この記事では、SEOに取り組む前に知っておきたい前提知識を解説します。

SEOの正しい前提を知っておくことは、必ずあなたの役に立ちます。ここの前提が間違っていると、効果のないSEOで時間を浪費したり、スパム的なSEOで大きな損失を被ったりしてしまいます。

SEOの正しい前提知識を把握して、意味のある施策だけを実行しましょう。

前提1. 検索する人はすでに情報を知りたがっている

まず大前提として、Googleなどの検索エンジンで検索する人は、特定の情報をすでに知りたいという意欲があります。キーワードを能動的に打ち込んで検索しているわけですから、当然といえば当然です。

たとえば、「禁煙 方法 簡単」というキーワードで検索する人なら、簡単に禁煙する方法を紹介しているページ・サイトを求めていることは明白だと思います。

であるなら、サイト運営者が一番にやるべきことは、検索キーワードと関連性が高いページを作ることです。「自分の求めている情報がここにある」と、検索ユーザーが直感的に把握できるようにすることが、SEOでは重要になります。

具体的には、

  1. キーワードを含んだ簡潔なタイトルをつける
  2. 検索キーワードと関連性がある内容だけを掲載する

といったことを意識するといいでしょう。

キーワードを含んだ簡潔なタイトルをつける

特定のキーワードで検索する人の注意を引く最も確実な方法は、タイトルにキーワードを含めることです。Googleは、タイトルにキーワードが含まれていなくても、ページの内容を理解できるようになりつつあります。

ただ原則、ページのタイトルにはキーワードを含めるべきです。検索する人は、自分が打ち込んだ検索キーワードと関連性があるページをクリックします。その関連性をアピールする最良の方法が、キーワードをタイトルに含めることなのです。

「禁煙 方法 簡単」と検索した人なら、「簡単に禁煙が成功する方法」というタイトルを見逃すことはまずありません。検索キーワードが含まれていますし、一瞬で内容を理解できる簡潔な表現にもなっているからです。このようなタイトルなら、自分が求めている情報との関連性を、検索ユーザーはすぐに理解できます。

SEO向けのタイトルの作り方は、以下の記事が参考になります。

SEOでは、奇をてらったタイトルや、大げさな煽りを効かせたタイトルを設定する必要はありません。「検索する人はすでに情報を知りたがっている」という前提がある以上、検索ユーザーが求めている情報との関連性さえ認識させれば、それで十分だからです。

検索キーワードと関連性がある内容だけを掲載する

タイトルだけでなく、ページの中身も、検索キーワードとの関連性を意識して作ります。

なぜなら、検索ユーザーは、求めている情報がある程度明確になっているからです。求めている情報が明確な状況において、求めていない情報を提示されると、検索ユーザーの満足度は極端に下がってしまいます。

たとえば、「プロテイン 摂取タイミング」というキーワードで検索したのに、「プロテインとはたんぱく質のことで、・・・」のような概要を延々と見せられたら、ページを閉じるはずです。「そんなことが知りたいわけじゃない」という心理になります。

したがって、検索キーワードや検索ユーザーのニーズとの「関連性」を強く意識して、ページを作成する必要があります。ここを外すと、検索からの流入を増やすことは困難になるので、非常に重要です。先ほどの例でいえば、プロテインの摂取タイミングの情報を素早く提示して、そのこと”だけ”を述べていくべきです。

ライティングの世界では、1記事1テーマの原則というものがあります。1つの記事で伝えるのは、1つのメッセージだけに絞るという原則で、SEOでもそれを意識することをオススメします。1つのページで伝えるのは、検索キーワードと関連性がある内容1つだけに絞るということです。

「検索する人はすでに情報を知りたがっている」という前提があるわけなので、その知りたがっている情報だけをページに記載しましょう。

前提2. テキストコンテンツが最重要

SEOに強いコンテンツは、今もシンプルなテキストコンテンツです。

動画や画像などのリッチメディアの内容も、Googleは理解できるようになりつつありますが、まだ完璧な精度ではありません。動画や画像だけで構成されたコンテンツは、検索エンジンとの相性が悪いので、避けたほうがいいでしょう。

