現在では、個人でもブログやSNSを活用して情報発信をしながら集客することが可能になったことで、スタートアップの敷居が格段に下がり、自分の専門的な知識や能力を活かしてビジネスを始める人が増えています。が、しかし・・
スタートアップを意味する「起業」と、利益を上げ続け発展させるための「経営」は全く違います。
特に、個人でビジネスを展開していくためには、自分自身のブランディングが重要になるので、ここでは個人起業家が独自の市場を創り出すためのパーソナル・ブランディグについて提案したいと思います。
目次
なぜパーソナル・ブランディングが必要なのか?
ビジネスを展開していくためには企業のイメージ作りをしたり、商品やサービスごとにブランディングを確立する必要があるように、自分の専門的な知識や能力を活かしながら個人で活躍していくためには、やはり個人単位のブランディング(認知の獲得、イメージの向上、信頼性の構築など)が必要になります。
しかし、そもそもなぜパーソナル・ブランディグが重要なのでしょうか?
2005年にP&Gは、「消費者が店頭に陳列された商品を見て、わずか3秒~7秒でどの商品を買うかを決めている」ということを突き止め、FMOT(First Moment of Truth)という購買意思決定に関するマーケティングモデルを提唱しました。
簡単に言うと、普段私たちが家庭用品や化粧品などを選ぶ際には、棚に陳列された商品の中から目を引くパッケージのデザインやキャッチコピーを見て、その印象から受ける「期待価値」を基準に購入の意思決定をしているということです。
それと同じように、一言でスピリチュアル・カウンセラーと言っても、他のスピリチュアル・カウンセラーであればどんな世界観に導いてくれるのか?税理士や会計士などの士業であればどんな実務に強いのか?マーケティング・コンサルタントならどんなことを教えてくれるのか?を明確に伝え・・
ライバルと差別化を図らなければ、見込み客に”自分を選んでもらう”ことはできません。
つまり、個人でビジネスを展開していくためには、ホームページやブログ、SNSのページに訪れた人に対して「3秒~7秒で、あなたがどのような人間でどのような価値を提供してくれるのか?」を期待させるための、ビジュアルやキャッチコピーによるパーソナル・ブランディングが必要になるということです。
見込み客はひとつの強いコンセプトだけを記憶する
少し前には、セルフブランディング(自分でプロモーション活動を行うこと)という言葉が流行り、自分を着飾りFacebookなどで積極的に顔出ししている人をよく見かけますが、投稿内容を見てみると「おはようございます。今日も元気です!」といった無意味な発信ばかりで、その多くが”自己アピール”に終始してしまっています。
しかし、自身をブランディングするために必要なのは、ただ自分をアピールのではなく、見込み客に対して、自分の強みを伝える必要があります。
消費者はひとつの広告につき、ひとつのこと──ひとつの強い主張か、ひとつの強いコンセプトだけを記憶する傾向がある。 ロッサー・リーブス
これは、USP(ユニーク・セリング・プロポジション)という概念を提唱し、アメリカの広告界で強力な影響を与えたロッサー・リーブスの言葉ですが・・
私たちがビジネスをする際には、できる限り多くの顧客を取り込みたいという気持ちになるものですが「あれもできます!これもできます!それもやります!」と何でも屋さんになってしまうと、誰にも響かなくなってしまうため、1つの強烈なメッセージ(宣言・約束)を作り上げなければなりません。
しかし、強烈なメッセージを作ると言っても、ただ「美しい」「素敵な」「最上級の」といった形容詞や、自画自賛的な言葉を並べれば良いということではありません。
もし仮に「史上最高レベルにおいしいピザをお届けします!」といったキャッチコピーを見たら、どのくらいおいしいのか疑問に思いますし、逆にシラケて興味がなくなってしまうでしょう。それに対して・・
「作り立てのピザを30分以内にお宅までお届けします。間に合わなければ代金は頂きません。(ドミノピザ)」と、見込み客(ターゲット)に対して魅力的で、ライバルが真似できないような宣言と約束をすることが強烈なメッセージとなり、見込み客の興味を引き付けられるようになるということです。
バリュープロポジションを見つけるための3つのC
1つの強烈なメッセージを作るためには、自己アピールでも、大げさな形容詞を使うでもなく・・
「自分が顧客に対して提供できる価値は何であるか?」はもちろん、「顧客となり得る人はどんなことに悩んでいるのか?」「ライバルが提供している価値は何であるか?」、自社・自分(Company)顧客(Customer)競合(Competitor)の3つのCをリサーチすることから始まります。
そして、3Cを重ね合わせたとき、自分の提供できる価値と顧客が求めている価値が一致し、”競合他者が提供することができない場所”であるバリュープロポジションを見つけ出し、自分の見込み客(ターゲット)に対して「〇〇の専門家である私と関わることで、〇〇ような人生に変わります(ベネフィットが手に入ります)」と、提案しなければならないということです。
