2021/03/09*最新情報に更新いたしました。
ワードプレスのClassic Editor(クラシックエディタ)のサポートが2021年末(2022年以降、必要ならば今後もサポート・保守される方針に変更となりました)に終了することもあり、どの程度Gutenberg(グーテンベルク)に移行しているのかが気になっていました。そこでワードプレスユーザーの利用エディタのシェアを調査するため、次のアンケートを2020年3月にツイッターで実施しました。
WordPressで投稿記事を書く時、あなたがよく利用しているエディタはどれですか?
— WordPressテーマTCD (@tcd_jp) March 23, 2020
投票数が多くはないため、属性の偏りも否めません。あくまでも参考材料として扱って頂ければと思います。
Gutenbergへの移行は進んでいない
結果を見る限り、Gutenbergへの移行は進んでいないことが分かりました。Gutenbergの利用率は22.2%、クラシックエディタの利用率はビジュアル・テキストを足すと77.8%。Gutenbergの存在は知りつつも、およそ8割近い方が過去のエディタを使っています。
これはWordPressテーマ開発を通してユーザーと触れる機会の多い当社としては、ある意味予想していた通りの結果です。
各エディタの特徴
ここで各エディタの特徴をおさらいしておきます。
テキストエディタ
古典的なブログエディタにもっとも近いのがテキストエディタです。無料ブログサービスのエディタもこれにあたります。文章とHTMLとエディタの上にあるタグボタンで装飾を加えて、記事を構成していきます。
テキストエディタが便利なところは、HTMLが使えるので細かい調整ができることです。例えば、見出しやパラグラフにclass指定したり、そういうかゆいところをかけるのがテキストエディタの最大の利点ですね。その上で通常の文書作成もできる。そのため、ヘビーユーザーほどテキストエディタを好んで使用する傾向があります。
ビジュアルエディタ
ビジュアルエディタでは、ワード文書を書くように記事を書くことができます。HTMLは使用できませんが、タグボタンが充実しているのが特徴です。文書の装飾や見た目の細かい調整に向かないといったデメリットがありますが、テキストエディタとタブで簡単に切り替えられるので、不便さは感じにくい。
むしろビジュアルとテキストモードのどちらも使えるクラシックエディタはすでに完成されたエディタであるとも言えます。
グーテンベルク
グーテンベルクは高機能なブロックエディタです。ブロックごとにコンテンツが構成されているのが特徴で、既存のエディタとは仕様や用途とともに一線を画すものです。
特にグーテンベルクの優れている点の1つ目は、ブロックの種類の豊富さです。クラシックエディタで出来ることはすべてできますし、ソースコードを書いたり、カラムを分割したり、ギャラリーやボタン、ウィジェットなども挿入できます。ブロックが最初から豊富に用意されているので、高度なWebページの編集も可能となっています。
2つ目はコンテンツの色やサイズを細やかに変更できること。例えば、フォントの大きさを変えたり、要素の背景色を変更したりできます。高度な設定としてCSSも付与できます。
3つ目はブロックごとに簡単に複製・入れ替えが可能ということ。これによって容量の大きなページ構築にもストレスなく耐えられる設計となっている。
このようにグーテンベルクはブロックエディタとしては非常に優秀なツールです。LPや企業のアバウトページ、または凝ったデザインのブログ記事を制作するなら、使える幅は広いでしょう。
なぜ移行が進まないのか
ただ、グーテンベルクにはデメリットもあります。1つ目はこれまでのエディタとは別物であるため、利便性を伴うシーンが変わってくること。先ほども書いたように、凝ったデザインのブログ記事を制作する場合にグーテンベルクは便利なのです。しかし、一般的なブログ記事を書くのにここまでのブロックエディタが必要かと言うと、そうではないシーンの方が多いでしょう。高機能すぎるがゆえにユーザーを迷わせているのです。
2つ目は、ブロックエディタであるがゆえに、ブロックの生成作業が面倒であること。例えば、画像ブロックを作ったら次は本文ブロック、次に見出しブロックを生成といったように、記事を書き進めるたびにブロックを選択して生成する作業が地味に手間がかかるのです。これは多くのWordPressユーザーが言っていることですね。
3つ目はグーテンベルクのクラシックブロックがビジュアルエディタにしか対応していないことです。クラシックブロックがあること自体は良いですが、HTMLモード(テキストエディタ)にするとタグボタンが表示されないという問題があります。それによってすべてのコードを手打ちで書かなければならず、画像をアップロードする時も別ブロックを使用しなければなりません。
要するに、クラシックブロックは片手落ちなのです。ただ、これに関しては解決可能です。クラシックブロックがテキストエディタに対応すれば良いのです。
そうすると、これまでの既存エディタが普通に使えるようになり、なおかつブロックエディタの良さも出てくるので、グーテンベルクが抱える多くの課題は解決するように思います。そこまで行けば、あとは「ユーザーの慣れの問題」となるので、移行も時間が解決してくれるでしょう。
WordPressユーザーからのGutenbergの評判
グーテンベルクへの移行が進まない理由は上にも述べたとおりです。そして、海外のWordPressユーザーはどう思っているのでしょうか。WordPress公式ディレクトリに登録されているプラグインのレビューページで分かります。
・Classic Editor – WordPress プラグイン
否定的なレビューが最近でも目立つとおり、本当に「慣れの問題」として済まして良いかは議論の余地があります。
Gutenbergは使いこなすには?
グーテンベルクを使いこなすには、これまでのブログエディタと同じようには考えないことです。Webページの制作ツールと考える方がしっくり入ってきます。そう捉えることで、グーテンベルクの良さ、つまりクラシックエディタより優れた部分に注目できるからです。
まずは使ってみること。そして、何が出来るかを知ることです。こちらの記事にGutenbergの使い方を解説していますのでよろしければご覧ください。
WordPress5.0以上になるとGutenberg(グーテンベルグ)というブロックエディタが標準搭載されています。以前のクラシックエディタに慣れていた方からすると、UIと操作方法が大きく変更されていて、不便に感じる方も少なくないでしょう。弊社カスタマーサポートにもエディターの仕様に関する問い合わ...
YouTubeにも1時間にわたる解説動画をアップしています。
まとめ
もし本当に2021年末にClassic Editorのサポートを打ち切るなら、グーテンベルクがさらに使いやすくなることを願います。その鍵はクラシックブロックの改善にあります。
そうでなければ、すでに完成されたClassic Editorを捨てることはWordPressの未来にとってあまり得策ではありません。WordPressがこれからも世界のCMSで有り続けるために、グーテンベルクがこれまで支えてきたユーザーたちに受け入れられるものに進化することを期待しています。