新しいサービスや企画をスタートさせる際、欠かせないのが競合調査です。

  • 自社がどれくらいの立ち位置にいるのか
  • ライバルと差別化するポイントはどこか
  • 魅力的な付加価値はあるか

競合調査は、上記のような要素を明確にする時に役立ちます。

しかし、正しい方法を把握しないで競合調査をすると、返って個性のないプランが出来上がってしまうことも。当たり障りのない戦略では、望むような結果は手に入らないでしょう。

せっかく競合調査に時間をかけるなら「抜き出るために何をすべきか」をハッキリさせたいものですよね。本記事では、競合調査の正しいやり方について解説していきます。

競合調査とは

競合調査とは、ライバル(競合他社)と自社の事業や商品・サービスなどを比較分析し、差別化できるポイントや改善点を見つけるための調査方法です。

競合調査が必要な理由

「めちゃくちゃ良いサービスを思いついた!」といった経験は誰しもあるでしょう。しかし、この時すでにライバルが同じようなサービスをリリースしていたら、自社サービスが競合とかち合ってしまいます。

また、以前は順調に売れていた商品の売行きが悪くなったとします。この時、競合調査をしなければ、納得できる原因を見つけ出すことは難しいものです。

競合調査は「ライバルに自社がどう勝つか」を明確にするために必要な作業と言えるでしょう。

競合調査するメリットとデメリット

メリット デメリット
・自社の強みと弱みが分かる
・新しい競合が見つかる
・知らなかったトレンドに気づける
・時間とコストがかかる
・独自性がなくなるリスク
・定期的なアップデートが必要

競合調査のメリットは、自社独自の個性を発見できるところです。
新しいライバルの発見や、最新のトレンドを見つけるキッカケにもなるでしょう。他社を分析するからこそ得られるメリットと言えます。

その反面、競合調査は時間とコストがかかるもの。冷静な分析ができないと「誰もが思いつく」ような独自性のないプランになってしまうリスクがあります。

また、競合調査はライバルや時代の流れに合わせて、定期的なアップデートを行わなければなりません。「一度戦略を立てればOK」といったことはなく、変化し続ける姿勢が大切なのです。

市場調査との違い

競合調査はライバルと自社を比較分析するのに対し、市場調査はマーケット(市場)のニーズを調査するのが特徴です。そのため「マーケットリサーチ」と呼ばれることもあります。

例えば、新商品を開発する際、市場調査をしていなければ次のような要素を明確にできないでしょう。

  • どのくらいのニーズがあるのか
  • 相場はどのくらいか
  • ターゲット層の年齢はどれくらいか

市場調査で十分なニーズを確認できれば、商品を作る価値があると言えます。

競合調査でライバルの動向をチェックすれば「自社がどのような商品を作るべきか」を明確にできるはずです。
事業の成功において、市場調査と競合調査はどちらも欠かすことのできない重要な作業と言えるでしょう。

競合調査の正しいやり方

競合分析のやり方

競合調査のやり方は、以下4つの流れで実行します。

  • 競合調査する目的をハッキリさせる
  • 調査する対象を決める
  • 仮説を立てる
  • 仮説をレビューする

競合調査する目的をハッキリさせる

まずはじめに「なぜ競合調査するのか」という目的をハッキリさせましょう。目的の解像度が高ければ、競合調査に必要な時間とコストを最小限にできます。

競合調査する目的の例をいくつか紹介しておきます。

  • 新規プロジェクトを軌道に乗せる
  • 既存サービスの認知度アップ
  • 古い人事体制の改善
  • 顧客サポートの効率化
  • 製造部門の生産性アップ

具体的な目的を決めておくことで、調査対象が導きやすくなるのです。

目的(ゴール)を決めて、後の工程をスムーズに進められるようにしましょう。

調査する対象を決める

次は競合調査する対象(企業)を決める工程です。

対象を決定する際は、最低でも3社以上をピックアップしましょう。比較対象が少なすぎると、十分な分析ができないからです。逆に対象が多すぎると調査完了までに時間とコストがかかるので、10社程度に絞ることをおすすめします。

競合対象を決定する判断材料は、以下を参考にしてみてください。

  • 販売価格帯が近い
  • 商品・サービスが似ている
  • 業界シェアトップの企業
  • シェアが低い企業
  • 直近で売上が伸びている企業
  • 顧客層が近い
  • マーケティング戦略が似ている
  • 同じようなポジションにいる企業

