『Ahrefs』 というツールを知っていますか?
Ahrefsは、SEOの被リンク分析ツールとして有名ですが、その実態はコンテンツマーケティングやSEO全般をカバーするオールインワンツールです。自社サイトの解析はもちろん、競合分析、キーワードリサーチ、コンテンツネタ調査など、すべてAhrefsで完結します。
例えるなら、GoogleサーチコンソールとGoogleキーワードプランナーをミックスして、ものすごく性能を強化したツール、というイメージです。
この記事では、Ahrefsの代表的な以下の機能の使い方を解説します。
- Site explorer(サイト・エクスプローラー)
- Keywords explorer(キーワード・エクスプローラー)
- Content explorer(コンテンツ・エクスプローラー)
有料ツールなので、気軽にすぐ導入できるものではないかもしれません。しかし、仮にAhrefsを導入できない場合でも、競合分析やキーワードリサーチなどの考え方は、参考になると思います。
それでは、見ていきましょう。
目次
Site explorer(サイト・エクスプローラー)の使い方
まずは、Ahrefsのメイン機能であるサイト・エクスプローラーをご紹介します。
サイト・エクスプローラーは、自社サイトの解析や競合分析で威力を発揮する機能です。入力したURLの被リンク数や獲得キーワード数、トラフィック数などをチェックできます。
まず、特定のサイトURLを入力します。
ここで、解析する範囲をプルダウンメニューから選択できます。以下の4つです。
- 完全一致URL(そのURLのみ。上層・下層のディレクトリは解析しない)
- 部分一致URL(そのURLが含まれるすべてのディレクトリを解析)
- サブドメインを含まないドメイン
- サブドメインを含むすべてのドメイン
単一のページだけを解析したいときは1を、サイト全体を解析したいときは2を、そしてドメイン全体を解析したいときは3か4を選択します。
*URLを入力すれば、その形態に合わせて自動で選択してくれます。変えたい場合は手動で選択し直しましょう。
Overview(概要)画面の見方
URLを入力すると、以下のようなOverview(概要)画面に移行します。ここのおおまかな見方を説明していきます。
1. Ahrefsランク
Ahrefsのデータベースにおいて、他サイトと比較したときのランク。獲得している被リンクプロフィール(被リンクの量と質)によって順位付けされます。ちなみに、1位はFacebook(facebook.com)です。
2. URランクとDRランク
URランクは、サイト・エクスプローラーに入力したURLの被リンクプロフィールが、100点満点で表示されます。DRランクは、そのURLを含むドメイン自体の被リンクプロフィールです。
これらの数値が高ければ高いほど、SEOパワーが強いサイトだと判断できます。
3. 被リンク
獲得している被リンクの合計数です。ちなみに「K」 は1000の単位です。
4. 参照ドメイン
被リンクをもらっているドメインの数です。
5. オーガニックキーワード
順位が付いている(100位以内)検索キーワードの総数です。PPC広告を出している場合は、そちらの検索キーワード数も下に表示されます。
6. オーガニックトラフィック
月間で獲得しているオーガニックトラフィック(自然検索流入)の総数です。
7. トラフィックの価値
サイトが獲得しているオーガニックトラフィックを、PPC広告経由で得ようとしたときにかかるコストの概算です。たとえば「$97.2K」 なら、日本円で1,000万円近い金額です。それだけの価値の検索トラフィックを獲得していることになります。
また、PPC広告を出している場合は、その推定月間コストも下に表示されます。
オーガニック検索の推移をチェック
概要画面からは、オーガニック検索の推移もおおまかにチェックできます。トラフィック数、キーワード数、トラフィックの価値、検索順位などの変動履歴がグラフでわかりやすく表示されます。
上位キーワードと上位ページ(ともにTOP5)も把握できます。
有料検索広告の概要をチェック
PPC広告を出している場合は、キーワード数の推移や上位5件の広告などの概要を、簡単にチェックできます。
TOP5のキーワード、ランディングページも把握できます。
競合サイトのSEO獲得キーワードをすべて暴露する
SEOの競合コンテンツ調査でサイト・エクスプローラーを活用するなら、「オーガニックキーワード」 の項目が便利です。
競合が獲得しているSEOキーワードがすべてわかります。
ここでたとえば、「競合が獲得しているロングテールキーワードをすべて抽出して、自社でもそこを対策したい」 と考えたとしましょう。サイト・エクスプローラーを使えば簡単に実行できます。
手順を説明します。
まず、単語数が3語以上のキーワードだけに絞ります。「単語数」 のフィルタリングメニューをクリックして、From(単語数の下限)に「3」 と入力します。
そうすると、3語以上のキーワードだけが表示されます。
