WordPressの管理画面で「ユーザー」→「プロフィール」を開き、いちばん下までスクロールすると、「アプリケーションパスワード」という欄があります。

ふだんは使わない欄ですが、AIや外部のツールとWordPressをつなごうとすると、たいてい「ここでパスワードを発行してください」と案内されます。発行するのはボタン1つでできます。ただ、何を渡しているのかを知らないまま発行すると、あとで管理に困ります。


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アプリケーションパスワードとは

アプリケーションパスワードは、外部のアプリやツールがWordPressに接続するときに使う、専用のパスワードです。WordPress 5.6で本体に入りました。

ログインに使うパスワードとの違いは、次のとおりです。

ログインのパスワード アプリケーションパスワード
使う場面 管理画面へのログイン REST APIやXML-RPCでの接続
管理画面へのログイン できる できない
作れる数 1ユーザーに1つ 用途ごとにいくつでも
決め方 自分で決める WordPressが自動で作る(24文字)
止め方 パスワードを変える 1つずつ取り消せる

ツールごとに別のパスワードを渡しておけば、1つのツールの接続だけを止めることができます。ログインのパスワードをツールに入れてしまうと、止めるにはパスワードを変えるしかなく、ほかのツールの接続も一緒に切れてしまいます。

どんなときに使うか

  • ClaudeなどのAIから、MCP Adapterを通じてWordPressを操作する
  • ノーコードの自動化ツールから、記事を投稿したり一覧を取得したりする
  • 自分で書いたプログラムから、REST APIでWordPressのデータを読み書きする

MCP Adapterでの使い方は、こちらの記事で紹介しています。

アプリケーションパスワードを発行する手順

1. プロフィール画面を開く

管理画面の「ユーザー」→「プロフィール」を開き、「アプリケーションパスワード」の欄までスクロールします。ほかのユーザーの分を発行するときは、「ユーザー」→「ユーザー一覧」から、そのユーザーの編集画面を開きます。

2. 名前を入れて追加する

「新しいアプリケーションパスワード名」(①)に、どのツールで使うのかが分かる名前を入れて、「アプリケーションパスワードを追加」(②)を押します。ここでは「Claude」としました。

アプリケーションパスワードの名前を入れる

名前はあとで一覧に表示されるだけなので、自由に付けられます。「Claude(自宅のPC)」のように、使う場所まで書いておくと、あとで見直すときに迷いません。

3. 表示されたパスワードをコピーする

4文字ずつ6つに区切られたパスワードが表示されます(①)。「コピー」を押して、接続したいツールの設定画面に貼り付けます。

発行したパスワードと一覧

パスワードが表示されるのは、この1回だけです。画面を閉じると、もう一度見ることはできません。なくした場合は、取り消して新しく発行し直します。

下の一覧には、発行したパスワードの名前、作成日、最終使用日、最後に使われたIPアドレスが並びます。使わなくなったものは「取消」(②)で、1つずつ止められます。「すべてのアプリケーションパスワードを取り消す」(③)を押すと、そのユーザーの分がまとめて無効になります。

ツール側での使い方

ツールの設定画面では、たいてい「ユーザー名」と「パスワード」を入れる欄があります。ユーザー名にはWordPressのユーザー名を、パスワードには発行したアプリケーションパスワードを入れます。

自分でREST APIを呼び出す場合は、次のように指定します。この例では、下書きの記事を一覧で取得しています。

curl -u "ユーザー名:abcd efgh ijkl mnop qrst uvwx" \
  "https://example.com/wp-json/wp/v2/posts?status=draft"

パスワードの途中のスペースは、入れたままでも、取り除いても使えます。

つなぐ前に確認しておくこと

ユーザーの権限がそのまま渡る

アプリケーションパスワードでできることは、発行したユーザーの権限と同じです。管理者のユーザーで発行すると、ツールからも管理者と同じ操作ができてしまいます。

AIや外部ツールに渡すなら、そのための専用ユーザーを作り、必要な権限だけを持たせてから発行します。下書きを作らせるだけなら「寄稿者」、自分の記事の公開までなら「投稿者」、ほかの人の記事も編集させるなら「編集者」が目安です。

HTTPSのサイトでしか使えない

アプリケーションパスワードは、サイトが https:// で表示されていることが前提です。http:// のサイトでは、パスワードが暗号化されずに送られてしまいます。そのため欄には「HTTPSが必要」という案内が出て、発行できません。

例外は、開発用のローカル環境です。Localで作った http:// のサイトでも、欄が表示されて発行できました。ローカル環境の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

Basic認証をかけたサイトでは使えないことがある

公開前のサイトに、ブラウザのポップアップでIDとパスワードを聞く「Basic認証」をかけている場合は注意します。アプリケーションパスワードも、同じ「Authorization」という仕組みで送られるため、ぶつかって接続できないことがあります。

サーバーの設定でAuthorizationの情報がWordPressまで届いているかは、サイトヘルスの「Authorization ヘッダー」の項目で確かめられます。

使わないなら、機能ごと止められる

外部のツールとつなぐ予定がないサイトでは、アプリケーションパスワードの機能そのものを止めておくこともできます。子テーマの functions.php か、コードスニペット用のプラグインに次の1行を追加します。

add_filter( 'wp_is_application_passwords_available', '__return_false' );

追加すると、プロフィール画面からアプリケーションパスワードの欄が消え、発行済みのパスワードでも接続できなくなります。セキュリティ系のプラグインにも、同じように止める設定を持つものがあります。

欄がない、発行できないときは

プロフィール画面に「アプリケーションパスワード」の欄が見当たらない、または発行できないときは、次の3つを順に確かめます。

  • サイトが https:// で表示されているか(http:// だと案内だけが出て、発行できない)
  • セキュリティ系のプラグインで、アプリケーションパスワードやREST APIを止めていないか
  • テーマやプラグインに、上の機能を止めるコードが入っていないか

まとめ

アプリケーションパスワードを発行する前に、次の3つを決めておくと、あとで困りません。

  • どのユーザーで発行するか(管理者ではなく、必要な権限だけを持つユーザー)
  • どの名前を付けるか(ツール名と、使う場所)
  • 使い終わったら、いつ取り消すか

一覧の「最終使用日」が空のまま何か月もたっているパスワードは、使われていない接続です。ときどきプロフィール画面を開いて、心当たりのないものから取り消していきましょう。

AIからWordPressの機能を呼び出す仕組みについては、こちらの記事も参考になります。

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