競合を決める際は、表面的な類似点だけでなく細かい部分まで冷静に調査することが大切です。

また、競合には以下のようなバリエーションがあります。

直接競合 同じ商品、同じサービス、同じ顧客、同じ業種など
間接競合 類似業種、間接的に関係があるもの
<例>マンツーマン英会話レッスンの場合
間接競合:パーソナルトレーニング(1対1という点が類似している)
代替品・代替サービス <例>ヨガの目的が「痩せる」の場合
代替サービス:サプリ、漢方、フィットネスジムなど(痩せる手段として有効だから)

自社のゴールや地域など、関連するポイントをピックアップして、競合となる対象企業を絞り込んでいきましょう。

仮説を立てる

仮説を立てる理由は、実際の調査で答え合わせしやすくするためです。仮説がなければ調査する対象が不透明になり、正確な分析ができなくなります。

<例>
企業Aは〇〇をしたから成功できた。企業Bの売上が伸びないのはマーケティング戦略が〇〇だからだろう。よって自社は〇〇を実行しながら、▼▼に広告を出稿して認知を拡大していく。

仮説を立てるのに、膨大な時間をかける必要はありません。目的は答え合わせであり、競合を調査することです。正解に拘りすぎずに、仮説を立てていきましょう。

仮説をレビューする

仮説が正しいか実際に検証していきます。実査(じっさ)とも言われる工程です。

調査する目的に応じて、以下の調査項目を設定してみてください。

目的 調査項目
ビジネスモデル 事業規模
経営方針
商品展開
顧客層
販売・サービス経路
マーケティング戦略
集客方法
商品・サービス 取扱商品の種類
価格
接客対応
アフターサービス
Webサイト メインコンテンツの種類
オリジナルコンテンツ
ターゲットユーザーの属性
サイトの更新頻度
購入・問い合わせのしやすさ
連携しているSNS
レスポンシブ対応
画像や動画の使用数
バナー広告の活用
販売戦略 販売方法
販売実績
業界シェア
商流 受発注方法
業務委託契約先
改修が必要になった場合の分担
トラブル発生時のルール
人事 人事体制
従業員の割合
雇用形態ごとの利用状況
給与体系

競合調査はネット上で行っても良いですが、重要な情報が見つからないことも珍しくありません。そのため業界関係者やサービスの利用者、コンサルタントなどに問い合わせて事実検証する必要も出てきます。

また、全く新しい業界に参入するのであれば「業界の歴史」も調べるべきです。ニーズの大きさや、業界全体の売上なども参考になります。

調査を重ねた結果、プロジェクトを中止するケースもあるでしょう。仮説が間違っていた要因を明らかにして、次の機会に活用できる仕組みを作っておいてください。

競合調査に役立つフレームワーク7つ

効率的に競合調査を行うために役立つフレームワークを7つ紹介します。

  1. 3C分析
  2. 4C分析
  3. 4P分析
  4. ファイブフォース分析
  5. SWOT分析
  6. バリューチェーン分析
  7. Points of X

3C分析

3C分析は、以下3つの頭文字からできています。

  • Customer(市場・顧客)
  • Company(自社)
  • Competitor(競合)

3つの視点から分析することで、成功要因を発見できるという方法です。
競合と顧客のニーズを理解した上で、自社の強みや訴求ポイントを見つける際に役立ちます。

マーケティングや販売戦略に効果的です。他のフレームワークと組み合わせて、より詳細な分析を行うこともできます。

4C分析

4C分析は、以下4つの頭文字からできています。

  • Customer Value:顧客価値
  • Customer Cost:顧客の時間・金銭・心理的負担
  • Convenience:利便性
  • Communication:企業・顧客間のコミュニケーション

上記の要素を分析することで、顧客から評価されているポイントが理解できるフレームワークになっています。「なぜ自社(または競合)の商品が選ばれるのか」を分析する際に役立つはずです。

顧客目線で考えることにより、普段は気づけなかった自社の強みや補うべきポイントが見つけやすくなるでしょう。

4P分析

4P分析は、以下4つの頭文字からできています。

  • Product:商品・サービス
  • Price:価格
  • Promotion:販売促進
  • Place:流通

売り手側の視点で「どのように商品の売行きを伸ばすか」を考える際に役立つフレームワークです。

商品の価格、促進方法、流通方法など、競合と自社を比較して差別化要素を発見する時にも使えます。効果的なマーケティング戦略や販促方法を洗い出せるフレームワークです。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、5つの競争要因を材料にして自社の優位性を分析できるフレームワークです。

