「同じ記事を2回買ってしまいました」。そんなメールが届いたら、どう返事をしますか。
自分のサイトで有料記事を売ると、返金の依頼にも、カード会社を通じた「不審請求(チャージバック)」にも、販売者が自分で対応します。Stripeで決済していると、不審請求は1件ごとに1,500円の手数料がかかり、反論が認められてもこの手数料は戻りません。返金で済むうちに対応できるよう、販売前の準備と、起きたときの手順をまとめました。
返金と不審請求の違い
どちらも代金が購入者に戻りますが、誰が手続きを始めるかが違います。
| 返金 | 不審請求(チャージバック) | |
| 始まり方 | 購入者が販売者に連絡し、販売者が返金する | 購入者がカード会社に申し立て、カード会社が代金を取り戻す |
| 販売者の負担 | 決済手数料(3.6%)は戻らない | 代金が差し戻され、さらに1件1,500円の手数料 |
負担が大きいのは不審請求のほうです。反論が認められても、1,500円の手数料は戻りません。
返金のルールを決めて、表示しておく
有料記事のようなネット販売(通信販売)には、クーリング・オフの制度がありません。特定商取引法では、広告に返品の条件(返品特約)を表示していれば、その特約に従うと定められています。表示していない場合は、商品を受け取ってから8日以内なら申し込みを撤回できる、とされています。
デジタルコンテンツの返金ルールの例
記事は、一度読まれると返してもらうことができません。有料記事なら、たとえば次のように決めておくと、依頼が来たときに返事に迷いません。
- 購入後のキャンセル・返金は、原則として受け付けない
- 二重に購入した場合や、不具合で記事が読めない場合は返金する
TCDのテーマ販売では、特定商取引法に基づく表示の「ご返品について」に、返品を受け付けないことだけを書いています。

ルールは、購入前に読める場所に置きます。特定商取引法に基づく表示のページに書き、購入ボタンの近くや利用規約からもリンクしておきます。テンプレートはこちらの記事にあります。
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返金の手順
Stripeで決済している場合、返金はStripeのダッシュボードから行います。「取引」の一覧で、返金したい支払いの「…」を開き(①)、「決済を返金」を選びます(②)。

返金する金額(全額か一部か)と理由を選んで「返金」を押せば完了です。

画面にも書かれているとおり、返金が購入者のカード明細に反映されるまでには5〜10日かかります。最初の決済で引かれたStripeの手数料(3.6%)は戻りませんが、返金そのものに追加の手数料はかかりません。冒頭のような二重購入なら、2回目の支払いを全額返金します。770円の記事なら、戻らない手数料は約28円(770円×3.6%)です。
参考:Understanding fees for refunded payments(Stripe)
不審請求が起きる理由
不審請求は、カードの持ち主が「この支払いに覚えがない」「買ったものが届かない」とカード会社に申し立てると起きます。有料記事でありがちなのは、次のようなケースです。
- カードの明細に出た名前を見て、何の支払いか分からなかった
- 買ったのに記事の読み方が分からず、届いていないと思った
- 盗まれたカード情報で、別の人が購入した
申し立てがあると、代金と処理手数料(日本では1件1,500円)がStripeの残高から差し引かれます。反論が認められると代金は戻りますが、処理手数料は戻りません。
参考:不審請求の申請の仕組み(Stripe)、料金体系(Stripe)
不審請求を減らすためにできること
カードの明細に、分かりやすい名前を出す
Stripeでは、購入者のカード明細に表示される名前(明細書表記)を設定できます。サイト名など、見てすぐに思い出せる名前にしておきます。設定は「設定」→「ビジネス」→「ビジネスの詳細」の「明細書表記」から変えられます。

買った記事がどこで読めるかを伝える
YOMERUでは、購入するとその場で記事の続きが表示されます。買った記事は、購入者専用のマイページからいつでも読み返せます。

決済完了のメールにもマイページのURLが載ります。サイトのメニューにも「マイページ」を入れておくと、購入者が自分で読み返せます。
不審請求が始まると、返金はできなくなる
Stripeでは、不審請求の申し立てが進んでいる間、ダッシュボードから返金できません。返金を頼まれていたのに返事が遅れ、その間にカード会社へ申し立てられると、代金と1,500円の両方を失います。
カード会社によっては、正式な申し立ての前に「照会」という問い合わせが来ます。この段階なら、全額返金すれば不審請求の手数料はかかりません。
不審請求が起きたときの対応
不審請求が起きると、Stripeからメールで通知が届きます。ダッシュボードの「取引」にある「不審請求の申し立て」で内容を確認し、反論するかどうかを決めます。
反論できる期間は、カード会社によって違いますが、通常7〜21日です。期限を過ぎると反論できません。結果が出るまでには、申し立てから2〜3か月かかることがあります。
反論で取り戻せるのは代金だけで、1,500円の手数料は勝っても戻りません。日本のビジネスでは、反論するための追加の手数料はかかりません。500円の記事なら、反論しても手元に戻るのは500円です。証拠をそろえる手間と比べて、受け入れるかどうかを決めます。
反論するときは、購入の記録(日時やメールアドレス)、購入後に記事を読める状態だったこと、購入前に表示していた販売ルールなどを証拠として出します。決済の履歴はStripeのダッシュボードにも残るので、それをもとに準備できます。
まとめ
販売を始める前に、次の4つを済ませます。
- 特定商取引法に基づく表示に、返金のルールを書く
- Stripeの明細書表記を、サイト名など分かりやすい名前にする
- サイトのメニューに、マイページを置く
- 返金した購入者が記事を読めるままにするかを決める
Stripeのアカウント作成と審査の流れは、こちらでまとめています。
Stripeの日本向けガイドには、審査で気をつけるポイントとして「事業内容は『EC』『サービス業』ではなく、何を誰にいくらで提供しているか記載する」と書かれています。 登録で手が止まるのは、たいていこういう欄です。求められる情報そのものは多くありません。事業の情報、本人確認書類、入金用の銀行口...
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