例えば、あなたがブログ集客のスペシャリストだとすればコンテンツによって集客(他の経営コンサルタントには提供することができない)することで、売り上げUPに貢献できるという強みを提案できるかもしれません。
また、あなたが女子力を高めるための仕草や言葉使いを教えることができるのであれば、出会いや結婚相手を探している人に対して、婚活パーティーや出会いのマッチングサービスを提供している他者には提供することができない、出会いを引き寄せる方法を提案できるでしょう。
このように、パーソナル・ブランディングとは自分を着飾ってアピールすることではありませんし、ライバルを貶してネガティブキャンペーンをすることでもありません。自分・顧客・競合との関係性のなかで、自分の立ち位置を明確にすることから始まるということです。
競争優位の目的は、ライバル企業を打ち負かすことではなく、顧客のために独自の価値を生み出すことにある。 マイケル・ポーター
USP(ユニーク・セリング・プロポジション)の2つの注意点
最近では「USPを作りましょう!」「独自の強みを見つけましょう!」と提案するインキュベーター(起業に関する支援を行う事業者)も見かけるようになり、「USP」という言葉も個人起業家の間で浸透しつつあります。しかし、独自の強みであるUSPを作り上げるうえで2つの注意点があります。
注意点1:USPとは宣言だけではなく顧客からの認知の総和である
ビジネスをする以上、自分自身にアファメーション(肯定的な自己宣言)することは大切ですし、見込み客に対しても自分はどのような人間であるのか?を伝えるために1つの強烈なメッセージ(宣言・約束)を作り上げる必要があります。
しかし、「実際にその宣言通りの人間であるか、宣言通りのサービスを提供できているかどうか?」は、顧客が判断することであり見込み客の認識に委ねられます。仮に、顧客の認識と自己宣言がかけ離れてしまったり、ありもしない約束をしてしまったら顧客の信頼を簡単に失ってしまいます。
① 広告はよい商品の売り上げを促し、悪い商品の駆逐を加速する。商品にない要素をあると主張すれば、その不在に消費者が気づく頻度を増すだけだ。
② 消費者にはわからないような些細な違いを強調するキャンペーンもまた、実際にはその商品の駆逐を加速する。そのようなキャンペーンも、主張した要素の不在に消費者が気づく頻度を増す。
つまり、どれだけ独自性がありキャッチーで魅力的なUSPを宣言したとしても、その人の発信する日々の情報が薄っぺらく、専門的なことを何も言っていないとしたら、ユーザーはそのUSPを信用することはありません。
それに、例え膨大な知識、経験があったとしても言語化することができなければ、他人に教えることも導くこともできないので、USPを宣言する以上、専門家としてそれ相応の(役立つ)情報やノウハウなどを配信していきながら、実績を積み上げなければならないということです。
USPとは、広告に埋め込むものではない。それは、消費者が広告から受け取るものだ。 ロッサー・リーブス
注意点2:USPとは広告を出すことを前提とした概念である
「独自の売りの提案」を意味するUSPや、「価値提案」を意味するバリュープロポジションとは、もともと限られた紙面の枠(広告バナー)の中で効果的な広告プロモーションを作ったり、企業がブランディングを確立するための概念です。
広告はすべて、消費者に対して提案をしなければならない。
その提案は、競争相手が示せない、もしくは示さないものでなければならない。
その提案は、数百万人の人々を動かせるほど強力でなければならない。
もちろん、個人起業家が顧客を獲得していくためには、企業と同じように、自分の強みを明確に打ち出しパーソナル・ブランディングを確立していく必要があるわけですが・・
そもそも個人起業家の場合には、資本力のある企業のように膨大な広告費を掛けることはできないので、自分自身でUSP(ターゲットにベネフィットが伝わりやすいキャッチーな言葉やビジュアル)を作り上げたとしても、どこでそれを観てもらうことができるのか?を考える必要が出てきます。
例えば、無料で使うことができるソーシャルメディアは、暇つぶし程度にフィードを流れる投稿を受動的に眺めているだけのユーザーも多く、独自のウリを全面に押し出してプロモーションをしていると、「そんな投稿を観たいわけじゃない!」「ここはビジネスをする場所ではなくコミュニケーションの場だ」と、煙たがられることもあります。
そのため、悩みを解決するために能動的に情報を探している検索エンジン経由のユーザーを集めるために、WordPressブログなどで「オウンドメディア」を構築することが重要です。
関連リンク:情報空間に残したデジタルコンテンツが人々を引き寄せる
つまり、他の誰よりも専門的で質の高い情報を発信しているというバックグランドを元に、視覚化&言語化して完成されたものが”飾りではない本物のUSP”だということですね。
独自の市場を創り出すためのZMOTとは?
