Microsoft(マイクロソフト)社が提供する、検索エンジンに搭載された人工知能 Bing AI(ビングエーアイ)。2023年2月から試験運用がはじまり、ユーザーは順番待ちリストに申請する必要がありました。
対話型AIのChatGPT(チャットジーピーティー)と同様に、会話をしたり文章作成をしてくれたりと便利に使う事ができます。また、Bing AIは対話だけでなく、ネットから最新情報を教えてくれたり、画像の生成もしてくれます。
そこで、本稿ではBing AIの使い方を解説しました。また、Bing AIとChatGPTとの違いについてもまとめています。
目次
Bing AIとは?
Bing AIとは、Microsoftの検索エンジンBing(ビング)に搭載された人工知能で、主に情報提供を目的としています。2023年2月7日に試験運用が始まり、AIを搭載した新しいBingとして発表されました。
対話型AIのChatGPTと同じく、GPT-4という自然言語処理モデルをベースに開発されています。このBing AIは、ウェブ検索・文書作成・翻訳・画像生成など様々な用途に利用できます。
また、Bing AIは質問に対してネット検索してから答えてくれるのが特徴です。
ユーザーは検索窓から質問を入力するだけで、Bing AIが適切な回答や最新情報を提供してくれます。また、質問にテキストだけでなく、画像や動画を使って答えてくれる事もあります。
Bing AIとChatGPTとの違い
Bing AIとChatGPTは、どちらも「GPT」という言語モデルを採用したAIツールですが、いくつか違いがあります。
項目 | Bing AI | ChatGPT |
---|---|---|
アカウント作成 | 一部のアプリは必要 | 必要 |
料金 | 無料 | 無料・有料 |
日本語対応 | ◯ | ◯ |
対応言語 | 100以上 | 14 |
ネットへのアクセス | ◯ | 有料版のみ |
画像の表示 | ◯ | △(※1) |
動画の表示 | ◯ | ✕ |
チャットの回数制限 | なし | なし |
文章作成 | ◯ | ◯ |
文章校正 | ◯ | ◯ |
文章要約 | ◯ | ◯ |
会話 | ◯ | ◯ |
多言語翻訳 | ◯ | ◯ |
音声入力 | ◯ | ◯ |
テキスト読み上げ | ◯ | △(※2) |
プログラミングのコード生成 | ◯ | ◯ |
画像生成 | ◯ | ✕(※3) |
商用利用 | ✕ | ◯ |
※1:ChatGPTは質問の仕方によって画像を表示しますが、基本的には対応していません。
※2:Googleクローム拡張機能「Ondoku3-ChatGPT」を追加するとテキストを読み上げます。
※3:ChatGPT開発元であるOpen AI社の別サービス「DALL·E 2」で画像生成できます。
Bing AIは、ChatGPTと同じ「GPT-4(ジーピーティーフォー)」という技術をベースに開発されています。そのため、Bing AIとChatGPTはできることが似ています。
しかし、2つのサービスの大きな違いとしては、Bing AIチャットは質問に対してテキストだけでなく、画像や動画を使って回答する事ができます。
一方で、ChatGPTは質問によっては画像を出すことがありますが、基本的にはテキストのみでしか回答できません。
どちらも無料で利用できますが、ChatGPTは有料版もあり、素早い回答の生成・ネットにアクセスして最新情報を提供・拡張機能を追加できるなど、より便利に利用する事ができます。
様々な質問に対し、回答してくれるAIツール「ChatGPT(チャットジーピーティー」。2022年11月に公開後、たった2ヶ月で月間ユーザー数1億人を突破しました。 ChatGPTは日本語にも対応しており、無料で利用できるため、幅広い分野での活用が期待されています。情報収集をはじめ、文章作成やプ...
また、Bing AIはチャット内か専用のWebページ「Bing Image Creater」で、画像の生成をする事ができます。こちらは、ChatGPTを開発したOpen AI社の画像生成AI「DALL·E 2」を利用して提供されているサービスです。
どちらも作成したいイメージを文章で入力すると、その内容に合った画像を生成してくれます。
2022年頃から人工知能「AI」の進化が盛んになっており、私たちが実際に使えるAIサービスも増えてきました。 素晴らしい進化なのは間違いないものの、巷では以下のような声も聞こえます。 AIに仕事が奪われる AIアートなんて価値がない AIが作った画像なんて偽物だ ま...
順番待ちリストに申請が必要?
