「WordPressはSEOに強い」

よく言われる言葉ですが、この言葉は決して「WordPressでサイトを作れば簡単に上位表示する」という意味ではないので、注意してください。

もちろん、WordPressがGoogleのSEOと相性が良いのは事実ですが、WordPressを導入しただけで劇的にSEOのパフォーマンスが上がることはありません。WordPressとSEOの関係について、正しく理解する必要があります。

そこでこの記事では、

  • WordPressがSEOに強いと言われる正しい理由・根拠
  • SEOに不利にならないWordPressテーマの選び方
  • サイトのSEOを強化するためのポイント

といった内容をお伝えします。
WordPressは魔法の装置ではありませんが、その性質を理解して正しく活用すれば、サイトのSEOを強化することに貢献するはずです。

↓「そもそもWordPressとは?」という方は以下の記事が参考になります。

「WordPressはSEOに強い」は本当か?

「WordPressはSEOに強い」という主張は間違いではありませんが、SEOに強いという言葉の意味に注意しなければいけません。

よく言われるのは、「検索上位のサイトにWordPressが多いから、WordPressを使えば上位表示しやすい」という理屈です。しかし、これは理論が飛躍しています。

WordPressの市場シェアは世界中のWebサイトの約40%(2021年2月)CMS市場の約65%(2022年2月)を占めるに至っています。これだけのシェアを占めていれば、検索上位のページにWordPressが多くなるのは当然です。単純に母数の問題であり、WordPressを使えば上位表示しやすいという因果関係にはなりません(そもそも因果関係の証明など不可能です)。

WordPressが、他のCMSやHTMLサイトなどと比べて上位表示しやすいということはないと、Googleのジョン・ミューラーもTwitterで言及しています。

「A page is a page(ページはページだ)」とあるように、WordPressで生成したページだろうが、他のCMSで生成したページだろうが、HTMLで作ったページだろうが、ページはページであり、Googleの評価は同じだということです。

たしかに、WordPressはGoogleのSEOと親和性が高いのは事実です。元Googleのマット・カッツも、以下のように言及しています。

WordPress is a great choice

WordPress takes care of 80-90% of (the mechanics of)
Search Engine Optimization (SEO)

(訳)
WordPressは素晴らしい選択だ。
WordPressはSEOの80〜90%に対応している。

出典:Straight from Google: What You Need to Know

WordPresがSEOに強い側面があるのは事実ですが、決して上位表示の確率が上がるという意味ではありません。SEOに強い(上位表示しやすい)WordPressテーマというものも存在しないので、誤解しないよう注意してください。

WordPressがSEOに強いと言われる3つの根拠

上でお伝えしたとおり、WordPressの使用と検索順位との間に因果関係は一切存在しないので、WordPressを導入しただけで簡単に上位表示することはあり得ません。

ただ、「WordPressがSEOに強い」という主張は必ずしもデタラメではなく、一定の根拠はあります。上位表示との因果関係はないとしても、WordPressを使うことで、マイナスのSEO評価を回避して、Googleから正しく評価してもらうためのサイトを構築することはできるかもしれません。

以下に、WordPressがSEOに強いと言われる3つの根拠を記載しました。

Google botがクロールしやすいサイト構造

まず、WordPressはGooglebotがクロールしやすいサイト構造を作りやすいという点が挙げられます。

Googleの検索結果にサイトやページが表示されるまでの大まかなプロセスは、以下のとおりです。

  1. Googleのロボット(Googlebot)がサイトを巡回してページ情報を取得する(クロール)
  2. クロールしたページ情報をデータベースに登録する(インデックス)
  3. Googleの検索アルゴリズムにもとづき、ページの順位付けをする(ランキング)

