記事などのコンテンツの重要な評価指標として「閲覧性」が挙げられます。閲覧性とは一言で言えば、記事が読みやすいかどうかです。頭にスッと入ってくるようなコンテンツにすることで閲覧性が増し、読まれるサイトとして機能するのです。本稿ではどうすれば記事の閲覧性が向上するかについて解説しています。
まず、この記事を読み進めるにあたって以下の記事もぜひ参考にしてください。
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閲覧性(通読率)を評価する時はまず「ページ滞在時間」を使うとよいでしょう。Googleアナリティクスにおいては「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」からページ滞在時間を確認することができます。
ページごとの滞在時間から課題点を洗い出す
察しのよい方はお気づきかもしれませんが、ページ滞在時間だけを用いて「滞在時間が長いからよく読んでくれてるんだな」と単純に閲覧性の評価をするわけにはいきません。それはコンテンツの長さに依存してしまったり、次の遷移先を探していたり、ページが読みにくいと感じられた場合においても滞在時間が伸びてしまう傾向にあるからです。また、見出しや写真に目を通すだけで内容がある程度入ってくるようなページは滞在時間が短くなる傾向にあります。
Googleアナリティクスなど、データを使った解析はシンプルに評価できることがメリットです。目に見えるデータが主観的な要素による評価に補正をかけたり、追加情報によって主観的要素に変化を加えたりすることに繋がるからです。簡単に言うと、客観的データが主観的要素の正確性を高めることに繋がるということです。
より正確にページ滞在時間を取得したい場合は「読了率」「スクロール率」を測定することができる「Google Tag Manager」と「Googleアナリティクス」上において設定することも可能です。Googleタグマネージャーをつかったスクロール測定で下まで読まれていると判断できるにも関わらず、滞在時間が少ないコンテンツに関しては写真、画像間のテキストを充実させることで滞在時間の最適化が期待できます。記事のテキストまでしっかり読んでもらえるコンテンツを作ることができると、閲覧者の潜在的なニーズに働きかける可能性を拡げてくれますので、サービスの売り上げにも貢献するコンテンツに化けるかもしれません。
▼Googleアナリティクスで読了率を知りたい-Googleタグマネージャでスクロール測定する方法
https://croja.jp/knowledge/scroll-depth-googletagmanager
サイトにより、集まっているユーザー属性に偏りがあることがあります。男性が多い、女性が多いという傾向がわかればデザインの変更で影響があるかもしれません。年輩の方がユーザーに多いサイトは文字の大きさ、わかりやすい写真、画像を多用しているかなどが質のよい滞在時間をつくることに繋がります。
単にGoogleアナリティクスに計測される、平均滞在時間を伸ばせばよいという訳ではありません。ユーザーの感じるメリットを強化することで、コンテンツにのめり込んでもらった結果、長く滞在しているという状態を目指しましょう。
- アクセスの流入に至った検索キーワード(需要)に対して求める情報を提供すること
- ユーザーがストレスなく目的の情報に辿り着けること
- 図解、データを充実させて論理的に説明すること
ユーザーのメリットを向上させることを意識して、改善案を検討していくとよいでしょう。
閲覧性の分析
閲覧性をよくする為にはまず、自サイトの中で閲覧性が高いと判断できる記事とそうでない記事の比較からその違いを見つけるようにしましょう。閲覧性の比較精度を上げるにはある程度のアクセス数も必要になってきますので、アクセス数上位半分くらいの中から閲覧性を比較する為に、対象ページを用意するとよいでしょう。
ピックアップした記事を対象に以下のような要素の有無、数などを書き出したりしてみましょう。記載した項目が全てではありませんが、閲覧性に影響を与えていると予想される項目は増やしてみてください。項目を書き出して単純な比較から入ることをおススメします。
- 記事タイトル
- 記事が取り挙げている「メインテーマ」は何か
- 見出しの数、タイトル
- テキスト量
- 写真の数
- 図表の数
記事タイトル
記事タイトルで記事の内容がある程度想像できることは大切です。ですが、それだけではありません。ユーザーが抱える問いや課題に対して、回答できる記事タイトルであることが理想です。例えば、こちらのGIFアニメ作成ソフトの記事ではタイトル内に「アニメーション付きキャプションの挿入までできる」「Mac」という文言を入れています。
本稿ではMacユーザー向けのgifアニメ作成Appをご紹介いたします。美しいUIで、高い操作性を実現していること、GIFアニメーション内にキャプションを入れられることが特徴です。 GIFアニメとは そもそもgifアニメとはなんぞやということなのですが、一言でいうと多少の動き(アニメーション)を表...
