リターゲティングとは、インターネット広告を掲載する際に自社サイトに一度訪れたユーザーに再度広告を掲載する手法です。あなたも一度はGoogleやFacebookなどの広告で経験したことがあるかと思います。前に見たWebサイトの広告が何度も表示された経験がありますよね。それがリターゲティング広告です。
そこで本稿ではインターネット広告では欠かすことができない3つの広告、「Google広告(Adwords)」「Facebook広告」「Twitter広告」のリターゲティングの設定方法を詳細に図解で解説します。図のとおりに進めていくだけで設定が完了するので、どなたにでもご利用頂けるかと思います。
なお、広告アカウントを作成した状態から解説しておりますので、未登録の方はまずはアカウント登録をお願いします。また、解説中、あまり聞き慣れない言葉が出てきますので、記事後半に用意した用語解説も併せてご参考ください。
目次
リターゲティング広告の効果
リターゲティング広告(リマーケティング広告)は、自分のWebサイトに訪れたユーザーを後追いするかのように、追従して広告を掲載し続けます。何度も目にすることによって、興味関心を高めることができるので、購買にも繋がりやすく、広告出稿側としては絶対に知っておきたいマーケティング手法と言えます。また、応用的な使い方として、リピーターや問い合わせをしてきたユーザーだけにリターゲティング広告を出すことも可能です。
それではサービスごとに解説していきましょう。
Google広告
まずはGoogle広告にログインして下さい。
右上の【ツール】でメニューを展開し、共有ライブラリの「オーディエンスマネージャー」をクリック。
オーディエンスを作成します。「+」アイコンをクリックし、「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択。
オーディエンス名、リストのメンバー(ページを訪問したユーザー)、訪問したページ(計測するサイトのURL)、オーディエンスの初期サイズ、有効期限(推奨30日間-180日間)を入力します。入力後、「オーディエンスを作成」をクリック。
オーディエンス名は任意の名前で構いませんが、後で広告のターゲットを決める際に使うので、属性が分かりやすい名前を付けておきましょう。例えば、「TCDを180日以内に訪問した人」など
右上の【ツール】でメニューを展開し、測定の「コンバージョン」をクリック。
「+」アイコンをクリック。
「ウェブサイト」を選択
今回はグローバルサイトタグを発行したいだけで、コンバージョンデータは使わない前提なので、入力内容は適当で構いません。内容に関わらず、同じグローバルサイトタグが発行される為です。また、後からでも内容は変更できるので、入力内容に迷う方は上のキャプチャをご参考ください。
「タグを自分で追加する」を選択
「Googleタグマネージャー」をご利用の方は、「Googleタグマネージャーを使用する」を選択してください。
グローバルサイトタグが発行されましたので、ウェブサイトのすべてのページで <head></head> タグの間に貼り付けてください。
※「イベント スニペット」はコンバージョンページに貼り付けるコードですので、今回は使用しません。
<head></head>タグはWordPressの場合はたいてい「header.php」にあります。WordPressテーマによっては別のファイルにあることもあります。
参考: ウェブサイトでのコンバージョン トラッキングを設定する – リニューアル版 – Google 広告 ヘルプ
Google広告で作成したオーディエンスを広告で使ってみる
右上の【ツール】でメニューを展開し、「オーディエンスマネージャー」に移動します。
先ほど作成したオーディエンスにチェックボタンを入れ、「次に追加…」→「キャンペーン(もしくは広告グループ)」をクリック。
※上のキャプチャでは解説用の為、今回作成したオーディエンスとは別のものを使用しています。
オーディエンスを加えたいキャンペーンを選択します。
既存の設定に新しいオーディエンスを加えるタイプの「既存の設定に合わせる」と新しいオーディエンスのみを適用する「ターゲティング」のどちらかを選択し、「オーディエンスを追加」をクリック。これで作成したオーディエンスが広告で稼働するようになりました。