世の中には、「画像をたくさん入れればSEOに強くなる」「記事に動画を挿入すれば検索順位が上がる」というSEO理論もありますが、そこに検索順位との因果関係は一切ありません。

Youtubeやニコニコ動画などにアップされている動画を記事に埋め込むと、なんとなくリッチな印象にはなりますが、記事の中身自体が役に立たない内容なら、ほとんど意味がないと思います。動画や画像を入れることが、検索ユーザーのタメになるなら入れてもいいですが、テキストだけで済むコンテンツに無理に動画や画像を入れ込む必要性はまったくありません。手間もかかります。

まして、オリジナルのテキストがほとんどなく、他人がWebにアップした動画や画像を埋め込んで構成しただけのページが、Googleから評価されることはないでしょう。動画や画像に、特別なSEO効果はないのです。

あらゆるコンテンツの基本はテキストです。動画や画像だけで成り立つサイトはほとんどなく、商品の販売にしろ理念の共有にしろ、テキストによる詳細な説明が必要になります。ここをおろそかにしていては、SEOひいてはビジネスで結果を出すことは、まず不可能です。

前提3. 競合を真似することは効果的なSEOではない

SEOには、以下のような理論があります。

Googleは検索ユーザーが求めているページを上位表示させるわけだから、上位表示されている競合の傾向を真似すればいい

完全に間違っているわけではありませんが、上位サイトの傾向を単純に真似するのは少し安易な方法なので、注意が必要です。

そもそもの前提として、検索上位のページ= 質が高い、というわけでは決してありません。検索キーワードとの関連性が高いとも限りませんし、検索ユーザーが本当に求めている情報が書かれているとも限りません。ただ単に、「ほかに上位表示させるページもないし、とりあえずこれを上にもってくるか」という程度のものかもしれないのです。

実際、検索していて「全然ほしい情報ないじゃん、なんだこれ」とガッカリした経験は多いと思います。そのようなケースでは、検索キーワードと関連性が高いページがWebにないため、ほかの関連性が薄いページが仕方なく上位表示されているだけに過ぎません。
つまり、安易に上位サイトの真似をすると、検索ユーザーにとって役に立たないページを作ってしまうことにつながるわけです。

もちろん、検索結果の競合ページの傾向を調べることは、キーワードに含まれた検索ユーザーのニーズを把握するのに役立ちます。「こういう情報が欲しいのか」ということをざっくりと把握する分にはいいのですが、競合のページを真似する必要はありません。それをやると、大抵の場合、競合の劣化コピーになってしまいます。

特定分野で多くの経験を積んできた人なら、自分の知識・経験、そして常識をもっと信頼するべきです。検索結果の情報に引っ張られず、「このキーワードで検索する人なら、絶対にこれが知りたいはずだ」という感覚をもとに、検索ユーザーが100%以上満足するコンテンツを作りましょう。

このアプローチのほうが、検索上位ページの競合との差分を埋めるだけのアプローチよりも、専門性やオリジナル性を担保できるのでオススメです。

前提4. 専門的な独自コンテンツを作ることが最良のSEO

先ほども少し触れましたが、専門性、オリジナル性の高いコンテンツを作ることは、最良のSEOです。

SEOと聞くと、小難しい技術的な話や細かなテクニックを連想しがちですが、サイトやコンテンツを見た人の好意的な感情をどう引き出すか、という部分にけっきょくは集約されます。

好意的な感情とは、たとえば「すごい詳しいな」「専門的で読み応えがある」といったものです。これらの感情を引き出すには、まずコンテンツの専門性が重要になります。豊富な知識・経験に基づく専門的な洞察や考察、アドバイスが含まれたコンテンツは、一般的に高い価値を感じてもらえますし、「ほかのサイトの記事とは違う」 という感情も生まれるので、オリジナル性も担保できます。

そうなれば、コンテンツが引用されたり、SNSで多く言及されたりする機会が増えるので、権威あるサイト・コンテンツとして認知されるようになります。結果的に信頼もされるでしょう。

ちなみに、専門性・権威性・信頼性の3つは、E-A-Tという概念として知られています。E-A-Tは、Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の頭文字をとったもので、これら3つの要素を高めることで、検索順位に良い影響があるとされています。詳しくは、以下の記事をチェックしてみてください。

