インターネットを活用して収益性の高いビジネスを構築するなら、デジタルコンテンツ(デジタル商品)の販売がおすすめです。
デジタルコンテンツの販売は、小資本で始められ、利益率が高く、拡張性も高いといった多くのメリットがあります。会社員の副業や、フリーランス・個人事業主の新規事業としても最適です。
この記事では、デジタルコンテンツの概要や将来性、売れるデジタルコンテンツを作るための重要ポイントをお伝えします。
デジタルコンテンツとは?
デジタルコンテンツとは、電子データで提供されたりWebブラウザで動作したりする、物理的実体のないコンテンツのことです。デジタル商品とも呼ばれます。以下、デジタルコンテンツの例です。
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- 電子書籍
- 動画
- ブログ記事
- メールマガジン
- 情報商材
- イラストや写真素材
- オンラインゲーム
- Webセミナー
- 会員制サイト
- WordPressテンプレート
こうして見ると、インターネット上で提供されるコンテンツのほとんどは、デジタルコンテンツであるといえます。
当サイトで販売しているWordPressテンプレート「TCD」 もデジタルコンテンツですし、あなたが今読んでいるこの記事もデジタルコンテンツです。
デジタルコンテンツを販売するメリット
デジタルコンテンツの販売(コンテンツビジネス)には、以下のメリットがあります。
デジタルコンテンツを販売するメリット | |
在庫を持つ必要がない | デジタルコンテンツは電子データなので、物理的な在庫を持つ必要がありません。倉庫やコンテナを契約するための費用もかかりません。 |
利益率が高い | デジタルコンテンツは一般的に、利益率が高いです。種類によっては原価がほとんどかからないため、利益率9割を超えることも珍しくありません。 |
容易に複製できる | 物理的な商品と違い、電子データであるデジタルコンテンツは複製が容易です。大量販売する際も手間・コストがほとんどかからないため、ビジネスを拡大しやすいです。 |
小資本で始められる | デジタルコンテンツの販売を始めるのに、大量の資金は必要ありません。無料あるいは安価なツールやプラットフォームが充実しており、小資本で始められます。 |
小資本・低リスクで始めることができ、利益率が高く、大量販売によりビジネスの拡大もしやすい。これがデジタルコンテンツを販売する大きなメリットです。
さらに副次的なメリットとして、マーケティングのスキルを網羅的に身に付けやすいという点があります。
デジタルコンテンツの販売では、商品コンセプトを固めるための市場リサーチやターゲット理解、顧客満足度を高めるためのコンテンツ作成、感情を刺激して相手を動かすセールスライティングなど、数多くのスキルが要求されます。商品開発から販売までの一連のマーケティングプロセスを経験できるため、成功するにせよ失敗するにせよ、得られるものは大きいです。
この記事を書いている私も、7~8年ほど前に、とあるニッチ分野のデジタルコンテンツ(動画講座)を販売したことがあります。見よう見まねで動画コンテンツを作り、拙いながらもセールスコピーを書き上げ、慣れない広告の管理画面をいじり・・・といった形で試行錯誤を続けた結果、月に20万円ほどの利益が出るようになりました。
後に競合が増えてしまい、このコンテンツビジネスは長くは続かなかったのですが、そこで得た知識や経験があったことでWebマーケティング関連のキャリアに進むことができました。
アフィリエイトもマーケティングを学ぶのに最適だといわれますが、デジタルコンテンツはアフィリエイト以上に学べるものが多いと個人的に考えています。チャレンジする価値は高いです。
デジタルコンテンツ販売のデメリット
デジタルコンテンツを販売するデメリットというか、心得ておくべき点として以下が挙げられます。
- 売れなければ一銭も入ってこない
- 無料のコンテンツとの差別化が必要
- 新規参入者が多い
- 同業に真似されやすい
特に売れなければ一銭も入ってこないという点。
クライアント相手のビジネスであれば、納品物を提出したり一定のタスクを完遂したりした時点で報酬が発生しますが、デジタルコンテンツの販売では、そのようなことはありません。
コンテンツ制作と販売活動に時間と手間を注いでも、商品が売れなければ売上は0。もちろんそこで得た経験は無駄にはなりませんが、通常の制作とは違って成果の保証はありません。