最初のプロセスであるクロールが上手くいかなければ、ページがインデックスされることはありませんし、検索結果に表示されることもありません。

サイトやページを確実にクロールしてもらうには、Googlebotがクロールしやすいサイト構造にする必要があり、そのためには「TOPページ → カテゴリページ → 下層ページ」という階層構造(リンク構造)が理想になります(TOPから2~3クリック以内で最下層ページまで移動できるサイト構造)。

サイトの階層構造

WordPressの場合、カテゴリの設定機能がデフォルトで付いているので、Googlebotがクロールしやすい階層構造のサイトを簡単に構築できます。SEOを考慮したテンプレート(テーマ)であれば、理想的な階層構造になるように設計されているので、そのようなテンプレートを導入すればより安心です。

SEOを強化する豊富なプラグイン

WordPressには、サイトの高速化やコンテンツのUI・UXの改善に役立つプラグインが豊富にあります。

表示速度やコンテンツのUI・UXなどのユーザー体験は、(そこまで大きな影響ではありませんが)ランキング要因としてGoogleが参考にしている指標です。通常のHTMLサイトであれば、これらの改善には手間と時間がかかりますが、WordPressならプラグインの導入で大部分をカバーできます。

さらに、「All in One Seo」や「Yoast SEO」のような、SEOを総合的にサポートするプラグインもあるので、SEOの知識や経験があまりない人でも、専門家に頼らず自分自身でサイトのSEO施策を進めたり改善したりすることができます。

ただし、これらのプラグインはサイトが重くなりやすく、また、テーマに備わっているSEO機能とバッティングして不具合を起こすこともあるので、注意が必要です。テーマ独自の機能でSEOの大部分を補える場合は、総合型のSEOプラグインを導入する必要はないかもしれません。

記事更新の利便性・簡便性

ブログ感覚で簡単に記事を投稿・更新できるのもWordPressの特徴の一つです。

ワードプレスの投稿画面

投稿画面のインターフェースは無料ブログサービスと似ているので、Amebaブログやはてなブログを使ったことがあるなら、WordPressも抵抗なく使えるでしょう。以下の記事で、WordPressの投稿の使い方を解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

投稿機能の利便性・簡便性は、更新を続けるうえで重要な要素です。ストレスを抱えて挫折することなく良質な記事の投稿を積み重ねれば、それに比例してサイトのSEOは強化され、検索流入も増えていきます。

SEOに不利にならないWordPressテーマの選び方

基本的に、上位表示しやすいWordPressテーマは存在しません。

「上位表示しやすいかどうか?」という視点でWordPressテーマを選ぶ必要はありませんが、最低限、Googleから不利な扱いを受けない(SEOでマイナスにならない)仕様になっているかどうかは、チェックしたほうがいいかもしれません。以下のようなSEO機能の有無を確認するといいでしょう。

  • パンくずリストの設定
  • noindexやnofollowの設定
  • title、descriptionの設定
  • モバイル対応(レスポンシブデザイン)
  • 高速化の機能
  • canonicalの設定

有料で販売されている主要なWordPressテーマであれば、このあたりのSEOは問題なくカバーされているものがほとんどです。無料のテーマでも、「Cocoon」など有名どころのテーマは丁寧に設計されているので心配ありません。マイナーな無料テーマを選ぶ際は、上に挙げたSEOが考慮されているかどうか、注意したほうがいいかもしれません。

SEOを強化するために意識したいチェックポイント

最後に、SEOを強化するために意識したいポイントをまとめました。

何度も繰り返しますが、WordPressを導入しただけでSEOに強くなるわけではありません。以下に挙げたようなSEO施策を正しく実行することで初めて、検索順位の上昇やトラフィックの増加といった効果が得られます。

