CMSとは、コンテンツマネジメントシステム(Contents Management System)の略。
日本語ではコンテンツ管理システムと呼ばれ、ざっくり説明すると、Webサイトを簡単に作成・運用できるシステムの総称です。その利便性から、中規模以上のWebサイトの多くはCMSで作成・運用されています。当サイトも「WordPress」というCMSを利用して運営されています。

この記事では、

  • CMSの特徴
  • メリット・デメリット
  • 主要な機能
  • CMSの種類
  • CMSの選定ポイント

といった内容をお伝えします。

CMSは、ある程度の規模のWebサイトを運営するなら欠かせない存在です(もちろん小規模なサイトにも使えます)。現在は、CMSを使いこなすことが最低限必要な時代だといえるので、当記事を参考に、CMSの選定・導入をぜひ進めてみてください。

CMSとは何か?

CMSとは、Contents Management System(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれるもので、Webサイトのコンテンツ(テキストや画像など)を効率よく管理・運用できるシステムの総称です。

CMSの最大の特徴は、専門知識不要でWebページを作成できることです。
CMSが登場する前は、1ページ1ページをHTMLでコーディングして制作していくスタイルが一般的でしたが、このやり方はHTMLやCSSなどの知識・スキルが要求されます。これらのスキルがない人にはなかなか難しい作業であり、ページを作成したり更新したりするには、プログラマーやデザイナーに依頼したり、外部の制作会社にお願いしたりするしかありませんでした。

静的サイトの構造

初心者向けのホームページ作成ソフトもありましたが、ライセンスの都合上、インストールできるPC数に制限がかかる製品が多く、スタッフ全員が気軽にページを作成したり更新したりできる状況でもありませんでした(複数人での運用が難しかった)。

しかし、CMSの登場が、これらの状況を一変させます。

ものすごく簡単に表現すれば、CMSは「ブログサービス」のようなものです。Amebaブログやはてなブログなどをイメージしてください。これらのブログサービスは、Webの専門知識がない方でも簡単に記事の編集や投稿、更新ができますが、CMSもそれと同じようなイメージです。HTMLやCSSなど、コーディングの技術的知識がない方でも、最低限のITリテラシーさえあれば、Webサイトの運用ができてしまいます。

CMSによるページ作成のイメージ

テキストの編集や画像のアップロード程度の簡単な作業でページを作ることができ、各ページをHTMLでコーディングして制作するよりも圧倒的に簡単かつ素早い情報発信が可能になります。

CMSのメリット

ここからは、CMSのメリットをさらに掘り下げて解説していきます。

「コンテンツ」と「デザイン」を分離できる

CMSでは、Webサイトのデザインやレイアウトを構成する部分(HTMLやPHP、CSSを組み合わせたデザインテンプレート)と、テキストや画像などのコンテンツ部分が、完全に分離されています。

CMSの仕組み

コンテンツとデザインが分離されていることで、HTMLやCSSをいじることなくページを簡単に編集できる(こちらの図はCMSの一般的な仕組みの概念図で、各CMSによって細かな仕様は微妙に異なります)

HTMLサイトではコンテンツとデザインが分離されていないので、「ちょっとここのテキストを修正したいな」という場合でも、HTMLを編集しなければいけません。軽微な修正ならそこまで問題ではないかもしれませんが、大きな修正の場合、HTMLの知識がない人が下手にいじると、ページのレイアウトを大きく崩してしまう可能性もあります。

その点、CMSであれば、HTMLやCSSをいじることなく、データベースに保存されているデータを編集するだけでページを更新できます。難しい操作は必要なく、CMSに備わっているページ編集機能を利用するだけであり、多くの場合、Wordを操作する感覚で直感的にページの編集作業が可能です。

大枠のデザインやレイアウトがコンテンツ部分とは別で管理されていることで、各ページで微妙に文字サイズが異なったり、画像の埋め込みサイズが異なったりすることもなくなります。

Webサイトの運営体制をスムーズに組める

コンテンツとデザインが分離されているというCMSの特徴は、Webサイト運営の分業体制を構築しやすいというメリットにもつながります。たとえば、

  • デザインやレイアウト担当は専門知識を持つデザイナーやプログラマー
  • コンテンツの編集や投稿は営業担当や事務員
  • サイトの全体管理はディレクター

といった形で、役割分担を明確にすることができるでしょう。営業や事務員など、Webの専門知識を持たない人材であっても、コンテンツ制作の運用リソースとして活躍することが可能になるわけです。写真の掲載間違いや誤字脱字に注意する程度の作業でWebサイトの運営が可能になったのは、CMSの普及による影響だといえます。