USPとは広告やヘッダー画像に埋め込めば良いというものではなく、ユーザーが情報発信者のバックグランドから受け取る印象の総和であり、見込み客や顧客の認識から自然と作られるものですが・・
思考、感情、知識、経験、ノウハウ、それらを言語化したり映像化したり、コンテンツ化することは多くの時間と労力が必要となるので「そんな面倒なことはしていられない、もっと最短でビジネスを成功させたい」と考えるのかもしれません。
しかし、それらのコンテンツ化したものが無駄になることは決してありません。むしろ最短を目指すからこそ、専門家としての情報発信が有効的です。
というのも、文頭で解説したFMOT(消費者が店頭に陳列された商品を見て、わずか3秒~7秒でどの商品を買うかを決めている)のように、私たちはインターネットが普及する前は、陳列された商品パッケージのデザインや文言を見て、その印象から受ける「期待価値」を基準に購入の意思決定をしていましたが・・
現在の私たちは商品を購入したり、何かのサービスに申し込みする”前段階”で、商品スペックや利用者の口コミを見たり、販売業者の評価や提供者の信頼性などを確認したり、パソコンやスマートフォンでさまざまな情報を調べることができるようになりました。
このような消費者行動を、Googleは「店舗に訪れる前の意思決定の正念場」を意味するZMOTと名づけています。
保険買い物客は、購入意思決定を支援するために平均11.7の情報源を使用していました。 thnk with Google
つまり、見込み客に自分のサービスを申し込んでもらうために、ブログ記事やSNS、メールマガジン、音声、動画、セミナーなど(11個もしくは7時間分)多くのタッチポイント(見込み客との接点)を持ち、信頼関係を構築することが必要だということです。
個人起業家でなおかつ、スピリチュアル・カウンセラーや恋愛コーチング、集客コンサルタントなど、特に実態の見えにくい業種の場合には、専門的で質の高い情報を発信しているというバックグランドがなければ信頼を勝ち取ることはできません。
逆に言えば、Googleのアドワーズ広告やYahooプロモーション広告、Facebook広告などライバルがひしめく既存の市場(メディア)に参入するためには、エッジの効いたUSPを強調して見込み客に自分を選んでもらわなければなければなりませんが・・
専門的で質の高い情報を届け、集客することができるオウンドメディアを構築し、さまざまなタッチポントを持つということは、ライバル不在の自分の市場を作り出すことができ、あなたのUSPを求める優良な顧客を選ぶことができるようになるということです。
個人の起業家や情報発信者のブランディング構築のために開発された「ANGEL」には、ブログ記事はもちろん、メールマガジン登録ページに誘導することができ、会員限定のコンテンツを配信することができる「保護ページ機能」も付いているため、さまざまなタッチポイントを作ることができます。
関連記事:WordPressで会員限定向けコンテンツが配信できる「パスワード付き保護ページ」が作れるテーマ
また、セミナーやワークショップ、相談会などに集客するためのランディングページを簡単に作ることができます。
関連記事:セミナー集客用ランディングページがサクッと簡単に作れるWordPressテーマ【ANGEL】を活用したマーケティング戦略
これにより、見込み客や顧客とのリアルの場でのカウンセリングやセッション、相談会などを開催するための戦略的なマーケティングを実施することができますので、ぜひパーソナル・ブランディグを確立するために「ANGEL」を有効的ご活用ください。
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第4回 : 会員限定向けコンテンツが配信できる「パスワード付き保護ページ」が作れるテーマ