2021/05/27*情報を更新いたしました。
2022/01/11*情報を更新いたしました。
2020年8月19日に当サイトは10年間使っていたドメインを新しく変更しました(※新ドメイン(tcd-theme.com)に移行しました。)。
長く使っていたドメインだけにある意味で賭けの勝負でもありました。そして、半年が経過しましたので、ドメイン変更に対してやったこととその結果をシェアしたいと思います。ドメインを変更したい人の参考に少しでもなればと思います。
目次
ドメイン移行の損失
本題に入る前に、ドメイン移行によって起こりうる損失について記しておきます。一般的には次の影響があると言われています。
- 被リンク
- ドメインパワー
- 検索エンジンの評価
この3つはすべて繋がっています。コンテンツの評価はドメインに紐付けられていると考えられるため、新ドメインへの移行はこれまでの蓄積を捨てる行為に等しいということです。
ゆえに下記でも述べていますが、ドメインは永続化する前提で利用する方が得策です。
Webサイトを作る上で、最初に決めることになる「ドメイン」。Webサイトの存在そのものでもありますが、本稿ではそのドメインについてSEOへの影響と管理方法について考えていきます。 まず基本的な考え方として「ドメインは永続的に維持していたほうがいい」ということです。ドメインはそのコンテンツの名前...
ドメインを変更した経緯
にも関わらず、なぜドメインを変更したのか。1つ大きな理由は以前のドメインが「サービス名と関係なかったから」です。
前: https://design-plus1.com/tcd-w/
今: https://tcd-theme.com/
なぜ、サービス名と関係ないドメインを使ってたかというと、手持ちのドメインの下層に適当にアップしていたからです。サービスが伸びると思ってなかったので、新たに取得コストをかけるのもどうなんだろうと考えたのだと思います。
けれどそうこうしている内に、サービスが成長してきたため、そろそろ変えないと→ドメインパワーなくなるの嫌→でも変えないと・・・をグルグルと回っていたと。開発に集中している間にドメインを変える機会を失ってしまっというのが正直なところです。
では、なぜ10年間も放置したドメイン問題を解決できたかと言うと、スタッフがいつの間にか変えてしまったからです。
ある日ドメインが変わってることに気づいた私は驚いてスタッフに電話をしました。すると、「変えてって言いませんでした?」と言われました。確かに「あのドメインはいつかは変えなければならない」というような話はしていた。でも、いつ変えるとか、その後の流れとか具体的なことは何も話し合ってない。だから、ドメインが変わる動きをするとは思わないし、心の準備もできていない。
だけど、眼の前には念願のドメイン変更が叶った現実もある。いや、変わってしまったものはしょうがない。逆にチャンス?
そう思って、スタッフを一瞬叱りつけてしまったものの(申し訳ない)、即座にドメイン変更を前向きに捉え、事後的な必要設定に目を向けるようにした。
幸いにもブログサービスの「note」さんが行ったような「決死の覚悟でのぞんだドメイン移行」にならなかったのはよかった。
だから結論を言うと、ドメインを変えてよかったです。
ドメイン変更で、想定外のこと(リスティング広告のパフォーマンス低下)は起こりましたが、その他は想定の範疇。事前準備・事後対策を行えば、大きな問題はないことが身を持って知れました。
というわけで、今回のドメイン変更でやったこと、起こったことをまとめておきます。
ドメイン変更前にやったこと
スタッフは下記の準備を抜かりなく行った上でドメイン移行にたった一人で臨みました。優秀です。
301リダイレクト
SEO評価を失わないようすべて301リダイレクトを行いました。現在は301でも302でもリダイレクトを行っている限りは評価を引き継ぐ模様。以下参考記事。
・リダイレクトとSEO評価の関係とは? 種類や設定方法まで解説!
https://wacul-ai.com/blog/seo/internal-seo/redirect-seo/
・グーグル公式「301リダイレクトは1年経ったら外していいよ」発言の真意とは?
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/01/25/31633
リダイレクト設定は必ずやらないといけないものです。
内部リンクの書き換え
内部リンクを絶対パスで記述している場合、URLの書き換えを行わなければいけません。記事量が多いので、こちらのプラグインで一括置換しました。
サイト内の特定のキーワードやURLを一斉に変更したい際に便利なプラグイン「Search Regex」ですが、2020年9月現在、最新バージョンでも(一部の条件下で)エラーが発生してうまく使えないようです。 本稿では、ほぼ同じ機能の代替プラグインをご紹介いたします。 「Search Regex...
