自動計算フォームや料金シミュレーターを無料で自社サイトに設置できるWordPressプラグイン「Calculated Fields Form」を紹介します。
単純な足し算や掛け算であればだれでも簡単に設置できるほか、エクセルの関数計算ができる人であれば、年利や金利などの複雑な計算式を設置することも可能です。サイトに計算フォームが設置されていることで、ユーザーの離脱率を減らし、満足度を大きく高めることが可能です。
この記事では、Wordpressプラグイン「Calculated Fields Form」の基本的な使い方を解説します。イメージしやすいように、実際に計算フォームを作成しながら解説しますので、参考にしてください。
Calculated Fields Formの特徴
- 自動計算フォームを生成できる
- エクセルの関数を応用して複雑な計算も可能
Calculated Fields Formのデモ計算フォーム
デモとして、「ホテルの宿泊費計算フォーム」を作成してみました。
記事の後半で作成手順を解説しています。
インストール
WordPressの管理画面から「プラグイン」→「新規追加」と進み、「Calculated Fields Form」と検索するか、下記ボタンからダウンロードし、有効化しましょう。有効化後、管理画面の左サイドバーに「Calculated Fields Form」が出現します。
基本的な使い方
Calculated Fields Formの管理画面です。
「1」は最初から設置されている計算フォームです。カスタマイズして使用可能です。
「2」新しく計算フォームを作成する場合は、管理画面の下部にある「Item Name」にフォーム名を記入し、「Add」で作成できます。
計算フォームは「Settings」でカスタマイズ、ショートコードで記事に挿入が可能です。
「Settings」をクリックすると、フォームの作成画面に移行します。
左のコントロールからフィールドを選んでクリックすると、右のスペースの一番下に追加されます。追加したフィールドはドラッグ&ドロップで入れ替え可能です。該当のフィールドをクリックするか、「Field Settings」のタブをクリックすると、フィールドの細かいカスタマイズ画面に移ります。
こちらで1つ1つのフィールドを設定することができます。
フィールドの用途
それぞれのフィールドの用途を以下に一覧にしてみました。
Single Line :テキスト入力スペース
Text Currency :金額入力用
Number :数字入力フィールド
Slider :スライドで最小~最大の数値を選べるフィールド
Email :Email確認用フィールド
Date Time :日付・時刻入力用フィールド
Text Area :自由記述エリア
Checkboxes :チェックボックス(複数選択可)
Radio Buttons :チェックボックス(1つのみ選択)
Dropdown :ドロップダウン選択
Upload File :ファイルのアップロード用フィールド
Password :パスワード
Phone field :電話番号の入力用フィールド
Instruct. Text :補足文章の入力用フィールド
Hidden :非表示フィールド
Section break :区切り線
Page break :フォームを2つに区切る
Summary :概要のタイトル入力用フィールド
Media :画像・動画・音声のアップロード用フィールド
Button :計算確定用ボタン
HTML content :Html記述用フィールド
Acceptance :(GDPR) 利用規約のチェック用フィールド
Calculated Field :計算結果の表示フィールド
Field set :レイアウト変更用フィールド
div :レイアウト変更用フィールド
サンプルフォームを使ってみよう
Calculated Fields Formには5つのサンプル計算フォームが最初から用意されています。それぞれ下記のような計算フォームとなっています(元々の表記は英語ですが、画像はわかりやすいように和訳してあります)。あと、機能性は申し分ないですが、そのまま使うのは見た目が微妙なのでCSSでの調整は必須ですね。
1. Simple Operations
シンプルな足し算ができるフォームです。
上のフォームでは2つの数字の合計、下のフォームでは、選択式でアイテムの合計値を算出しています。
2. Calculation with Dates
チェックイン・チェックアウトの日にちからホテルの利用料金を計算するフォーム。
その他、駐車場の利用料金などにも応用できそうですね。
3. Ideal Weight Culculator
身長・性別から理想体重を算出するフォーム。基本は1と同じくシンプルな計算式を使用していますが、「男性」「女性」でif条件を使って計算式を分岐させています。
4. Pregnancy Calculator
最終月経から受胎の日と出産予定日を算出するフォームです。
5. Lease Calculator
ローン残高や金利、支払総額、利息額などを計算するフォーム。年利など難しい計算を使っています。保険やローンなど、様々なサイトに応用できそうです。
自分で計算フォームを生成する
今回は冒頭で使った「ホテルの宿泊費計算フォーム」を1から作る手順を解説します。
サンプル計算フォームにも似たフォームがありますが、新規で作ってみましょう。
必要となるのは以下の6つの項目です。
1. チェックインの日にち
2. チェックアウトの日にち
3. 宿泊人数
4. 部屋のグレード(スタンダード・ハイグレード・プレミアムの3種類)
5. オプションサービス(温泉入り放題・朝食サービスの2種類)
6. 宿泊費総額
基本料金を1泊5000円とします。部屋のグレードがスタンダードの場合は基本料金のみ、ハイグレードの場合は1.5倍、プレミアムの場合は2倍として計算します。
計算式としては、下記のようなものになります。
