インターネット上にはあらゆる業界で「プラットフォーム」が台頭しています。プラットフォームとは、楽天市場やZOZOTOWNのようなインターネットショッピングモールのことです。プラットフォームが扱う商品は広範囲で、モノだけでなく、サービスやデータ商品も扱います。

本稿では、プラットフォームに依存したECサイトに未来はない、という話と自社ECサイトの育成の重要性について解説します。

Web集客が弱い業界ほど
プラットフォームが存在感を増す

美容(ホットペッパービューティー)、飲食(ぐるなび・食べログ)、アパレル(ZOZOTOWN)、ホテル宿泊(じゃらん)、通販(楽天市場・Amazon)、求人(リクルート)。

上記はプラットフォームが台頭している業界一部です。これを見て何を思うでしょうか。ここに共通項を見出すなら、参入企業(お店)がWeb集客に弱い点です。リクルートが進出する分野はマーケティングが遅れている市場に特化しているとも言われますが、そうした分野でこそプラットフォームは影響力を持ち、コンテンツを生み出す側(コンテンツホルダー)がそこに依存する関係が生まれやすいのです。

割高な集客手数料になる

販売や集客を請け負ってくれるプラットフォームの存在は、販売側から見ると便利で魅力的に映ります。実際にホットペッパービューティーがないと集客が立ち行かないというサロンも数多くあります。ただし、そうした影響力の強いプラットフォームほど出店料や広告費が高額になりがちです。

例えば、ZOZOTOWNの場合、実質的にかかる手数料は売上の約30%と言われています。30%も手数料を支払っていては利益は大幅に削られてしまいます。手数料率は実際の価値に見合う料率とは限らないのです。なぜなら、料率に一番大きく影響する要因はプラットフォームとコンテンツホルダーの力関係だからです。プラットフォームの方が力関係が上なら料率も上向きになりがちなのです。

では、プラットフォームから撤退すれば良いという話になるのですが、ほとんどのお店はできません。なぜなら、選択肢がないからです。出店しなければ商売が成立しない、あるいは経営が傾くといった状況であれば、手数料が高額だったとしても、受け入れるしか選択肢がないためです。「ZOZO離れ」したオンワードHDやライトオンなども自社ECサイトが好調だったから出来たわけです。

低価格競争に巻き込まれる

高額な手数料を支払って利益率が下がるだけではありません。そこから低価格競争にも巻き込まれることになります。次の2つの理由からです。

  • 比較検討が簡単
  • 顧客が他に流れやすい
  • 割引イベントに参加しなくてはいけない

プラットフォーム内で少しでも目立つためには、時にお得感を打ち出す必要もあります。低価格競争に引っ張られることがブランドイメージを毀損し、進化のスピードを遅らせていることに、コンテンツホルダーは気づかなければいけません。プラットフォーム内で販売を行うとどうしてもライバルとの表面的スペックによる比較検討の場に晒されるので、価格競争から逃れることは難しいと言えるでしょう。

コアなリピーターになりにくい

さらには、リピートしにくいという点があります。プラットフォーム上で来店した顧客は、自社の顧客ではなく、プラットフォームの顧客です。理由はポイント還元や会員限定の特典などの仕組みが用意されているからです。ホットペッパービューティーの顧客は美容室の顧客ではなく、ホットペッパービューティーの顧客なのです。

もちろん、サービスの満足度が高ければ再来店の可能性もありますが、プラットフォーム経由の成約が変わらない限りはいつでも手軽に乗り換えられると思っておいたほうが良いでしょう。

プラットフォーム依存度が高まる仕組み

プラットフォームに集客を任せれば、手っ取り早く売上が上がります。一方でコンテンツホルダーにとって魅力があればあるほど、プラットフォームは力をつけていきます。

例えば、出店しているお店がプラットフォームに不満を持ち、クレームを入れたとします。それを受けて問題が改善されれば、魅力は増します。そうするとまたプラットフォームに依存する形になるので、そうこうしているうちに同時進行で自社集客の分野が弱くなっていき、プラットフォームから離れられなくなるのです。いずれは自主独立の道筋を失っていきます。依存度を高めすぎると地獄のスパイラルに陥るのです。