以前、試用版のBing AIを使いたい場合は、ユーザーが順番待ちリストに申請する必要がありました。Microsoftから連絡が来た方から順に利用できるようになっていました。
しかし、2023年5月より順番待ちリストは削除され、誰でも無料でBing AIを利用できるようになりました。現在は順番待ちリストに申請する必要はありません。
ChatGPTも同様に試験運用期間は過ぎたため、現在は順番待ちリストに申請不要で使う事ができます。
著作権と商用利用
Microsoftの規約によると、Bing AIで生成された文章や画像は商用利用できません。個人や非商業的な目的であれば使用できると掲載されています。
また、注意点としては、Bing AIを含む画像生成AIツールは過去のデータから画像を生成しています。そのため、生成された画像が、偶然にも誰かが作った画像と似てしまう場合があります。
それが原因で、海外では複数の訴訟が起こっています。そのため、生成された画像は似たものがないか調べてから使用するなど、取り扱いには十分注意が必要です。
お客様は、本契約、Microsoft サービス規約、および弊社のコンテンツポリシーを遵守することを条件に、オンラインサービス以外の場所で、個人の合法的な非商業的目的のために作成物を使用できます。
一方で、ChatGPTの利用規約では、アウトプット(生成された文章など)の全ての権利はユーザーに譲渡すると記載されています。さらに、販売や出版など商用利用目的で使用する事もできます。
Subject to your compliance with these Terms, OpenAI hereby assigns to you all its right, title and interest in and to Output. This means you can use Content for any purpose, including commercial purposes such as sale or publication, if you comply with these Terms.
(これらの利用規約に従うことが条件となりますが、OpenAIはここにアウトプットの全ての権利、所有権、利益をあなたに譲渡します。つまり、これらの利用規約に従う限り、販売や出版などの商業目的を含む、どんな目的にもコンテンツを使用することができます。)
そのため、Bing AIは個人か非営利での利用のみとなり、ビジネスで利用したい場合はChatGPTを利用すると良いと思います。
チャットの回数制限
以前、試用版だった時のBing AIチャットは、1回のセッションでの質問回数が5回まで、1日の質問回数が50回まで制限がかけられていました。
このチャットの回数制限は、システムの負荷や管理コストが上がることを防止するために設けられていたようです。
しかし、現在はBing AIチャットの回数制限はなく、誰でも無制限に利用できるようになりました。ChatGPTも同様にチャットの回数制限はなく、誰でも無料で利用する事ができます。
Bing AIの使い方
ここではBing AIの使い方を、各アプリやソフトウェアごとにご紹介します。
Bing AIが使える一部のアプリでは、アカウント作成やログインしなくても利用する事ができます。ただし、ログインするとチャットで長い会話ができたり、履歴が残りますので、より便利に使う事ができます。
名称 | アカウント作成とログイン |
---|---|
Bing(スマホアプリ) | 不要 |
Microsoft Edge | 不要 |
Bing Chat for All Browsers | 必要 |
Image Creater | 必要 |
Microsoftのアカウント作成については、以下のページを参考にしてください。
参考:新しいMicrosoftアカウントを作成する方法 | Microsoft
Bing AIを始めるには、各アプリやソフトウェアをインストールする必要があります。それぞれの具体的な使い方は、次の項目からご紹介します。
スマホアプリ「Bing」
はじめに、スマホアプリ版の検索エンジンBingの使い方をご紹介します。
チャットの使い方を掲載していますが、Bing AIが使える他のアプリやソフトウェアでもほぼ同じ操作となります。他のアプリやソフトでBing AIチャットを使いたい方は、この操作を参照してください。
スマホアプリのBingでAIチャットを使うには、はじめにアプリをインストールします。
インストールしたらBingアプリを開き、 画面中央のアイコンを押すとチャット画面に移動します。Bing AIのチャット画面には、あらかじめ質問が用意されており、その文字を押して質問する事もできます。
下にスクロールすると、会話のスタイルを選択する画面が出てきます。この3つの会話スタイルは、以下のような回答を生成できます。
会話のスタイル | 詳細 |
---|---|
より創造的に | 面白い会話や、物語や詩など創造的な文章を生成。このスタイルのみ画像の生成もできる。 |
よりバランスよく | 会話スタイルの「より創造的に」と「より厳密に」の中間。 |
より厳密に | 事実に基づいた回答や、より正確で信頼性の高い情報を提供。 |
アプリ下部の入力欄に、質問を入力する事ができます。また、右下のマイクのアイコンを押すと、音声で質問をする事もできます。
以下の画像では、世界的に利用されているサイト作成・運営ツールのWordPress(ワードプレス)について質問をしました。
WordPress(ワードプレス)をご存じですか? WordPressとは、無料で使えるCMS(コンテンツマネジメントシステム)のことです。個人ブログから企業のコーポレートサイト、オウンドメディアまで、さまざまなWebサイトを構築できます。 WordPressの市場シェアは世界中のWebサイトの...
