Google検索が、AIの力で大きく進化しました。従来の検索結果に加え、AIが生成した簡潔な概要「Generative AI Overview」が、より的確な情報を迅速に提供してくれるようになりました。

本稿では、AI Overviewとは何か、どのように活用できるのか、そしてSEOにどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。

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AI Overviewとは?

AI Overview

AI Overview(生成AIによる概要)とは、Google検索をすると、AIによって生成される概要文のことです。もともとは、Google SGE(Search Generative Experience)という名称で、2023年8月に発表されました。

その後、Generative AI Overviewという名称に変わり、2024年5月に米国で提供開始し、日本においても2024年8月に提供が開始されました。

米国、英国、インド、メキシコ、ブラジル、インドネシア、日本の18歳以上のユーザーのみが利用できます。今後、対象ユーザー、対応言語、対応地域などを順次拡大していく予定との事です。

従来の検索結果では、複数のウェブサイトへのリンクが一覧で表示されることが一般的でした。しかし、AI Overviewでは、AIがウェブサイトの情報を分析し、Googleの上部に要約して表示してくれます。

AI Overviewは、ユーザーが求める情報により早くアクセスできるようにし、より深く理解を深めることを支援する機能と言えるでしょう。

AI Overview

AI Overviewのメリット

  • 効率的に情報を収集できる
  • 検索時間の短縮につながる
  • 掲載されたウェブサイトのアクセス向上が期待できる

AI Overviewのデメリット

  • Googleが選択した情報源に偏る可能性がある
  • 情報が間違っている可能性がある
  • 掲載されなかったウェブサイトのアクセスが減少する可能性がある

AI Overviewの使い方

AI Overviewの使い方は簡単で、Googleで検索するとその内容に応じてAIが概要をまとめてくれます。

AI検索エンジンのMicrosoft Copilot(コパイロット)や、Perplexity AI(パープレキシティ・エーアイ)と同じような操作感で利用できます。

ただし、入力したキーワードや文によって、AI Overviewが生成される場合とされない場合があり、全ての検索で表示されるわけではありません。

Googleでは、ユーザーからAI Overviewフィードバックを求めており、随時改善しているとの事です。

参考記事:Google 検索の AI による概要で、情報をすばやく簡単に見つける – Google 検索 ヘルプ

オン/オフの操作方法

AI Overviewのオン/オフをしたい場合は、Google Search Labsのページを開き、ボタンを押すと切り替えられます。

ただし、Google検索をした際に、すべてのAI Overviewがオフになるわけではありませんので、完全に消すことはできない仕様になっています。

>> Google Search Labs

AI Overviewの使い方1

キーワードや文を入れて検索する

従来のGoogle検索では、「ホームページ 作り方」や「ブログ 書き方」など、知りたい情報ごとに検索してきました。

しかし、AI Overviewでは、質問を複数回行わなくても、1回の複雑な質問で回答を表示してくれます。

以下の質問の例では、弊社が提供してるWordPressテーマTCDについて、「機能」と「使い方」の2つの質問を一つの文にまとめて入力しています。

質問例:「wordpressテーマtcdの機能と使い方を教えてください」

質問を入力すると、AIによる概要が表示されます。その下にある「もっと見る」を押すと、概要全体を確認できます。

ただし、質問の表現によっては、AIが意図を正しく理解できない場合があります。できるだけ具体的に、簡潔な言葉で質問するようにしてください。

AI Overviewの使い方2

リンク元の確認方法

表示されたAI Overviewの参照元を確認するには、文の最後にある鎖のアイコンを押します。すると、ページ下部に参照元のウェブサイトの概要が一覧で表示されます。

そのウェブサイトにアクセスして、情報源の信頼性や、情報の詳細を確認できます。パソコン画面の場合は、鎖のアイコンを押すと、右側にウェブサイトの一覧が表示されます。

一つのリンクに対し、一つのウェブサイトだけの場合もあれば、複数のウェブサイトが表示される場合があります。そのため、複数のウェブサイトから要約した文章の場合があるようです。