外注業者に依頼するコストや手間を削減できる

CMSを利用すれば、Webサイトを自社で管理・運用できるようになります。

サイトを作ってもらった制作会社に保守・運用まで依頼している場合、軽微なテキストや画像の修正に対しても費用がかかりますし、修正をお願いしてから実際に反映されるまでに、ある程度時間もかかるでしょう。制作業者とやり取りするコミュニケーションコストも無視できません。

SEOのレポーティングやサイト運営のコンサルティングなどのサービスまで含まれている契約ならまだしも、単なるサーバ・ドメインの保守やコンテンツの更新といった程度の作業に毎月お金を払うのはナンセンスだといえます。

CMSを導入すれば、制作会社に頼ることなく、自社であらゆる作業を完結できます。テキストの修正はもちろん、デザインの変更や拡張機能の追加なども、CMSに備わっている機能を使えば簡単に実行でき、変更点をWebサイトに素早く反映させることができます。このスピード感は、制作会社頼りではまず実現できません。

情報の鮮度を保ちやすい

CMSを使えば専門業者不要でWebサイトの情報を更新できるため、情報の鮮度を自分たちで保つことができます。更新作業はインターネット環境とブラウザがあれば、いつでも、どこからでもおこなえるので、作業の隙間や思い立ったときに、新鮮な情報をWebサイトに掲載することが可能です。

ヒューマンエラーを抑えられる

人力では膨大な時間と工数がかかる作業も、CMSならミスなく瞬時に実行できます。

たとえば、Webサイトのヘッダーやフッター部分のテキストを修正したい場合を考えてみましょう。HTMLサイトなら、1ページ1ページ、該当箇所を修正する必要があり、手間がかかります。一方、CMSの場合は、ヘッダーやフッターが個別のファイルとして存在しており、Webサイトの共通要素として各ページに反映される仕組みです。

CMSのサイトを構成するパーツ

つまり、ヘッダーやフッターのファイルを修正するだけで、ヘッダーやフッターを表示させている全ページに修正内容が適用されるのです。修正対象の数が100ページでも1000ページでも、かかる手間は変わりません。

他にも、リンク切れしているページを検知したり、アップロードした画像を適切なサイズに調整して保存してくれたりするのも、CMSの優れた点です。

マルチデバイスに簡単に対応できる

CMSの多くは、マルチデバイス対応機能を標準搭載しています。
PC、スマホ、タブレットなど、Webサイトを閲覧するデバイスに合わせて最適なコンテンツを自動で出力してくれるので、モバイル向けサイトをわざわざ構築する手間がかかりません。

マルチデバイスへの対応方法は、CMSによって異なりますが、以下のような方法が代表的です。導入を検討しているCMSがどのような方法でマルチデバイスに対応しているのか、あらかじめ調べておくといいでしょう。

  • CMSの標準機能による簡単設定
  • レスポンシブWebデザイン対応のテンプレート導入
  • 拡張機能の追加

Googleがモバイルファーストインデックス(MFI)※を推進していることもあり、スマホやタブレットなどマルチデバイスへの対応は必須事項です。CMSを使って対応を進めることをぜひオススメします。

※モバイルファーストインデックス(MFI)とは、スマホサイトを基準として、インデックスやランキングの評価をおこなうこと。

CMSのデメリット

数多くのメリットがあるCMSですが、注意しておきたいデメリットも存在します。

セキュリティへの配慮が必要になる

CMSで心配になるのは、セキュリティ被害のリスクです。

クラウド型のCMSは、サービスを提供するベンダーがセキュリティ対策をおこなってくれるので、ある程度の安心感はありますが(もちろん100%安心というわけではない)、オープンソース型やパッケージ型のCMSの場合、自社での管理体制が十分でないと、Webサイトの乗っ取りや改ざん、情報流出などのリスクが高まります。