E-A-Tのなかでも、サイトの専門性を高めることが特に重要です。サイトの専門性が高まれば、権威性と信頼性も自然と向上していくため、専門的な独自コンテンツを作ることに注力しましょう。

もしコンテンツ作成を外注に出そうとしているなら、注意したほうがいいかもしれません。コンテンツの外注業者は、特定分野における豊富な知識・経験があるわけではないため、一般論がまとめられただけの、ありきたりなコンテンツが納品される可能性が高いからです。

そのようなコンテンツをいくら掲載しても、サイトの専門性が高まることはまずありません。また、ただの一般論や競合の焼き直しのようなコンテンツでは、読み手の好意的な感情を引き出すことも難しいでしょう。

外注業者に依頼するなら、十分な量の背景資料を提供したり、入念なリサーチをしてもらうための費用を支払ったりしないと、満足いくコンテンツは手に入らないかもしれません。「面倒だから外注で済ませよう。なるべく安く」という考えでは、なかなか上手くいかないのです。

自分でコンテンツを書くことが理想ですが、リソースがどうしても足りない場合は、その道の専門家ライターを探すか、そうした専門家ライターを抱えるプロダクションに相談するといいでしょう。

前提5. 検索結果1位を目指すことがSEOではない

SEOは検索で1位を目指すことが目的ではありません。
ビジネスにつながる良質なアクセスを自然検索から獲得することが目的ですから、特定のビックキーワードでの上位表示に固執する必要は、必ずしもないのです。

ほとんどのサイトは、ロングテールキーワードからの流入が多くを占めているはずで、それが本来あるべき姿だと思います。検索数こそ少ないものの、ロングテールキーワードはその数が豊富です。一つひとつのボリュームが小さくても、数が積み重なることで、大きな流入の柱になります。

しかも、ロングテールキーワードは3〜4語の複合語なので、検索ユーザーの目的が明確です。「転職」 というキーワードは意味が広すぎて検索ユーザーの目的も様々ですが、「転職 方法 30代」 というロングテールキーワードなら、検索ユーザーの目的はかなり限定されます。コンテンツも作りやすいですし、コンバージョン率も一般的に高くなります。

SEOは最終的に売上につながらなければ意味がないので、広く曖昧なビックキーワードで1位を目指すことは、実はそれほど費用対効果がいいわけではないのです。もし仮に、絶対1位でなければいけない、というキーワードがあるとしたら、それは会社名やブランド名などの、いわゆる指名検索キーワードくらいでしょう。

そもそも、SEOで1位に表示させる確実な手段は一切ありません。どれほど入念に調査をしても、どれほど力を入れてコンテンツを作っても、1位になる保証など、どこにもないのです。また、1位になっても、その順位をずっと維持できるかどうかもわかりません。

たしかに、「○○○という激戦キーワードで1位!」といった成功事例の記事を見ると、「自分も1位を目指したい!」という気持ちになるかもしれません。しかし1位を目指すというだけのSEOは、不確実で難易度も高く、しかも費用対効果も不透明というものなので、あまりオススメはできません。

SEOの目的は検索結果1位を目指すことではなく、ビジネスにつながる良質なアクセスを自然検索から安定的に獲得することです。この目的は、検索結果1位でなくても達成できるものなので、特定キーワードの順位を上げることに固執しなくても大丈夫です。ビジネスにつながる多彩なロングテールキーワードで、質の高い専門的なコンテンツを作成すれば、良い結果が得られるはずです。

まとめ

ここまで、SEOに取り組む前に知っておきたい前提知識を5つ、お伝えしました。

  • 検索する人はすでに情報を知りたがっている
  • テキストコンテンツが最重要
  • 競合を真似することは効果的なSEOではない
  • 専門的な独自コンテンツを作ることが最良のSEO
  • 検索結果1位を目指すことがSEOではない

これらの前提を理解しておけば、SEOに関して迷うことは少なくなるはずです。SEOの本質を知っていれば、「これをやれば順位が上がるかな?」「逆にこれをやったら順位が下がるかな?」といった、些細な疑問に気をとられることなく、正しい施策を積み重ねていけます。

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