  • 競合
  • 代替商品
  • 新規参入者
  • 購入者の交渉力
  • 販売者の交渉力

上記5つの要素を分析すると、収益性を変化させる要因が見つかります。これをもとに「新規参入する価値があるか」や「収益を上げるには何をするべきか」などの問題解決に役立つのです。

また、業界自体の収益性や「業界内で自社がどれくらい利益を確保できるか」などの分析もできます。自社の強みを把握して、売上を伸ばす道筋を明らかにできるフレームワークです。

SWOT分析

SWOT分析は、以下4つの頭文字からできています。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

外部環境と内部環境をプラス面とマイナス面に分類するフレームワークで、マーケティング戦略、経営コストの最適化などに用いられます。

競合と比較した上で自社の強みと弱みを明確にでき、市場で活躍する機会や課題発見に効果的です。「Bという弱みは、実はAという強みでもあった」というような、新しい視点に気づくキッカケにもなります。

多角的に分析できるフレームワークです。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、事業を「主活動」と「支援活動」に分類して、どのような価値を生み出しているのか分析できるフレームワークです。

主活動 購買、製造、物流、マーケティング、販売など
支援活動 調達、技術開発、会計、財務、人事など

冷凍からあげを例にしてみると、以下のような流れで顧客に届くことが分かります。

  • 原材料の仕入れ
  • 加工・製造
  • 配送
  • 販売
  • カスタマーサポート

日本語で「価値連鎖」と言われるバリューチェーンは、上記の通り、原材料の仕入れから顧客に届くまで価値が連鎖しています。各要素で自社と競合を比較すれば、強みや消費者のニーズなどを洗い出すことができるのです。

各工程でどれくらいのコストが発生しているか把握すれば、カットするべき箇所も見えてくるでしょう。一連の流れを分析できる優れたフレームワークです。

Points of X

Points of Xは、3つの視点から差別化戦略を分析できるフレームワークです。

  • Difference(相違点)
  • Parity(類似点)
  • Failure(脱落点)

差別化となる「相違点」に加えて「類似点」と「脱落点」が含まれているため、行き過ぎた差別化を防止できるのが特徴です。自社ブランドや商品の価値をジャッジする際にも使えるでしょう。

「なぜ〇〇が選ばれないのか」といった問題解決にも役立ちます。自社ブランディングや、マーケティング戦略を練る際にも活用されるフレームワークです。

競合調査に活用できる5つのツール
競合調査で活用できるツールを5つ紹介します。

  1. SimilarWeb
  2. eMark+
  3. NEILPATEL
  4. App Ape
  5. BuiltWith

SimilarWeb

Similar Web

SimilarWebは、Webサイトの解析に役立つ強力なツールです。

アクセスに関するデータだけでなく、キーワードの検索ボリュームや強さなども確認できます。自社サイトと同じレベルの競合サイトを見つける時にも便利です。

料金プランは無料と有料の2種類があります。有料プランの料金は要問合せとなっており、規模やオプションによって変動する仕組みです。競合サイトのアクセスに関するデータを、詳しく分析したい方におすすめのツールになっています。

>> SimilarWebはこちら

eMark+

eMark

eMark+は、自社だけでなく競合サイトの行動ログを分析できるツールです。

  • 競合サイトの分析
  • 検索キーワードの発見
  • ターゲットユーザーの理解
  • 特定競合を徹底分析

上記4つの機能からなるツールで、無料から利用できます。

30万人の「行動ログモニター」を抱えており、どんな行動を取るのかを丸裸にできるのが特徴的。ニーズの変化や最新のトレンドなどを分析する際にも役立ちます。

オンライン行動だけでなく、アンケートによるオフライン行動分析も行っており、リアルな現状を把握できるツールです。

>> eMark+はこちら

NEILPATEL

Ubersuggest

NEILPATELは、WebサイトのSEO戦略に活用できるツールです。

キーワードの検索ボリュームや、サイトのドメインパワーなどをチェックでき、競合サイトの強さを確認する際も便利です。特定のキーワードで上位を取っているサイトの分析にも最適。