あとは、検索ボリュームでソートをかけてみましょう。試しに、「Volume」 のフィルタリングメニューをクリックして、From(最低検索数)に「50」 、To(最高検索数)に「500」 と入力してみます。
ここまで完了したら、「エクスポート」 からCSVファイルをダウンロードします。
CSVファイルをダウンロードしたら、GoogleスプレッドシートやMicrosoft Excelで開きます。
ちょっと余計な情報がごちゃごちゃと混在しているので、必要な列以外は削除します。Keyword、Position、Volume、Trafficの4つの情報だけを残せばOKです。
これで、トラフィックの獲得見込みが高い、有望なロングテールキーワードのリストが入手できました。競合がすでにトラフィックを獲得しているキーワード群なので、価値のない見当違いなキーワードを選んでしまう心配もありません。
ここまでの作業は、時間にして3分くらいです。少しでもSEOを理解している人なら、これがどれほどのことなのか、理解できると思います。
キーワードをすべて暴かれる競合の立場からすれば、たまったものではありませんが・・・(いまのWebマーケティングでは、隠し事は何もできないということです)。
「コンテンツ比較」 機能で競合とのキーワード差分を把握する
サイト・エクスプローラーには、「コンテンツ比較」 という機能があります。これは、自社と競合の獲得キーワードの差分を分析・比較してくれる機能です。
たとえば、競合は獲得できているけど、自社が獲得できていないキーワードを発見できます。現状の把握や、競合との差分を埋めるためのキーワード戦略立案に、とても役立ちます。
使い方は簡単で、自社のURLと競合のURL(複数指定できる)を入力するだけです。
「キーワードを見る」 をクリックすると、以下のような画面に移ります。
自社と競合、それぞれのキーワード順位の差が比較できます。競合は上位表示しているのに、自社は順位が低いキーワードがあれば、そのキーワードで新規コンテンツを書いたり、既存記事のリライトをしたり・・・といった施策を実行できます。
これを手動でおこなうと、たとえば自社の獲得キーワードをGoogleサーチコンソールなどで抽出して、順位チェックツールで自社のドメインと競合のドメインでそれぞれ検索順位を取得して、その結果をExcelにまとめて・・・
といった手間がかかりますが、Ahrefsはこれを一瞬で完了してくれます。SEOが圧倒的に捗る、一押しの機能です。
有料検索広告のキーワード一覧も取得できる
オーガニックキーワードだけでなく、リスティング広告で獲得しているキーワード一覧も取得できます。
収益性の高いキーワードが一発でわかるので、リスティング広告を出稿する予定がなくても、CV(コンバージョン)に近いSEOキーワードを探すのに役立ちます。
さらに、広告のプレビューまで見れてしまいます。また、「広告」 というメニューをクリックすれば、パフォーマンスの良いリスティング広告もチェックできます。
どの広告が、どのくらいのトラフィックを獲得していて、どのLPに飛んでいるのか、すべてわかります。
このように、それぞれの広告が、どんなキーワードで出稿されているのかもわかります。ちょっと反則に近いような気もしますが・・・。
Ahrefsのサイト・エクスプローラーにURLを入力すれば、すべてのデータを合法的に盗めてしまいます。競合が長い期間かけて調べて構築したSEOキーワードやリスティングキーワード、そして、テストにテストを重ねた広告コピー・・・。
それらをたった数クリックですべて取得できるのは反則に近いです。だから、業界の人はAhrefsを「悪魔的」 と形容します。それくらい強力なツールなんですね。
Keywords explorer(キーワード・エクスプローラー)の使い方
続いて、キーワード・エクスプローラーの使い方を解説します。
キーワード調査ツールは、たとえばGoogleキーワードプランナーやサジェストキーワード取得ツールなど、いろいろありますが、Ahrefsのキーワード・エクスプローラーは、それらを遥かに凌駕します。
Overview(概要)画面の見方
Ahrefsにログインしたら、画面上部の「Keywords explorer」 のタブをクリックします。
入力欄に調べたいキーワードを入力して、オレンジ色のサーチボタンをクリック。そうするとOverview(概要)画面に移行します。
キーワードの概要情報
上部に表示される、キーワードの概要情報について解説します。
Keyword difficulty(キーワード難易度)
キーワードのSEO難易度を0〜100で表しています。数字が大きくなるほどSEO難易度が高いです(ここでいうSEO難易度とは、上位表示するためにどれだけの被リンクが必要かを指します。数字が大きいほど多くの被リンクを必要とします)。
Search volume(検索ボリューム)
キーワードの月間検索ボリュームの目安です。
Not clicked/Clicked
検索結果でいずれかのページをクリックしたユーザーのパーセンテージと、どのページもクリックしなかったユーザーのパーセンテージです。
RR(リターンレート)
そのキーワードで検索する人が、同じキーワードで再び検索する率がどれくらいかを表しています。
