Webサイトを作る上で、最初に決めることになる「ドメイン」。Webサイトの存在そのものでもありますが、本稿ではそのドメインについてSEOへの影響と管理方法について考えていきます。

まず基本的な考え方として「ドメインは永続的に維持していたほうがいい」ということです。ドメインはそのコンテンツの名前であり、住所のようなものです。現在はドメインパワーといわれるように、紐づいたコンテンツの質というようなところをドメインに対して評価している状態です。

リダイレクトの設定である程度そのドメインパワーの受け渡しができるとはいえ、アクセスする人の認知、イメージなどはそう簡単に取り扱うことができません。大きくイメージを変えたいということであったり、何かの要因で必要な場合は変更するという選択肢もあるのかもしれませんが、あまりオススメできるものではないでしょう。

ドメインの変更をおススメしないということは、ブログサービスを使っているような、先々ドメインの変更が必要になるであろう運用もオススメできないということです。いつか来るかもしれないサービス終了のタイミングで裸一貫、世の中に放り出されることになったとしても、それは予想できる未来ですので、今の内から独自ドメイン運用を検討しておくのは悪くない選択だと思います。

ドメイン(URL)永続化のすゝめ

ドメインの変更まではいかずとも、ある程度大規模なリニューアルになるとURLの変更が話題に挙がることも少なくありません。ブランド名の変更、年度終了による表記変更、企業の合併買収による変更などドメイン、URLの変更はそんなに珍しくないことのようにも思います。

とはいえ、今のところ一度作成したページのURLを変更するということはやはりオススメはできません。まったく同じコンテンツとして存在し続ける場合であっても、その評価自体は既存ドメイン、URLに対して行われているわけです。

一度公開して検索エンジンにインデックスされたURLは、存在し続ける限り永続的に運用することをおススメします。

ドメイン(URL)永続化の重要性

被リンクの記事にも書きましたが、Webサイトの運用をする上でURLに対して築き上げた被リンク資産はとても価値のあるものです。運営者が把握することができないリンクも無数に存在するでしょう。リダイレクト設定をバッチリするから大丈夫という方もいるでしょうが、これまでの経験上、ドメインの変更がSEO、検索順位の維持、向上につながることよりも、やや下落の傾向にある印象があります。

ドメイン変更を推奨している立場ではないのであまり事例も多くなく、実際本当にそこまでネガティブなのか?と言われると判断は難しいのですが、そんなことに悩むまでもなく、変更しないというスタンスでいるほうがよいと思います。

インターネットは網目状にさまざまな情報がつながることでその存在意義を高めています。廃止にしたいコンテンツなどあるかもしれませんが、古いコンテンツ自体にも価値があると考えた方が、インターネットの発展においてもよいことなのかもしれません。最近ふと数十年前のテーブルレイアウト全盛期のWebコンテンツを拝見する機会がありました。当時は真剣にそういうコンテンツを産み出していたわけですが、今見るからこそ感じる視点、学びも大変多かったと思います。

阿部寛ホームページ

インターネットの歴史が感じられる「阿部寛のホームページ」

簡単に削除できたりするものだからこそ、何十年と残り続けているということに対して意味を感じられるのかもしれません。レガシーなものが持つ魅力というのは、数値で語る以上に人間の感性に対して価値があるのかもと思った次第です。

ドメイン(URL)永続化させるべきSEO観点からの理由

消しても影響が少ないと思っていた記事も意外と意味があったりするので、本当に不要な記事だと判断することは難しいのかもしれません。

コンテンツの全体評価としてあまり意味をなしていない記事を消したりすることを検討しているのでしたら、削除するよりもno index,no followをヘッダーに設定するなどした方が予期せぬマイナスは産まないのではと思います。

評価が蓄積されているURLを捨てる行為である

少なからず、インデックスされたこと時点からこれまでにおいて存在したこと。というのもSEOに関してプラス要素があるようです。古く、間違った情報になっているようだと、補足として新しい情報に適応する更新作業は必要ですが、ユニークなどこにでもない情報の場合、Webサイトの権威性や信頼性の向上に一役かっている可能性が高なります。昔から存在するメディアとして利を捨てないように大切に運用したほうがよいでしょう。

SNSからの拡散リンクなどそのURLだからこそ、存在する価値もある。

キュレーションサイトにまとめられていたり、各SNSサイトから記事コンテンツへのリンクが流れていたりしますが、SNSのツールなどを使って、他サイトにOGP情報などを活用した埋め込み機能が存在します。これらの情報はリンク後のリダイレクト設定を行ったとしても参照する情報がきえてしまったりする(埋め込み情報を表示しているサイトにおいてはNOIMAGESとなったり、記事がなくなったことになる)ため、安易にURL変更を行ってしまうと影響がでてしまいます。

どうしても消す場合はリダイレクト設定を忘れずに

ページの存在を削除する場合は適切なリダイレクト設定を行って、内部リンク、外部からの流入に対して404ページを返さないように対応を行いましょう。リダイレクト設定の間違った使い方の例として、遷移先を用意していない場合に異なる内容のページへリダイレクト設定をしていたり、多くの削除ページを一律で同じURLにリダイレクトさせていたりすることがあります。多段階のリダイレクトを設定しているのも好ましくありません、たとえば●●●.com/website-2017/からリダイレクトして●●●.com/website-2018/いたところさらにリダイレクト設定を行い●●●.com/website-2019/に移動させるなどすることです。

リダイレクトには種類もあります。それぞれのリダイレクト種に関しては以下のページをご覧ください。

また、どうしてもドメインを変更したい場合はこちらの記事を御覧ください。TCDが10年間使い続けたドメインを移行した実録記事です。ドメイン変更の対策になるかと思います。

削除するコンテンツを産まない
Webサイト設計をしておこう

ハイシーズン限定のコンテンツ(季節のバーゲンセールページや期間限定のイベントページなど)を作る場合、そのドメイン、URLの設定に計画性をもちましょう。繰り返し行うイベント用のページを作る時に安易に年号などを入れたURLを産み出してしまうと、うまくページを残したりすることができなくなることがあります。終わったら削除したらよいということではなく、●●●.com/summer-special/や●●●.com/web-contest/といった扉を用意して配下ページとして各年のものを用意したり、ページ自体を更新する方法を取った方が同じURLに対して評価を蓄積することができるでしょう。

家電メーカーのWebサイトを参考にしたらイメージがわきやすいかもしれませんが、過去商品の取り扱いにおいて、しっかりと情報を残しつつ運用されていることが多いように思います。もはや取り扱いが終わったような商品であってもしっかりと当時の情報を残しているし、残す設計になっているのだと思いますが、信用、信頼性の構築の為にも無視できない視点だと思いますね。

Webサイトの制作に携わり、設計を行うポジションの人、SEO担当者などがドメイン、URLの永続化を意識することで、網目状に張り巡らされたインターネットの利点を、さらによりオモシロいものに発展させられるのかもしれません。

産み出したURLは残し続けるということ。少し意識してみてはいかがでしょうか。
そのページに対する評価はユーザーに委ねてもよいと私は思います。

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