CMSのバージョン更新を怠っていたり、ダッシュボードにログインするIDやパスワードが脆弱だったりするケースは危険だといえるでしょう。

  • CMSや拡張機能のバージョンを常に最新に保つ
  • ID・パスワードをセキュアなものにする
  • 万が一に備えて、データのバックアップを取っておく

CMSを安全に運用するには、このようなセキュリティに関する意識を高く掲げておくことが重要です。

使用するCMSやテンプレートによっては自由度が低い

CMSの機能やテンプレートのデザインの範囲内でWebサイトを運用することになるので、すべてが自由自在というわけにはいきません。自由度の高いCMSやテンプレートも存在しますし、拡張機能の追加や外部サービスとの連携により、できることは増やせるのですが、限界はあります。

もちろん、高機能なCMSを使えば、大抵のことはほぼ実現できます。
小〜中規模程度のWebサイト運営であれば、そこまで不自由を感じることはないのですが、複雑かつ高度なシステムの実装が要求される大規模Webサイトの場合は、CMSの制約を窮屈に感じてしまうかもしれません。

CMSの主な機能

以下では、CMSに搭載されている主な機能をご紹介します。

ページの投稿・編集・管理機能

CMSは、Wordを操作する感覚でページを作成したり編集したりできます。

HTMLタグを打ち込む必要がないので、ページを公開するためにエンジニアに頼る必要もありません。文章の作成と画像の挿入程度の作業でページをサクサクと投稿できます。CMSによっては、ドラッグ&ドロップの操作により、パズルを組み立てる感覚でページを編集できるものもあります。

いずれにせよ、専門知識不要でページの作成・編集・投稿ができるのは、CMSの大きな特徴の一つです。また、ページの公開状態(下書きや非公開)の管理や予約投稿といった機能もあり、Webサイトの運用を効率化してくれます。

メディア(画像や動画)の管理機能

画像や動画、音声などのメディアをアップロードし、専用ライブラリで管理可能です。

アップロードしたメディアは簡単にページに挿入でき、その際のサイズ調整も柔軟におこなえます。画像に対する代替テキスト(alt)やキャプションの設定もできますし、CMSによっては簡易的な画像編集ツールを備えているものもあり、縮尺の変更やトリミングも管理画面上で実行できます。

CMSを使用するユーザーの管理機能

CMSは、管理者や編集者、投稿者など、ユーザーごとにアクセス権限を設定できます。
役割ごとに固有のアクセス権限を付与することで、リスクを抑えながら、外部の協力者を含め複数人でWebサイトを運営できるようになるでしょう。多くのライターを抱えるメディアにも最適です。

マーケティングを強化する機能

CMSには、マーケティングを強化する以下のような機能が実装されています。

  • SEO
  • LP(ランディングページ)作成
  • 顧客管理
  • メール配信
  • アクセス解析
  • マーケティング機能の充実度はCMSによって差があるので、必要な機能が実装されているかどうか、導入前に確認が必要です。CMS自体のマーケティング機能が弱い場合でも、拡張機能を追加したり外部サービスと連携したりして補うこともできるので、その点も含めて確認しておくといいでしょう。

    外部サービスとの連携機能

    CMSによっては、さまざまな外部サービスと連携できます。

  • MA(マーケティング・オートメーション)
  • SFA(セールス・フォース・オートメーション)
  • CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)
  • 名刺管理ツール
  • アクセス解析
  • これらの外部サービスと連携できれば、リードジェネレーション(見込み客の獲得)やリードナーチャリング(見込み客の育成)などのマーケティング活動を強化したり、顧客情報の管理を効率化したりできます。

    CMSの代表的な種類

    CMSには、大きく分けて以下の3種類があります。

  • オープンソース型
  • パッケージ型
  • クラウド型
  • 以下では、それぞれの特徴やメリット・デメリット、代表的なCMSを紹介します。

    オープンソース型

    オープンソース型は、ソースコードが公開されており、誰でも無料で利用したり改変したりできるCMSのことです。

    メリット・デメリット

    オープンソース型のメリットは、まず何よりも「無料」という点です。
    サーバ契約やドメイン取得の費用は別途かかりますが、CMSのダウンロード自体は無料でおこなえます。導入コストを抑えたい場合に適しているでしょう。

    また、オープンソース型は無料かつソースコードが公開されている性質上、利用者が多く、Web上に情報がたくさんあります。導入方法や基本的な使い方、カスタマイズなど、知りたい情報はGoogle検索すれば大抵見つかるはずです。