もし他に収入源がない状態で、完全ゼロからコンテンツビジネスを始めるなら、結果が出るまでの無収入期間に耐えられるだけの貯蓄が必須になるでしょう。
そのため、以下のような選択をおすすめします。
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- 会社勤めをしながら副業でコンテンツビジネスを小さくスタートする
- フリーランスの場合、コンテンツビジネスが軌道に乗るまではクライアントワークも並行しておこなう
- すでに本業のビジネスを持っている人が、そこで得た知識と経験、実績をもとにコンテンツビジネスを新たに展開する
これらの方法であれば、リスクを抑えてコンテンツビジネスを始められます。
デジタルコンテンツの将来性
「デジタルコンテンツの将来性はどうなのか?」
「今後も伸びていく市場なのか? 需要はあるのか?」
このような疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが、結論、デジタルコンテンツは今後も伸びていく市場だといえます。
以下は、2022年に経済産業省が発表した、EC(BtoC)の市場規模と伸長率です。
2019年 2020年 2021年 伸長率 A. 物販系分野 10兆515億円
(EC化率 6.76%)
12兆2,333億円
(EC化率 8.08%)
13兆2,865億円
(EC化率 8.78%)
8.61% B. サービス系分野 7兆1,672億円 4兆5,832億円 4兆6,424億円 1.29% C. デジタル系分野 2兆1,422億円 2兆4,614億円 2兆7,661億円 12.38% 総計 19兆3,609億円 19兆2,779億円 20兆6,950億円 7.35%
「C. デジタル系分野」 がデジタルコンテンツに該当し、2021年の市場規模の伸び率は12.38%。物販系、サービス系を上回っています。
これは感染症拡大による巣ごもり消費が背景にあると考えられています。この記事の執筆時点(2023年)では感染症のピークも過ぎつつありますが、一度形成された巣ごもり消費という生活スタイルが完全に消滅することはなく、今後も(多少の鈍化はあれど)続いていくはずです。デジタルコンテンツの需要も極端に落ちることはないでしょう。
もう一つデータを挙げましょう。
以下は、業界最大級のデジタルコンテンツ販売プラットフォーム「インフォトップ」 の会員数(販売者、購入者、アフィリエイターの3者の合算)の推移です。
毎年会員数を伸ばし続けており、2017年には300万人を突破しています。
インフォトップ以外にも、noteやUdemyといった、デジタルコンテンツを販売できるプラットフォームが近年は台頭しており、デジタルコンテンツは大きな需要のある存在だといえるでしょう。
そもそも、インターネットはコンテンツを見るためのものであり、インターネット上にあるコンテンツのほとんどはデジタルコンテンツです。つまり、インターネットが存在する限り、デジタルコンテンツの需要が無くなることはないと断言できます。
デジタルコンテンツの需要がなくなると仮定するなら、それはインターネットの需要がなくなるのと同義であり、あまり現実的ではありません。
売れるデジタルコンテンツを作る3つのポイント
デジタルコンテンツの細かな制作方法は、商品のジャンルによって異なります。そのため、どんなジャンルの商品にも共通する重要なポイントをここではご紹介します。
売れるデジタルコンテンツの種類については、こちらの解説を御覧ください。
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以下の3つを押さえることで、売れるデジタルコンテンツを作りやすくなります。
市場調査
あなたが「これは絶対に売れるはず!」 思ってデジタルコンテンツを作成し、広告宣伝しても、何の反応もないということは起こり得ます。デジタルコンテンツが本当に売れるかどうか確かめるために、市場調査が欠かせません。
売れる市場かどうかを確かめる方法の一つは、デジタルコンテンツ販売のプラットフォームの商品カテゴリをチェックすることです。
プラットフォームの商品カテゴリに存在するジャンルは社会的関心度が高い、つまり人々が興味を持ちやすいジャンルであるため、市場の需要があると判断できます。