生成された回答の下には、出典元URLも表示してくれます。その出典元をたどって信頼性の高い情報なのか確認する事ができます。
会話のスタイルを「より創造的に」にしてから、作成したいイメージをテキストで入力すると画像を生成してくれます。
左下のホウキのようなマークを押すと、生成された文章や画像を削除する事ができます。また、右上の3点リーダーを押すと、スレッドの名前の変更や共有などをする事ができます。
左上の時計のマークを押すと、過去に質問した履歴を見る事もできます。
Webブラウザ「Microsoft Edge」
WebブラウザのMicrosoft Edge(マイクロソフトエッジ)でもBing AIを利用する事ができます。
EdgeとBingはどちらもアプリを提供しており、似ているため混乱するかもしれません。Webサイト閲覧ソフト(ブラウザ)がMicrosoft Edgeで、ネット検索ソフト(検索エンジン)がBingです。
使い方の流れとしては、EdgeからBingにアクセスしてAIチャットができます。
EdgeでBing AIを使うには、機器別に提供されているソフトやアプリをインストールする必要があります。
ここではアプリ版での使い方をご紹介しますが、Windows・Macのパソコン版でもほぼ同じような操作となります。
使い方としては、インストールしたEdgeにアクセスして、中部にある「Bing」のマークを押します。次に、上部のメニューにある「チャット」を押します。
すると、チャット画面になりますので、Bingでの操作と同様にテキストか音声で入力する事ができます。
チャットの使い方はBingアプリとほぼ同じ操作になるため、そちらの項目を参照してください。
Chrome拡張機能「Bing Chat for All Browsers」
「Bing Chat for All Browsers」は、BingのAIチャットをMicrosoft Edge以外のブラウザでも利用できるようにする拡張機能です。
この拡張機能は、スマホ版のブラウザでは利用できず、パソコン版のGoogleクロームとFirefox(ファイヤーフォックス)で利用する事ができます。
ここでは、国内シェアNo.1ブラウザであるGoogleクロームでの操作方法でお伝えします。
アプリ版のBingではログインしなくてもAIチャットができますが、この拡張機能ではログインが必要です。
はじめに、Chromeウェブストアから「Bing Chat for All Browsers」のページにアクセスします。次に、右上にある「Chromeに追加」を押します。
その後、ポップアップ画面が表示されますので、「拡張機能を追加」を押します。
その後、Bingにアクセスし、上部の「ログイン」を押します。
アカウントのメールアドレスか電話番号を入力し、「次へ」を押します。次の画面でパスワードを要求されますので、入力をして「サインイン」を押します。
その後、上部の「チャット」を押します。
少し時間が経ってからチャット画面が表示されますので、ページ下部の入力欄から質問する事ができます。
こちらもチャットの操作は、Bingアプリの項目でご紹介した同じ方法でする事ができます。
画像生成AI「Bing Image Creator」
Microsoftでは、Bing AIチャットの他に画像生成AI「Bing Image Creator」も提供しています。
Bing AIチャットと違って、こちらのサービスはアカウント作成やログインが必要となります。
使い方としては、はじめにBing Image Creatorの公式ページへアクセスします。その後、入力欄に生成したい画像のイメージをテキストで入力し、「参加して作成」を押します。
入力後にログインが求められますが、すでにMicrosoftアカウントにログインしている場合はそのまま画像が生成されます。
ログイン後に入力したテキストに応じた画像が生成されます。お好みの画像を押すと、右下にダウンロードしたり共有できるボタンが表示されます。
Bing Image Createrでは、自分でテキストを入力するだけでなく「お任せ」する事もできます。
画面中央左にある「アイデアを探す」を押し、「お任せで探す」ボタンを押します。
すると、AIが自動的に英語テキストを表示します。日本語では表示されませんので、英語が苦手な方は翻訳してから内容を確認してみてください。
テキスト下部の「作成」を押すと、画像が生成されます。
まとめ
Bing AIとは、検索エンジンのBingに搭載された人工知能で、主に情報提供を目的としています。
2023年2月から試用版が提供され、順番待ちリストに申請が必要でした。しかし、2023年5月から不要となり、現在はアカウント作成やログインなしでも利用する事ができます。
ChatGPTとの違いとしては、無料でネットにアクセスして最新情報の提供に適している点です。また、質問に対して文章だけでなく、画像や動画を表示してくれます。
それぞれのAIツールには違いがありますので、目的にあったものを活用してみてください。
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