    オープンソース型のデメリットとしてよく挙げられるのは、セキュリティの脆弱性です。ソースコードが公開されており、かつ利用者が多いということで、ハッキングの対象とされやすいというのが理由です。

    しかし、CMS側もバージョンアップを常に繰り返して脆弱性への対策は実施しています。CMSのバージョン更新を忘れず、かつ、ログインID・PASSをセキュアな形に保っていれば、過度に恐れる必要はないかもしれません。

    代表的なオープンソース型CMS

    以下、代表的なオープンソース型CMSをまとめました。

    WordPr​​ess(ワードプレス)
    ​​CMS市場のシェア約65%(2022年4月時点)を占める、オープンソース型CMSの代表格。豊富なデザインテンプレートやプラグイン(拡張機能)を利用可能。個人ブログから大規模サイトまで、あらゆる形態のWebサイトに対応できます。
    >> 公式サイト

    WordPressに関する解説はこちらを参照してください。

    Joomla(ジュームラ)
    WordPressと特徴が似ているオープンソース型CMS。WordPressよりも機能が豊富で、複雑な構造のサイトも作りやすいですが、初心者にとっては導入や設定のハードルが若干高いかもしれません。
    >> 公式サイト
    >> 日本語仕様のファイルのダウンロードはこちら

    EC-CUBE
    ECサイトの構築に特化したオープンソース型CMS。顧客の個人情報を扱うECサイトはセキュリティリスクが心配になりますが、EC-CUBEはバージョンアップに伴うセキュリティ機能の強化やWAFツールの提供など、セキュリティ対策が手厚く安心できます。
    >> 公式サイト

    パッケージ型

    パッケージ型は、ライセンスを購入して使用するタイプのCMSです。どちらかというと、個人ではなく法人での利用を想定して提供されています。

    メリット・デメリット

    パッケージ型は総じて、CMSを提供しているベンダーによる導入支援や導入後のメンテナンス、サポートが手厚いです。

    パッケージ型CMSを導入されるのは法人、それも比較的規模の大きな企業が多いと思いますが、その場合、CMSの導入プロジェクトは複雑な工程になりがちです。自社ですべてをこなすのが難しい場合は、設計やテストなどの工程を代行してもらったり、コンサルティングを受けたりするのがオススメです。初期導入をスムーズに進めることができるでしょう。

    CMS導入後も、管理画面の操作方法のトレーニングやコンテンツ作成のアドバイスを受けることで、CMSを現場に浸透させることができますし、トラブル発生時も、メールや電話によるサポートを受けることで問題を迅速に解決できます。

    一方、パッケージ型のデメリットとしては、ライセンス費用の負担が大きくなりがちという点が挙げられます。標準搭載されている機能以外のオプション機能を追加したり、ユーザー数を増やしたりすれば、それらに応じてライセンス費用も増えてしまいます。ライセンス費用は要問い合わせとなっているベンダーが多いですが、実現しようとしているWebサイトの規模によっては、それ相応の金額になる可能性があります。

    代表的なパッケージ型CMS

    以下、代表的なパッケージ型CMSをまとめました。

    Movable Type
    小〜中規模サイトの構築に適したパーケージ型CMS。ライセンス料は99,000円。無料トライアルの利用やコンサルタントへの導入相談も可能です。個人利用に限り、無料でダウンロードできますが、各種サポートは受けられません。
    >> 公式サイト

    HeartCore CMS
    大手企業・官公庁を中心に導入されているパッケージ型CMS。サイト構築からマーケティングまで、Webサイト運営に必要な機能が網羅されています。コンサルティングやトレーニングなど、導入支援サービスも充実。ライセンス料は要問い合わせ。
    >> 公式サイト

    NOREN
    マーケティングなど余計な機能を削ぎ落とし、コンテンツの作成や管理に特化したパッケージ型CMS。CMSサーバとWebサーバが分離されている静的CMSなので、高いセキュリティと安定性を誇ります。ライセンス料は要問い合わせ。
    >> 公式サイト

    クラウド型

    自前でサーバを用意する必要がなく、比較的手軽に導入できるのがクラウド型CMSの特徴です。広義では、無料ブログサービスもクラウド型CMSに分類されるかもしれません。

