概要を説明しています。また、大半のWebサイトではストック型で情報が積み重ねられているため、あまりWebサイトに適さないといわれているフロー情報の取り扱いについても書いています。これまで意識をしたことがなかった方はこれを気にフロー情報の活用を意識をしてみてはいかがでしょうか。
「ストック情報」と「フロー情報」
フローは「流れる」という意味をもった言葉で、ストックは「蓄える」という意味をもちます。まずはそれぞれの特徴を解説します。
ストック情報
ストック情報とは、主に次のような情報となります。
・美味しいカレーの作り方
・メルマガの書き方
・日本の歴史
etc…
ストック情報はすでにある程度価値が確定している情報で時間の経過に影響を受けにくい特徴があります。料理のレシピやノウハウ、歴史の話題などはほとんどストック情報です。一部例外として期間限定の素材を使った料理レシピなど、再現不可能になるレシピはストック情報のように扱われることがあります。オウンドメディアなど資産型のWebサイトにおいてはストック情報を集めることで検索エンジンからの流入経路を確保しています。
但し、注意が必要なのはストック情報の数とアクセス数が比例して伸びていくわけではないことです。理屈としては比例していないと説明がつかないのですが、現実にはそうはなりません。考えられる有力な要因は、日夜増えていくページ(供給)と読み手側(需要)の変化でしょう。例えば、特定のキーワードで一定の流入があったとしても、ライバルがより良いページを追加・更新したりすれば、アクセスはそちらに流れる。その為、「蓄える」と言っても資産価値がどこでどう目減りするかは需要と供給によって日々変化しているということです。情報の価値も”諸行無常”なのですね。
このように色んな要素が複雑に絡み合っているため、ストック型のページを追加していくことでアクセス数が順調に伸びるサイトもあれば、伸び悩むサイトもあります。伸び悩んでいるサイトはどうすればいいのか。1つの解決策を示唆するのが「フロー情報」との併用です。
フロー情報
フロー情報とは、主に次のような情報となります。
- 今週の天気
- 日替わり定食のメニュー
- イベントやキャンペーン情報
フロー情報は一過性の情報なので、時間の経過によって価値が変化する情報と言えます。ニュースや時事系の問題、期間限定キャンペーンなどが代表的なフロー情報といわれるものです。SNSなど時事的な鮮度の高い情報をあつかう媒体において、フロー情報が主役になっています。
フロー情報のみで成立する多くのWebサイトは、リアルタイムに近い頻度で情報を発信し続けなければなりません。人海戦術も必要で、その分手間もかかります。その為、多くのWebサイトではストック型の運用に流れる傾向にあります。ただ、先程も言ったようにストック型で伸び悩んでいるサイトにフローの思想を吹き込むということです。それが有効な手段の1つであることをこの記事ではお伝えしたいです。
鮮度がウリのフロー情報、価値安定型のストック情報
Webサイトを資産とする為にフロー情報をメインに取り扱うべきというのは、それぞれの単語の意味を知らずとも想像できることかと思います。オリンピックネタのフロー情報はオリンピック終了(フロー情報の消費期限)後は過去の情報として扱われはじめ、その価値が感じられないものになっていきます。ストック情報は時事的な盛り上がりに欠けるものの、安定的な価値とニーズを持ち続けることが特徴です。
「フロー」と「ストック」は情報の取り扱い方で変化する
ストック情報にフロー情報を混ぜる
よくダメな例として挙げられる、情報が古くなっている印象を与えてしまう例についてです。
「朝起きるのがつらい季節になりましたが皆さんいかがお過ごしですか~」
「新たな元号を迎えた記念として、こんなことをやってみました。」
このような冒頭文から記事が始まってしまうと、ある期間を過ぎた時にユーザーに「古い印象」を与えてしまうのです。それがいくら良質なストック情報であっても、微妙なすれ違いを生んでしまう可能性もあります。冒頭分に時事的な情報を入れる時は注意した方がいいでしょう。
また、古い記事をリライトした時に「この記事は●●年●●月●●日に更新しました」と冒頭に入れたりすることもあります。これは公開日こそ古い記事であってもその情報の鮮度を保証するアピールをしている訳です。なんだそんなことかと思うかもしれませんが、その一文があることで通読率の上昇も見込めますので、リライトした時は更新日の記載をしてみることをおススメします。
フロー情報は手間を掛けることでストック情報にはないニーズにリーチし続けることも可能
フロー情報は時事性の高いニーズに対してストック情報よりも優位性が高いコンテンツですので、その旬が過ぎ去るタイミングを見計らって更新をすることで、鮮度のある状態を保つことができます。
Webサイトには先に書いたようにストック情報が向いているとされることが多いです。しかし、フロー情報がWebサイトに向いていないということでは決してなくて、単にしっかりと取り扱うことが難しいからストック情報が一般的に奨められているだけなのです。フロー情報だけであっても日々更新し続けるのであればストック情報ばかりのサイトとは異なる魅力を持ったメディアになることができます。
フロー情報からストック情報に誘導する導線をつくる
フロー情報は旬のタイミングを見計らうことで、通常のアクセス数より多く集めることができます。なので、注目を集める起爆剤としてフロー効果を取り入れることも有効な手段です。
例えば、フロー情報としてオリンピックの試合内容や結果を記事にする一方で、ストック情報として別ページに種目ごとに深く掘り下げた論考を用意する。フローで流入元を広げ、ストックで定着させる。そういった流れを確保することで、そのジャンルにおいての影響度を上げていくわけです。
しっかりと手間を掛けられる場合はフロー情報にこそ手を掛けよう
このサイトは鮮度の高い情報が豊富にあるとユーザーに認識されると、ブックマークなど直接的なアクセスの増加を見込むことができます。
▼参考:懸賞生活
https://www.knshow.com/
▼参考:気象庁地震速報
https://www.jma.go.jp/jp/quake/
この情報を得るならこのサイトという認識付けにはフロー情報に力をいれて運用をするほうが近道です。情報はスピードが命という言葉もありますが、どんどん新しい情報が産まれ続ける世の中、その情報を掲載し続けることでストック情報ではリーチできない集客効果が期待できます。フロー情報はフロー型SNSにシェアされることも多く、SNSからのアクセス流入が期待できます。
ストック型の運用をしている方こそ
フロー型のサービスへ進出しよう
サービスの特徴を理解した上で活用することでより効果的な発信が可能になります。フロー型のサービスとされるもの(LINE、twitterなど)には鮮度の高いフロー型の情報を求めているユーザーが集まっていて、ストック型のサービスとされるもの(Webサイト、ポッドキャストなど)には調べもの目的などストック情報を求めるユーザーが集まります。
フロー型のサービスにはフロー情報を短文で、ストック型のサービスにはじっくり読み応えのあるストック情報を詳細に発信することでより多くのユーザーに効果的な情報発信が可能になります。Webサイトを更新したからその更新情報をSNSにも自動投稿しておこうといった感じの運用を目にすることも多いのですが、そのようなWebサイト運用では、狙い通りの集客に至っていない可能性があります。サービスの型に応じた展開を検討してみると一気にアクセスが集まりだす可能性がありますので、それぞれのサービスにあった投稿方針への変更をおススメします。
フロー型の情報を好む人がストック型の情報を求めていないわけではありません。求めるシーンの変化によってストック型の情報を求める時もあります。最近のユーザー動向の変化で検索をしないユーザー(instagramのハッシュタグで知った情報を深堀りする)が増えているといわれています。いままでストック情報を待ちの姿勢で充実させてきたサイト運営者は攻めのフロー情報運用についても考えていくと、それだけで面白い展開が期待できそうです。