文章を書くことにあまり馴染みのなかった人でも、WEBで記事を書きたい、あるいは書かなければいけないという機会は増えてきています。ただ、文章が苦手な人にとっていきなり人に読まれる文章、ましてや読者の心に突き刺さるような文章を書くことはなかなか難しいものです。文章が得意な人でもWEB上で読んでもらえる文章を作るには、書きたいことをただ書く、というだけではうまくいきません。

そこで今回は、WEBで文章を書いたことのない人、あるいはどうやって文章を書けばいいかわからない人のために、まずは押さえておきたいポイントやコツを説明していきます。

なお、記事ネタ・アイデアが浮かばないという方はこちらの記事をご参考ください。
ブログの記事ネタを無尽蔵に生み出す方法

WEB上で価値のある記事とは何だろう

WEB上でアップロードされている記事には、新聞記事や小説、日記やエッセイといった、一般的な活字媒体での文章とは違った特徴があります。WEB上のコンテンツは基本的に、検索ユーザーの求めている情報がそこにあるかどうかが最優先されるので、記事は書き手の書きたいことより読み手が求めているものがあるかが重要です。さらに記事が読者にとってメリットを感じられる内容かどうかも大切になります。

例えば「美容」や「健康」に関する記事ならば、読者の「悩み」を解決する方向性の記事が好まれます。「映画」や「ドラマ」に関する記事なら、雑誌や広告にはないような、よりマニアックな情報や独自の考察、率直な感想などが読まれやすいでしょう。選んだジャンルやテーマ、また記事自体の作成目的などに合わせ、その記事を読む読者のニーズやメリットにきちんと応えられるように記事の設計をしていく、これがWEB上での記事執筆の大原則です。

こうした基本を押さえた上で、果たして「良い記事」とはどういう記事なのか、という点を3つ挙げてみましょう。それは、「質の良い情報」「読者が共感を得られる内容」そして「読みやすさ」です。「質の良い情報」は言うまでもなく、正確な情報や読めば役に立つ知識が書かれているか、ということです。そもそも情報が不正確で適当だと、読者の信頼は得られませんし、検索エンジンからの評価も下がります。ただし、単に質の良い情報が書かれていればいいのかというと、そうではありません。WEB上の記事を読む読者は、説明書や解説書のような内容を期待しているのではなく、「自分の問題を解決してくれるための情報」を求めています。そのため、「質の良い情報」が書かれていて、なおかつ「読者が共感できる内容」になっているかが重要です、読者が「自分と同じだ」と感じる目線を、文章の中で取り入れておく必要があるのです。

こうした「読者目線」の視点はWEB上の記事の制作では非常に大事で、文章の中身だけではなく、記事の見た目にも大きく影響します。文字が小さい、改行がなくて見づらい、というレイアウトでは、なかなか最後まで読者は読んでくれません。記事の書き方やレイアウトに関しても、読者の満足感を徹底して優先する、という目線のもとで、WEB上の記事は執筆しなければならないのです。

WEB記事を書く上での5つのポイント

記事を書く上で基本として押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

  • 記事の結論を決める
  • 記事の文章構成
  • 読者のターゲットを絞る
  • 文字数はどれくらいがいいのか
  • 記事全体に一貫性があるか

まず1つめのポイントは、「記事の結論を決める」ということです。初心者が記事を執筆してよく直面する問題は、盛り込みたい内容をすべて詰め込もうとして文字数が膨大になってしまう、あるいは、ネタがなさ過ぎて1000文字以下の記事しか書けない、といったものです。文字数の多すぎる記事だと、文章を作ることが難しいうえに1つの記事作成にかかる労力がかかりすぎます。また、逆に1000文字以下の記事だと、内容が薄すぎて読者の支持を得られません。

そこで、記事を書く際にはまず、記事の結論を決めてから書く、という方法がおすすめです。もう少し具体的にいうと「1つの記事に1つのメッセージ」を伝える、ということになります。例えば、ダイエットに関する記事ならば、「ストレッチは運動不足解消とダイエットに良い」といったように、記事の結論としてもっとも伝えたいことを1つだけ決めます。そして、このメッセージをより具体的に分解し、「なぜストレッチがダイエットにいいのか」「ストレッチが運動不足解消になる理由は」といった点を肉付けしていくと、テーマのばらつきのない、良質で適度な長さの記事を作成できる、というわけです。書く前に伝えたいメッセージを1つ決めておく方が、漫然と記事を書き始めるよりも圧倒的に執筆しやすくなります。

2つめのポイントは、「記事の文章構成」をあらかじめ決めておく、ということです。具体的な文章構成の作り方は後で説明しますが、記事を書く上ではその設計図となる事前準備が非常に大事です。先ほどの例のように、記事のメッセージを決めたらそこから要点をピックアップして、小見出しとなる段落を4つ、5つと構成していきます。こうすると読者も読みやすいだけでなく、何文字くらいで記事を構成していくか、という、記事の完成予想図が見えてくるので、記事の作成がよりやりやすいです。

そして3つめのポイントは、「読者のターゲットを絞る」ということ。良いWEB記事の特徴で上げた「読者の共感」を得るためには、読者が「自分のことについての記事だ」と思わせる仕掛けが必要です。そこで、読者の想定ターゲットを絞り込む、という方法が有効になります。ダイエットの記事ならば、漠然と体重を落としたい人向け、というのではなく、「30代以上で産後の主婦」とか、「時間がないけど体調を改善したい40代以上の男性ビジネスマン」という風に、ターゲットを絞り込みます。この方が、より「自分のことだ」と感じる読者を引き付けることができるので、記事自体の価値を上げることにもつながるのです。