コンテンツの網羅性 コンテンツで扱う情報量は、読み手のニーズを満たすために十分かどうか? 説明が不足しているトピックはないか? また、サイト全体で扱う情報に抜け漏れはないか?
関連キーワードなどを参考に、読み手が求める情報を網羅することが重要。
コンテンツの信頼性 コンテンツの著者は信頼できるか? サイトの運営元は明確か? 問い合わせ窓口は設置されているか?
実在性のあるサイトは評価されやすい傾向にある(企業サイトがSEOに強い理由)。
コンテンツの独自性 コンテンツはオリジナルの情報で構成されているか? 他サイトのコピーや焼き直しになっていないか?
Googleは独自性のあるオリジナルコンテンツを優遇すると明言している。
キーワードとコンテンツの関連性 コンテンツはキーワードの検索意図(検索ニーズ)を反映した内容になっているか? キーワードとの関連性が薄い余計な情報は多くないか?
検索結果(Serps)や関連キーワードの調査で結果意図を把握することが重要。
ブランド認知(指名検索の増加) サイトや商品・サービスのブランド認知は十分か? 指名検索されているか?
ブランドの認知度を高めることは究極的なSEOであり、認知が十分にされている状態になれば、SEOは成功したも同然。初期露出として広告出稿も検討すべき。
サイトの階層構造の最適化 Googleのロボット(Googlebot)がクロールしやすい階層構造になっているか?
Googlebotがサイトを巡回しやすいよう、TOPページから2〜3クリック以内で最下層ページまで移動できる構造が理想。
URLの永続化 URL(パーマリンク)を永続させるつもりでサイトを設計しているか?
一度設定したURLは特別な事情がない限り、変更せずに使い続ける。
内部リンクの最適化 関連するページを内部リンクで繋げているか?
同階層のページへのリンクや、上層あるいは下層のページのリンクを貼る。記事ページであれば、関連記事へのリンクやカテゴリページへのリンクを貼るといい。
モバイルフレンドリー スマホやタブレットでの見やすさや使いやすさを考慮したレスポンシブデザインになっているか?
使用するWordPressテーマによって、モバイルでの見え方や操作性が大きく変わってくる。テーマの導入前に、モバイルフレンドリーテストのツールでデモサイトをチェックするといいかもしれない。
サイト高速化 サイトの読み込み速度や、ボタンのクリックなどの動作の反応速度は良好か?
PageSpeed Insightsというツールを使うことで、表示速度のスコアや改善項目をチェックできる。

これらはどれも基本的なSEO施策であり、実行するのはそれほど難しくはありません。小〜中規模のサイトの場合、複雑で難解なSEOをやる必要はなく、基本的なSEO(特にコンテンツ周り)を忠実に実行し続けることが成果を出すためのポイントです。

SEOを強化するために、WordPressインストール直後にやっておきたい具体的な設定項目を解説した以下の記事も、ぜひ併せてチェックしてみてください。

まとめ

「WordPressはSEOに強い」

この言葉は嘘ではありませんが、その解釈に注意する必要があります。

WordPressは魔法の装置ではないので、導入しただけで検索順位が上がることはありません。他のCMSやHTMLサイトと比べて、アクセスが増えやすいということもないでしょう。「WordPressを使えば順位が上がる、アクセスが増える」という因果関係は一切なく、ほとんど都市伝説レベルの話です。

ただ、上位表示やアクセスアップとの因果関係はないとしても、WordPressを使うことで、マイナスのSEO評価を回避して、Googleから正しく評価してもらうためのサイトを構築しやすくなるのは事実です。たとえば、

  • Googlebotがクロールしやすいサイト構造
  • SEOを強化する豊富なプラグイン

などは、WordPressがSEOに強いと言われる根拠として、十分に支持できるものだと思います。また、記事更新の利便性・簡便性も、良質なコンテンツを継続的に投下することにつながるので、SEOに貢献する要素だといえるでしょう。

いずれにせよ、WordPressを使うことでSEO的に有利になることはあっても、不利になることはまずないので、サイトを構築するなら迷わずWordPressを導入することをオススメします。

WordPressについてもっと深く知りたい場合は、以下のページをご覧ください。WordPressの導入方法や使い方などの情報を網羅しています。

>> WordPress大全集