有料プランは月額2,999円から利用可能。29,990円からの買切りプランもあるので、最小限のコストでSEO分析を始めたい方におすすめです。

>> NEILPATELはこちら

App Ape

App Ape

App Apeは、スマホアプリの利用データを分析できるツールです。

自社アプリはもちろん、競合アプリのリアルなデータも取得できます。トレンドになっているアプリを、いち早く発見できるのもApp Apeならでは。競合調査にかかせないニーズの把握に役立ちます。

料金プランは、無料、エッセンシャル、エンタープライズから選択でき、分析したい規模によって料金が変わる仕組みです。独自レポートを作成してもらえる「オーダーメイド分析」なども利用できる、アプリ特化型のツールになっています。

>> App Apeはこちら

BuiltWith

BuiltWith

BuiltWithは、競合サイトがどのように構築されているか分析できるツールです。

例えば、人気サイトが利用しているサーバー、ホスティングサービス、分析ツールなどを明らかにできます。データはフィルタリングできるので、必要な情報をかんたんに閲覧できるのも魅力です。

セールスインテリジェンス機能がついており、見込み顧客がどんなプラットフォームを好んで利用しているのかも分かります。競合調査する上で役立つ、リアルなデータを取得できるツールです。

>> BuiltWithはこちら

競合調査は外注に任せるのもアリ

競合調査の内容によっては、自社で行わず専門家に任せた方が良いケースもあるでしょう。

知識のない人間が仮説を立てて調査しても、活かせるデータが取得できるとは限りません。返って競合調査にかかる時間とコストがかかりすぎてしまう可能性もあります。

ここでは、競合調査を外注化する方法について見ていきましょう。

競合調査を依頼できる3つの委託先

競合調査の専門会社

競合調査や市場調査の代行を専門とする会社に依頼する方法です。

その道のプロなだけあって、深い情報を取得してくれるメリットがあります。費用は取得するデータや期間、納期によって決まる仕組みです。覆面調査も行ってくれる外注に最適な委託先と言えるでしょう。

コンサルティング会社

経営コンサルを受ける一貫として、コンサルタントに競合調査を依頼することもできます。

競合調査のみではないため依頼コストは高めになりますが、経営戦略の見直しや改善など、トータルでコンサルしてもらえるのはメリットになるでしょう。調査制度はコンサルティング会社によって大きく変わります。

信頼できるコンサルタントを見つけられるかがポイントです。

フリーランス

競合調査ができるフリーランスに依頼することもできます。クラウドソーシングを使えば、比較的かんたんにフリーランスを見つけられるでしょう。

代行業者やコンサルタント会社と比較して、コストを抑えられるのがメリットです。「どうしても手が回らないところだけ依頼する」といった方法も使えます。ただし調査の質はフリーランスによってバラバラです。

過去の実績を確認したり、得意分野をヒアリングするなどして、自社に合ったフリーランスへ競合調査を依頼するようにしましょう。

外注化する際の注意点

競合調査を依頼する際は、次の点に注意してください。

依頼内容を明確にしておく

「何を目的に競合調査するのか」は、事前に明確にしておきましょう。

不透明なまま外注化すると、余計なコストがかかったり、必要なデータが取得できないかもしれません。目的を具体的に説明できるレベルまで落とし込んでおけば、スムーズに外注化できます。

調査期間を決めておく

競合調査をする期間は、事前に決めておきましょう。あまりにも長期で依頼すると、膨大なコストを請求されるリスクがあります。必要十分かつ、長すぎない期間を設定するのがポイントです。

競合を決めておく

外部に依頼する前に、自社で競合を決めておくと費用の節約に繋がります。前述した通り、3〜10社ほどに競合を絞り込んでおくようにしましょう。

まとめ

競合調査は、ビジネスを伸ばしていく上で必要不可欠な作業です。

  • 自社の強みと弱みが分かる
  • 差別化するポイントが見える
  • 新しいトレンドに気づける
  • 「これなら儲かるでしょ!」と感覚的かつ感情的に事業を始めるのはリスクが高すぎます。アイデアを具現化する価値があるかは、競合調査をすれば見えてくるものです。

    調査に不慣れな場合は、プロに依頼するのも1つの手段になります。正確な調査ができれば、かけたコストを十分回収できるはずです。
    時代の変化に負けない強い事業を維持するためにも、競合調査を適宣活用していきましょう。