    メリット・デメリット

    クラウド型のCMSのメリットとしてまず挙げられるのは、導入の手軽さです。
    多くの場合、アカウント登録をすれば、すぐにCMSの機能を使ってサイト構築を始められます。CMSの種類にもよりますが、即日から利用できるものもあります。

    また、セキュリティ面の対策はCMSを提供するベンダーが実施するので、利用者側としては特別な対策をおこなう必要がなく、安心して利用できます。

    デメリットとしては、オープンソース型やパッケージ型と比較すると、カスタマイズの自由度や機能の豊富さで劣る点です。プランをアップグレードすれば機能を追加したり強化したりできますが、限界はあります。大規模かつ複雑な構造のサイトには向いていないため、小〜中規模サイト向けだといえます。コーポレートサイトやランディングページ、ブログなどの形態であれば問題なく活用できるでしょう。

    代表的なクラウド型CMS

    以下、代表的なクラウド型CMSをまとめました。

    Wix
    数百種類以上のテンプレートから好みのデザインを選択し、ドラッグ&ドロップの直感的な操作でテキストや画像を配置するだけで、本格的なWebサイトが作れるクラウド型CMSです。マーケティングやSEO機能も搭載。無料から利用可能。
    >> 公式サイト

    ジンドゥー
    200万人以上のユーザーが利用するクラウド型CMS。レイアウトの選択と画像のアップロード、テキストの追加といった簡単な作業でWebサイトを構築できます。問い合わせフォーム設置や各種SNS連携、モバイル対応などの機能もあり、無料から利用可能。
    >> 公式サイト

    ferret One
    BtoBマーケティングに特化したクラウド型CMS。メール配信や問い合わせ管理、LP作成、CTA設置など、マーケティングを強化する機能が網羅されています。初期費用10万円、月額料金10万円から利用可能。利用開始までには2〜3ヶ月程度の時間が必要です。
    >> 公式サイト

    こちらの記事でも無料のCMSのみをまとめていますのでよろしければどうぞ。

    失敗しないCMSの選定ポイント

    CMSを選ぶときは、以下のポイントを押さえておきましょう。

    静的CMSか動的CMSか?

    CMSには、静的タイプと動的タイプの2種類があります。
    静的CMSの特徴は、CMSのデータベースを格納したサーバとWebサイトを公開するサーバが分かれている点です。

    静的CMSの仕組み

    CMS側で生成した静的HTMLをWebサーバに転送することで、ページを公開する仕組みになっています。CMSサーバとWebサーバが分離されていることで、万が一、CMSサーバがダウンしてもWebサイトは問題なく閲覧できるので、安定性が高いです。セキュリティ被害のリスクも動的CMSに比べれば低くなります。

    ただし静的HTMLでは、表示させる情報をユーザーごとに切り替えるといった処理ができないので、ECサイトや会員制サイトなど、複雑な構造のWebサイトの構築には向きません。

    一方、動的CMSは、ユーザーがページにアクセスするたびに、CMSのデータベースから情報を引き出して、動的ページを作り表示させます。

    動的CMSの仕組み

    ユーザーごとにページ内容を柔軟に切り替えたいという要望が叶い、作れるWebサイトの幅が広がるでしょう。ただ、CMSのデータベースから都度情報を引き出して動的ページを作るため、CMSサーバがダウンすると、Webサーバが無事でもサイトを閲覧できなくなります。

    静的CMSと動的CMSには、上記のようなメリット・デメリットがあります。構築したいWebサイトの種類や目的に応じて選ぶといいでしょう。

    ちなみに、静的CMSのほうがSEOに強いと言われることもありますが、実際には、静的CMSと動的CMSとで、SEOのパフォーマンスに有意な差はありません。表示速度やURLの長さでSEO効果に差が出るという理屈が多いですが、それらは検索順位にわずかしか影響しないため、ほとんど誤差の範囲です。

    無料か有料か?

    無料のCMSを選ぶべきか? それとも、有料のCMSを選ぶべきか?

