「Outdooractive」というのは、ドイツ生まれの登山用アプリです。

登山やハイキング、ウォーキングのルートを自動で作成し、またスマホのカメラで撮った写真のサムネイルをルート上にリアルタイムで表示、保存し、ウェブに埋め込むことができるという、素晴らしいアプリです。日本では「ヤマレコ」という類似アプリがありますが、機能的にはOutdooractiveの方が高機能であり、世界的にもメジャーなアプリだといえます。日本で利用する人が少ないのが不思議です。

当記事では「Outdooractive」の使い方を解説します。

Outdooractiveの使い方

Outooractiveとは

Outdooractiveは、ふだんの散歩道やサイクリングロードから山登りのトレッキングルートまで、あらゆるルートを検索したり、ハイキングの計画を立てたり、アプリで自動的に歩行ルートを記録したりすることができるツールです。

Outdooractiveは、ドイツ生まれのアプリです。2010年に最初のアプリが開発され、現時点では、ヨーロッパ最大のアウトドア・アプリに成長しています。日本語化もされていますが、日本国内のユーザーはまだ少なく、国内での登録されたルートの数も限られています。今後の成長が期待されます。

Outdooractiveの基本的な使い方

Outdooractiveは、Webブラウザで利用できる他、iPhoneやAndroidのスマホ用アプリでも利用することができます。ここでは、Webブラウザ版を使って、Outdooractiveの基本的な使い方を説明します。

Outdooractiveの日本語版Webページは次のところです。

Outdooractive

Outdooractiveにアクセスしたら、まずはアカウントを取得します。アカウントには無料版と有料のProまたはPro+版とがあります。とりあえずは、無料アカウントで基本的なサービスを体験することができます。

取得したアカウントでマイページにログインすると、下のような画面が表示されます。

画面上のメニューから「ルート検索」「ルートプランナー」「トラベルガイド」などのサービスを選ぶことができます。また、画面左のメニューでは、自分が作成、保存したルートやトラック、写真などを選択することができます。

ルートとトラックの検索(ルートファインダー)

OutdooractiveアプリやWebサイトを使うと、ハイキングや登山のルートを検索し、ルートを辿ることができます。ただし、現時点ではユーザーの大半がヨーロッパなので、検索できるルートも主としてヨーロッパ地域内が多くなっています。ここでは、例としてスイス・アルプスのハイキングコースを検索してみたいと思います。

日本語版のWebページでもいいのですが、海外のルートを検索する場合には、英語版のWebページの方がはるかに多くのルートを検索することができますので、次の英語版Webページにログインして利用することをおすすめします。

https://www.outdooractive.com/en/

英語版Webページにログインし、上部メニューの「Route Finder」をクリックします。スイス・アルプスの人気観光地の一つであるグリンデルワルド周辺のハイキングルートを検索してみましょう。検索窓に「Grindelwald」と入れてみると、たくさんのルートと地図が表示されます。ハイキング・ルートに限定するために、左上の「Filter」ボタンをクリックし、Hikingを選びます。

ハイキング・ルートの検索は、左のサムネイルからも選べますし、右側の大きな地図でマウスを動かすことによって検索することもできます。ここでは、グリンデルワルドから出発するお花畑の美しいハイキング・ルート(Grindelwald: The scent of blossoms and a blaze of colour at Pfingstegg)を選ぶことにします。サムネイル・メニューをクリックすると、下のような詳細ルート画面が表示されます。

画面下には、ルートの概要、詳細な説明などが表示されます。右側には、ルートの距離、ハイキングの所要時間、上りと下りの高低差などの情報が表示されています。また、右上の地図をクリックすると、拡大された地図とルート、標高マップとが大きく表示されます。これによって、地図上でハイキング・ルートを辿ることができるだけではなく、標高マップでカーソルを動かすと、ルート上の任意の地点の標高が一目でわかるので便利です。また、ルート上に表示された写真のサムネイルをクリックすると、拡大された写真を見ることができるので、その地点の様子を確認することができます。これも便利な機能です。

検索したルートは、単に閲覧するだけではなく、GPSやKMLファイルの形で出力することができます。これによって、人が作ったルートを自分のマップにコピーすることが可能になります。Outdooractiveだけではなく、Googleマイマップにコピーすることも可能です。また、HTMLの埋め込みコードを出力することもできますので、自分の作るWebサイトやWordPressに埋め込み、表示することもできます。WordPressの場合には、ProまたはPro+の有料プランに登録した上で、Outdooractiveのプラグインをインストールすれば、簡単にOutdooractiveのルートマップを埋め込むことができます。

