昨今、耳にする機会が増えてきた「マーケティングオートメーション(MA)」。
言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどんなツールなのか理解している人は多くないでしょう。
マーケティングを効果的かつ効率的に行いたいなら、MAツールがおすすめです。本記事では、MAツールの基本的な概要と導入方法などを解説します。
目次
マーケティングオートメーション(MA)とは
MAツールは、新規顧客の獲得と見込み顧客の育成を自動化・効率化するツールです。顧客を特徴別にグループ分けしたり、最適なタイミングでサービスを提供する際に役立ちます。
なぜMAツールが求められているのか?
インターネットが普及した現在では、顧客が企業に問い合わせることは滅多になくなりました。Googleで検索すれば、製品情報はもちろん、レビューや口コミも検索できます。
自社製品を選んでもらうためには、顧客に触れる機会を増やして信頼関係を構築しなければなりません。各顧客に合った施策を効率良く行うために、MAツールが注目を集めているのです。
MAツールは何が優れているのか
MAツールを使うとメール、メッセージ、キャンペーン、コンテンツを作成するたびに手動で「送信」をクリックしなくても、デジタルマーケティング戦略を実行できます。
顧客に合わせたコンテンツの提供やキャンペーンを手動で行うのは至難の業です。
MAツールで業務を自動化することで、収益やROIの向上を目指せます。人力で行うマーケティング戦略よりもビジネスを拡大させやすくなるでしょう。
MAツールの主な機能
MAツールの主な機能は以下の通りです。
- リード獲得
- リード管理
- リードナーチャリング
- スコアリング
- シナリオ作成
- メールの作成・配信
- LPやフォームの作成
- レポート・分析
- 広告連携
リード獲得
MAツールの最初のアクションがリードの獲得になります。「リード」とは、顧客を意味するマーケティング用語です。
- SNSで発信→自社サイトへ誘導
- 自社サイトに訪れたユーザーにポップアップで通知
- レコメンド機能でコンテンツをアピール
例えば、Google広告は全く接点のない人に対して認知してもらうために活用できます。
SEOでコンテンツを上位表示することも、リード獲得になるでしょう。自社を認知されたら、LPやお問い合わせボタンなど設置を行い、見込み顧客の獲得を行います。
MAツールを使うと、リード獲得を効率的に行うことが可能です。
リード管理
リード管理は、顧客情報をデータベースに登録して管理する機能です。
取得したデータは特性ごとにグループ分けしたり、タグなどを付与して管理することも可能です。グループ分けをしておけば、各セールスを適材適所で顧客に送信できます。
手動で顧客情報を管理するのは大変ですが、MAツールを使えば膨大なデータを一元管理できます。顧客の確度や過去のコミュニケーションなども履歴として保存可能。顧客情報を何度も利用するMAには欠かせない機能と言えるでしょう。
リードナーチャリング
「リードナーチャリング」とは、顧客の購買意欲を育成することです。
例えば、事前に複数のメールを作成して段階的に顧客へ送信する「ステップメール」は、リードナーチャリングの典型例と言えます。
定期的に顧客へアピールすることで、興味関心を高めていく工程です。
メールだけでなく広告や電話での営業など、様々な方法を使って教育できます。MAツールを使うことで複雑な顧客管理をかんたんにし、的確なリードナーチャリングが可能になるでしょう。
スコアリング
スコアリングは、顧客(リード)を評価する機能です。
事前に設定しておくことで、見込み顧客の購入率などを評価できます。例えば「購入率50%の顧客には広告Aを提示する」というような活用方法ができるでしょう。
スコアリング機能は、何度もブラッシュアップすることが大切です。改善を繰り返していけば、評価精度を高めていけるでしょう。
シナリオ作成
シナリオは、以下4つの定義からなる顧客育成の導線を意味します。
- 誰に
- 何を
- いつ
- どのように提供するか
ターゲットナーチャリングで、各顧客にどんな情報を提供するかを設定するのがシナリオの役目です。
例えば「メルマガに登録したものの購入にいたっていない人へ、2週間後に限定特別セールのメールを送る」といった感じで、各顧客の行動に最適な製品や情報を再提供するプランを作ります。
複数のシナリオを設定しておくことで、顧客に合わせて最適な情報を提供できるようになるでしょう。
メールの作成・配信
MAツール内で、メールの作成や配信の設定が可能です。
MAを実践するにあたり、顧客へ配信するメールのボリュームはかなり多くなるはず。各メールを目的別に管理するのは至難の業です。MAツールを使えば、各メールを分かりやすく管理できます。
