「meta description(メタディスクリプション)は本当に必要なのか」
Webサイトの運営者やコンテンツ作成者なら、誰もが疑問に思うテーマのひとつです。
meta descriptionはかつて、SEO対策の一環としてページごとに設定するのが一般的でした。しかし、最近では設定しない方がアクセスが増加したとの報告もあり、結局どうすればいいのか迷ってしまう方は少なくありません。
この記事では、meta descriptionのSEOにおける位置づけをはじめ、SEO研究家のマーク・ウィリアムズ=クック氏による実験結果と真偽について詳しく解説します。
meta description不要論の内容を知りたい方、設定すべきか否かの判断基準を把握したい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
meta descriptionとは
meta description(メタディスクリプション)とは、WebページのHTML内に記述される短い要約文です。
Googleを例にすると、ページのタイトル(titleタグ)の下に表示されるスニペット(検索エンジンの検索結果に表示されるWebページの要約文)として利用されます。
主な役割は、検索エンジンがページの概要を理解するためのサポートです。ユーザーが検索したキーワードに関連性の高い情報が含まれていると、スニペットとして採用されやすい傾向にあります。
スニペットはユーザーが検索結果を見た際に、ページの内容を瞬時に把握し、クリックするかどうかを判断するための要素です。適切に設定されていると、ユーザーの興味を引くだけでなく、クリック率の向上に貢献する可能性が高まります。
meta descriptionにSEO効果はない
meta descriptionは、ユーザーのクリック率に影響を与える要素です。
しかし、SEOに直接的な効果はありません。
Googleのマット・カッツ氏は、以前からメタタグが検索順位に直接的な影響を与えないと明言しています。
Google は keywords meta タグをウェブ検索のランキングで使用することはありますか
端的にいえば、使用しません。Google は Google 検索アプライアンスを販売していますが、そのプロダクトにはmeta タグの一致機能が備えられており、keywords metaタグが含まれる場合があります。ただし、これは企業向けの検索アプライアンスであり、Google のメインのウェブ検索とはまったく異なるものです。Google のウェブ検索(Google.com からアクセスできる、日々数多くのユーザーが使用する検索)では、keywords meta タグは完全に無視されます。現時点で Google 検索のランキングに影響が及ぶことはありません。
このように、meta descriptionにキーワードを詰め込んだり、特定の表現を使ったりしても、検索順位が上がるわけではありません。
検索エンジンのアルゴリズムは、ページのコンテンツ内容や被リンク、サイトの構造など、多岐にわたる要素を総合的に評価し、検索順位を決定しています。
かといって、meta descriptionが無意味ということわけではありません。検索結果におけるユーザーの行動、特にクリック率(CTR)に間接的ではあるものの影響を与えます。
また、ユーザーが検索結果を見たときに、魅力的なスニペットが表示されていればクリックが促されるでしょう。
Webサイトへのアクセス数の増加は、検索エンジンに良いシグナルを送る可能性があります。その結果、SEOにプラスの影響を与える場合も十分に考えられます。
meta descriptionを設置するメリット
meta descriptionはSEOに直接的な効果をもたらしませんが、適切に設定すると2つのメリットが得られる可能性があります。
- 検索結果でのクリック率向上が期待できる
- 検索エンジンにページの詳細を伝えられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
検索結果でのクリック率向上が期待できる
meta descriptionを適切に設定すると、検索結果ページにおけるクリック率(CTR)の向上が期待できます。
ユーザーは検索クエリを入力した後、表示された複数の検索結果の中から、求めている情報に合致するページをクリックします。この際、ページのタイトルだけでなく、その下に表示されるスニペットも意思決定に大きな影響を与えるでしょう。
興味を引く説明文や検索キーワードとの関連性が高い内容が記述されていれば、ユーザーは「このページに自分の知りたい情報がある」と感じ、クリックする可能性が高まります。
したがって、オーガニック検索からの流入増加に繋がりやすいです。
検索エンジンにページの詳細を伝えられる
meta descriptionはSEOランキングにおける要因ではないものの、検索エンジンにページの詳細を伝える手助けとなります。
Googleなどの検索エンジンは、Webページのコンテンツをクロールして内容を理解します。そのシグナルのひとつとなるのが、meta descriptionです。
たとえば、Aというキーワードで検索された際、文章のなかに同キーワードを設定しておくと、ページが検索意図に合致していることを伝えやすくなります。
検索エンジンがページの関連性を正確に判断できる状態を作り出せると、適切な検索クエリに対して表示される確率が上昇するでしょう。
設定しないとアクセスが3%向上?