4つめは、記事制作で常に問題となる「文字数はどれくらいがいいのか」というものです。結論から言えば、「あまり文字数を気にし過ぎない方がいい」ということになるでしょう。少し前は文字数が多ければ多いほどいい、という説が多かったのですが、記事の内容、質を正当に評価しよう、という検索エンジンの傾向からみて、あまり文字数にこだわり過ぎても仕方がない、という状況だといえます。それよりも、内容のある記事になっているかどうかに神経を使うべきで、うまくできた記事であれば自然と2000字、3000字といったボリュームになるはずです。

最後に5つめのポイントは「記事全体に一貫性があるか」ということです。1つめの「1つの記事に1つのメッセージ」という点にも通じますが、記事内容が一体何を伝えようとしているのかわからない、という事態は避けたいところです。あらかじめ決めた記事のテーマや結論にすべての文章が集約されるように、余計なところや無駄な脱線部分は削る、話の展開が不自然にならないように構成を練り直す、といった校正作業も、記事作成では重要な作業といえます。

記事構成をあらかじめ決めておこう

もし、記事構成に悩むならまずはこの基本構成を試してみましょう。必ずしもこうでなければいけないということはありません。あくまでも「守破離」の「守」の部分とお考えください。

  1. 書き出しと問題提起
  2. 解決策の提示
  3. 問題解決の過程
  4. まとめ

まず、「1.書き出しと問題提起」は、冒頭の文章にあたります。読者の興味を引き、続きの文章を読んでもらうためのアイキャッチとしての役割ですね。そのため、文章は端的に数行で、読者の興味のある話題と、読者と同じ思いがあるという「共感」が伝わる文章に仕上げなければなりません。効果的で簡単な方法は、自分の体験談や事例に少しふれて読者の気持ちを代弁し、それに対する解決案を提示して次へとつなげる、というパターンです。例えば、「正月太りはなかなか解消しませんよね。」といったエピソードから「スキマ時間で簡単にできる運動方法をご紹介します」という感じで、自然と次の文章へつないでいきます。

この次にくるのは「2.解決策の提示」です。ここでもう解決策を出してしまうのか、という気にもなるかもしれませんが、WEB記事はいかに読者の興味をひき続けられるか、という事が重要です。読み進めてもすぐに欲しい情報が出てこない文章だと、他のサイトへすぐに移動してしまう可能性があります。したがって、情報は小出しにではなく、基本的にバンバン最初から出すというスタンスで記事を構成しましょう。ただ、この「解決策の提示」は、さらに続く「3.問題解決の過程」という、メイン部分へのつなぎの部分なので、必要なことだけを短めに書いていきます。具体的には、読者が考えていると思われる「悩み」や「興味」に対する解決策を見出しにし、その具体的な内容を次に説明します、という流れにすると効果的です。

主人公が問題を解決する手順をストーリー化する

そして記事のメインとなるのが「3.問題解決の過程」です。これまでに提示した「悩み」や「興味」を、どうやって解決すればいいのかを、具体的に説明する部分になります。この部分は、さまざまなスタイルや方法があるのですが、初心者でも簡単に、かつ効果的に書くための方法が「ロールプレイ」方式です。これは、読者を主人公に見立て、商品や体験を通じて主人公にどのような変化が現れるのか、といった流れのストーリーを作っていく、という記事の作り方になります。そこでキーとなってくるのは、そのストーリーの内容のなかで、「商品」や「体験」が必要となる理由や、それによって得られるメリット、仕組み過程などを、詳細に盛り込む、ということ。自分の体験談をベースにすると書きやすいので、商品のレビューや店舗サービスの紹介などにもすぐに応用できるでしょう。さらに付け加えると、そこへ自分の思った感想などを「独自の視点」として盛り込むと、オリジナル性の高い文章に仕上がり、検索エンジンや読者からの評価も上がります。

最後は「4.まとめ」です。「まとめ」では「読者の読後感を良くすること」、そしてもう1つ、「読者に行動を促すこと」が重要になります。商品を売るためにしろ、情報を提供するにしろ、その記事を読んだ読者が「新しい情報を得た」「何かにチャレンジする気持ちを持った」といった感想を持つことができるのが、良い記事の証拠です。書き方は要点をまとめたり、注意を喚起したり、問いかけをしたりと、さまざまなパターンが考えられるので、いくつかのまとめに関する引き出しを、事前に準備しておくといいでしょう。

良い記事を作るコツは記事を書く前に「準備」を済ませておくこと

良いWEB記事を書くには、WEB記事に求められている記事の性質にあった書き方をマスターする必要があります。そのうえで、「1つの記事には1つのメッセージをこめる」「読者の求めている情報を提供する」「問題提起と解決策は前半に提示する」といった、記事を構成するうえでのコツを押さえましょう。そして、記事のメイン部分は読者を主人公に見立てたストーリーを構成します。内容は、主人公が商品や体験を通じてどのような変化があるのかを、詳細に説明するというものです。

それから最後に、読者の気持ちを前向きにする最適な「まとめ」で文章をしめくくりましょう。こうした記事構成のひな型を書く前に準備しておくと、商品レビューや体験型の記事などにも応用が利きやすく、良質な記事を量産しやすくなります。ぜひ記事を書くときには参考にしてみてください。