こちらに2つの記事タイトル例を用意しました。1は現行タイトル、2はよくあるタイトルです。
- アニメーション付きキャプションの挿入までできるフリーのMac専用GIFアニメ作成ソフト「GIPHY CAPTURE」
- 誰でも簡単にGIFアニメが作成できるフリーソフト「GIPHY CAPUTURE」
どちらもユーザーへの引きの部分はさほど変わるものではないでしょう。でも、何が違うかと言うと閲覧性です。GIFアニメ作成ソフトはキャプチャサイズの指定ができるもの、できないものが存在するため、「サイズ指定できるもの」を探しているユーザーが少なくありません。また、Mac、Windowsのどちらに対応しているかもユーザー側にとって重要な情報になります。
「キーとなる重要な情報を記事タイトルで分からせること」が閲覧性の向上となるのです。
記事が取り挙げている「メインテーマ」は何か
記事で、何を伝えないか、どういう構成なのか。読者が全文を読み込まなければ、著者が何を言いたいのか最後まで分からない記事があります。読み応えという点では、そうした類の記事は決して悪いわけではありません。ただ、閲覧性を高めるには内容が頭位スッと入ってくるものである必要があります。でなければ、一般ユーザーには取っつきにくいコンテンツとなるからです。
その為、記事が何を言いたいものなのかを先に簡潔に伝えることが重要です。方法としては冒頭の本文で結論を書くのも良いですし、目次で構成を伝えるのもいいでしょう。
見出しの数
見出しを適宜入れることは閲覧性を高めます。1つの記事の中に3つのテーマがあれば、3つの見出しをつけるということです。基本的には、記事タイトルと同様、目を引くものであったほうがいいし、見出しを見ただけでおおよその本文の内容は想像がつくようにしておくといいでしょう。
テキスト量
全体的なテキストの量は多くても問題ありません。ただし、1つの項目に対して回りくどく書くのは閲覧性を下げることになります。一つの見出しに対して、なるべくシンプルに書くことを心がけましょう。
写真、図表の数
閲覧性を高めるインスタントな方法として、写真を多用する方法があります。キュレーションサイトではよく見出しの下に無関係な写真素材が設置されていることがありますが、これは閲覧性の向上を狙ったものです。ただし、無関係な写真を並べるのは今では古いやり方です。意味のある写真や図表を入れることの方が長い目で見るとページ全体の価値に繋がります。
1枚1枚図表をつくるのは大変ですが、これらもテキストと同じコンテンツであると考えましょう。
閲覧性(ページの平均滞在時間)を高める為にできること
次にどこから閲覧性の改善に着手したらよいか、注目したらよい点について解説していきます。必ずしも正解というわけではありませんので一つの視点として参考にしてみてください。
わかりにくい部分に理解を促す図や表を用いる
文章だけではわかりにくさを感じる箇所について、それを補助する図表があることで理解を促してくれます。コンテンツの中に図表を効果的に用いることで、デザインにもリズムが産まれ閲覧性を高める効果も期待できます。ただ、わかりやすい図表というのは意外と作るのも難しいものです。自作するのが難しい場合は適切な引用表記を使って優れた図表を借りて表示するということでもよいでしょう。同じ図表を用いていたとしても異なる視点からなる解説、文章を充実させることができたらとても魅力的な記事にすることができます。図表の引用元のコピーコンテンツとならないよう配慮することなどが求められます。
とはいえ、オリジナルの作図ができたらコンテンツの幅も広がりますね。意欲のある方は学んでみるのもよいかもしれません。
▼参考:誰も教えてくれない「分かりやすく美しい図の作り方」超具体的な20のテクニック
http://tomoyukiarasuna.com/make-images/
キャプチャは統一感を意識する
例えば、「アプリの使い方」の記事を書くとき、複数のキャプチャを使うことが多いですが、その際のキャプチャは統一感をもたせることが大事です。キャプチャごとに大幅に拡大率が違っていたり、文字入れしたフォントサイズが異なっていると、全体を通して雑に見えてしまうからです。どのようにキャプチャすれば良いのかのテクニックをこちらにまとめていますので、よろしければどうぞ。
アプリやウェブサービスの使い方を記事で説明する時にパソコンやスマホの画面をスクリーンショット(キャプチャ)して、使うことが多々あります。マニュアルを作る際にもスクリーンショットは欠かせないスキルです。ただ、スクリーンショットはただ取得すればいいわけではなく、見せ方が重要になります。どこをどう見せるか...