ルートのプラン作成(ルートプランナー)

Outdooractiveの持つ二番目の機能は、「ルートプランナー」といって、実際にハイキングなどに行く前に、ルートを作成して計画を立てることのできる機能です。ここは、Webブラウザの日本語ページを使いましょう。Outdooractiveホーム画面の「ルートプランナー」メニューを開いたら、まずは「アクティビティ」を選択します。

ここでは「ハイキング」を選ぶことにします。次に、「ルート」を入れていきます。ここでは、渋谷駅から表参道を経て、原宿駅までのウォーキングルートを設定することにします。まず、Aの枠内にShibuya Stationと入れます。日本語よりも英語で入れた方が、的確に地点名を表示させることができるので、英語で入れるようにしましょう。地点候補として、「渋谷駅」が表示されますので、これを選択します。すると、その下にBの枠が新たに現れますので、ここに、「Omotesando」と入れます。すると、Omotesando districtという地点名が出てきますので、これを選択します。すると、地図上に渋谷駅から表参道までのルートが引かれます。同時に、Cの枠が表示されますので、ここに最終目的地である「Harajuku」を入力します。すると、「原宿」という地点名が出るので、。これをクリックします。すると、下の図のように、渋谷から表参道を経て、原宿に至るまでのルートが青く表示されたウォーキングマップができます。

これは自動的にルートを作成していますので、必ずしも思い通りのルートにはなっていないことがあります。例えば、上の地図では、表参道から原宿までのルートが、途中横道に外れています。これを修正するには、横道にズレた部分にカーソルを当てて、正しいルートに直してあげればいいのです。下図のように、Cという新たなウェイポイントを追加して修正してくれます。

このように、これからハイキングしたいルートをOutdooractiveで作成しておくと、ルートの距離、所要時間、地点ごとの標高などを自動的に計算、表示してくれるので、とても便利です。事前のハイキング計画がはかどること間違いなしです。

ウォーキングルートの自動記録

Outdooractiveには、Webブラウザ以外に、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン用のアプリも用意されています。これを使うと、ハイキングや登山をしながら、実際に歩いたルートをリアルタイムで記録することができます。また、アプリでトラッキングしながらスマホのカメラで撮影すると、アプリのルートマップ上に写真が保存され、ルート上のどの地点でどんな写真を撮ったかが、サムネイルで表示されます。写真を保存したあと、サムネイルをクリックすると、写真を拡大して見ることができます。

以下では、iPhoneのOutdooractiveアプリを使って、実際にウォーキングルートを作成してみたいと思います。例として取り上げるのは、東京都港区の青山1丁目(東京メトロ)から出発し、乃木神社、国立新美術館、岡本太郎記念館をまわり、表参道駅に至るまでのウォーキングルートです。事前にルートプランナーでウォーキングルートを作成したところ、距離は2.7km、所要時間は0.50時間という結果でした。これはウォーキングのプランを立てる上で、ある程度の目安を与えてくれる数値です。

トラッキングの開始

まず、出発地点でスマホのOutdooractiveアプリを起動し、画面下の「トラッキング」ボタンをタップします。続いて、「スタート」ボタンを押すと、トラッキングが始まります。「一時停止」または「終了」ボタンを押すまでは、ウォーキングの記録が継続されます(右)。歩行ルートは、マップ上に赤い線で表示されますので、自分がどこを歩いて、どこにいるかをいつでも確認することができます。現在地点は、マップ上の青い点で表示されます。

写真の撮影とルート上への配置

Outdooractiveアプリのいいところは、ウォーキングの途中に、アプリ上のカメラアイコンを押してカメラ撮影すると、Outdooractiveマップのルート上の撮影地点に写真のサムネイルが表示され、タップすると、その場で写真を拡大して再生できるということです。

トラッキング終了後に保存すると、スマホの「写真」アプリに保存されるだけではなく、Outdooractiveのサーバーにも全ての写真が保存され、アプリ内でルートと共に写真がルート上で再生できるようになります。このような機能は、GoogleマイマップとGoogleフォトを使っても実現することはできますが、outdooractiveは一つのアプリだけで実現できるので、たいへん便利です。

トラックの保存

ウォーキングが終了したら、到着地点でOutdooractive記録画面の「終了」ボタンを押します。そのあと、「保存」ボタンを押すと、トラックが保存されます。「あなたのトラックは保存されました」というメッセージが出たら、「OK」ボタンを押して、完了です。「マイページ」の「トラック」をタップして、今記録したばかりのトラックを確認することができます。

