クリニックの集患(集客)について調べ始めると、「広告を出すべきか」「ホームページを作り直すべきか」など、具体的な施策の情報が次々と目に入ってきます。一方で、どれも試しているのに思ったほど患者様が増えず、「結局、何から手をつければ良いのかわからない」と感じている院長や事務長の方も少なくありません。

本記事では、集患の方法を具体的にお伝えする前に、クリニック集患を考えるうえで押さえておきたい全体戦略の考え方を整理します。なお、院内で共有できる判断軸を整えることを目的に、実際にクリニックで10年以上勤めていた方や、医療事務で働く母などへ聞き込み調査をした内容も踏まえています。

今後どの集患施策を選ぶにしても、まずはその土台となる視点を確認してみてください。


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クリニックの患者様を増やすには
集患と増患で分けて考える必要がある

クリニックで患者様を増やす施策を考える際、集患(新しく来院してもらうための取り組み)と、増患(継続して通ってもらうための取り組み)では、前提となる考え方が大きく異なります。集患と増患の違いを簡潔にまとめると、以下のとおりです。

観点 集患 増患
主な目的 初めて来院してもらう 再診・紹介につなげる
対象 まだ来院したことのない方 すでに来院したことのある方
主な接点 広告・検索・SNS・紹介 診療体験・対応・院内の安心感
成果が出るまで 比較的短期になりやすい 中長期になりやすい
判断されやすいポイント 不安が解消されるか 信頼できるか・通い続けられるか

ここからは、集患と増患それぞれがどのような取り組みを指すのかを、順に整理していきます。

集患とは初診の方との接点を作るための取り組み

集患とは、まだそのクリニックを利用したことのない方と接点を持ち、「存在を知ってもらう」「選択肢として認識してもらう」ための取り組みを指します。広告や検索、SNS、紹介などが代表的な集患方法ですが、いずれも共通しているのは、来院前の段階で検討対象に入ってもらうための入口である点です。

引越し先や単身赴任先など、初めて生活する地域で行くクリニックは特に、「どこに行こうか」と迷いやすいものです。これは、診療科や症状にかかわらず多くの方に共通することでしょう。

集患の役割は、来院を即決させることではなく、判断のスタート地点に立ってもらうことにあります。そのため、「広告を出したのに来院が少ない」「SNSを更新しているのに反応が弱い」といった短期的な結果だけを判断すると、集患本来の役割が見えにくくなります。

増患とは再診・紹介につながるような信頼関係作り

増患とは、一度来院した方に「このクリニックなら安心できる」と感じてもらい、再診や紹介につなげていくための取り組みを指します。集患が来院前の判断にかかわるのに対し、増患は来院後の体験や印象が影響します。

増患につながる要因としてよくあるのが、診察時の説明がわかりやすかったか、質問しやすい雰囲気だったかといった、日々の対応の積み重ねです。そのため、増患は「施策を打てばすぐ成果が出る」という性質のものではありません。

再診や紹介は結果として表れるものであり、目的として直接コントロールできるものではない、という前提を把握しておく必要があります。仮に広告や集患施策がうまく機能していても、来院後の体験に不安や違和感が残れば、再診にはつながりにくくなります。

つまり増患を考える際に重要なのは、「紹介を増やすために何をするか」ではなく、「患者様が安心して通い続けられる状態が整っているか」を見直す視点なのです。

クリニック集患を考える際に院内で共有しておきたい前提

クリニック集患について検討する際、広告やSNS、ホームページといった個別の施策に目が向きがちですが、それらを評価する前に整理しておきたい前提があります。それは、集患を「どのような流れで患者様が来院を判断しているか」という視点です。

この前提が共有されていないまま施策を進めると、その場の感覚や短期的な数字に左右されやすくなります。

ここからは、具体的な施策の良し悪しに入る前に、集患をどの視点で捉え、どの範囲までを把握しておくべきか、院内で共有しておきたい前提を整理します。

施策ごとの評価よりも患者様の来院判断までの流れを意識する

集患施策を評価する際は、施策自体が「患者様が来院を判断する流れのどこに位置しているのか」を意識する必要があります。

患者様は、広告を見たり検索したりしてホームページを確認し、雰囲気や料金などを見たうえで来院を判断する、という流れで検討しているケースは少なくありません。つまり、広告だけ、ホームページだけを切り取って評価しても、「なぜ来院につながったのか」「なぜ見送られたのか」は見えにくくなるのです。