アフィリエイトASPのランキングも、最新の市場トレンドを把握するのに役立ちます。
その他、Googleで検索して、同じようなデジタルコンテンツを販売している競合の有無をチェックするのも有効です。特にGoogle広告が出ていれば、商業性が高く需要もあると判断できます。
コンセプト設計
売れるデジタルコンテンツを作るには、コンセプト設計が欠かせません。コンセプト設計に関するノウハウは様々なものがありますが、ここでは特に重要な点に絞ってお伝えします。
必ず押さえておきたい原則として、「必要は売れない。欲しいを売れ」 というものがあります。必要 = ニーズ、欲しい = ウォンツ、という区別です。
ニーズとウォンツの違い |
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ニーズ | 「~しなければいけない」 「~すべきだ」 といった、必要性から湧き出る欲求。それが欲しいかどうかはあまり関係がない。ニーズは相手の理性に訴えかける。 |
ウォンツ | それを必要とする合理的な理由や根拠はないが、とにかく「欲しい!」 という感情から湧き出る欲求。ウォンツは相手の感情に訴えかける。 |
売れるデジタルコンテンツに共通しているのは、ニーズではなくウォンツに訴えかけている点です。相手が必要としているモノではなく、相手が心の底から欲しいと思っているモノを売るべし、ということですね。
たとえば、マーケティングの全体像を学術的に学ぶべきだと思っている人がいたとします。これは必要性(ニーズ)に該当する欲求です。しかし、このようなニーズを持っている人であっても、実際に反応してしまうのは「今すぐ真似して使えるマーケティングの施策テンプレ100選!」 といった、ウォンツを刺激するデジタルコンテンツなのです(全員がそうとは言いませんが、大多数はそうです)。
要は、相手が(理性的に)必要だと思っているモノではなく、相手が感情的に「それ欲しい!」 と思ってしまうモノを売る必要がある、ということです。
ニーズではなくウォンツに訴えかけるコンセプトで売ること。これがデジタルコンテンツの販売を成功させる極めて重要なポイントです。「そうそう、それが欲しかったんだよ!」 という潜在的な感情を引き出し、一瞬で欲しいと思わせることができれば、あなたのデジタルコンテンツは簡単に売れていくでしょう。
TCDのWordPressテンプレートもそうです。ニーズという観点では、別にTCDのテンプレートである必要は必ずしもありません。無料のテンプレートでもいいわけです。それでも、デモサイトを見た瞬間に「これ欲しい!」 という感情になり、購入に至る・・・。ウォンツを刺激して売る好例だと思います。
デジタルコンテンツのコンセプトを練る際は、見込みターゲットが心の底から欲しいと思っているモノは何かをリサーチしてください。そして、ターゲットが欲しいと思っているものをストレートにオファーしてください。
必要なモノではなく欲しいモノを提供することができれば、デジタルコンテンツの販売が成功する確率は大きく上がります。
ターゲットリサーチ・商品リサーチ
上記のコンセプト設計の話とも関連しますが、デジタルコンテンツの作成および販売では、見込みターゲットや商品に関するリサーチが必須です。
以下の2種類の質問リスト(ターゲット理解と商品理解)に沿ってリサーチを進めることで、デジタルコンテンツのコンセプト設計や販売に必要な情報を集めることができます。
<ターゲットに関する質問リスト>
・ターゲットの持つポジティブな願望・欲求は何か?(TOP3を挙げる)
・ターゲットの持つネガティブな不安や不満、恐怖は何か?(TOP3を挙げる)
ターゲットの願望や欲求、不安などを把握する方法としては、ターゲットの属性に近しい人へのインタビューやアンケートが最適です。ネット検索で簡易的に済ませるなら、Q&AサイトSNS、匿名掲示板、競合商品のLPなどのチェックがおすすめです。
<商品に関する質問リスト>
・なぜこの商品を作ろうと思ったのか?(開発ストーリー)
・主な特徴やメリットは何か?
・競合商品と比べて何がどう違う?(独自性)
・商品を使うことでターゲットが得られる最大の利点は?(ベネフィット)
・この商品は誰のためのものか?
・この商品は誰のためのものでないか?
・提示できる証拠・実績は?
・想定されるターゲットの買わない理由(反論)は?