トラックをブログやHPなどで活用する場合には、トラックを「公開」に設定する必要があります。

ルートの作成

トラックは、ウォーキングの地図や歩行記録の計測結果、写真などを表示することができますが、トラックから「ルート」を作成すると、ウォーキングに関する詳細な説明を追加したり、ウォーキングマップをHPやWordPressに埋め込むことができるようになります。作成したルートの画面で「編集」を選ぶと、「簡単な説明」「説明文」「ルート詳細」「スタート」「目的地」などの項目を自由に編集することができます。

ルートの画面には、説明文、地図、写真の他に、ルートの標高マップなども表示され、歩いた地点ごとの標高を視覚的に確認することができます(下の画像)。

GPSデータの出力

Outdooractiveで作成したトラックやルートは、GPXなどのGPSデータで出力することができます。操作は簡単で、サイドメニューからGPXまたはKMLを指定してPCにダウンロードすればOKです。このデータを、たとえばGoogleマイマップにインポートすれば、Googleマップにトラックを表示させることができます。下の地図は、Outdooractiveから出力したKMLデータ(またはGPXデータ)をGoogleマイマップに読み込ませたものです。

WordPressへの埋め込み

Outdooractiveで作成したルートマップをWebページやWordpressに埋め込んで表示させるには、有料プランに加入することが必要です。ちなみに、Outdooractiveの料金プランと機能比較は次の通りです。

ベーシック
(無料)
Pro
(月額325円)
Pro+
(月額651円)
場所やアクティビティ、難易度ごとにルートを探し、見つけて保存
30を超える様々なアクティビティのルートを計画、保存、印刷
ルートや場所の写真を追加し、レビューやコメントをする
ルートのGPXデータをダウンロード
地形の勾配に関する情報
広告なし
オフライン地図ルート保存
ルートの編集、整理
3Dフライト動画の作成
リンクなしでウェブサイトやブログに、ルート、コレクション、その他のコンテンツの埋め込み

Outdooractiveで作成したルートをWordpressに埋め込むには、「Outdooractive Embedded」というプラグインをサイトにインストールすることが必要です。また、Outdooractiveのルート編集画面で「ステータス」を「公開」に設定しておく必要があります。いったん公開にすれば、「ルート」画面右上のサブメニューに「埋め込み」という選択肢が現れますから、これをクリックすることによって、埋め込みコードを取得することができます。

「利用規約を読んだ上で内容に同意します」をチェックすると、下の枠内に埋め込みコードが表示されますから、これをコピーして、Wordpressの編集画面にペーストすれば、WordpressページにOutdooractiveのルート画面を表示させることができます。

下の画面は、上の方法でOutdooractiveのルートマップをWordpressページに埋め込み表示させたものです。

「さらに詳しく」のボタンをクリックすると、詳しい説明文、地図、写真、標高マップ、ウォーキングの測定情報など、Outdooractiveのオリジナルページが表示されます。実際の作例は、次のURLでご覧ください。

http://itsenior.jp/tokyowalk/?p=493

シンボルアイコンつきスポットの作成

ウォーキングマップ作成アプリとしては、これだけでも十分ですが、Googleマイマップのように、さらに詳しい写真つき情報を別画面で表示させることもできます。それが「シンボルアイコンつきスポットの作成」機能です。この機能を実現するには、ビジネスアカウントを取得することが必要になります。その詳しい方法はネット上のどこにも説明されていませんので、その裏技をおまけとして説明しておきたいと思います。

具体的に、「シンボルアイコンつきスポット」がどういうものか、例で示しておきたいと思います。下の画像は、筆者がパリのエッフェル塔を通るルートを「ルートプランナー」を使って作成したものです。通常のOutdooractiveマップとは違って、地図上にポイントを表すシンボル(アイコン)が表示されると同時に、サイドメニューに主要な観光スポットのタイトルとサムネイル画像がスライド形式で表示されています。これは、Googleマイマップと同じように、サムネイルをクリックすると、スポットの説明文、地図、写真、動画、位置情報などが表示されるようになっています。類似のアプリである「ヤマレコ」にもない便利な機能です。