CPS(Clicks Per Search)
そのキーワードで検索されたときに、検索結果のページがクリックされる率。CPSが高いほど、複数のページをユーザーがクリックしているということなので、TOP3より下の順位でも見てもらえる可能性が高いです。
Clicks
キーワードで検索したユーザーが、その検索結果のなかでおこなうクリックの総数(月間)。「Search volume」 に対して「Clicks」 の数値が大きければ、多くのユーザーが検索結果の複数ページをクリックしていることが推測できます。
CPC(Cost Per Click)
そのキーワードでリスティング広告を出した場合の、1クリックあたりのコストの概算。
Paid/Organic
有料広告(PPC)と自然検索結果のパーセンテージをそれぞれ表しています。広告のパーセンテージが大きければ、商業性の強い(つまりお金になる)キーワードだと判断できます。
Overview(概要)画面には、キーワードの概要情報以外にも、さまざまなキーワード情報が下に掲載されています。次は、それらを解説していきます。
Parent topic
Parent topicとは、入力したキーワードの「親キーワード」 を表しています。入力したキーワードを包括する、より大きなキーワードですね。
この場合、入力した「ワードプレス テンプレ」 よりも「wordpress テーマ」 のほうがより上位概念のキーワードだということです。
ほかのキーワードで例えると、「キーワード選定」 は、「SEO キーワード 選定」 「キーワード 選定 方法」 といったキーワードの親キーワードです。
「キーワード選定」 という親キーワードでコンテンツを作成すれば、そのなかに包括される「SEO キーワード 選定」 「キーワード 選定 方法」 などのロングテールキーワードも、同時に対策できます。
だから、Parent topic(親キーワード)でコンテンツを作ったほうが効率的なのです。もしParent topicが提案されたら、そちらでコンテンツを作ることを検討しましょう。
Keyword ideas by search volume(検索数ボリュームの多い関連キーワード)
関連するキーワードのなかでも、検索ボリュームの多いものを抜粋して表示してくれます。
ここでは簡易的なデータしか表示されませんが、のちほど解説する「Keyword Ideas」 の機能で、関連キーワードを本格的に調べることができます。
SERP position history(TOP10のページの検索順位履歴)
検索結果1ページ目のTOP10の、検索順位履歴がグラフで表示されます。順位変動の激しいキーワードかどうかが確認できます。
SERP overview(TOP10の情報)
Google検索1ページ目のTOP10の情報をチェックできます。タイトルとURLはもちろん、獲得トラフィック数やキーワード数、被リンク数なども確認できます。
キーワードリサーチが捗る「keyword ideas」 の豊富な機能
「keyword ideas」 のメニューには、以下のような調査オプションがあります、
- All keyword ideas
- Phrase match
- Having same terms
- Also rank for
- Search suggestions
- Newly discovered
- Questions
それぞれ、どのようなキーワードを抽出できるか解説していきます。
1. All keyword ideas
関連するすべてのキーワードを抽出します。とにかく大量にキーワードを抽出したい場合に便利です。
2. Phrase match
キーワードと語順が完全一致している関連キーワードを抽出します。たとえば、「ワードプレス テンプレ」 というキーワードなら、「ワードプレス テンプレ ○○○」 という語順の関連キーワードだけを探せます。
3. Having same terms
こちらは「Phrase match」 とは違い、語順が完全一致していない関連キーワードも抽出します。「ワードプレス 無料 テンプレ」 「ワードプレス 記事 テンプレ」 といった感じですね。
4. Also rank for
入力したキーワードで上位表示しているTOP10のページが流入を獲得している、そのほかのキーワードを抽出します。
「ワードプレス テンプレ ○○○」 といった直接的なキーワード以外のキーワード(たとえば、「レスポンシブ テンプレート」 や「wordpress 1カラム 日本語」 など)のアイデアを得られます。
5. Search suggestions
いわゆるサジェストキーワードです。ほかのサジェストキーワードツールで取得できるキーワードと、ほぼ同じだと思って大丈夫です。
6. Newly discovered
直近、Ahrefsが新しくデータベースに登録したキーワードの一覧です。
7. Questions
質問形式のキーワードだけを抽出します。たとえば、「何」 「なぜ」 などの単語を含むキーワードです。
キーワードのフィルタリング機能
ちなみに、各項目のキーワード抽出結果画面では、いろいろな条件でフィルタリングできます。