Facebook広告
まずはFacebook広告マネージャーにログインしてください。
管理画面左上のハンバーガーメニュー【広告マネージャー】をクリックし、【すべてのツール】→【オーディエンス】の順に進みます。
「オーディエンスを作成」→「カスタムオーディエンス」を選択します。
「ウェブサイトトラフィック」をクリック。
「ウェブサイトにアクセスしたすべてのユーザー」に対し、ここでは最長の過去180日間と設定します。オーディエンス名は後で分かるような名前にしましょう。入力が終わったら、「オーディエンスを作成」をクリックします。
ここで180日間と設定した日数は、過去180日間の訪問者情報を解析するということです。180日間が長い場合は120日間や90日間にすると良いでしょう。商品に対しての興味をユーザーがどれくらいの期間で維持し続けるかによって最適な日数を決めると良いでしょう。
再び、管理画面左上のハンバーガーメニュー【オーディエンス】をクリックし、【すべてのツール】→【ピクセル】の順に進みます。
「作成」をクリック後、任意のタイトル名を付けます。
「自分でピクセルコードをインストール」を選択。
ピクセルコードをコピーして、Webサイトの</head>の上に貼り付けてください。
十分な訪問者データの計測が完了したら、先ほど作成したオーディエンスのステータスが「利用可能」となっているはずです。「利用可能」となっていれば、広告に利用可能です。
参考:Facebookピクセルの作成とインストール | Facebook広告のヘルプセンター
Facebook広告で作成したオーディエンスを広告で使ってみる
Facebookページに移動します。
宣伝したい投稿に「投稿を宣伝」をクリック。
先ほど作成したオーディエンスを「カスタムオーディエンス」の中から選択して「保存」。これでFacebookのリターゲティング広告の完成です。
Twitter広告
まずはTwitter広告にログインして下さい。
上のメニュー【ツール】→【オーディエンスマネージャー】に移動します。
右上にある【新しいオーディエンスを作成】から「ウェブサイトの訪問者を収集するためのタグを作成します」をクリック。
「オーディエンスの詳細」にはあとで分かりやすいオーディエンス名を付けます。サイト全体の訪問者を計測したいので、「オーディエンスのルール」には「URL全体」とし、サイトURLを記載します。規約に同意し、「テイラードオーディエンスを保存」をクリックしてください。
オーディエンスが作成できました。次に上のメニューから【ツール】→【コンバージョントラッキング】へ移動してください。
作成したばかりのオーディエンスはまだ計測が始まってないので「オーディエンスが少なすぎます」と表示されます。一定以上のサンプル数が集まると利用できるようになります。
「新しいコンバージョンイベントを作成」をクリック。
「イベントの詳細」には分かりやすくサイト名、「イベントのトラッキングとルール」には「URL全体」とし、サイトURLを記載します。「ポストエンゲージメントアトリビューション期間」「ポストビューアトリビューション期間」はコンバージョンまでの期間を指しますが、ここでは90日間としておきます。設定が終わったら「コンバージョンイベントを保存」をクリックします。
「トラッキングコードの表示」をクリック。
ユニバーサルウェブサイトタグのコードが表示されました。コピーして、ウェブサイトのすべてのページの下部にある</body>HTMLタグの前に設置してください。
</body>タグはWordPressの場合はたいてい「footer.php」にあります。WordPressテーマによっては別のファイルにあることもあります。
以上で設定完了です。計測が進み、ある程度のユーザーボリュームになればオーディエンスを広告で利用できるようになります。
Twitter広告で作成したオーディエンスを広告で使ってみる
上のメニュー【キャンペーン】に移動します。
オーディエンスを追加したい広告にチェックを入れ、「編集」をクリック。
「ターゲティング」を選択し、先ほど作成したオーディエンスの名前でテイラードオーディエンスのところの検索フォームに入力すると、候補が出てくるので「追加」をクリックして「保存」。これでツイッターのリターゲティング広告の完成です。
用語解説
オーディエンスとは
