WordPressサイトを快適に動作させるには、ディスク容量の適切な管理が欠かせません。しかし更新を重ねていくと、知らず知らずのうちに容量が肥大化し、パフォーマンスの低下や予期せぬエラーを引き起こす場合があります。
特に、写真や動画などのメディアファイルを多く扱うサイトでは顕著です。
この記事では、WordPressのディスク容量を手間なく確認する方法をはじめ、容量が増えてしまう原因とデメリット、最適化のコツを詳しく解説します。
WordPressサイトのディスク容量を適切に管理したい方、サイトのパフォーマンスを最大限に引き出すための知識を身につけたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
WordPressのディスク容量とは
WordPressサイトを公開すると、データはサーバーのディスク上に保存されます。
ディスク容量(SSD)とは、Webサイトを構成するすべてのファイルやデータが占める記憶領域の総量です。
該当するものはさまざまです。
- WordPressのコアプログラムファイル
- テーマやプラグインのファイル
- サイトにアップロードされた画像や動画などのメディアファイル
- 記事やコメントなどのテキスト情報
- データベース情報
ディスク容量は、レンタルサーバーの契約プランによって上限が定められています。超過すると、新たなファイルのアップロードができなくなったり、サイトの表示速度が著しく低下したりするなどの問題が生じます。
したがって、サイトの規模やコンテンツ量に応じて、適切な容量を確保しなければいけません。
WordPressのディスク容量は2つの要素から構成される
WordPressサイトのディスク容量は、ファイルとデータベースによって構成されています。どちらか一方が肥大化している場合もあれば、両方が同時に増加している場合もあります。
ディスク容量の肥大化を防ぎ、サイトのパフォーマンスを維持するには、2つの要素がそれぞれどのようなデータを保持しているのか把握しなければいけません。
ここでは、ファイルとデータベースをそれぞれ詳しく解説します。
ファイル
WordPressのファイルは、Webサイトを構成するプログラムやメディアデータ全般を指します。WordPress本体のコアファイル群、サイトの見た目を決めるテーマファイル、機能を追加するプラグインファイルなどさまざまです。
WordPressがインストールされているサーバーには、該当するファイルがそれぞれ格納されています。
また、記事に挿入する画像や動画、PDFファイルなど、ユーザーがアップロードしたすべてのメディアファイルも該当します。

WordPressのメディアファイル
これらのファイルは、サーバーのストレージ領域に保存される仕組みです。そのため、サイトの規模が大きくなり、コンテンツ量が増えるにつれてディスク容量も大きくなっていきます。
データベース
WordPressのデータベースは、Webサイトの動的なコンテンツを格納する場所です。ブログの記事本文やコメント、カテゴリーやタグといった分類情報、ユーザー情報、各種設定データなどが保存されます。