AI Overviewの使い方3
AI Overviewの使い方4

AI OverviewによるSEOの影響

サイト運営者にとって、AI OverviewによるSEOの影響が気になる事でしょう。Googleの各公式サイトによると、AI OverviewのSEOへの影響がいくつか確認されているようです。

Google検索の利用者増加

アメリカのGoogle公式ブログ「The Keyword」によると、AI Overviewを使用すると、検索をより頻繁に利用するようになったと報告されています。また、その検索結果に満足しているユーザーが増えているようです。

あくまでもアメリカでのAI Overviewの効果ですが、日本においてもGoogle検索のユーザーが増え、アクセス数が向上する可能性があります。

We’ve found that with AI Overview, people use Search more, and are more satisfied with their results.
(AIによる概要を使用すると、検索をより頻繁に使用し、検索結果に満足する人が増えていることがわかりました。)
出典:Generative AI in Search: Let Google do the searching for you|The Keyword

一方で、AI Overviewに表示されなかったウェブサイトのPVが減少する可能性もあります。できる限りのSEO対策をして、AI Overviewに表示されるよう努力する必要がありそうです。

エンゲージメントの向上

こちらは、Google Japan Blogでの報告ですが、18〜24歳のユーザーがAI Overviewを利用することで、Googleとのエンゲージメント(関係性)が高まったとの事です。

そのため、Googleの検索結果やAI Overviewに表示されたウェブサイトは、若年層のアクセス数が向上するなど、間接的な影響が期待できそうです。

18~24歳の若い利用者層は、AI による概要を検索で活用することで、エンゲージメントがさらに高まることがわかりました。
出典:AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法|Google Japan Blog

クリック率の向上

同様にアメリカのGoogle公式ブログによると、AI Overview上に表示されたリンクは、「従来の検索結果よりも多くのクリックを獲得した」という報告もありました。

こちらもAI Overview日本語版の提供前の情報ですが、AI Overviewに表示されれば、従来よりも多くのアクセスが見込める可能性があります。

And we see that the links included in AI Overview get more clicks than if the page had appeared as a traditional web listing for that query.
(AI概要に含まれるリンクは、そのクエリに対して従来のウェブリストとしてページが表示された場合よりも多くのクリックを獲得しています。)
出典:Generative AI in Search: Let Google do the searching for you|Google The Keyword

ゼロクリックリサーチ

ゼロクリックリサーチとは、ユーザーが検索結果上に表示された情報で満足し、ウェブサイトへアクセスせずに終了する場合を指します。

例えば、以下のような検索をした場合に、検索結果上に「電話番号」「住所」のみ表示されます。

「〇〇 電話番号」
「〇〇 住所」

こちらは、AI Overviewではなく、ウェブサイト側で設定した構造化データの情報が表示されたものですが、ゼロクリックリサーチの典型的な例です。

>> 構造化データ マークアップとは | Google検索セントラル

店舗ビジネスをされている方であれば、これらの検索結果はお問い合わせや来店につながるため支障がないかもしれません。

しかし、検索ワードや入力文によっては、ゼロクリックリサーチになってしまい、ウェブサイトのアクセス数や売上に影響する可能性があります。

各種クエリへの影響

ユーザーの検索意図のクエリ(ユーザーが検索するキーワードや文章)は、以下のように分類されています。クエリの種類に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、知りたい方はどうぞ。

  • Knowクエリ(知りたい):「AI とは」「検索エンジン 仕組み」
  • Goクエリ(行きたい):「大阪市 カフェ」「近くのコンビニ」
  • Doクエリ(したい):「ジム 予約」「チケット 問い合わせ」
  • Buyクエリ(買いたい):「イヤホン ワイヤレス」「ビタミン サプリ」

この内、商品・サービスの販売に影響するのは「Buyクエリ」です。BuyクエリでAI Overviewが表示されるようになると、サイトに辿り着かずにAIの回答で満足するユーザーが一定数出てくる可能性があります。