来院判断までの流れを客観的に評価できると、施策の見え方も変わってきます。短期的な数字に一喜一憂するのではなく、「次の判断につなげるために何が足りていないのか」という視点で、冷静に集患を捉えられるようになります。

クリニックで実施されやすい集患施策の全体像を整理する

クリニックでよく実施されている集患施策は、患者様が来院を判断するまでの流れのなかで、担っている役割が異なります。クリニックの集患施策を整理すると、以下のように分けられます。

施策 主な役割 来院判断への影響
広告
(Web・紙・交通広告など)
クリニックの存在を知ってもらう 認知のきっかけになるが、単体の施策で来院が決まることは少ない
SNS 雰囲気や人柄を伝える 興味・親近感は生まれるが、判断材料としては不足しやすい
紹介 信頼された状態で検討が始まる 来院につながりやすいが、最終判断は別途行われる
ホームページ 判断材料をまとめて確認する 来院するかどうかの最終判断に使われやすい

上記のように、それぞれ単独で完結するものではなく、患者様の来院判断までの流れを分担して支えています。どれか1つだけを強化するのではなく、「患者様はこの流れのなかで、どこで判断しているのか」という視点で全体を見直すことが重要です。

集患施策を評価する前に
「患者様はどう判断しているか」の整理が重要

クリニックの集患施策を検討する際は、患者様がどのような流れで来院を判断しているのかという視点が欠かせません。

来院を決めるまでの流れを整理しないまま施策を実施・評価してしまうと、「何が原因で来院につながったのか」「なぜ見送られたのか」が見えにくくなります。

ここからは、施策の良し悪しを判断する前に、患者様がどのようなポイントで安心し、来院を判断されていくのかを整理していきます。

広告やSNSはクリニックの認知度拡大には向いている

広告やSNSは、クリニックの存在を知ってもらうための施策として有効です。これまで接点のなかった方に対して、「この地域にこういうクリニックがある」という事実を伝える役割を担っています。

例えば、Web広告や交通広告は、通勤・通学時や検索行動のなかで自然と目に入るため、認知のきっかけを作りやすい施策です。また、SNSは院内の雰囲気やスタッフの人柄、日常の様子を発信でき、クリニックに対する心理的な距離を縮める効果が期待できます。

一方で注意したいのは、認知が広がったことと来院が決まることは別であるという点です。広告やSNSを見た段階では、「少し気になる」「名前を覚えた」という状態にとどまるケースが多く、そこで来院を即決する方は多くありません。

認知の役割を果たしたあと、次の判断材料が十分に用意されているかどうかを含めて、全体の流れを見直すことが重要です。

紹介はクリニックへの信頼を得やすい

紹介は、集患施策のなかでも比較的来院につながりやすい方法です。すでにクリニックを利用したことのある家族や知人からおすすめしてもらうことで、「一度行ってみよう」と思う心理的ハードルが下がりやすくなります。

広告やSNSのようにゼロから情報を集める必要がなく、「信頼できる人が通っている」という事実そのものが、安心材料として機能します。

一方で、紹介だからといって、来院の判断がその場で完結するとは限りません。多くの場合、紹介を受けたあとに「どのようなクリニックなのか」を自分なりに確認する行動が発生します。

診療内容や医師の情報、院内の雰囲気、料金などを事前に調べたうえで、最終的に来院するかどうかを判断するケースも少なくありません。

「紹介を増やすこと」だけに目を向けるのではなく、紹介されたあとに患者様が安心して判断できる材料が整っているか、という視点で全体を見直すことが重要です。

多くの集患施策はホームページ次第で最終判断されやすい

広告・SNS・紹介は来院判断の「入口」を担っている一方で、ホームページは判断材料をまとめて確認する場として機能しています。

広告やSNSを見てクリニックを知った場合、「もう少し詳しく知りたい」と思えば検索を行い、ホームページにたどり着きます。紹介であっても、「どのようなクリニックなのか」「自分に合いそうか」を確認するために、事前にホームページを見るケースは少なくありません。