オリジナルのルートは、次のURLでご覧いただけます。

https://tinyurl.com/2gghty5u

ビジネスアカウントの取得

このようなシンボル&サイドメニューつきルートマップを作成するには、ProまたはPro+の有料プランに加入した上に、「ビジネスアカウント」を取得する必要があります。登録方法は簡単です。Bussiness Accountの登録ページで、自身の加入団体を選択し、氏名、メールアドレスなどを入力するだけです。登録ページのURLは次のところです。

https://business.outdooractive.com/free-business-account

通常は「協会・組織・団体」を選択しておけば大丈夫です。こうしてビジネスアカウントを取得すると、上のようなシンボル付きの魅力的なマップを作成することができるようになります。以下では、「Googleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)」のアカウントでログインできたと仮定して、シンボル付きマップの作成方法を説明します。シンボル作成に用いるのは、先に例として使った「国立新美術館から岡本太郎記念館までのウォーキングルート」です。このルート上にスポット(ポイント)を追加し、シンボルを設定する手順を見ていきます。わかりやすさを優先して、スマートフォンのアプリではなく、Webブラウザ版のOutdooractive(日本語版)を使います。

新しいスポットの作成

Outdooractiveの「マイページ」にアクセスし、サイドメニューの「ルート」をクリックすると、過去に作成したルートの一覧が表示されます。そこで、「国立新美術館から岡本太郎記念館まで」のルートを選択し、このルートのページを表示させます。スポットを作成するには、画面右上の[ … ] サブメニューを開き、一番下の「編集」をクリックします。

すると、コンテンツマネージャーの画面が開きます。そこで、上のメニューバーの中から「リンクされたPOI」のメニューを開きます。

次に、「新しいスポットを作成」ボタンを押します。その後、下の地図上で描かれたルートを拡大表示して、スポットを作成したい地点をクリックします。ここでは、例として「国立新美術館」のある地点を探してクリックします。

すると、地図上にスポットのタイプとタイトルを入力するポップアップが表示されますので、必要な情報を入れます。「タイプ」欄には、ドロップメニューから一番近い「アート」を選んでおきましょう。また、「タイトル」欄には「国立新美術館」と入れます。そして、右上の「保存」ボタンをクリックします。すると、ルート上にスポットが新規作成されます。同時に、シンボルアイコンが地図上に表示されます。

スポットの編集

このようにして、ルートの編集画面→コンテンツマネージャー上でスポットを新規作成したら、次に、スポットのメニューからスポットの編集画面を起動して、スポットに必要な編集を加えます。

マイページのサイドメニューから「スポット」を選ぶと、これまでに作成したスポットの一覧が表示されます。この中から、今作ったばかりの「国立新美術館」をクリックすると、下のようなページが表示されますので、右上の「スポットを編集」をクリックします。

編集画面では、スポットに関する説明文と写真を追加するといいでしょう。

写真を追加するには、「メディア」の「+写真または動画を追加」をクリックして、PC内の写真を選択して追加することができます。ただし、これだけでは、ルート上でスポットが表示されません。表示するには、スポットを「公開」に設定しなければなりません。そのためには、先ほどのルート編集画面に戻って、「リンクされたPOI」タブを開き、地図上のスポットアイコン(シンボル)をクリックして、公開設定の手続きをする必要があります。

「編集と公開」をクリックした後、上部のタブから「ステータス」を選びます。すると、画面下部に「公開」のボタンがありますから、ここをクリックして保存すれば、スポットを公開に設定することができます。

これで、再びルートの画面に戻れば、マップ上の国立新美術館の位置にスポットのシンボル(パレットのアイコン)が表示され、左のサイドバー(ウエイポイント)にはスポットのサムネイル写真と説明文などの情報が表示されます。

以上の手順を繰り返せば、必要なだけのスポットを追加してルートマップ上に表示させ、それぞれの詳しい説明や写真を画面の左側にスライド形式で表示させることができます。ちょうど、Googleマイマップと同じような詳細表示を一つのアプリ内だけで実現することができるので便利です。

おわりに

このように、Outdooractiveの操作に習熟すれば、他のアプリと併用しなくても、ウォーキング、ハイキング、サイクリング、登山など、さまざまな戸外のアクティビティプランの探索、事前準備、実行記録を正確に行うことが可能です。本アプリが得意とするヨーロッパやアメリカなど海外のフィールドであれば、膨大な数のルートが登録されていますから、ルートの探索や計画を容易に行うことができるでしょう。国内であっても、ルートプランナーでハイキングのルートを作成したり、スマートフォンのアプリを用いて実際に歩いたりサイクリングしながら、トラッキングすることによって、戸外でのアクティビティをアシストする強力なツールとして役立てることができます。

同じような機能をもつアプリとしては、「ヤマレコ」や「Googleマイマップ」などもありますが、Outdooractiveは、一つのアプリ内で必要なすべての機能を実現できるという点が優れていると思います。GPSデータの出力に柔軟に対応していますので、他のアプリとの併用も視野に入れながら有効に活用されるとよいかと思います。