よく使うものを解説しましょう。
KD(キーワード難易度)
0〜100のキーワード難易度でフィルタリングします。下限と上限で設定でき、たとえばキーワード難易度0〜10のキーワードだけを表示させるといったことができます。
Volume
検索ボリュームでフィルタリングします。こちらも、検索ボリューム100〜1000といったキーワードだけを表示する、という使い方ができます。
Word count
キーワードの単語の数でフィルタリングします。たとえば単語数を3以上に設定すれば、「SEO キーワード 選定方法」 といった3語以上の複合キーワードだけが表示されます。
Include
含む単語でフィルタリングします。ここに入力した単語を含むキーワードだけが表示されます。
Exclude
除外する単語でフィルタリングします。ここに入力した単語を含まないキーワードだけが表示されます。
キーワード・エクスプローラーでキーワードリストを構築する方法
ここからは、キーワード・エクスプローラーのより実践的な使い方をご紹介します。キーワードリストの構築方法です。
キーワードリスト構築で一番大変なのは、膨大なキーワードを整理・分類することですが、キーワード・エクスプローラーを使えば、その作業は一瞬で完了します。
まず、「All keyword ideas」 ですべての関連キーワードを洗い出し、右端の「Export」 から、CSV形式でリストをダウンロードします。
ダウンロードしたら、GoogleスプレッドシートやMicrosoft Excelで開きます。
このままだと少し情報が多くて見づらいので、不要な列を削除しましょう。
「Keyword」 「Volume」 「Parent Keyword」 の3つを残したら、「Parent Keyword」 の列を昇順でソートします。
そうすると……
このように、キーワードが一瞬で整理・分類されます。
「Parent Keyword」 で一括りにしたキーワード群のリストが手に入りました。つまり、1記事で同時に対策していくキーワードを一瞬で整理・分類できたわけです。
上記の作業を複数のキーワードで繰り返して、キーワードリストを構築しましょう。
ちなみに、キーワードの整理・分類のノウハウは、以下の記事も参考になります。
サイトやブログのSEO(検索エンジン最適化)は、キーワード選定がすべての出発点です。キーワードを決めずに、思いつきでコンテンツを書き続けても、SEOによる集客はうまくいきません。 そこでこの記事では、サイトやブログのキーワード選定の方法をご紹介します。本文で解説している関連キーワードの抽出方法...
Content explorer(コンテンツ・エクスプローラー)の使い方
最後に、コンテンツ・エクスプローラーの使い方を解説します。コンテンツ・エクスプローラーは、SNSで多くの人に支持されやすい(拡散されやすい)コンテンツネタを探すのに役立ちます。
試しに、「コンテンツマーケティング」 というキーワードを入力してみます。
すると、SNSで多くシェアされているコンテンツが一覧で表示されます。
ここから、拡散を狙ったコンテンツネタのアイデアを得られます(上の棒グラフは、トピックのトレンド推移を表しています)。
ちなみにコンテンツの並び順は、Twitterのシェア数が多い順だったり、検索流入が多い順だったり、いろいろな条件でソートできます。
このような、キーワード起点ではないネタの探し方も覚えておくと、コンテンツの幅が広がります。
もし、コンテンツ・エクスプローラーを使わずに同じようなことを実践するなら、はてなブックマークがオススメです。具体的には、はてなブックマーク内でキーワード検索をします。
「コンテンツマーケティング」 で検索すると、以下のような結果になりました。
ここから、たとえば「ブックマーク数500以上」 といった基準でソートするわけです。そうすれば、拡散されやすいコンテンツネタを見つけることができます。
Ahrefsのコンテンツ・エクスプローラーを使えない場合でも、考え方を応用すれば、無料のサイトやツールでもコンテンツネタは探せます。
まとめ
Ahrefsはコンテンツマーケティングを加速させる、極めて強力なツールです。特に、競合分析やキーワードリサーチの精度・効率を劇的に上げてくれます。無料ツールでは到底できないことが、いとも簡単に実行できる優れものです。
料金プランは、以下のようになっています。
Liteプランでも月額10,000円ほどはかかるので、手軽な料金ではありませんが、コンテンツマーケティングを本格的にやるなら、導入する価値はあります。
ちなみに、LiteプランとStandardプランは、7日間のトライアルが用意されています。トライアル期間は$7で利用できるので、まずは試してみてはいかがでしょうか?
貸借対照表の資産の部には自分が育てたオウンドメディア(自社メディア)は載りません。課税対象になることもありません。ゆえに一般的には資産的な価値として見ている人は少ないものの、実態としては資産に限りなく近い働きをします。 Webサイトは完成後に短期的に効果を生むのではなく、その後も効果を生み続け...