meta description不要説を盛り上げたクック氏の実験
meta description不要説は以前からありましたが、それを盛り上げるニュースがありました。
それはイギリスのSEO研究家マーク・ウィリアムズ・クック氏が、meta descriptionを削除するとCTR(クリック率)が約3%向上したとの結果報告です。
参照元:Mark Williams-Cook|Linkbin
実験内容は以下のとおりです。
- 自社サイトの数百ページにおけるmeta descriptionをすべて削除
- 削除前とクリック率を比較
- 約3%の上昇を確認
クック氏はこの実験から、以下の見解を示しました。
このニュースは、meta description不要説を信じる方にとって追い風になったかもしれません。しかし、実験内容を確認してみると、条件や再現性に疑問を感じる部分がいくつかありました。
クック氏の実験結果は参考にならない
クック氏の実験結果は一時的に大きな注目を集めましたが、meta descriptionは不要と結論づけるのは適切といえません。
理由は大きく分けると3つあります。
- 実験期間が公開されていない
- 季節性や検索ボリュームの変動などの外部要因を無視している可能性
- ページタイプによるCTRへの影響を無視している可能性
Yoastの元CTOで現テクニカルSEOコンサルタントのジョノ・アルダーソン氏は、この実験結果を次のように批判しています。
SEOは閉じたシステムではありません。アーキテクチャ、セマンティクス、シグナル、そしてシステムです。有料キャンペーンのようにテストしようとすると、ウェブ、そしてGoogleの実際の仕組みを誤解してしまいます。(直訳)
アルダーソン氏は検索エンジンによる検索結果の予測不可能性を強調すると共に、meta descriptionの有無だけでCTRの向上は証明できないと疑問を呈しました。さらに、パフォーマンス重視のテストよりも、ユーザーエクスペリエンスに影響を与える実質的かつ測定可能な変化に焦点を移すべきだと訴えています。
クック氏が行った実験の問題点は、ユーザーエクスペリエンス(ユーザーが得る体験全体)とサーチ・ビジビリティ(検索の可視性)を向上させる有効な戦略を特定できていないことです。
これらを示せないかぎり、meta descriptionの削除によるCTR向上は証明できないでしょう。
したがって、彼の実験結果はあくまで一例であり、私たちのWebサイトにそのまま適用できるとは限りません。
meta descriptionが不要かどうかの判断基準
meta descriptionが不要かどうかの判断基準は、5つあります。
- ページタイトルだけでも内容が十分に伝わる
- 固有のmeta descriptionの必要性
- meta descriptionの表示を検索エンジンに委ねる(自動スニペット生成)
- ページごとで内容が重複する
- ユーザーにとってプラスかどうか
それぞれ詳しく解説します。
ページタイトルだけでも内容が十分に伝わる
Webページのタイトルタグ(title)だけで内容が伝わり、検索意図を満たせる場合はmeta descriptionを設定しない選択肢も考えられます。
特にタイトルが具体的でキーワードが豊富に含まれている場合、簡潔な情報提供を目的としたページなら、ユーザーはタイトルを読むだけでクリックするかどうかを判断できるでしょう。
このようなページでは、コンテンツの質を高めることに注力すると費用対効果が高いかもしれません。
ただし、検索エンジンが自動生成するスニペットが、意図したとおりの内容になるとは限らないので注意する必要があります。
固有のmeta descriptionの必要性
Webページのコンテンツが複雑、タイトルだけではユーザーに伝えきれない魅力や情報がある場合は、固有のmeta descriptionを設定するべきでしょう。
たとえば、専門性が高い記事や特定の製品・サービスの詳細を解説するページでは、meta descriptionで補足情報を加えると、ユーザーの興味を引いてクリックを促せます。
また、競合が多いキーワードで上位表示を目指す場合、タイトルだけでは差別化が難しい場合があります。ユーザーの心に響く要約文を作成すれば、競合との差別化を図れるほか、クリック率の向上を期待できるかもしれません。
meta descriptionの表示を検索エンジンに委ねる(自動スニペット生成)
Googleなどの検索エンジンは、スニペットを自動生成してくれます。固有のmeta descriptionの作成が不要なら、表示を委ねるのもひとつの手段です。
自動スニペット生成の活用は、大規模なサイトでページごとに固有のmeta descriptionを設定するリソースがない場合に有効といえるでしょう。
Googleはユーザーの検索クエリとページのコンテンツの関連性を分析し、適切だと判断した部分をスニペットとして表示します。これにより、ユーザーの検索意図に合致した要約文が表示される可能性が高まるでしょう。
ただし、自動生成されたスニペットが、サイト運営者の意図どおりの内容になるとは限りません。
ページごとで内容が重複する
サイト内で複数のページが似たような内容であったり、テンプレート的に生成されるページであったりする場合、meta descriptionを個別に設定すると内容が重複する可能性が高まります。
内容の重複は、検索エンジンから低品質なコンテンツと判断されるリスクを高める要因です。
データベースサイトのようなページごとで内容が重複しやすいケースでは、無理に固有のmeta descriptionを設定する必要はないでしょう。むしろ、設定しない方が良い結果に繋がる可能性もあります。
SEO対策を重視するなら、重複は可能なかぎり避けるべきです。
ユーザーにとってプラスかどうか
meta descriptionを設定する最終的な判断基準は、ユーザーにとってプラスになるかどうかです。
要約文がユーザーの検索意図を正確に反映し、ページの魅力を伝え、クリックを促す効果があるのなら設定すべきでしょう。しかし、内容が曖昧、キーワードを不自然に羅列している、ページの内容と乖離しているような場合は、ユーザーの離脱を招く可能性があります。
ユーザーが検索結果を見たときに、スニペットから「このページを見たい」と感じるかどうかが重要です。
まとめ
meta descriptionが不要かどうかは、Webページの特性によって異なります。
ページタイトルだけで内容が十分に伝わる場合は、不要になる可能性が高いでしょう。しかし、複雑な内容のページでは、固有のmeta descriptionを設定した方がアクセスアップを期待できるかもしれません。
検索エンジンに自動生成を委ねる方法や、他ページと内容が重複する場合は設定しないなど、選択肢がいくつかあります。
meta descriptionを設定する際は、ユーザーにとってプラスになるかどうかを基準に判断してください。
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