企業の沿革は、そこに携わる人々の歴史そのものであり、企業が過去から未来へと向かう過程を示したものでもあります。企業サイトにとっては「沿革」は重要なコンテンツの一部でしょう。

本稿では「沿革」をどのように書くべきか、2つのパターンのそれぞれの事例を紹介しています。

会社概要ページの書き方例を参考にしたい方はこちらをご覧ください。

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沿革とは?社史との違い。

「沿革」とは、企業、組織、団体の歴史的な発展や変遷に関する情報をまとめたものです。企業サイトの沿革や社史を書くことは、その企業の成り立ちやストーリーを伝え、ブランドへの興味や信頼性を高める重要な要素となります。

沿革と社史については特に違いはありません。しいて言えば、沿革は企業の歴史的な出来事や成果を時系列で示したもの。社史は出来事の羅列よりも具体的に関係した人々のストーリーや文化、ビジョンにフォーカスされたものと言えます。

歴史の長い老舗企業やリーディングカンパニーは読み応えのある社史を掲載することが可能です。

沿革の項目と例文

項目 例文
個人創業 創業者山田太郎が大阪府吹田市にてウェブ制作事業を創業。
神戸の自宅ガレージにてサービスを開始。
法人化・設立 株式会社〇〇〇を設立。
社名変更 〇〇〇株式会社(現商号)に社名変更。
本社移転 本社を京都市伏見区に移転。
増資・減資 資本金2,000万円に増資。
資本金1,500万円に減資。
支社・支店・工場 東京都千代田区に東京支店を設置。
タイ バンコクに現地法人「〇〇〇」を設立。
熊本県菊陽町に半導体工場を設立。
自社ビル 大阪本社ビル「〇〇タワー」完成。
商業施設「〇〇〇〇」(東京都渋谷区)落成。
役員人事 3代目代表取締役社長に山田花子が就任。
創業者山田太郎が取締役を辞任。
上場 東京証券取引所グロース市場に上場。
経営統合・合併・出資・買収 〇〇株式会社(現 株式会社〇〇)を子会社化。
〇〇株式会社との共同出資(出資比率50%)で合弁会社を設立。
発売・リリース ウェブ開発ツール「〇〇〇」を発売。
インターネット上で物々交換できるサービス「〇〇〇」を開始。
リアルタイムのプログラミング授業を配信開始。
認証取得 ISO14001(環境): 2004統合審査合格。
受賞 グッドデザイン賞金賞を受賞。
「世界でもっとも影響力のあるメディア100選」に選ばれる。
TCD AWARD 2024で堂々の1位を獲得。
実績 全世界のユーザー数が100万を突破。
YouTubeチャンネルの登録者数、10万人を超える。
社員数(グループ全体)が1000名を超える。
研究開発 ヒトゲノムの全塩基配列の研究に着手。
「洗剤の要らない洗濯機」が英サイエンス誌に取り上げられる。
認可・特許 古物商許可証取得 千葉県公安委員会 第00000号。
宅地建物取引業免許取得 和歌山県知事(1) 第0000号。

沿革の書き方例

沿革は、国内企業サイトを見ているとたいてい事実列挙型が採用されています。海外や一部国内企業ではストーリー調に沿革を書いているところもあります。国内の事例で言えば、楽天グループがストーリー型の沿革を採用しています。

事実列挙型のメリットは、起こった事実が明確にわかりやすいこと。ストーリー型のメリットは感情に訴えかけることができるため、ブランドイメージの構築に貢献できること。どちらもメリット・デメリットがありますので、両方のパターンでページを分けて作るのもありです。サイバーエージェントやソフトバンクは両方作成しています。

それでは、事実列挙型、ストーリー型の2パターンの書き方例を紹介します。

事実列挙型

2000年1月: 大阪府豊中市にて個人事業主として創業。
2002年10月: XYZコーポレーションを設立。
2003年2月: 資本金を1億4783万円に増資。
2006年1月: 日本初となる電子書籍レンタルサービスを開始。
2008年12月 アメリカ・サンフランシスコに現地法人設立。
2012年6月: ナスダックに上場。
2018年7月 本社移転(東京都港区)。

ストーリー型

2000年1月:
創業期
XYZコーポレーションは1998年、サンフランシスコでジェーン・スミスとデイビッド・ジョンソンによって創業されました。当初はウェブデザインとソフトウェア開発を提供する小規模なスタートアップ企業でした。
2004年10月:
成長と多角化
2004年に、XYZコーポレーションは急速に成長し、新しい市場に進出しました。ウェブホスティングとデジタルマーケティングサービスの提供を開始し、クライアントポートフォリオを拡大しました。
2011年12月:
グローバル展開
XYZコーポレーションは国内市場から国際市場に進出し、アジア太平洋地域でオフィスを開設しました。国際的な顧客と提携し、グローバルプレゼンスを強化しました。
2015年7月:
テクノロジー革命
2016年には、XYZコーポレーションはクラウドコンピューティング技術への積極的な投資を行い、新たなサービスを開発しました。クラウドホスティングとデータセキュリティ分野で業界リーダーとしての地位を確立しました。
2019年:
持続可能なビジネス
環境への配慮が企業文化の一部となり、XYZコーポレーションは再生可能エネルギーの使用を推進し、CSRプログラムを開始しました。地域コミュニティへの貢献と社会的責任を重視しました。
2024年:
未来への展望
XYZコーポレーションは今後もテクノロジーの革新、クライアントサービスの拡大、国際市場での成長を追求します。環境への配慮や社会的責任を継続し、顧客に価値を提供し続けることを使命としています。

最後に。

沿革は、小規模な会社は書けることがすくないため、小さな出来事でも記載しておくことをおすすめします。ボリュームがあった方が印象が良いからです。

会社規模が大きくなってくると、すべて書ききることはできなくなってきますが、そうなってから後から省略してもいいですしね。

沿革は組織の歩みを対外的に示すものである一方で、社内の関係者が見直す良い機会を与えてくれるものでもあると思うんですね。

私も経営者として自社サイトの沿革をたまに見た時は「あれ、もう◯年も前だったんだ」「この時は精力的に動いてたよな」とか色々思うところがあったりします。そういった意味でも丁寧に記録しておくことは良い試みではないでしょうか。

会社の規模を大きく見せる方法

会社の規模が大きければ良いわけではありませんが、規模を重視する人が多いのも拭えない事実でしょう。

インターネットでは、実際の企業規模よりも大きく見せることは難しいことではありません(もちろん、逆も可)。当社も10人足らずの小さなチームですが、実際にはそれ以上に見られることが多いです。

どうすれば大きく見せられるのか。ポイントは、ウェブサイトのデザインを洗練させ、コンテンツをしっかり作り込むこと。こちらのWordPressテーマでコーポレートサイトを制作すると、良い感じに仕上がることは間違いありません。自分の会社にもっと愛着を感じますしね。

GENESIS

その他のコーポレートサイトに使えるWordPressテーマは、こちらの記事で特集しています。

「コーポレートサイトの作り方」の記事一覧

第1回:コーポレートサイトとは?
第2回:会社概要の書き方
第3回:沿革の記載事項(当記事)
第4回:代表者メッセージの書き方