再編集してクリック率をチェックすることも可能なので、効率的に効果の高いメールを作っていけるでしょう。
メールの配信拒否設定も可能なので「顧客Bさんにはメールを送らない」といった設定もかんたんに行なえます。
LPやフォームの作成
MAツールによっては、LPやフォームの作成機能がついているものも。
CTRが分析できるだけでなく、新規で獲得した顧客を自動的にMAツールのデータベースへ登録してくれます。
例えば「どのLPのフォームから成約したのか」を分析することも可能です。
レポート・分析
ツールで取得したデータをレポートに出力してくれる機能です。
週、月、年などでレポート化しておくと、MAツールでどのような効果があったのかを把握できます。設定を変更した後に上手く機能しているかを分析する際に便利です。
広告連携
広告をMAツールと連携することで、厳密な効果測定が可能になります。
ツール内で一元管理できるため、各広告の媒体へアクセスせずにチェックできるのが特徴です。ABテストをする際にも活用できる、MAに欠かせない機能と言えるでしょう。
SFAやCRMとの違い
MA、SFA、CRMには主に以下のような違いがあります。
- MA:顧客獲得〜教育
- SFA:顧客への営業
- CRM:顧客との関係維持
MA:顧客獲得〜教育
MAは、見込み顧客となる人へ適切な情報を効率的に提供するためのツールです。
例えば「そもそも公式サイトへ集客できていない」という問題を抱えている企業は、MAツールの導入が最適と言えます。
最小限の労力でマーケティングの効果を最大化するために欠かせません。
SFA:顧客への営業
SFA(Sales Force Automation/セールスフォースオートメーション)は、顧客への営業状況をデータベースに保管するツールです。
複数の営業担当者がいる企業では、営業状況の進捗や引き継ぎなどに手間を取られてしまうもの。低コストで大人数に営業できる昨今では、手動で営業管理をするのが難しくなってきています。
チームで営業活動をする企業でSFAツールを導入すれば、スケジュール管理や「どんな営業パターンが効果的だったか」などを即共有可能です。MAツールでも進捗状況をチェックできますが、SFAツールはより特化しているのが特徴になります。
CRM:顧客との関係維持
CRM(Customer Relationship Management/カスタマーリレーションシップマネジメント)は、獲得した顧客との関係を構築・維持するためのツールです。
安定した売上を作るには、リピーターを増やしていく必要があります。そんな時に活躍するのがCRMツールです。例えば、以前購入してくれた顧客に対してフォローメールを送信することでリピーター獲得につなげます。
顧客との関係を維持するために、定期的な連絡やイベントへの招待などを行うには、適切に管理できるツールが必要です。CRMツールを導入することで、各顧客の購入履歴や要望、クレームなどを把握できるようになります。
MA、SFA、CRMは、顧客獲得から維持までの流れを各々が担っているのです。
企業によってマーケティングで抱える問題は異なります。
集客に問題があるならMA、営業状況の共有ができてないからSFA、リピーターが不足してるならCRMといった感じで、最適なツールを選ぶことをおすすめします。
MAツールの準備から導入するまでの流れ
MAツールを導入するまでの流れをかんたんに説明します。
- カスタマージャーニーマップの作成
- シナリオ設計
- 分析・改善
カスタマージャーニーマップの作成
カスタマージャーニーマップとは、顧客がどのように自社商品を見つけて購入に至るのかを示す地図になります。
カスタマージャーニーマップの作成手順は以下の通りです。
- ペルソナの設定
- 行動や感情の理解と整理
- 購入までの流れを時間軸に落とし込む
ペルソナとは、商品に興味がある典型的な顧客を表す仮想の人物像です。
年齢、性別はもちろん、職種や生活パターンなどを具体化することでカスタマージャーニーマップの精度が上がります。
ペルソナ設定のイメージは以下の通りです。
趣味:ギター演奏/バイク
休日の過ごし方:バイクでツーリングしたり、音楽仲間とバンド演奏するのが好き。夜はYouTubeを見ながら、お酒を飲むことが多い。”
ペルソナをもとに行動や感情などを分析します。どんなキッカケで商品を購入するか仮説を立てて、時間軸に落とし込んでいく作業です。
シナリオ設計
シナリオ設計は、顧客の購買意欲に合わせて「どんなアプローチをするのか」を設計します。リードナーチャリングを適切に行うために必須の作業です。
ポイントは複雑にしすぎないこと。ペルソナが自社サイトを認知してから購入に至るまでに必要なアプローチを、できるだけシンプルに作ってみてください。
