新型コロナウイルスの影響により、世界中でスタンダードになりつつあるリモートワーク。

しかし、こと日本では「リモートワークの導入で生産性が下がった」といった声が聞こえます。生産性がどれだけ下がっているかの統計データはこちらの記事でも紹介しています。

一見、生産性が上がりそうなリモートワークが機能しないのはなぜでしょうか。本記事では、リモートワークの生産性が下がる原因と対処法について解説します。

生産性とは何か?

そもそも会社経営に対する生産性とは、資源の投入量と産出量をもとに計算できます。

資源の投入量 産出量
労働力
時間
機械・設備
原材料
土地
利益
生産量
売上件数

生産性の計算式は次の通りです。

生産性=産出量÷投入量

上記の計算式に従い、リモートワーク導入前と後で計算すると生産性を比較できます。

生産性を測るためのチェックポイント

リモートワーク導入後の生産性を測るためには、コストや成果の量、質などを把握する必要があるでしょう。

リモートワーク導入前 リモートワーク導入後
社員の交通費
オフィスの水光熱費
名刺やコピーなどの消耗品費
ITツールの導入・維持コスト

まず、上記のように導入後と前で、コストを明確に計算してみることが大切です。リモートワークを導入すると、基本的にはコスト削減に繋がります。

しかし、企業によってはITツールの導入費や維持費が、返って高くついてしまうケースもあるでしょう。特に社員数が少ない企業では起こりえることです。

生産性をしっかり把握するためにも、コストをしっかり把握しておきましょう。社員1人あたりの成果だけでなく、会社全体で計算することが大切です。

リモートワークの生産性が下がる主な原因

リモートワークの生産性が下がる主な原因をまとめました。

  • コミュニケーションの低下
  • 勤怠管理や進捗状況が難しい
  • 仕事のオン・オフがつけにくい

コミュニケーションの低下

生産性が下がる大きな原因となっているのが、コミュニケーションの低下です。

リモートワークの場合、対面であれば気軽に質問できる内容をチャットや電話で問合せなければなりません。便利なはずの「オンライン」が邪魔をして、コミュニケーションが取りづらくなってしまうのです。

奥手な社員の場合、チャットツールや電話で質問することに抵抗を感じる人もいるでしょう。表現や文体を考えているうちに時間を浪費してしまうケースもあります。

また、オフィス勤務ではちょっとした冗談や笑い話もスムーズにできるはずです。相手の表情や機嫌がかんたんに理解できるのは、対面だからこそ。

オンライン上でのやり取りになってしまうリモートワークは、情報共有がしづらく生産性やコミュニケーションの質が下がりやすいと言えます。

勤怠管理や進捗状況が難しい

リモートワークでは、社員の勤怠管理や進捗状況が難しいことが原因で生産性が下がるケースもあります。

  • 社員の勤務時間
  • メンタルヘルス
  • プロジェクトの進捗状況

リモートワークは社員が孤立しやすく、モチベーションが下がりやすいとも言われています。

始業や終業時間も管理しにくいため、ついつい長時間働いてしまう社員もいるでしょう。逆に手を休めてしまい生産性が下がる人も珍しくありません。

オフィス勤務であれば、社員のメンタルもチェックしやすいはず。リモートワークならではの難点とも言えるでしょう。

仕事のオン・オフがつけにくい

リモートワークだと、プライベートとの切り分けが難しく生産性が落ちる社員も。

自宅で仕事をしていると、ついダラダラしてしまう人もいるでしょう。「今から〇〇を終わらせよう」と決意をしても、数分後には別のことを始めてしまった経験は誰にでもあるはずです。

オフィス勤務の時と比べて、1つの仕事を終わらせるまでの時間が長くなる人は珍しくありません。特に家族がいる人は、オン・オフの切り替えが難しくなりやすいです。

また、生産性が落ちている自分にストレスを感じる人も。仕事とプライベートのバランスを保つのは意外と難易度が高いものです。

リモートワークの生産性を上げる方法

リモートワークの生産性を上げる方法をまとめました。

  • コミュニケーション機会を増やす
  • 勤怠管理ツールの活用
  • ITツールの見直しと使い方の改善

コミュニケーション機会を増やす

コミュニケーション不足に陥りやすいリモートワークでは、意識的に機会を増やしていく必要があります。

  • 定期的にWeb会議を開催
  • プロジェクトごとにグループチャットを作成
  • 雑談ができる仕組みを作る

チャットツールを導入しても、仕組みがなければコミュニケーションが増えることはありません。

一体感のある空間を作るには、気軽にコミュニケーションが取れる環境作りを意識するべきです。上司が冗談で和ませたり、絵文字を使ったりなども有効策になります。

オンライン上でのコミュニケーションは、経験を重ねるにつれて円滑にできるようになるものです。まずは、チームごとの小さなグループを作って話せる場を作ってみてください。

頻繁に社員の顔が見れるように、Web会議を開くことも大切です。孤独を感じやすいリモートワークでは、顔を見るだけでもモチベーションが上がります。

生産性を上げるためにも、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。

勤怠管理ツールの活用

勤怠管理ツールを活用することで、生産性が上げやすくなります。

  • 出勤・退勤の打刻
  • プロジェクト管理
  • 進捗状況の確認

ツールを用いることで、リモートワークの難点をカバーできるのです。

社員からすると「管理されている」という意識が高まり、仕事へのメリハリもつけやすくなります。勤怠管理ツールの導入によって、社員の生産性を計測しやすくなるメリットも得られるでしょう。

ITツールの見直しと使い方の改善

現在、ITツールを導入しているものの、上手く活用できていないなら見直しを検討することも考えましょう。

ITツールはとても便利で高機能な反面、工数が増えて生産性が落ちてしまう可能性もあります。使い方が複雑なツールは慣れるまでに時間がかかるものです。

  • 極力シンプルな仕組みを構築
  • 作業フローをマニュアル化する
  • 社員からのフィードバックを反映する

上記のような点を意識して、ITツールの見直しや改善を行ってみてください。試験運用をしつつ社員が快適に働けるツールを導入することで、生産性を上げられるでしょう。

まとめ

生産性が上がるイメージのあるリモートワークですが、オフィス勤務と大きく異なる働き方に戸惑う社員もたくさんいます。

今までと全く違うワークスタイルを確立して生産性を上げるには、時間がかかるものです。自社に合った仕組みを構築することが何よりも大切と言えます。

コミュニケーション不足になりやすいリモートワークは、意識的に連絡を取り合う必要もあるでしょう。1人1人の繋がりを感じられれば、仕事に対するモチベーションを保ちやすいはずです。

たくさんの企業がリモートワークに壁を感じています。そんな今だからこそ生産性の高い働き方を確立して、ライバル企業に差をつけていきましょう。

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