読みにくい漢字の割合、表記ゆれを減らして読みやすくする
シンプルな指標ですが、漢字の割合は2割~3割以下に抑えることで文章を難解だと感じる割合が減るようです。漢字の割合だけに注目してしまうと幼稚な文章になることがありますので、読み違いや送り仮名の付け方に「ゆれ」がでそうな漢字を中心に開くようにしましょう。
※(例)何時か→いつか、何処か→どこか
※漢字を開く(→ひらがなで書く)
▼ツール:漢字使用率チェッカー
http://akind.dee.cc/kanjiritsuchk-input.html
▼参考:この漢字はひらく?サイトの表記ゆれを防ぐ、知っておきたい文章マナー。
http://www.billionplan.com/blog/web/hyouki-yure-rule.html
段落ごとに伝えたいことを要約した見出しを設ける
専門用語の解説など内容的に難しいものが続いていたり、フォトショップの使い方のようなテクニック解説記事で途中で視線が画面から外れることが想定されるような記事については適切な見出しを用いて、読者がストレスなく読みたい場所に戻ってこれるように配慮しましょう。
余白をしっかりとって読みやすくする
適切な余白は読者のストレスを軽減してくれます。自分だけの判断が難しい時は何人かの人に実際の記事を読んでもらった上で感想を聞いて、余白を調整してみましょう。余白を作る為とはいえ、Webコンテンツの場合は不要な改行コードを大量にHTMLコードに残すことはよいとされません。CSS調整でpタグのmargin-topやmargin-bottomを広げたり、line-heightの値を大きくしたりすることで文章の見た目をスッキリさせる方が好ましい調整といえます。
適度なテキスト装飾をして伝えたいことをスマートに伝える
最後に実際に組みあがったコンテンツを読んでみて、自分が伝えたいことが読者に伝わるコンテンツになっているのかを判断しましょう。充分に伝わるコンテンツに仕上がっていた場合、それ以上の装飾は必要ないかもしれませんが、重要な単語、文節にしっかりと焦点を当てながら読んでもらった方がよい場合は太字にしたり、下線を引いたりの調整を掛けると読みやすくなります。
個人的にはテキストの装飾は3パターン以内、文字の大きさ(font-size)に関してはあまり変更しないほうがよいと感じますが、そのサイトのルールとして定められている場合はその範囲の中で調整をしていくようにしましょう。複数のライターがサイトの記事に関わる場合は装飾ルールを設ける方がよいでしょう。赤いアンダーラインの箇所、太字にする箇所など同じ装飾には同じ意味合いを持たせた方が、読者もわかりやすいはずです。
閲覧性(通読率)の強化は事業の強化にもつながる
Webメディアは公開した後も更新、改善の機会があります。最初はイマイチのコンテンツであっても確かな方法で検証、改善を繰り返すことでコンテンツはどんどん魅力的になっていくでしょう。
まったく意識していない人の場合は少し気をつけるだけで、かなりコンテンツが変化すると思います。当記事を参考に企画、リライトを検討してみてはいかがでしょうか。