複雑なプロセスを描くと、顧客の行動が進まない原因になるので注意が必要です。
MAツールなら、かんたんにシナリオ設計を編集できるので、仮説を立てつつ実行して改善していくと良いでしょう。
分析・改善
実際にMAツールを使って運用を開始したら、分析と改善を繰り返していきます。
ツールを使う本質は「効率的に売上を伸ばすこと」です。だからこそ仕組みを作って終わりにするのではなく、データをもとに改善していかなければなりません。
何度もブラッシュアップを重ねるうちに、自社に合ったマーケティング戦略が研ぎ澄まされてきます。
成果が上手く出ない時は、各データを照らし合わせて問題を見つけましょう。PDCAを回してテストを繰り返すことが大切です。
MAツール選びで失敗しないためのチェックポイント
- ツール導入の目的を決めておく
- BtoBかBtoC向けか明確にする
- SFA・CRMとの連携は可能か
- 担当者にとって使いやすいUIか
- サポート体制
ツール導入の目的を決めておく
「なぜMAツールを導入するのか?」という目的を明確にしておくと、どのようなツールを選ぶべきか迷わずに済みます。逆に「知人に勧められたから」といった理由でMAツールを導入すると、宝の持ち腐れになってしまう可能性が高いです。
BtoBかBtoC向けか明確にする
MAツールには、BtoBとBtoC向けがあります。対象となるターゲットを明確にして、事前にどちらを導入するべきか決めておきましょう。
SFA・CRMとの連携は可能か
企業によっては、MAだけでなくSFAやCRMとの連携を行いたいケースもあるでしょう。現在、すでにいずれかのツールを導入している方は、既存のシステムと連携可能かもチェックしてみてください。
担当者にとって使いやすいUIか
MAツールを利用する担当者が「使いにくい」と感じるUIであれば、自ずと利用頻度が下がってしまうものです。できれば複数のツールを実際に試して、使いやすいと感じるものを選ぶようにしましょう。
サポート体制
MAツールの導入や運用にあたり、手厚いサポートが受けられるかも考慮するべきです。迅速丁寧なサポートがついていれば、ストレスなく運用できるでしょう。
認知度の高いメジャーなMAツール3つ
最後に国内で認知度の高いMAツールを3つ紹介します。
- SHANON
- SATORI
- List Finder
SHANON(シャノン)
SHANONは、シンプルかつ整理されたUIが見やすいMAツールです。
MAツールに必要な全ての機能がついており、SFAやCRMとの連携も同社ツールで行えます。MA運用に関する提案が受けられる手厚いサポート体制も評判です。
利用料金は、事前相談によって決定されます。目的や規模によって最適なプランを提供してくれるので、ゴールを明確にしておくと良いでしょう。
SATORI(サトリ)
SATORIは、モダンなUIがクールな印象のMAツールです。
大きな特徴は「匿名リード」を管理できること。匿名から実名リードへのプロセスも設定できるので、より多くの顧客獲得に役立つでしょう。自社サイトにHTMLタグを埋め込むだけで運用を始められる手軽さも魅力です。
利用料金は初期費用30万円、月額費用148,000円からとなっています。他ツールとの連携やオプションの追加など、柔軟なカスタマイズにも対応できる万能ツールです。
List Finder(リストファインダー)
List Finderは、月額39,800円から利用できる人気のMAツールです。
3つの料金プランから選べるようになっており、機能やアクセス数に応じて従量課金が追加される仕組みになっています。使った分だけの支払いなので、最小限のコストで運用したい企業にも最適です。
MAツールとしての評判は非常に高く、導入実績は1,600アカウントを突破。導入初期は専任のコンサルタントがサポートしてくれるのもポイントです。小規模から大企業まで安心しておすすめできるMAツールと言えるでしょう。
まとめ
MAは、新規顧客の獲得と見込み顧客の育成を自動化・効率化に欠かせないツールです。
特に「集客が上手くいかない」と悩んでいる方にとって、強い武器になるでしょう。MAツールの効果を最大限活用するには、事前にゴールやペルソナを明確化することも重要です。仮説を立てることで、MAツールの便利な機能をフル活用できます。
リードを獲得してから、実際に商品を購入してもらうまでの期間は年々長くなっていると言われています。誰でもかんたんに検索できるようになり、検討できる情報材料が溢れているからです。
ターゲットに刺さる施策を効率的にアプローチしたいなら、MAツールが最適と言えます。
自社に合ったMAツールを導入して、マーケティング戦国時代を生き抜いていきましょう。
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