サテライトサイトのリンクの書き換え
サテライトサイトから当サイトへのリンクを新ドメインのものに差し替えました。
広告出稿先に新ドメインを告知
広告出稿先のメディアに新しいドメインに変わったことを知らせました。GoogleやFacebook広告などもしかり。これをやらないと広告が停止します。
別ドメインだった自社サイトを一部統合
これは当社特有の対策なので参考にならないかもしれませんが、メインサイトのドメインを強化するため(1点への集約も目的とした)、関連サイトを新ドメインに統合しました。
移行直後に起こった変化
ドメイン変更後に起こった2つの変化をまとめました。1つ目はネット上でも出ている情報、2つ目はおそらくネット上には出ていない情報。計測期間は次の期間を比較しました。
ドメイン移行前: 2020/7/20-2020/8/18
ドメイン移行後: 2020/8/19-2020/9/17
1. 検索流入数は36.74%減少
検索流入数は直近30日間で比較すると36.74%減少しました。但し、これは想定の範囲内で、むしろ健闘したほうかもしれません。
2. リスティング広告のデータがリセット。広告費が169%に上昇
Google広告は仕組み上、データを蓄積してどんどん賢くなっていきます。商品に興味のある人や買ってくれる人に対して広告を何度も出すからです。この属性の人は何度目の表示で買うとか、そういうことも理解した上で露出していきます。
理解の精度もデータの蓄積量で変わってきます。データはコンバージョン値を安定させる鍵です。
そのデータがドメイン変更により、リセットされます。そうすると羅針盤が狂ったかのように、興味のない人、買ってくれない人に広告が表示されるようになる。広告費は膨れ上がり、コンバージョン単価は高止まりするのです。
直近30日間で比較すると広告費用は169%、コンバージョン単価は192%に上昇しました。データが溜まるまでは、重複キーワードの削除やCPAを下げるなどの調整で乗り切りました。
新ドメイン移行後にやったこと
新ドメイン移行後にやったこと、今後やること。
記事の更新数を増やす
新ドメイン移行後、意識的に新記事の投稿、既存記事の修正を行いました。実際にどの程度の効果があったかは検証できておりませんが、有効な対策でしょう。
一定期間元サイトと旧ドメインを残す
旧ドメインを削除する時期は、リダイレクトの兼ね合いで一定の猶予を設ける方が良いです。当社では3-5年ほど残す予定。
Google広告の調整
広告費の高騰対策として、1日の予算とCPAを下げ、キーワードの調整を行いました。また、既存顧客と類似顧客にアプローチするカスタマーマッチの導入も必須です。
Google広告には、自社の顧客リストに対して広告を表示できる「カスタマーマッチ」という機能があります。 顧客リストを管理画面からアップロードするだけでオーディエンスが出来上がります。そのオーディエンスに対して適切に広告を表示させます。 顧客リスト(E-mailや携帯番号)が潤沢にあるの...
オーガニックサーチの回復傾向
2020年7月の検索流入数を100とすると、このような経過をたどりました。
年月 | 自然検索数 |
2020年07月 | 100 |
2020年08月 | 89.85 |
2020年09月 | 59.56 |
2020年10月 | 87 |
2020年11月 | 94.71 |
2020年12月 | 92.26 |
2021年01月 | 103.93 |
2021年02月 | 116.01 |
2021年03月 | 136.61 |
2021年04月 | 127.32 |
ドメイン変更の影響で検索流入が約3ヶ月ほど減っていることがわかります。しかし、4ヶ月目以降はほぼ旧ドメインの時と同じ数値に戻っています。
これはあくまでも当サイトの結果であり、どのサイトでも同じ結果になるとは限りません。ですが、ドメイン変更がそこまで大きな影響を及ぼすわけではないことがわかります。
半年経った現在
ドメイン変更前と現在とを比較すると、あらゆる数値が上昇しています。「ドメインを変更したから上昇した」という因果関係があるわけではないですが、ドメイン変更によって生まれた損失はなくなったとは言えます。
UU → 113.92%
PV → 117.06%
結論:ドメイン変更は過度に恐れる必要なし
当サイトのドメイン変更から学んだことをまとめるとこうなります。
- 検索流入数は約3ヶ月間、減少。
- 一時的にリスティング広告のパフォーマンス低下。
- ドメインパワーの回復は意外と早い。
長くサイトを運営していると、ドメインを変えたくなることもあるでしょう。過度に恐れず、入念な準備を行えば、特にその後大きな影響もありません。むしろ、変えたいドメインに変更できたことのメリットの方が大きいと考えます。
きちんと事前準備を行った上でドメイン変更してみてください。
追記:後にわかったこと
移行前に気になっていたことの一つに「はてなブックマーク」があります。旧ドメインでは各下層ページで多くのブクマをもらっていたため、移行後になくなってしまうことが1つの気がかりだったのです。ただ、特にこちら側で設定しなくても、ブクマ数は維持しているようです。
>> [B! wordpress] WordPressの使い方大全集 | ワードプレステーマTCD
調べてみると、リダイレクト設定ができていれば自然と新URLとエントリーが統合されるようです。
サイト側で必要な設定(ブックマーク・コメント一覧統合の条件)
コメント一覧ページが統合されるには条件があります。
条件を満たされていない場合、サイト様にて設定いただく必要があります。条件については、以下の通りです。
link[rel=canonical]タグが適切に設定されており、その指定されたURLが有効な場合
HTTPステータスコード301および308によるリダイレクトをしており、リダイレクト先が有効なURLの場合出典:URLが複数存在する同一ページでコメント一覧ページが分散する仕様を、統合されるよう変更します – はてなブックマーク開発ブログ
合わせて読みたいドメインの知識シリーズ
第1回:ドメインとは?
第2回:ドメインサービス会社の比較
第3回:ドメインの決め方
第4回:ドメイン売買の仕組み
第5回:ドメインパワーのチェックツール
第6回:ドメイン移行のデメリット(当記事)
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