Webサイトを運営していると、記事の分類方法で悩むシーンがあるかもしれません。記事の分類では、カテゴリーやタグがよく使われますが、それだけでは管理しきれない情報も出てきます。

複雑なコンテンツを効率よく整理するには、WordPressが提供する「タクソノミー」の理解が欠かせません。

この記事では、タクソノミーの基本からカテゴリーやタグとの違い、具体的な導入方法を詳しく解説します。基礎知識を身に着けたい方、メリット・デメリットを把握したい方は、ぜひ最後までお読みください。


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WordPressのタクソノミーとは

WordPressのタクソノミーとは、投稿やカスタム投稿タイプを分類するためのシステムです。たとえば、ブログ記事を「ニュース」や「コラム」といった特定のグループに分ける際に利用します。Webサイトの情報を体系的に整理し、ユーザーが目的のコンテンツを見つけやすくするために欠かせない機能です。

WordPressには「カテゴリー」と「タグ」という標準で2つのタクソノミーがあらかじめ用意されています。

  • カテゴリー
  • タグ

製品を扱うサイトであれば「ブランド」や「素材」といった分類軸を設けると、訪問者は具体的な条件で商品の検索が可能です。これにより、サイト全体のナビゲーションが向上し、ユーザーエクスペリエンスの質が高まります。

タクソノミーは、WordPresサイトのコンテンツ量が増えるにつれて必要性が増します。適切な整理をすれば、ユーザーが従来よりもはるかに情報が見つけやすくなります。

カテゴリーとタグの特徴と違い

WordPressのタクソノミーである「カテゴリー」「タグ」は、どちらもコンテンツを分類する機能ですが、役割と用途に違いがあります。

カテゴリーは、記事を内容のジャンルごとに大きく分類するためのもので、本でたとえると「章」にあたります。カテゴリーは階層関係があるのも特長で、親カテゴリー・子カテゴリーといった親子関係が作れるのも特徴です。

カテゴリーの使用例:

  • Jリーグ(親)
    • 鹿島アントラーズ(子)
    • ガンバ大阪(子)
  • プレミアリーグ(親)
    • リヴァプール(子)
    • アーセナル(子)

タグは、キーワードごとに分類するためのもので、本でたとえると「付箋」や「索引」にあたります。タグに階層構造はありません。タグを付与することで、特定のキーワードごとに記事を紐づけることができます。例えば、メッシの記事だけを見たい人向けに「メッシ」というタグを付与しておくと、ユーザーが情報を探しやすくなります。

タグの使用例:
MVP、日本代表、メッシ、久保建英、ダービー、スポーツくじ、年俸

カテゴリーとタグの違いをまとめると、次の表のようになります。

カテゴリー タグ
役割 ブログの大きな分類(ジャンル分け) 記事の細かなキーワードや要素を示す
階層構造 あり(親・子・孫関係が作れる) なし(すべてフラット)
「一戸建て」「マンション」「土地」「事務所」「倉庫」等 「オートロック」「駅近」「セパレート」「ルーフバルコニー」等
使い方 各記事に対して、原則1つまたは数個を割り当てる 必要なタグを複数付けるのが一般的
表示場所 サイトのメニューやサイドバーに表示されることが多い 記事下部やタグクラウドなどに表示される

WordPressタクソノミーのメリット・デメリット

WordPressでタクソノミーを導入するメリットは、コンテンツの整理と分類を実現できる点です。大量の記事や情報を体系的に分類し、見つけやすくします。特定のテーマやキーワードでコンテンツをグルーピングできるため、サイトの構造が明確になるでしょう。

また、ユーザーエクスペリエンスの向上もメリットです。訪問者は、探している情報に素早くたどり着けるようになります。カテゴリーやタグ、カスタムタクソノミーを効果的に使えば、ナビゲーションが改善され、サイト内での回遊を促せるはずです。

さらに、SEO効果も期待できます。関連性の高いコンテンツをまとめて表示できるため、検索エンジンがサイトの構造を理解しやすくなる傾向です。

WordPressでタクソノミーを導入するデメリットは、管理が複雑化する可能性がある点です。

使用済みタグを把握しないまま、新たに数を増やしていくと、管理しきれなくなり、同内容のタグが乱立することがあります。たとえば、「きゅうり」「キュウリ」と同内容のタグを複数作ってしまうことがあります。だから、どのタグが既に存在するかを把握しておく必要があります。