インターネット広告ではよく耳にする「オーディエンス」という言葉。オーディエンスとは元々は聞き手、見物人、観客という意味があり、広告においては「広告を見る人」を意味します。インターネット広告ではプロフィール情報によって性別や年令、住んでいる地域、興味を持っているものなどがアカウントレベルで明確になります。また、クッキーや計測タグの存在もあり、より細かく分類したターゲット設定が可能です。
つまり、このようなインターネット広告の特性を活かし、広告を届けたい人に届ける為の「オーディエンス」を作成するというのが、広告効果を最大限にするための重要な施策と言えます。
コンバージョンとは
コンバージョンとは、成約のことです。例えば、商品やサービスを購入したり、ユーザーが問い合わせをしてきたり、無料お試しサンプルを発注したりといったことも成約に含まれます。サービスの提供側が何を「コンバージョン」とするかによって変わります。
また、コンバージョンレートとは成約率、コンバージョン単価は成約に至るまでにかかったコストを指します。
トラッキングコードとは
トラッキングコードとは、Webサイトに設置して訪問者の情報を解析するためのコードです。アクセス解析にも使われますし、今回のリターゲティング広告にも訪問者の情報が使われます。Webサイトにトラッキングコードを一定期間設置して訪問者の情報を収集することで、最適な広告表示に利用されるわけです。
Googleタグマネージャとは
Googleタグマネージャーとは、Googleが提供するサービスで、トラッキングコードの一元管理ができるツールです。
今回のように様々なサービスのトラッキングコードをサイトに貼り付ける場合、管理が大変になります。どこに何のコードを挿入したかを覚えておかないと、WordPressテーマなどのアップデート時に誤って消してしまう可能性もあるからです。そんな時に役に立つのがGoogleタグマネージャーです。
本稿ではサイトに直接コードを貼り付ける方法を解説しましたが、Googleタグマネージャーの使い方が分かる方は導入を検討してみてもいいかもしれません。
リターゲティングマーケティングの注意点
興味のあるユーザーにピンポイントで広告を届けられるリターゲティング広告には良いことばかりのように見えますが、1つだけ注意点があります。それは、新規訪問者が少ないWebサイトでリマーケティングだけをしていると、新しい顧客を獲得しにくいという点です。逆に流動性のあるWebサイト、ある程度集客力のあるWebサイトであれば、リマーケティングの効果も大きくなります。
もし新規訪問者がほとんどないメディアでリマーケティングするなら、新規顧客も獲得できるキーワード選定やオーディエンスを作成し、併用して利用すると良いでしょう。
購入者だけにリマーケティングする
本稿では、Webサイトの訪問者全員にリマーケティングする方法を解説しました。業種や目的にもよりますが、ターゲットを広く取る意味でもこの方法が一番ベターでしょう。
ただ、時には「購入者だけにリマーケティングしたい」「無料お試しセットを発注した人だけに広告を出したい」という広告主もいるかもしれません。そんな時どうすればいいかというと、オーディエンスを作成する際にコンバージョンページ(サンキューページ)にたどり着いたユーザーだけを計測する設定にしておきます。そうすると、成約した人だけにリマーケティングすることができます。応用的な使い方ではありますが、属性を絞ることで確実に損しない広告マーケティングでもあると思います。
設定完了後、最低1ヶ月は様子を見よう
広告は実際に出して様子を見てみなければ、本当の効果は実証できないものです。また、様子を見る期間はできれば1ヶ月以上とすると良いでしょう。それで出た結果に対して、改善をするのか、元に戻すのか、出稿を取りやめるのか。その判断は広告主に委ねられることになりますが、いずれにせよ中期的な視点で広告を出して様子を見るということがリスティング広告には重要です。
今回のリターゲティング広告は、属性をより購買に近い層に対して絞ることになるので、コンバージョン率が下がることはほとんどないと思われます。ぜひ、本稿で書いたリターゲティング広告を設定し、あなたのビジネスにどう影響するかを見てみてください。もしかしたら効果がはっきりと出て、インターネット広告がもっと楽しくなるかもしれません。