データベースに格納されている動的ファイル
主な格納データは、以下のとおりです。
- wp_comments(コメント・トラックバック・ピンバックデータ)
- wp_options(プラグインの設定情報などの詳細データ)
- wp_postmeta(記事のメタデータ)
- wp_terms(カテゴリやタグの語句)
- wp_users(ユーザーの情報)
WordPressは訪問者がアクセスした際に、データベースから必要な情報を読み込み、Webページを生成して表示します。ファイルとは異なり、管理システムによって動作しているのが特徴です。
したがって、記事数が増えたりコメントが多く投稿されたりすると、データベースの容量は徐々に増加していきます。
WordPressのディスク容量を手間なく確認する方法
WordPressのディスク容量は、管理画面にある「サイトヘルス機能」を利用すると簡単に確認できます。
手順は、以下のとおりです。
- 管理画面の左メニューから「ツール」を選択
- 「サイトヘルス」をクリック
- 「情報」タブを展開
- 「ディレクトリとファイルサイズ」から確認
「ディレクトリとファイルサイズ」では、WordPressのインストールディレクトリが占める容量がそれぞれ表示されます。
サイトヘルス機能の活用は、レンタルサーバーにわざわざログインしたくない、WordPress上から容量を確認したい場合に最適です。
WordPressのディスク容量が増える原因
WordPressのディスク容量が増える原因は、以下のとおりです。
- サイズが大きいメディアファイルのアップロード
- データベースの肥大化
- バックアップファイルの蓄積
- 不要なプラグインやテーマが多い
- キャッシュファイルの蓄積
それぞれ詳しく解説します。
サイズが大きいメディアファイルのアップロード
WordPressのディスク容量が増える原因は、サイズが大きいメディアファイルをアップロードしているためです。特に、高解像度の画像や長時間の動画ファイルは、サーバーの容量を大幅に消費します。
たとえば、iPhoneで撮影した画像1枚あたりの容量は1~1.5MBほどです(HEIF形式の場合)。
Webサイトに表示するだけなら、そこまでの解像度は必要ない場合がほとんどです。事前に圧縮やリサイズを行わないと、ディスク容量は膨れ上がっていきます。
データベースの肥大化
データベースの肥大化も、ディスク容量を増加させる原因です。
データベースには、記事の本文やコメント、リビジョン(投稿の編集履歴)など、さまざまなデータが蓄積されます。特に、記事を頻繁に修正したり、多くのコメントが寄せられたりするサイトでは、リビジョンやスパムコメントが知らないうちにデータベースを圧迫している場合があります。
また、キャッシュ系のプラグインは、動作ログや一時的なデータを大量に書き込む性質を持ちます。そのため、利用状況によってデータベースの容量が増加しやすいです。
バックアップファイルの蓄積
バックアップファイルの蓄積も、ディスク容量を大きく占める原因です。
WordPressのバックアップは、サイトのデータとデータベースの両方を含むため、ファイルサイズが大きくなる傾向があります。
筆者が運営する恋愛系の情報ブログ(計72記事、画像104個、プラグイン17件)を、プラグイン「BackWPup」でバックアップしたところ、ファイルサイズは421MBでした。

BackWPupでバックアップしたファイルの容量
自動バックアップを設定していたり、手動で頻繁にバックアップを取っていたりすると、ディスク容量が膨れ上がるスピードが速くなるので注意が必要です。
不要なプラグインやテーマが多い
不要なプラグインやテーマが多いと、WordPressのディスク容量が増加しやすいです。
プラグインやテーマは有効化していなくても、インストールされている時点で該当するファイル群がサーバーのディスク領域を消費します。特に、多機能なプラグインやデザイン性の高いテーマは、多くのファイルやアセットを含んでいるため、容量が大きくなりやすい傾向です。
キャッシュファイルの蓄積
Webサイトの表示速度を向上させるために利用されるキャッシュファイルも、WordPressのディスク容量を増加させる原因です。
キャッシュプラグインやサーバー側のキャッシュ機能は、訪問者がアクセスしたページのデータを一時的に保存し、次回以降の表示を高速化します。しかし、これらが蓄積され続けると、ディスク容量を圧迫する可能性が高まります。
特に、コンテンツの更新頻度が高く訪問者が多いサイトでは、キャッシュファイルの生成量が多くなりやすいため注意が必要です。
WordPressのディスク容量が肥大化するデメリット
WordPressのディスク容量が肥大化するデメリットは、3つあります。
- サイトの動画が遅くなる
- エラーが発生しやすくなる
- セキュリティリスクが高まる
それぞれ詳しく解説します。
サイトの動作が遅くなる
WordPressのディスク容量が不足したり、不要なファイルで圧迫されたりすると、Webサイトの動作が遅くなります。
サーバーはサイトの表示に必要なファイルをディスクから読み込み、処理を行ってからユーザーに送信します。したがって、ディスク容量がいっぱいになると、ファイルの読み込み速度が低下するため、サーバー全体の処理能力は落ちていく一方です。
その結果、ページの読み込み時間が長くなり、訪問者はストレスを感じてサイトから離れてしまう可能性があります。