WordPressのカスタムタクソノミーを導入する方法

WordPressのタクソノミー(カテゴリー・タグ)は標準で搭載されていますが、さらにカスタムタクソノミーという分類を追加することができます。

カテゴリー・タグだけでは分類しきれない場合に使用されるため、主に大規模サイトで使われることが多いです。

カスタムタクソノミーを導入する方法は、プラグインの使用とfunctions.phpを用いて追加するの2つです。それぞれ詳しく解説します。

プラグインを使用する

WordPressでカスタムタクソノミーを簡単に導入できる方法は、プラグインの使用です。プログラミング知識がなくても、直感的な操作で新しい分類項目を追加できます。

導入すれば、管理画面から必要な情報を入力するだけで、カスタムタクソノミーを実装できます。これにより、コンテンツの整理が楽になり、訪問者も目的の情報にアクセスしやすくなるでしょう。

ここでは、定番のプラグイン「Custom Post Type UI」と「Pods」を紹介します。

Custom Post Type UI

Custom Post Type UI

Custom Post Type UI (CPT UI)を使えば、カスタム投稿タイプとカスタムタクソノミーそれぞれの管理が可能です。

管理画面から簡単にタクソノミー名やスラッグ、表示ラベルなどを設定し、既存の投稿タイプや新たに作成したカスタム投稿タイプに紐付けられます。

Custom Post Type UI

Pods

Pods

Podsを使用すると、カスタムコンテンツタイプを作成するためのフレームワークを実現できます。

タクソノミーの作成はもちろん、カスタムフィールドの追加や既存コンテンツとの関係性を定義するなど、柔軟なデータ構造を構築可能です。

Pods

functions.phpを用いる

WordPressへのカスタムタクソノミーの導入は、使用テーマのfunctions.phpファイルにコードを記述することでも可能です。ただし、functions.phpを編集する際のコードに記述ミスがあると、サイトの表示に影響を与える可能性がありますのでご注意ください。

functions.phpを編集する際には事前にバックアップをとる必要がありますが、WordPressプラグイン「Code Snippets」を利用するとfunctions.phpに直接編集する必要がなくなります。

カスタムタクソノミーを登録するには、register_taxonomy()関数を使用します。指定する項目は、タクソノミーのスラッグ、関連付ける投稿タイプ、タクソノミーの動作を定義する引数です。

/**
 * 例)カスタム投稿「service」に「service_category」を追加する
 *
 * NOTE: register_taxonomy()は、initフックで実行する
 */
add_action( 'init', function(){

	register_taxonomy(
		// 登録するカスタムタクソノミーのキーを指定(スラッグにも使われる)
		'service_category',
		// カスタムタクソノミーを追加する投稿タイプのキーを指定
		'service',
		[
			// カスタムタクソノミーの名称
			'label' => 'サービスカテゴリー',
			// trueで階層化、タグのように階層化させないならfalse
			'hierarchical' => true,
			// ここをtrueにしないと管理画面で利用できない
			'public' => true,
		]
	);
} );

このコード自体は、特定の投稿タイプにカスタムタクソノミーを登録する記述になります。この記述を追加するだけで、管理画面でカテゴリーのUIが使えるようになり、カテゴリーページも自動で生成されるようになります。

テーマを更新する際には、記述したコードが失われないように子テーマを使用するなど、配慮してください。

WordPressのタクソノミーとSEO

カテゴリー・タグの一覧ページは「アーカイブページ」と呼ばれます。

カテゴリー・タグを付与したページが充実してくると、自然とアーカイブページも強化されていきます。すると、アーカイブページが検索結果の上位に表示されるケースが増え、集客ができるようになります。

ビッグキーワードほどアーカイブページによるSEOが重要になってくるため、カテゴリーとタグの違いを理解して、記事を綺麗に整理しておくことはとても重要です。

まとめ

WordPressのタクソノミーは、Webサイトのコンテンツを体系的に整理し、訪問者が情報を見つけやすくするための機能です。カテゴリーやタグといった標準タクソノミーだけでなく、サイトの目的に合わせて独自の分類軸を設定できるカスタムタクソノミーの活用は、サイトの利便性を大きく向上させます。

WordPressの標準タクソノミーである「カテゴリー」「タグ」のそれぞれの特徴と違いを理解し、適切に導入することでコンテンツ管理が効率化され、ユーザーエクスペリエンスの向上、さらにはSEO効果の期待もできるでしょう。

また、「カテゴリー」「タグ」以外の分類をさらに追加したい場合は、カスタムタクソノミーを追加することで、より細かいコンテンツの整理が可能となります。大規模メディアやECを運営する場合はカスタムタクソノミーも必須のパーツとなります。

タクソノミーを効果的に活用し、コンテンツ構造を十分に検討し、計画的に進めてください。

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