(((基本料金*部屋のグレード)+オプションサービス)*(チェックアウト日にち-チェックインの日にち))*宿泊人数=宿泊費総額
上記の項目で使用するフィールドは以下の6つです。
1. チェックイン・入力フィールド…「Date Time」
2. チェックアウト・入力フィールド…「Date Time」
3. 宿泊人数入力フィールド…「Number」
4. 部屋のグレード設定フィールド…「Drop Down」
5. オプションサービス入力フィールド…「Checkboxes」
6. 宿泊費総額フィールド…「Calculated Field」
まず、プラグインの管理画面から新しい計算フォームを作成します。
「New Form」の「Item Name」に「ホテル宿泊費計算フォーム」と入力し、「Add」をクリック。新しく計算フォームが追加されるので、「Settings」をクリック。
一番上のタイトル以外の既存フィールドをすべて削除し、今回使うフィールドを挿入します。
一番上から順番に編集していきます。
・タイトルを編集
Title | 変更前 | 変更後 |
フォーム名 | Calculated Form | ホテル宿泊費計算フォーム |
ディスクリプション | Starting form. Basic calculated fields sample. | 基本料金は5000円として計算します。 |
・チェックイン・チェックアウトのフィールドを編集
Date Time | 変更前 | 変更後 |
フィールドの名前 | Date | チェックインの日付 チェックアウトの日付 |
Date Format (年月の表示方法) |
mm/dd/yyyy | yyyy/mm/dd (チェックイン・アウト共通) |
Default Date (未入力状態の日付) |
– | 2020/1/1 (チェックイン・アウト共通) |
Show Dropdown Year and Month (カレンダー選択を表示するか) |
– | チェックあり (チェックイン・アウト共通) |
・宿泊人数の編集
Number | 変更前 | 変更後 |
フィールド名 | Number | 宿泊人数 |
・部屋のグレード設定の編集
フィールドの名前 | Select a choice | 部屋のグレード |
Choice1(Text) | First choice | スタンダード |
Choice1(Value) | First choice | 1 |
Choice2(Text) | Second choice | ハイグレード |
Choice2(Value) | Second choice | 1.5 |
Choice3(Text) | Third choice | プレミアム |
Choice3(Value) | Third choice | 2 |
「Text」が選択時の文字列を、「Value」が計算時の値を返します。宿泊費の計算時に、「スタンダード」を選択した場合は「1」を、「ハイグレード」を選択した場合は「1.5」を、「プレミアム」を選択した場合は「2」を返すように設定しました。
・オプションサービスの編集
フィールドの名前 | Check All That Apply | オプションサービス |
Choice1(Text) | First choice | 温泉入り放題 |
Choice1(Value) | First choice | 1000 |
Choice2(Text) | Second choice | 朝食サービス |
Choice2(Value) | Second choice | 800 |
Choice3(Text) | Third choice | 【削除】 |
Choice3(Value) | Third choice | 【削除】 |
「Text」が選択時の文字列を、「Value」が計算時の値を返します。「Checkboxes」のフィールドは、「Dropdown」と違い、複数選択可能です。宿泊費の計算時に、「温泉入り放題」を選択した場合は「1000円」を、「朝食サービス」を選択した場合は「800円」を「500円」を計上するように設定しました。「Third Choice」は、右側の「-」のアイコンで削除しました。
・宿泊費総額の編集
フィールドの名前 | Untitled | 宿泊費総額 |
Set Equation | – | 下記参照 |
「Set Equation」内に計算式を記入します。各フィールドには「fieldname*」という値で登録されているため、これを計算式にあてはめていきます。関数も用意されていますが、知識がある人は手動で入力してもOKです。
各フィールドはそれぞれ、
fieldname1=チェックインの日付
fieldname2=チェックアウトの日付
fieldname3=宿泊人数
fieldname4=部屋のグレード
fieldname5=オプションサービス
となっています。
今回は最初に紹介した計算式にfieldnameをあてはめ、下記のような計算式を入力しました。
(((基本料金*部屋のグレード)+オプションサービス)*(チェックアウト日にち-チェックインの日にち))*宿泊人数=宿泊費総額
(((5000*fieldname4)+fieldname5)*(fieldname2-fieldname1))*fieldname3
全てのフィールドの設定が完了したら、一番下にある「Save Changes」をクリックします。
きちんと動作するか、「Save Changes」の隣にある「Preview」で確かめてみます。
まとめ
計算フォームや料金シミュレーターなどを設置できるプラグイン「Calculated Fields Form」を紹介しました。if関数を利用した計算式など、無料版でもかなり高度な計算フォームを作成できます。フォームの見た目が微妙なのでCSSで余白調整などが必要にはなりますが、機能性は捨てがたいものがあるので、よろしければご検討ください。