このとき、患者様が見ているのは施策そのものではなく、「誰が診るのか」「どのような雰囲気なのか」「料金はわかりやすいか」など、来院判断に直結する情報です。

「広告の反応はあるのに来院につながらない」と感じる場合は、施策そのものを疑う前に、ホームページ上で患者様の不安が残っていないかを見直す視点が重要になります。

ホームページがクリニック集患の
「判断起点」になりやすい理由

広告やSNS、紹介の経路が異なっていても、「詳しく知りたい」「本当に安心できるか確認したい」と思ったとき、多くの患者様はホームページを訪れます。

ここからは、なぜホームページがクリニック集患の決め手になりやすいのか、その理由を整理しながら見ていきます。

医師・スタッフ・院内の雰囲気が一度に伝わる

クリニックにとってのホームページは、患者様が来院を判断する際に見る、医師やスタッフの人柄、院内の雰囲気が自分に合いそうかなど、一度で確認できる役割を担います。

実際、聞き込み調査でも、「どのような先生が診るのかがわかって安心した」「院内の雰囲気を見て不安が和らいだ」という理由から来院に至った声もありました。

ホームページでは、医師のプロフィールや診療方針、スタッフ紹介、院内写真などを通じて、こうした情報をまとめて伝えられます。特に医師の顔や考え方が明確に示されていると、「この先生なら相談できそうだ」という安心感につながりやすくなります。

院長や医師のプロフィールページ

MONADの院長や医師のプロフィールページ

また、スタッフ紹介や院内の写真があることで、受付の対応や待合室の雰囲気が想像でき、初診時の心理的なハードルも下がるでしょう。

医師・スタッフ・院内の雰囲気を一度に確認できるホームページは、患者様が抱きやすい不安を、事前に和らげられる要因として機能しやすいのです。

料金が明確だと来院判断が早くなりやすい

初めてクリニックを検討する際、目安となる金額や費用が変動する理由、追加費用が発生しやすいケースなどが整理されているだけで、患者様の不安は大きく軽減されます。

多くの患者様は、診療内容や医師の雰囲気に安心感を持てたとしても、料金が不明瞭なままだと、来院の判断は先送りされやすくなります。また、「〇円〜」といった表記だけが並んでいると、「最終的にはいくらになるのかわからない」という印象が残り、比較検討の段階で判断を止めてしまうことも少なくありません。

しかし、医療機関の多くは、症状や治療内容によって費用が変わることが多く、「実際に診てみないとわからない」という側面があるのも事実です。そのため、ホームページ上で料金をすべて断定的に示すことは難しいでしょう。

料金をすべて確定させることを意識するのではなく、患者様が「この範囲なら相談してみよう」と判断できる状態を整えられると、来院判断を早める要因になります。

広告や紹介の「受け皿」として機能しやすい

クリニックのホームページは、広告やSNS、紹介といった集患施策の最終的な判断材料が集約されやすい場所です。

NOEL

NOELのホームページトップ

例えば、広告や紹介がうまく機能していても、ホームページ上で不安が残れば、来院判断は止まってしまいます。また、広告で存在を知り、SNSで雰囲気を感じ、紹介で信頼を得たとしても、患者様が最終的に判断する際、不安材料が1つでもあると判断を見送ってしまうでしょう。

つまり、集患施策の成果が感じられない場合、その原因が施策そのものではなく、受け皿となるホームページにあるケースも少なくないのです。

ホームページは、新しい集患施策を増やすためのものではなく、すでに行っている施策を活かすための基盤です。広告・SNS・紹介といった取り組みを無駄にしないためにも、患者様が判断しやすい状態が整っているかを確認しておくことが、集患全体を安定させるポイントになります。

まとめ

本記事では、集患と増患の違いを整理したうえで、広告・SNS・紹介・ホームページといった施策を、役割ごとに捉え直してきました。本記事の内容をまとめると、以下のとおりです。

広告やSNSなどが機能しているにもかかわらず、来院につながらない場合は施策そのものではなく、患者様が判断するための情報が十分に整っていない可能性があります。新しい施策を増やす前に、患者様が来院前の不安や疑問点を解消できているか、判断しやすい状態が作れているかを見直すことが、集患全体を安定させる近道になるでしょう。

なお、次回は今回整理した全体戦略を踏まえたうえで、クリニックとSEOの相性について整理する予定です。「SEOは本当に必要なのか」「広告とどう使い分けるべきか」といった疑問を施策論ではなく、まずは考え方の視点から掘り下げていきます。

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