ノーコードとはなにか。メリット・デメリットを私見も含めながら解説します。

ノーコードとは

ノーコードとは、ソースコードを書かなくても動かせるツール、アプリケーションのことを言います。

ただし、この定義は曖昧です。一般社団法人NoCoders Japan協会が作成したカオスマップによると、ただのWebサービスでは?と思うソフトウェアが数多く含まれています。

ノーコードカオスマップ2022

※一般社団法人NoCoders Japan協会 作成

たとえば、ここに挙がっているメール配信サービスの「MailChimp」は確かにソースコードを必要とせずにメルマガが運営できますが、そもそもメルマガ配信サービスでソースコードを必要とするサービスは存在しません。こういうのも含めてしまうと、ほとんどすべてのWebサービス・アプリがノーコードに分類されることになります。

ノーコードの定義を、例えば「ソースコードを書かなくてもWebサイトをつくれる」と限定するなら、分類する意味も多少は出てくるでしょうが、ここまで広く捉えてしまうとすべてのWebサービスが該当してしまいますね。

WordPressはノーコードか

ノーコードを広い意味で捉えれば、WordPressもそれに分類することができます。

WordPressサイトの開設・運営には、ソースコードを書く必要は一応ありません。デザイン変更や機能拡張も「テーマ」や「プラグイン」に任せられるためです。

ただ、コードとの距離が近いのもWordPressの特徴です。WordPressがここまでやってこれたのは、コードを自由に書き換えられる拡張性や情報公開が各ユーザーに提供されてきたためです。

それによって、サードパーティからも様々なノーコード的なサービスが生まれました。たとえばTCDでも「EVERY(会員機能)」「ZOOMY(SNS機能)」「Ankle(EC)」といった高度な機能を実装したWordPressテーマを開発しています。

WordPressは独自のローコード文化を経てきたために、一部でノーコード文化が開花したという側面があります。

ノーコードのメリット、デメリット

メリット

  1. 専門的な知識や技術者が不要
  2. 開発期間の圧縮
  3. 初期コスト低下

ノーコードのメリットは手軽さです。ユーザーは、あらかじめ決められた枠組みの中で設定するため、専門的な知識がなくても操作できます。専門スキルのない人材も管理・編集できます。そうした手軽さゆえに、開発期間の圧縮やコストダウンが望めます。

デメリット

  1. 自由度が低い
  2. プラットフォームに依存
  3. ランニングコストが上がる可能性あり

ノーコードのデメリットは、自由度の低さです。本来の意味でのクリエイティブな拡張性を求めるなら、プログラミングは必須でしょう。また、ノーコードを提供するプラットフォームの月額サービスに入ることで、逆にコストアップするケースも意外とあります。

「ノーコード」はどうでもいい基準

「ローコードよりノーコード。」
「ノーコード革命が起こる。」

そんなことが言われていた昨今ですが、本来ノーコードかどうかなんてかなりどうでもいいことです。そもそもコードを書かなくても開発できるサービスは昔からありましたし、目新しさはありません。

ノーコードとは、あらかじめ人間が用意した枠組みの中でユーサーが操作したり開発することなので、用途を限定的にせざるを得ない側面があります。限定的であることが良い方向に働くなら活きてくるし、逆の場面では足かせになるという単純な理屈のため、サービス選びの基準を「ノーコード」にするよりか、そのサービスの質をもっと見ていく方がはるかに良い結果が得られます。