店舗ごとにプラットフォームへの依存度は変わる

美容室の場合、予約の8割が独自集客のお店もあれば、逆に8割がホットペッパービューティーという店も実際あります。この差はどこから生まれるのか。簡単です。自社ECサイトや予約サイトへの独自の集客を強化しているところは、自分たちで新規集客が出来るし、きちんとした施策が打てていないところは依存度が高いのです。

ここでわたしたちTCDの分野である「WordPressテーマ市場」のプラットフォームとコンテンツホルダーの力関係を紹介しましょう。国内ではコンテンツホルダーの方が圧倒的に力があるため、プラットフォームに出店する企業も少ないですし、サイトの存在すら知られていません。しかし、英語圏はまったく逆の結果になっているのです。自社集客できるコンテンツホルダーが少なかったのかプラットフォームが強すぎたのか、「Theme Forest」というプラットフォームが絶大な影響力を獲得しています。とても興味深い結果でしょう。

それゆえに、英語圏で売上を上げているのは何も作っていないプラットフォームであり、モノづくりをするコンテンツホルダーにはほとんど利益がいかず、マーケットサイズは大きいにも関わらず、コンテンツホルダーは潤っていないという状況になっています。コンテンツホルダーが潤わない仕組みになれば、サービスやモノの品質の価値は落ちていきます。

つまり、あらゆる事例からも自社集客ができるWebサイトは強いということです。ECサイトもただ商品を並べるショーケースとしてではなく、自社集客力を持たなければいけません。

自社ECを強化するWordPressテーマ

集客力を持つECサイトを、ということであればWordPressをわたしたちはおすすめしています。WordPressは更新性の高いブログツールであり、元々集客を行うのに優れたCMSです。そして、専門的な知識がなくても扱いやすいという点も優れています。さらにはテンプレートやプラグインといったリソースが豊富にあるため、機能面や実用性に優れている側面が強いです。

GLAMOUR

WordPress Theme GLAMOUR
「GLAMOUR」は大手アパレル・セレクトショップをイメージし、開発されたWordPressテーマで100億円規模のECサイトでも利用されることを想定しています。幅広いジャンルでアイテムを販売できます。ショッピングカート「Welcart」に対応している為、スムーズな決済が可能です。

GLAMOUR デモサイト

ICONIC

WordPress Theme ICONIC
「ICONIC」は雑貨や家具のECサイトを想定して開発されました。モノトーンで落ち着いたデザインが上品な印象を持たせます。単なるECサイトでは売れないので、メディアとの融合を掲げたWordPressテーマでもあります。メディアとの融合はECサイトとしては必須の機能なので、「GLAMOUR」でも同様に実装されています。

ICONIC デモサイト

自社ECサイトを確立した上でプラットフォームと付き合う

プラットフォームと上手に付き合うには、自社ECサイトとの差別化をすることです。例えば、このような方法があります。

  • プラットフォームに出品する商品を絞る(例えば、売れ残り商品だけにする等)
  • 手数料分を考慮し、価格を差別化する
  • 自社ECサイトでの購入特典をつける

具体例ですと、シティーホテルでしょうか。自社ECサイト強化の一環で、ベストプライスで提供していたりします。じゃらんや一休で予約するよりも価格も安く、チェックアウトの時間が遅くしたりなど、差別化がはっきりしています。

このように差別化することで、プラットフォームに顧客が流れるのを防ぎつつ、自社ECサイトを強化していくことが望ましいでしょう。目先の売上を取りに行くのではなく、あくまでも広告を出す感覚で、顧客を取りに行く姿勢が必要とされます。