商品に関するこれらの質問は、デジタルコンテンツのコンセプト設計時はもちろん、販売ページのセールスコピー作成時にも役立ちます。
デジタルコンテンツを販売できるプラットフォーム
最後に、デジタルコンテンツを販売可能なプラットフォームをいくつかご紹介します。
note
テキストコンテンツ(記事)に強いプラットフォーム。執筆した記事を有料で販売できます(音声や画像の販売も可)。複数の有料記事をまとめて、有料マガジンという形で販売することも可能です。
noteの手数料 | |
決済手数料 | クレジットカード決済:5% 携帯キャリア決済:15% PayPay決済 :7% |
プラットフォーム利用料 | 10%(定期購読マガジンの場合は20%) 売上から決済手数料を引いた金額に対してかかる。 |
振込手数料 | 270円 |
BOOTH
ゲームや音楽、各種素材データ、アート作品など、電子コンテンツのダウンロード販売が可能なプラットフォームです。
BOOTHの手数料 | |
販売手数料 | 0円 |
プラットフォーム利用料 | 5.6%+ 22円 |
Udemy
オンライン動画講座を販売できるプラットフォームです。Udemyのサイトの圧倒的な集客力(受講生約57万、受講登録数約773万)が強み。オンライン講師としてデビューしたい方におすすめです。
Udemyの収益配分・手数料 | |
収益配分 | 紹介リンクやクーポン経由:売上の97% udemyの広告やマーケットプレイス経由:売上の37% |
モバイルプラットフォーム手数料 ⇒iOSやAndroidなどモバイルアプリからの購入時に発生する手数料 |
30% |
決済手数料 | 3%(日本の場合は4%) |
ネットショップ系のSaaS
STORESやBASEなど、ネットショップ作成のSaaSでも、デジタルコンテンツの販売ができます。
STORES
STORESはデフォルトでデジタルコンテンツを販売可能です。価格を0円に設定して、無料サンプルとして提供することもできます。
STORESの手数料 | |
月額費用 | 0円 ※有料のスタンダードプラン(税込月額2,178円)あり |
決済手数料 | 5% ※有料のスタンダードプランは3.6% |
BASE
BASEはデジタルコンテンツを販売するための拡張機能(App)をインストールすることで、写真や音楽、テキストといったデジタルコンテンツを販売できます。
BASEの手数料 | |
月額費用 | 0円 ※有料のグロースプラン(税込月額5,980円)あり |
決済手数料 | 3.6%+40円 ※グロースプランは2.9% |
サービス利用料 | 注文ごとに3% ※グロースプランは0% |
その他の手数料 | 振込手数料:一律250円 事務手数料:2万円以下の振込申請は500円(2万円以上は0円) |
WordPress
WordPressでサイトを構築して、デジタルコンテンツを販売する方法もあります。
WordPressを使うメリットは、プラットフォームに依存しないことで手数料の負担を抑えられることや、資産となる顧客リストを構築できることです。デジタルコンテンツ販売に特化したテンプレートを使えば、デザイン性・機能性に優れた販売サイトを素早く構築できます。
TCDでは、高機能な商品販売ページやLP作成機能、商品ソート機能を備えたWordPressテンプレート「common」 を販売しています。
デジタルコンテンツの販売サイトを構築するのに最適なWooCommerce対応のテンプレートに仕上がっています。機能の詳細は、以下の記事をご確認ください。
今は、誰でもネットショップを簡単につくれる時代です。 さまざまなネットショップ作成ツールのほか、テキストコンテンツを販売できるnoteや写真素材を販売できる「Shutterstock」などもあります。 こうしたプラットフォームを利用した販売形態は、手軽に販売をスタートできるメリットはあり...
まとめ
デジタルコンテンツの販売は、利益率や拡張性が高く、小資本で始められるメリットがあります。
クリエイターが本業のノウハウを動画講座にして販売するのもいいですし、アフィリエイターが新たな収益の柱として自分自身のデジタル商品を開発するのもいいでしょう。
デジタルコンテンツの市場は今後も伸びていき、需要が無くなることはまずありません。ぜひ、デジタルコンテンツの作成・販売にチャレンジしてみてください。
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第1回:デジタルコンテンツとは?(当記事)
第2回:おすすめのデジタルコンテンツは?
第3回:デジタルコンテンツ販売対応のWordPressテーマ
第4回:デジタルコンテンツの売り方
第5回:デジタルコンテンツ作成のおすすめツール
第6回:デジタルコンテンツが売れない原因と対策
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