    よく誤解されますが、無料のCMSだからといって、クオリティの低いサイトしか作れないということはありませんし、機能面が乏しいということもありません。

    無料のオープンソース型CMSの代表格であり、CMS市場シェアTOPのWordPressを考えればわかりますが、無料でありながら、大規模メディアやECサイト、会員制SNSなど、高機能なWebサイトを構築できます。拡張機能も膨大であり、「これを実装したい」ということの大半は実現できてしまいます。「無料だからしょぼい」ということは決してありません。

    ただ、無料のCMSは、有料CMSほどサポートが充実していないのは事実です。もちろん、ユーザーフォーラムや掲示板を活用したりWeb検索したりすれば、導入方法やカスタマイズに関する情報は見つかりますが、最終的には自分で情報の正否を判断し、手を動かして解決することになります。

    その点、有料のCMS(特にパッケージ型)であれば、CMS提供ベンダーによる導入支援や導入後のサポートが充実しています。CMS導入業務の代行やコンサルティング、操作方法のトレーニング、電話やメールでの迅速なサポートなど、導入や運用を強力にバックアップしてくれるので安心です。
    もちろん、ライセンス料や導入支援費、コンサルティング費などを合わせると、それ相応の金額になる可能性があります。予算を確保できるかどうか、注意したいところです。導入実績を見ても、基本的には大企業や公官庁向けだと考えたほうがいいかもしれません。

    中小零細企業で、予算をあまり確保できない場合は、WordPr​​essやWixなど、無料のCMSを選ぶことが現実的かもしれません。あるいは、比較的少予算でも利用できるMovable Typeやferret Oneなどもオススメです。

    機能は使いこなせるか?

    どれほど多機能なCMSでも、使いこなせなければ運用する際の負担になってしまいます。

    コンテンツマネジメントシステムの名の通り、CMSは本来、コンテンツを効率的に管理するためのシステムです。ページの作成や編集、管理の機能こそがCMSの根幹であり、そこの使いやすさが最も重要なはずです。

    拡張機能の追加や外部サービスとの連携、あるいはプランのアップグレードで、その都度必要な機能は追加できるので、まずは「ページの作成・編集・管理の使いやすさ」という視点でCMSをチェックすることをオススメします。他の部分がいくら多機能・高機能でも、ページの作成や編集が複雑でストレスがかかるようでは本末転倒だからです。

    そのようなCMSを導入すると、Webサイトの更新も滞りがちになりますし、外注業者に作業を依頼するにしても、操作方法を教える手間がいちいちかかります。可能な限り、シンプルな簡単操作でページを更新できるCMSを選びましょう。Word感覚で編集できたり、ドラッグ&ドロップの直観操作で編集できたりするタイプがオススメです。

    WordPress(ワードプレス)をオススメする理由

    WordPress

    ここまで、CMSの特徴やメリット・デメリット、主要な機能、CMSの種類について解説してきました。

    CMSは、Webサイトの構築・運営に欠かせないシステムです。特に、企業において複数人でWebサイトを運用するなら、CMSを使わないという選択はあり得ないでしょう。問題は、どのようなCMSを導入するかです。

    Webサイトの規模や予算、目的によって、適切なCMSは変わってきますが、「そこまで予算はかけられない」という場合は、無料で使えるオープンソース型CMSの「WordPress(ワードプレス)」をオススメします。

    WordPressは、CMS市場のシェア約65%(2022年2月時点)を占めており、ユーザー数は世界で6,000万人以上。個人や企業、行政、医療、学校法人など、多岐にわたり利用されています。

    無料ブログと同じ感覚の簡単操作でページの編集や投稿ができ、専門知識がなくてもサイト運用が可能です。豊富なデザインテンプレートと拡張機能(プラグイン)が用意されており、高いデザイン性と機能性を備えたサイトを簡単に作れます。

    セキュリティの脆弱性を指摘されることがありますが、バージョンアップを繰り返すことで脆弱性を埋める改善が実施されているので、サイト運営側での対策(WordPressのバージョンを最新に保つ、ID・PASSをセキュアにする)を徹底すれば過度に恐れることはありません。
    セキュリティリスクに厳しい大手上場企業や公官庁などでは導入許可が降りないケースはあるかもしれませんが、それら以外の大抵の企業あるいは個人にとって、WordPressはベストな選択肢になるはずです。

    以下の記事で、WordPressの特徴やメリットを詳しく解説しているので、興味があればぜひチェックしてみてください。

    また、弊社(デザインプラス株式会社)は、WordPressに特化したデザインテンプレート「TCDシリーズ」を多数販売しています。いずれのテンプレートも、インパクトのあるサイトを低コストで構築でき、あなたのビジネスに貢献します。以下からぜひご確認ください。

    >> TCDテーマの一覧はこちら

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