しかし、現状のAI Overviewでは主にKnowクエリが表示される傾向があり、クエリから直接売上につながりやすいGo、Do、Buyクエリについては表示が確認できませんでした。つまり、商品の売上に直接影響するキーワードに関して、AI Overviewの影響は小さいと考えられます。

しかし、今後はKnowクエリ以外もAI Overviewが表示されるかもしれませんので、随時確認が必要となりそうです。

YMYL領域での表示

YMYL(Your Money or Your Life)は、Googleが作った概念で、人々の健康・経済・安全に影響を与えるテーマの事を指します。

他の分野より高い信頼性が求められ、Googleのアルゴリズムでは、厳しく検索順位が決められています。代表的なジャンルとしては、以下のようなものがあります。

  • ニュースと時事
  • 政府と法律
  • 金融と投資
  • 医学と健康
  • グループの情報(民族や宗教など)
  • ショッピング

筆者は、YMYL領域の情報を調べた時に、恐らくAI Overviewは表示されないと推測していました。しかし、実際に検索してみると、YMYLの一部のジャンルでは表示されることがあるようです。

例えば、「頭痛の治し方」などの医療や健康関連のクエリを入力した場合、AI Overviewが表示され、以下のような注意文が表示されました。

これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。生成 AI は試験運用中です。

AI Overviewによって、医療や健康関連のウェブサイトでは、影響を受ける可能性がありそうです。

この表記をユーザーが見て、お問い合わせや予約が増えるのか、それとも検索結果だけで満足し、ゼロクリックリサーチになってしまうのかは様子を見る必要がありそうです。

AI Overviewに表示される条件は?

運営しているウェブサイトをAI Overviewに表示されるようにしたり、特定のページのリンクを表示させるような登録や条件はあるのでしょうか?

Google検索セントラルによると、AI Overviewに対して「パブリッシャー(発行者)やクリエイター側で必要な準備はない」と記載されています。

また、AI Overviewで、どのリンクが表示されるかも、Googleのシステムで自動的に表示しているとの事でです。

従来どおり、Googleのガイダンスに沿ったSEO対策をすることで、AI Overviewへの表示につながりそうです。

パブリッシャーが AI による概要を活用するのに必要な準備はありません…どのリンクが表示されるかは、Google のシステムにより自動的に判断されます。表示対象となるためにクリエイターがすべきことは特になく、Google検索の基本事項に記載されているように、検索への表示に関する通常のガイダンスに従うだけで十分です。
出典:AI による概要とウェブサイト | Google検索セントラル

AI Overviewのアクセス解析

アクセス解析ツール「Search Console」のヘルプによると、AI Overviewに表示されるリンクのクリック数、表示回数、掲載順位がカウントされると記載されています。

しかし、「試験運用版のデータは含まれません。」とも記載されており、AI Overviewの正式版が開始されない限りカウントされない可能性がありそうです。

注: Search Console には、Search Labs の「AI による概要など」の試験運用版のデータは含まれません。
出典:表示回数、掲載順位、クリック数とは – Search Console ヘルプ

その他に、AI Overviewのアクセス解析に関する公式情報は見当たりませんでした。Googleアナリティクスなどでもカウントできるかは不明なため、今後も最新情報をチェックする必要がありそうです。

まとめ

Generative AI Overviewは、より的確な情報を迅速に得ることができる一方で、運営サイトへの影響も確認する必要があります。

現状は生成内容の精度が高いとは言えず、また売上に影響するクエリに対しての表示が少ないため、SEOへの影響は軽微ですが、今後の進化によってはAIが売上に大きく影響するようになるかもしれません。AI Overviewに掲載されるか否かがSEOで重要になる未来もあるのかもしれませんし、ないのかもしれません。

いずれにせよ、どうなった場合においても対応できるよう、広告戦略やブランディング、商品の品質改善など、できることをやっていくことが大事なのでしょう。

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