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エラーが発生しやすくなる
ディスク容量の不足は、WordPressサイトでエラーが発生する確率を高めます。
たとえば、新しい記事を投稿する際に画像がアップロードできなかったり、プラグインの更新が途中で止まったりするケースです。
これは、新しいファイルを保存するための領域を、サーバー上に確保できないために起こります。
また、データベースの肥大化が進むと、データベースへの書き込みや読み込み処理が遅延し、データベース接続エラーやタイムアウトエラーが発生する可能性も高まるでしょう。
セキュリティリスクが高まる
WordPressのディスク容量が不足すると、WordPress本体やプラグイン、テーマのアップデートファイルを保存できなくなり、脆弱性が修正されないまま放置されるリスクが高まります。
バックアップも正常に作成できないため、復旧が困難です。
また、アクセスログやエラーログ、セキュリティプラグインが出力する監視ファイルなども保存できません。これにより、不正アクセスやマルウェア感染の兆候を検知できなくなり、被害の拡大につながる恐れがあります。
WordPressのディスク容量を最適化するコツ
WordPressのディスク容量を最適化するコツは、以下のとおりです。
- 容量の目安を把握する
- 不要なものを削除して容量を減らす
- サーバーのディスク容量をアップグレードする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
容量の目安を把握する
WordPressサイトにおけるディスク容量の目安は、1ページあたりのデータサイズをもとに計算しましょう。
一般的なWebサイトの場合、数多くの画像を挿入したテキストベースの記事を投稿しても、1ページのファイルサイズは3MBほどです。
記事『簡単な設定で定期的に自動でバックアップをとってくれるプラグイン「BackWPup」』のファイルサイズを、ウェブページファイルサイズチェックツール(無料)で計測してみたところ、トータルで2.15MBでした。
同様の記事を100本投稿すると200~300MB、1,000本なら2~3GBほどとなるため、10GBもあれば難なく運営できるでしょう。
なお、人気のレンタルサーバーが提供するスタンダード(ベーシック)プランは、平均して400GBのディスク容量です。
- エックスサーバー・・・スタンダードプラン 500GB
- mixhost・・・スタンダードプラン 無制限
- ロリポップ・・・ベーシックプラン 450GB
- さくらのレンタルサーバー・・・スタンダードプラン 300GB
- ConoHa WING・・・ベーシックプラン400GB
したがって、高画質な画像や動画を取り扱うサイトでないかぎりは、上位プランを検討する必要はないでしょう。
不要なものを削除して容量を減らす
WordPressのディスク容量を効率的に利用するには、不要なものを削除する必要があります。
たとえば、使用していないテーマやプラグイン、メディアライブラリ内の不要な画像や動画などです。記事のリビジョンやスパムコメント、ゴミ箱内のデータなども、こまめに削除しましょう。
データベース上の不要なデータを、安全かつ手軽にクリーンアップしたい場合は「WP-Optimize」がおすすめです。

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不要なファイルの蓄積は、データベースを肥大化させます。定期的にクリーンアップすれば、ディスク容量を適切に保てるでしょう。

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サーバーのディスク容量をアップグレードする
WordPressサイトのディスク容量が肥大化してきたら、上位プランへのアップグレードも検討しましょう。容量がギリギリの状態でサイトを運用し続けると、パフォーマンスの低下やエラーが発生するリスクが高まります。
不要なものを削除しても適切な容量を確保できない場合は、ディスク容量をアップしてください。
ご利用中のレンタルサーバーアカウントにログインすれば、希望するプランに変更できます。
サーバーのディスク容量を適切に保つと、稼働を安定させられるほか、コンテンツの追加や機能の拡張を自由に行えます。
まとめ
WordPressのディスク容量は、Webサイトの健全な運営とパフォーマンスに直結します。不要なファイルを放置すると、表示速度の低下やエラーの発生、セキュリティリスクが増加する可能性があります。
容量の適切な管理を行い、必要に応じてアップグレードすれば、WordPressサイトの快適性を保てるでしょう。
訪問者にとって、使いやすいサイト環境を目指してください。
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